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凛の話5
曖昧じゃないもの
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「そうかもな」
龍ちゃんは、ケトルのスイッチを押して私を見つめる。私は、魚焼きグリルの鮭が焦げてないか確認してから…。味噌汁にいれる豆腐を切りながら龍ちゃんにこう話した。
「曖昧じゃない確かなものを考えたら!若さと赤ちゃん何だよ」
「女性の価値は、それだけって事?」
沸騰したお湯のなかで、昆布が揺れている。その鍋の中に私は豆腐をそっといれる。
「それだけだよ、きっと!だって、バリバリ働いて上を目指せば女の癖にでしゃばってって言われちゃうんだから…」
「男尊女卑ってやつか」
「なくなったって言われてるけど、現実的には存在してるでしょ?働いてない私にだってわかる。やっぱり、女の人が男の人の上にいくのは難しいんだって」
「確かに、世の中は変わったけれど…。蓋を開けたら、変わってないのかもな」
カチッとケトルが沸いた音を出した。龍ちゃんは、ドリップの珈琲にゆっくりお湯を注ぐ。
「結局は、女性の価値は若いか子供がいるかって事になってくるんだよ!だから、いつまでも女性は若々しさを失いたくないと思うんだよ」
「そう言えば、凛も昔言ってたよな」
龍ちゃんは、ケトルを元に戻して私の顔を見つめる。
「赤ちゃんの事考えないでいいなら、私は老いるのは嫌いじゃないって」
「覚えてたの?」
「当たり前だよ」
結婚して三年目の頃に、龍ちゃんと見たテレビの討論を私達も繰り広げた。確か、何故女性は整形してまで美に拘るのかを話し合っていた。
龍ちゃんは、ドリップをカップからはずしながらこう言った。
「俺、あの時!凛ってかっこいいって思ったんだ」
「どうして?」
「普通は、老化に抗って生きたいって思うもんだよ!だけど、凛は違った。年を取ってく過程も肉体(からだ)も好きだって言った。それって、凄いなって思ったんだ。俺なら若返りたいって思うと思ったから」
「普通だよ」
「普通じゃない!凛の考えは、素敵だよ!年を取る事は、当たり前だけど…。普通は、それに逆らって生きたいって思うから!凛は、人間より動物に近いのかな?」
「それって、ゴリラ的思考って事?」
私は、コンロの火を止めた。魚焼きグリルの鮭もいい感じに濃い目のピンクになっていた。
「ゴリラとは、言ってないよ」
「龍ちゃん、目が笑ってるけど?」
「人間的な思考じゃないって言っただけだよ」
「だから、それって猿って事でしょ?」
「そんな事言った覚えはないよ」
「だから、龍ちゃん!さっきから、顔がにやけてますけどー」
私の言葉を無視して、龍ちゃんは珈琲カップを持っていった。私は、少し怒ったふりをしながら味噌をといた。
龍ちゃんは、ケトルのスイッチを押して私を見つめる。私は、魚焼きグリルの鮭が焦げてないか確認してから…。味噌汁にいれる豆腐を切りながら龍ちゃんにこう話した。
「曖昧じゃない確かなものを考えたら!若さと赤ちゃん何だよ」
「女性の価値は、それだけって事?」
沸騰したお湯のなかで、昆布が揺れている。その鍋の中に私は豆腐をそっといれる。
「それだけだよ、きっと!だって、バリバリ働いて上を目指せば女の癖にでしゃばってって言われちゃうんだから…」
「男尊女卑ってやつか」
「なくなったって言われてるけど、現実的には存在してるでしょ?働いてない私にだってわかる。やっぱり、女の人が男の人の上にいくのは難しいんだって」
「確かに、世の中は変わったけれど…。蓋を開けたら、変わってないのかもな」
カチッとケトルが沸いた音を出した。龍ちゃんは、ドリップの珈琲にゆっくりお湯を注ぐ。
「結局は、女性の価値は若いか子供がいるかって事になってくるんだよ!だから、いつまでも女性は若々しさを失いたくないと思うんだよ」
「そう言えば、凛も昔言ってたよな」
龍ちゃんは、ケトルを元に戻して私の顔を見つめる。
「赤ちゃんの事考えないでいいなら、私は老いるのは嫌いじゃないって」
「覚えてたの?」
「当たり前だよ」
結婚して三年目の頃に、龍ちゃんと見たテレビの討論を私達も繰り広げた。確か、何故女性は整形してまで美に拘るのかを話し合っていた。
龍ちゃんは、ドリップをカップからはずしながらこう言った。
「俺、あの時!凛ってかっこいいって思ったんだ」
「どうして?」
「普通は、老化に抗って生きたいって思うもんだよ!だけど、凛は違った。年を取ってく過程も肉体(からだ)も好きだって言った。それって、凄いなって思ったんだ。俺なら若返りたいって思うと思ったから」
「普通だよ」
「普通じゃない!凛の考えは、素敵だよ!年を取る事は、当たり前だけど…。普通は、それに逆らって生きたいって思うから!凛は、人間より動物に近いのかな?」
「それって、ゴリラ的思考って事?」
私は、コンロの火を止めた。魚焼きグリルの鮭もいい感じに濃い目のピンクになっていた。
「ゴリラとは、言ってないよ」
「龍ちゃん、目が笑ってるけど?」
「人間的な思考じゃないって言っただけだよ」
「だから、それって猿って事でしょ?」
「そんな事言った覚えはないよ」
「だから、龍ちゃん!さっきから、顔がにやけてますけどー」
私の言葉を無視して、龍ちゃんは珈琲カップを持っていった。私は、少し怒ったふりをしながら味噌をといた。
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