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エピローグ【拓夢の話3】

少しだけ、休みたい…

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『ハァ、ハァ、ハァ』

お互いの息が重なり合う。

「ちょっと、休みたい」

「うん、水だけ持ってくる」

「ありがとう」

俺は、立ち上がって水を取りに行く。

「飲める?」

「うん」

凛は、起き上がって水を飲んだ。

「拓夢は、若いからいいけど…。私は、さすがに無理だよ」

「休みな」

俺は、凛の髪を優しく撫でる。

「ごめんね」

「いいんだよ。お休み」

俺もさすがに疲れた。
凛は、ゆっくり目を閉じる。
俺は、凛が眠るまで髪を撫で続けていた。

俺は、立ち上がった。ソファーに座って、凛の広げてるパンツをのける。

皆月龍次郎さんか…。会ってみたいな…。
凛をここまで離さない存在。
凄いよな…。

こんだけ、俺としてても凛は龍ちゃんがいいんだもんな。

ちょっと悲しいな。

俺は、立ち上がって凛の隣に横になる。俺も、少しだけ眠ろうかな。

「龍ちゃん……」

凛は、そう言って俺を抱き締めてくる。

愛しそうにしがみついて…。

「凛、大丈夫だよ!俺が何とかするから…」

俺は、凛の髪を優しく撫でる。

体を重ねて、凛の好きな所がわかって、頭(ここ)を真っ白に出来た所で…。
俺は、凛を旦那さんから奪う事は出来ない。
そんなのわかってる。

だって…。

だって…。

だって…。

俺を抱き締める時と違うって知ってた?

「龍ちゃん」

凛は、ふわりと俺を抱き締めてる。

「龍ちゃんと別れないでいいようにしてやるからな」

俺は、凛の腕を撫でながらそう言った。

凛は、さらに俺にしがみつく。

「凛、愛してるよ」

俺は、目を閉じる。
龍ちゃんだって思われていたって構わない。

今、凛に抱き締められてるのは、俺だから…。





目を開けると、凛が起きていた。

「ごめん、寝てた」

「大丈夫だよ」

「何時?」

「うーんと、五時半」

「そろそろ帰らなきゃハンバーグ食べれないな」

俺は、隣にいる凛を抱き締めて言った。

「そうだね」

「凛」

「なーに?」

旦那さんの事って、言いかけてやめる。

「何もない、呼んだだけ」

「何それー」

ニコニコ凛が笑ってくれる。

もう、それだけで何もいらない。

俺は、スマホを見つめる。

【了解!明日は、八時に拓夢んちのある駅で】

まっつんから、メッセージが来ていた。

【了解】

俺は、返事を返した。

「メッセージ終わらすの凛は、どうしてる?」

「私は、スタンプかなー。拓夢は?」

「俺は、結構ラリーしちゃうんだよな!で、途中で寝ちゃったり。結局、また朝に返さなきゃならなくなっちゃったりな」

「忘れちゃったりする時もあるよね!」

「あるある!何か見てるついでに気づいて!返事してないじゃんとかな」

「わかる」

何でもない他愛ない話を重ねたい。
そしたら、友達みたいになれる気がするんだ。


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