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凛の話8

いるなら、言えよ!

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スマホの画面を見ると、【まっつん】からだった。

「もしもし」

『もしもし、拓夢』

「どうした?」

『拓夢、いるなら言えよ!一緒に合流したらよかったじゃん』

「えっ?何の話し?」

『……駅の…』

「駅にはいるけど?」

『はぁ?凛さんといるんだろ?理沙がトイレで凛さんに会ったって』

「トイレって何?」

『駅前のミゼリアだよ』

「ミゼリアってファミレスの?」

『あっ、悪い!勘違いだったわ!また、かけるわ』

「まっつん」

プー、プー、プー

ファミレスのミゼリアに凛と俺がいるって何?
凛は、帰ったよな?
22時45分に凛からのメッセージが届いていた。

【無事につきました。今日は、楽しかった。また、連絡するね!拓夢もゆっくり休んでね】

スマホを開いて確認するけど、間違いなく凛からのメッセージだった。俺は、気になって走り出す。駅前のミゼリアに到着した。俺は、ゆっくりと歩いてく。

まっつんが、いるって言ってたよな?

「早く、いいから」

目の前に現れたのは、凛だった。

「何で?」

俺を見て驚いた顔をしてる。それは、こっちの台詞だった。隣にいる人を見つめると…。急に怒りやら悲しみやらが沸き上がってきた。

「俺とは、過ごせないのに…。平田さんとは、過ごせんのか?」

「拓夢、違う」

「違うって何?」

イライラが止められない。

「拓夢、これには訳があってね」

「訳って何?」

「それはね…」

凛がそう言った時、まっつんと理沙ちゃんが、やってきた。

「拓夢、ごめん。俺、知らなくて」

「別にいいよ!むしろ、感謝だわ!こんな女を好きになって馬鹿だったわ」

「拓夢、違うの」

「何が違うの?所詮、凛にとって俺はただのセフレだろ?あー、好きになって損したわ」

「拓夢」

「悪いけど、帰るわ!お別れしにきただけだから」

「拓夢、待って」

「じゃあね、お幸せに」

「拓夢、待てよ」

俺は、誰の言葉にも振り返らずに走った。

「はぁ、はぁ、はぁ!ダセェ!嫉妬してんじゃねーぞ!みっともない」

ブー、ブー、ブー

俺は、スマホを見つめる。

「はい」

「……。でね!だけど、もう、許さないでしょ?」

「会おうか?今から」

「いいの?」

「家来ててよ!帰るから」

「わかった」

人間なんていい加減な生き物だ!二度と触れたくない、関わりたくない。そう思っていたって…。心に傷がつくと、それを埋める為の何かを求めてしまう。それが、間違っていたとしても…。

例え、目の前に毒を盛った皿を差し出されたとしても…餓死寸前だったら俺はきっと食べるんだ。

ブー、ブー、ブー

俺は、スマホを見つめて電源を落とした。駅前で、タクシーに乗って家に帰る。

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