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新しい未来へ~互いを救ってくれた愛と共に…。~【凛と拓夢の話3】

大事にしなさい【拓夢】

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「拓夢」

母さんは、俺を呼んだ。

「何?」

「拓夢が大切にしたいなら、大事にしなさいよ!その気持ち……」

「母さん」

母さんは、そう言いながら俺を見つめる。

「拓夢、きっと、その気持ちは二度と感じないかもしれないわよ」

「そんなわけないよ」

「あるの!」

そう言って、母さんは真剣な目で俺を見つめる。

「人ってね。本気で人を愛する事って意外と少ないものよ。特に、恋愛に時間をかけれた学生時代とは違ってね。大人になってから、誰かを自分の世界の中心に出来る事って少ないのよ」

「母さん……」

「だから、あんたがあの人に感じた気持ちはきっと……。他の誰かと恋をしても辿り着けないものよ」

「そうなのかな」

「そうよ。そういうもんよ!」

母さんは、そう言いながら俺の頭を撫でてくる。

「母さんね、今まで拓夢を見てきたからわかる。拓夢は、あの人に心底惚れてる。その思いは隠し通せないぐらい本物。あの人がいない世界は生きたくないぐらいにね」

俺は、母さんから目を反らした。

「撫でるのやめろよ」

「フフフ。図星だね」

そう言って母さんは、笑った。

「いつか、好きな人は出来るわよ!あのね、結婚するなら大好きな人より好きぐらいな人にしときなさい」

「何でだよ」

俺の言葉に母さんは、フフフと笑ってこう言った。

「大好き過ぎたら疲れちゃうから。心も体も疲れちゃう……。だから、一緒に生きてくのが窮屈でしんどくなっちゃうものよ」

そう言って、母さんはニコニコと微笑んだ。

「父さんは、好きぐらいだったの?」

「そうねーー。好きぐらいだったわね!この人といたら、毎日苦しくなくて笑っていられそう!それが、結婚を決めた理由よ」

そう言って、母さんはニコニコ笑っていた。

「私もね。拓夢みたいに本気で人を愛したのよ。父さんに出会う前にね。心も体もボロボロになっちゃうぐらいねーー。でもね、あれってすっごくエネルギー使うじゃない。あれを毎日、毎日味わってみなさいよ。1ヶ月(ひとつき)で私は死んでるわ」

そう言って母さんは、懐かしそうに微笑んでいる。

「あんなのは、もうこりごりよ。年を取ればなおさら……。激しかったら、心臓発作起きるわ」

「何だよ、それ」

俺は、母さんの言葉に笑ってしまった。

「それにね。やっぱり、生活にはしたくなかったんだと思う。家族にもなりたくなかったんだと思う」

「恋愛と結婚は、別ってやつ?」

「そうそう!たまに、同じ人いるけどね。そういう考えの母さんの友達は、皆、離婚しちゃった」

「へーー」

その言葉に俺は、頷いていた。

「星村さん、もうすぐ披露宴始まるって」

かねやんのお母さんが話しかけてきた。

「あら、やだ!帰らなきゃね」

「そうね」

「拓夢、優太君にまたご飯食べようって言っててね」

「わかった」

「じゃあね、拓夢」

「気をつけて」

母さんは、かねやんの母親に連れられてしゅんの母親の所に行った。

生活にはしたくなかったか……。

俺もあのまま凛といたら思ってたのかな?


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