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エピローグ【凛の話2】

私が、守らなくちゃ…

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拓夢が、いなくなった。私は、蓮見君を警察につき出せなかった。龍ちゃんと拓夢を守りたかった。それと、龍ちゃんにここにいるのをバレる気がした。

拓夢が戻ってきて、私は綺麗にして欲しいと懇願した。私のせいで、拓夢の人生がどうにかなったらと思うと不安だった。

不倫は、致命的。これから、デビューする拓夢にとっては、絶対に出てはいけないスキャンダルだった。

「凛、大丈夫?」

「もう、大丈夫」

「それなら、いいけど」

「拓夢のお陰で、大丈夫だよ」

「シャワー浴びようか?」

「うん!あっ、晩御飯の材料しまわなくちゃ」

「卵は、なくなっちゃったから、明日買ってこようか?」

「大丈夫!私が、明日行くから」

拓夢は、私の頭を撫でる。

「蓮見が、また来るかもしれないだろ?」

「大丈夫だよ!来ないよ」

「本当に?」

「本当に…」

何となくだけど、蓮見君は、もう来ない気がしていた。

「じゃあ、お風呂沸かしてくるよ」

「拓夢」

「何?」

「理沙ちゃんが、もうすぐ来るから…」

「わかった!理沙ちゃんには、何も言わないから…。大丈夫だから」

そう言って、拓夢は笑ってから部屋を出て行った。

ごめんね、拓夢。

私は、拓夢に話せなかった。蓮見君に言われた事を…。何も、言えなかった。

私は、服を整えて立ち上がる。「龍ちゃん」そう呟いて泣いていた。

龍ちゃんと結婚する私に、蓮見君は何度も言った「あいつを殺していい?」その度に、拒めなくて受け入れるしかなかった。

どうして、また私の人生に現れるの…。引きちぎられたボタンを広いながら泣いていた。

「凛、お風呂沸かしてきたよ」

拓夢は、そう言ってフワリと私を抱き締めてくれる。

「大丈夫、大丈夫。俺が何とかするから」

「ごめんね。私、警察に…」

「言いたくない理由があるんだろ?」

私は、その言葉に頷いた。

「それなら、仕方ないよな」

拓夢は、そう言って笑ってくれる。

「ごめんね。いつか、必ず話すから…」

「いいって!気にしないで」

拓夢は、そう言って頭を優しく撫でてくれる。

「あっ!服だな!俺のでいいかな?」

「あっ、うん」

拓夢は、私にTシャツと短いズボンを渡してくれる。

「これでいい?」

「うん。お風呂から入ったら着るね」

「うん」

私は、ポケットにボタンを入れて歩きだした。
玄関の靴は、綺麗に直されていた。私は、鞄をとってから玄関に行ってビニール袋を取って持って行く。キッチンの椅子や机も拓夢が整えてくれていた。


どうして、蓮見君が私と拓夢の事を知っていたのだろう?

だって、あの日、蓮見君の娘が見せたのは、凛君との写真だった。

なのに、何故?

拓夢の事を知っていたの?

誰に、雇われたの?

私は、冷蔵庫に食材をしまった。

【お風呂が沸きました】

その音が、響き渡っていた。

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