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エピローグ【凛の話5】

電話に出た人は…

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「もしもし」

私の声に、彼女はおかしそうに笑った。

『あー。やっと掛かってきたか』

「あの、何でしょうか?」

『あのさー。今日会えませんか?』

「えっ…」

『皆月凛さんにお話したい事があるんです。無理なら、拓夢が終わるかもね』

「会います。どこに行けば?」

『あの公園にしましょうか!11時に』

「わかりました」

プー、プー

電話が切れて、私はすぐに理沙ちゃんに連絡する。

プルルルー
プルルルー

『はい』

「理沙ちゃん」

涙がボロボロ流れてくる。

『どうしたの?凛ちゃん』

「美沙さんから、呼び出されたの」

『えっ?何時?』

「11時にあの公園」

『理沙も一緒に行くから』

「本当に?」

『うん!今から用意するから、10時に駅でいい?』

「うん」

『じゃあ、後でね』

「うん」

プー、プー。

理沙ちゃんが来てくれるってわかってホッとしていた。私は、急いで用意をする。美沙さんは、拓夢と私に関する何かを持っている気がしてならなかった。
用意が終わった頃には、時刻は9時40分になっていた。

「急がなきゃ!」
私は、ショルダーバッグを下げて家を出る。
秋の空は天気が変わりやすいというけど、今日は雨は降らないと天気予報が言っていた。鍵を閉めて、駅へと急いだ。

「凛ちゃん」

駅に着くと理沙ちゃんが手を振ってくれた。

「おはよう」

「おはよう!はい」

そう言って渡されたのは、アンジェロのパンだった。

「ありがとう」

「ううん!食べてから行こうよ」

「うん」

私と理沙ちゃんは、改札を抜けてホームに降りる。人が少ないベンチを見つけて座る。

「はい、手拭くの」

「ありがとう」

アルコール消毒のウェットティッシュを渡されて、手を拭いた。

「昨日の今日で、あの場所つかえるのかな?」

理沙ちゃんは、そう言いながらパンを取り出した。「いただきます」二人で笑い合って理沙ちゃんが買ってくれたクリームパンを食べる。私は、昨日の今日で、あの場所に行きたくはなかった。

「警察には?」

「まだ、連絡はないから…」

「連絡来てから行くの?」

「そう言われた」

「そっか…」

「ごめんね。拓夢に内緒にして欲しいなんて言っちゃって」

理沙ちゃんは、首を横に振った。

「今日のも内緒でしょ?」

その言葉に私は頷いた。

「じゃあ、優太にも話さないから…」

「ごめんね!理沙ちゃん」

「いいの!凛ちゃんは、何も気にしなくて…」

そう言って、笑ってくれる。

『ごちそうさまでした』

アンジェロのクリームパンを食べただけで、私は、ホッとしていた。

「これ、飲むでしょ?」

「甘そうだね」

「意外に甘くないよ」

そう言って、理沙ちゃんはカフェオレを差し出してくれる。

「次、来たら乗ろう」

「そうだね」

私達は、電車が来るまでの間他愛ないお喋りを繰り返していた。

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