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拓夢の話10

やってみる

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凛は、どこまでも優しい。

「やってみる」

そう言ってくれる。

「首絞める?」

凛の手を取って、俺の首に持っていく。

「出来ないよ」

凛は、そう言ってボロボロ泣いてる。

「凛、めちゃくちゃにして」

「やった事ないから、わからない」

俺は、凛を困らせてる。何もかも上書きしようとして、困らせてる。

「凛、するなら買いに行かなきゃ!避妊具」

「うん、わかってる」

「ごめんな、凛」

「ううん」

「俺、買ってくる」

「明日じゃ駄目かな?」

「平田さんといたいの?」

「約束したから…守ってあげたくて」

俺は、財布に一枚だけ入れてる避妊具を凛に渡した。

「何?」

「あの子とするんだろ?」

ドサッ…。凛は、俺を床に押し倒してきた。

「何?」

「抱かれたいんでしょ?」

「凛」

「拓夢は、忘れたいんでしょ?中学の話もまっつんさんのお母さんの話も…。全部、全部」

そう言って、凛はカチャカチャとベルトを外してる。

「痛い」

凛は、わざと力を入れて触ってくる。先輩がしてきた時もそうだった。俺は、「痛い、やめて」って叫んだ。そしたら…。

「痛い、やめて」

【「すぐに、気持ちよくなるから」】

凛が耳元で囁いてきた言葉が、先輩が言った言葉と同じだった。

「痛い、痛い」

【「感じてるのに、よく言うね」】

凛が、頑張ってくれてるのがわかる。眉を寄せながら、頑張って言葉を探してるのがわかる。

「痛い、やめて」

【「気持ちいいの間違いでしょ?こんなに、してるくせに」】

そう言って、凛はさらに力を入れる。

「あの時と同じ!同じだよ、凛」

俺は、凛の頬に手を当てる。

「拓夢」

「凛だと綺麗になれるよ!俺…」

何故かは、うまくいえない。でも、凛にされたら汚れがなくなってく。今まで、どんな人としても拭えなかったのに…。
凛は、俺のシャツを脱がす。

「痛い」

「痛いだけ?」

凛の顔が俺を見つめる。

「もっとして」

俺は、泣きながら凛の頬に手を当てる。苦しくて、悲しくて、汚くて、どうしようもなかった自分を捨てれてる。

「何で、凛が泣いてるの?」

ポタポタと俺の顔に、凛の涙が当たる。

「拓夢は、汚くないよ」

「凛、したいの?」

俺の言葉に、凛はズボンを脱いだ。

「どうやって、されたの?」

凛は、そう言って俺を見つめる。

「お腹の上に乗ってきて、手を下半身にもっていかれた」

凛は、俺の指示通りに動く。あの日の先輩と凛が重なる。

「怖い?」

手が震えてるのが自分でもわかる。

「拓夢の初めては、私だよ」

凛がそう言った瞬間!!不思議とあの日の映像が凛にすりかわった。

    
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