なろう110000PV☆不純異性行為～月と星が交わる場所へ～あの時の二人を救ってくれたのは紛れもなくこの愛でした～【皆月凛、星村拓夢編】

拓夢の最後の話

また、明日

「じゃあ、帰ろうか」

時刻は、12時を回っていた。

「拓夢、終電ぎりある？」

「うん！ある」

「じゃあ、バイバイ」

「じゃあな」

「相沢さんは、あります？」

「あるよ」　　　

「俺と方角、一緒ですね」

俺は、みんなと別れた。まっつんと相沢さんは、反対側のホームで楽しそうに話してる。

「じゃあな！」

「おー」

電車がやってきて二人はいなくなった。俺は、スマホを取り出す。凛からの返事はなかった。

ガタンゴドン…

最終電車に乗り込んだ。
凛からの連絡がないだけで、この世界は暗い。
最寄りの駅について、電車を降りる。

夜の闇が広がっているのと、節電で電気が疎らだからか…。余計に暗い。

階段を上がって改札を抜ける。夜は、冷える。

俺は、凛と並んで歩いた道を帰る。

もし、二度と凛と会えなくなるなら…。俺は、この場所から引っ越したくない。
例え、売れたとしても…。

って、そんなワガママ叶うはずないよなー。
それに、凛より好きな人に出会うかもしれないわけだし…。

モノクロみたいな色彩の中、家に帰ってきた。

「傘、忘れた」

カラオケボックスに傘を忘れたのを玄関を開けて思い出した。

凛みたいに特別な思い出があるわけじゃない。だから、失くなったって必死に探す事もしなかった。俺は、玄関に置いていた凛の虹色の傘を思い出していた。

ガチャリと玄関の鍵を閉めて家に入る。何度かしか過ごしていないけど、あっちもこっちも凛がいる。

夢を叶える事は、凛と終わらす事…。

わかっていても、急に寂しくなって、悲しくなって、自分じゃどうにも出来ない気持ちに支配されてる。

一般人でいるなら、継続出来た事も…。

これから、顔がさすような職業につく俺に不倫は許されない。

こないだも、上矢宗四郎(かみやそうしろう)と言う俳優さんが不倫で干されていた。沢山のCMも打ち切りになったとTVが騒いでいた。「クリーンなイメージだっただけに残念ですね」コメンテーターがそう話していた。

世間は、ゲスい話が大好きだ。彼のニュースは連日取り上げられ、街を歩いても、「ありえない」と話してるのを聞いた。許さないけど、彼のニュースは知りたい。世の中の人は、不思議な感覚に支配されてるんだと思った。

不倫=悪だと、俺も凛と出会うまで思っていたからわからなくもないけど…

スマホを見るけど、やっぱり凛からの返事はない。

「はぁー」

俺は、トボトボ洗面所に行く。顔を洗って、歯を磨く。この床で、何て考えながら歯を磨き終わった。

「凛……」

俺は、洗面所の床に寝転がった。

「冷たい」

あの時と違って、ただ冷たいだけだ。

「凛、会いたいよ」

俺は、洗面所の床にキスするようにうつ伏せになる。