567 / 646
エピローグ~月と星の交わる場所へ~【凛と拓夢の話2】
一緒にいれる時間で…【拓夢】
しおりを挟む
俺は、凛の事を抱き締めていた。
「拓夢。私…」
「今までよく頑張ってきたね」
俺は、凛の頭を優しく撫でた。
「頑張ってない。何も頑張ってない」
「頑張ったんだよ。凛は、自分でも気づかないぐらい沢山頑張ってきたんだよ」
俺は、凛から離れた。
「凛、俺ね。今回、本気で龍次郎さんには敵わないって思ったんだよ!龍次郎さんは、凛を本当に愛してるよ。だけど、今の凛には届かないんだよな」
俺は、凛の涙を優しく拭って笑って見せた。
今の凛の心は、ザルみたいなんだと思う。いくら愛を注いでも流れていってるのがわかる。
「俺と過ごす時間でかわれるといいんだけどな」
俺は、凛の髪を優しく撫でる。
「無理だったら、ごめんね」
「謝る必要なんてないんだよ。凛は、わがままいっぱい言っておけばいいんだよ」
凛は、俺の言葉に泣いていた。
「部屋着貸してあげるから!持ってくるよ」
「服、あるの?」
「あるよ!まだ、全然引っ越し出来てないから…。ちょっと待ってて」
俺は、寝室のクローゼットから七分袖のシャツとズボンを取って持ってきた。
「これなら、しんどくないかな?部屋着に俺が使ってたやつなんだけど…」
「ありがとう」
そう言って、凛は何も考えないで着替えようとする。
「ちょ、ちょっと待って!リビングにいるから」
「どうして?」
「どうしてって、ほら、あれだよ。わかるだろ?」
「それでもいてよ」
俺は、凛に見つめられて「わかった」って言ってしまった。
「あっ、でも、こっちに向いてるから!着替えて」
俺は、扉を向いて立っていた。凛が服を着替えるのを待つ。
「拓夢、あのね」
「うん」
パサッって音がして、凛が着替えるのがわかる。
「今の私を作ったのは、最初の恋だったんだよね」
「そうだな」
俺も、凛の気持ちが痛い程わかる。
「何も持ってなくても愛してるって言ってもらえてたら違ったのかな?」
「それは、蓮見にって事?」
凛は、黙っていた。
「凛…」
振り返った俺の目に凛の姿がうつる。
「ごめん。まだ、着替えてなかったのに、ごめん」
「ううん。あのね」
凛は、そう言って服を着替えているようだった。
「うん」
「私、初めてを好きな人に捧げてたら、こんな人間じゃなかったのかもしれないね」
凛は、そう言って俺の手を握りしめてくる。
「それは、俺も同じだから…。わかるよ」
俺は、凛の方を見た。凛は、もう服をちゃんと着ていた。
「タイムマシーンがあるわけじゃないから、やり直す事なんて出来ないのはわかってる。ほら、時間は前にしか進まないでしょ?」
無理して笑う凛の頬に俺は、手を当てる。
「初めてをいい加減な気持ちで手放した自分を許せてないんだな」
俺には、凛の気持ちがわかる。
「そんな事ないよ」
凛は、そう言って笑った。一度ついた傷を拭う事は、容易くはない。それでも、今、乗り越えないと凛は未来永劫、同じ場所をループし続けるのがわかる。
「拓夢。私…」
「今までよく頑張ってきたね」
俺は、凛の頭を優しく撫でた。
「頑張ってない。何も頑張ってない」
「頑張ったんだよ。凛は、自分でも気づかないぐらい沢山頑張ってきたんだよ」
俺は、凛から離れた。
「凛、俺ね。今回、本気で龍次郎さんには敵わないって思ったんだよ!龍次郎さんは、凛を本当に愛してるよ。だけど、今の凛には届かないんだよな」
俺は、凛の涙を優しく拭って笑って見せた。
今の凛の心は、ザルみたいなんだと思う。いくら愛を注いでも流れていってるのがわかる。
「俺と過ごす時間でかわれるといいんだけどな」
俺は、凛の髪を優しく撫でる。
「無理だったら、ごめんね」
「謝る必要なんてないんだよ。凛は、わがままいっぱい言っておけばいいんだよ」
凛は、俺の言葉に泣いていた。
「部屋着貸してあげるから!持ってくるよ」
「服、あるの?」
「あるよ!まだ、全然引っ越し出来てないから…。ちょっと待ってて」
俺は、寝室のクローゼットから七分袖のシャツとズボンを取って持ってきた。
「これなら、しんどくないかな?部屋着に俺が使ってたやつなんだけど…」
「ありがとう」
そう言って、凛は何も考えないで着替えようとする。
「ちょ、ちょっと待って!リビングにいるから」
「どうして?」
「どうしてって、ほら、あれだよ。わかるだろ?」
「それでもいてよ」
俺は、凛に見つめられて「わかった」って言ってしまった。
「あっ、でも、こっちに向いてるから!着替えて」
俺は、扉を向いて立っていた。凛が服を着替えるのを待つ。
「拓夢、あのね」
「うん」
パサッって音がして、凛が着替えるのがわかる。
「今の私を作ったのは、最初の恋だったんだよね」
「そうだな」
俺も、凛の気持ちが痛い程わかる。
「何も持ってなくても愛してるって言ってもらえてたら違ったのかな?」
「それは、蓮見にって事?」
凛は、黙っていた。
「凛…」
振り返った俺の目に凛の姿がうつる。
「ごめん。まだ、着替えてなかったのに、ごめん」
「ううん。あのね」
凛は、そう言って服を着替えているようだった。
「うん」
「私、初めてを好きな人に捧げてたら、こんな人間じゃなかったのかもしれないね」
凛は、そう言って俺の手を握りしめてくる。
「それは、俺も同じだから…。わかるよ」
俺は、凛の方を見た。凛は、もう服をちゃんと着ていた。
「タイムマシーンがあるわけじゃないから、やり直す事なんて出来ないのはわかってる。ほら、時間は前にしか進まないでしょ?」
無理して笑う凛の頬に俺は、手を当てる。
「初めてをいい加減な気持ちで手放した自分を許せてないんだな」
俺には、凛の気持ちがわかる。
「そんな事ないよ」
凛は、そう言って笑った。一度ついた傷を拭う事は、容易くはない。それでも、今、乗り越えないと凛は未来永劫、同じ場所をループし続けるのがわかる。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する
花里 美佐
恋愛
冷淡財閥御曹司VS失業中の華道家
結婚に興味のない財閥御曹司は見合いを断り続けてきた。ある日、祖母の師匠である華道家の孫娘を紹介された。面と向かって彼の失礼な態度を指摘した彼女に興味を抱いた彼は、自分の財閥で花を活ける仕事を紹介する。
愛を知った財閥御曹司は彼女のために冷淡さをかなぐり捨て、甘く変貌していく。
【完結】指先が触れる距離
山田森湖
恋愛
オフィスの隣の席に座る彼女、田中美咲。
必要最低限の会話しか交わさない同僚――そのはずなのに、いつしか彼女の小さな仕草や変化に心を奪われていく。
「おはようございます」の一言、資料を受け渡すときの指先の触れ合い、ふと香るシャンプーの匂い……。
手を伸ばせば届く距離なのに、簡単には踏み込めない関係。
近いようで遠い「隣の席」から始まる、ささやかで切ないオフィスラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
幼馴染の許嫁
山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる