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凛の話10

拒否出来ない…

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凛君は、私から離れた。

「ごめんね、何か重くて」

私は、泣いてるのを見られたくなくて、目を伏せる。

「ううん」

「さあ、食べよう!凛さん、お酒飲むでしょ?」  
「お酒飲む人は、嫌いでしょ?」

「そんなわけないよ!父さんだって、飲んでたよ!だから、気にしないで」

凛君は、私の頬に手を当てて顔をあげさせる。泣いてるのが、バレてしまった。

「僕の為に、泣いてくれてるの?」

否定出来ずに、私は目をそらそうとする。

「そらさないで」

そう言われて凛君を見つめる。目の前が滲んでいて、凛君の輪郭さえうまくわからない。

「ありがとう、凛さん」

笑ってる?泣いてる?よく見えないよ。

「キスしていい?」

「えっ?あっ、と」

駄目だと言おうとしたのに、唇は重ねられた。愛されたいんだね、凛君。
凛君は、10歳の時と何も変わってないんだと思う。ゴミ箱に捨てちゃいけない。だから、私は受け止めるしかなくて…。

半開きだった唇を舌でゆっくりと開かれる。

駄目、駄目、駄目。頭では、わかってる。だけど、凛君の気持ちを無下に出来ない。もし、してしまったら…。凛君は、もう本当は生きていけなくなるかもしれない。そう思うと怖くて振り払えずにいる。

私の両頬にあった右手が抜かれて背中に回される。駄目、これ以上は…。

「凛さん、話を聞かせて」

気づいてくれたように凛君は離れてくれた。

「凛君、待ってね」

胸のドキドキを静めないと離せない。私は、深呼吸を繰り返す。

「ふー、はー」

「凛さん、僕にドキドキしてくれたの?」

泣きそうな顔をしながらも、凛君はどこか嬉しそうな顔をしてる。

「じゃあ、もう我慢しなくてもいいのかな?」

そう言って、凛君は私を抱き締めてくる。

「ダ…」

駄目って言えない。ブラウスの背中に手を入れられる。

【愛されたい人間ってね!否定されたら死にたくなるんだよ】

あの言葉が、頭を流れてきて拒めない。どうしよう…。助けて、龍ちゃん。

リリリーン…

私のブラジャーのホックに凛君の手が届いた時に電話が鳴った。

「ごめん。電話でるね」

「う、うん」

凛君は、お尻のポケットからスマホを取り出して電話をしに立ち上がって行った。

「はー、はぁー」

私も鞄からスマホを取り出した。

「拓夢……」

拓夢からの着信が、並んでいる中に…。

「龍ちゃん」

ポロポロ涙が流れてきた。私は、龍ちゃんに掛けていた。

プルルー、プルルー

『ごめん。三分ぐらいしか無理だわ!ウルトラマンかってな』

その声に安心した。

「ハハハ、誠さんに会った?」

『昼御飯、一緒に食べてたんだよ』

龍ちゃんは、私が落ち込んでるのに気づいていた。

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