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凛の話5

連れてきてくれた場所

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拓夢が、私を連れてきてくれた場所にいたのは、素敵な四人だった。みんな凄くいい人で!赤ちゃんの事とか、結婚してるとか、どうでもよくなった。理沙ちゃんに頭を撫でられた。私の痛みとか悲しみとか苦しみとか、理解しようとしてくれる人達だって思った。私は、お手洗いに出た。久しぶりに、嬉しかった。
トイレに行って、戻ろうとしてやめる。

誰かに見られてる気がする。私は、鞄の中からスマホを取り出した。

【わかった。明日、あの場所で一時に待ってます。もう、酷い事はしないから…。】凛君からメッセージが届いていた。あのパンケーキの店が、一番わかりやすいと思ったんだけど…。やめた方がよかったかな?

もしかして、凛君がいるとか?キョロキョロと辺りを見回したけれどいないようだった。さっきので、疲れてるのかな…。気のせいだよね。

「凛ちゃん、いたいた」

「理沙ちゃん」

「道、迷った?」

「あっ、うん」

理沙ちゃんがやってきたお陰で、不安は払拭された。やっぱり、気のせいだよ!

「戻ろう」

「うん」

私は、理沙ちゃんと並んで歩く。16歳も離れてるって事は、理沙ちゃんは23歳か!わかっ!

「凛ちゃん」

「うん」

「理沙ね!未成年から、優太と付き合ってるの」

「そうなんだね」

「うん!理沙が、17の時から!でね」

「うん」

「理沙、たくむんのあんな顔、初めて見た」

「拓夢の顔?」

理沙ちゃんは、ニコニコ笑って私を見つめてくる。

「そう!あんな愛しいですって顔。初めて見た」

「そんな出会って、1ヶ月も経ってないから」

「恋は、時間じゃないから!私も、優太の事三日で好きになって!もう、六年いるんだよー。凄いでしょ?」

「凄い」

「でしょ?好きな気持ちは長さじゃないから」

「そうだよね」

理沙ちゃんは、私の方を向いた。

「凛ちゃん、たくむんをこれからもよろしくね」

「でも…」

「別にいいじゃん!お天道様が許さなくたって、理沙が許すから」

「フフ、ありがとう」

「うん!でも、もし今の関係でいれなくても!別の形見つけようよ!一緒に」

「うん」

私の言葉に、理沙ちゃんは私の手を握りしめる。

「ありがとう、凛ちゃん」

「うん」

そう言って、部屋に戻ってきた。

「道、迷ってたって」

「ごめんね」

「凛さん、遅いよー」

拓夢が泣いていた。きっと、みんなで何かを話してたんだと思う。

「じゃあ、かねやん歌います」

「はい」

カラオケをしたり、楽器を弾いてるのを見たりして、あっという間に時間がやってきた。

「じゃあ、今日はお別れだな」

「また、来てね!凛ちゃん」

「うん」

「じゃあな」

「またな」

私と拓夢は、先に店を出た。拓夢は、すぐに手を繋いでくれる。


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