俺の王子様-3lover-

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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待ってよ、俺の王子様

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同窓会の会場を後にして、桜並木を並んで歩く。

スーツ姿の俺の王子様だ。

「はぁ、スッキリした。」

そう言って心春君が笑ってる。

「お前な、やりすぎ」

秋帆君が、怒って言った。

「ごめんね、もう我慢できなくて」

「約束ちゃうやんけ、振り向かしてから言うんちゃうかったんか。」

「ごめんね。気持ち押さえられなかった」

そう言って、うつむいてる。

「ホンマに、二人は俺が好きなん?」

俺は、立ち止まって聞いてみた。

「ハハハ、欲しがるなー。」

秋帆君が、俺の頭をくしゃくしゃ撫でる。

「好きだよ。中学生の頃からずっと…。美月君が大好きだよ。」

そう言って柔らかく笑った。

「俺は、高二の夏に美月君と女の子が歩いてるんを見た。そっから、自分の気持ちが押さえられへんくなってからずっと好きや」

そう言って笑いかけた。

中学の時の、人気者二人が俺を好きだなんて信じられなかった。

「嫌悪感があるんやろ?俺等の告白なんて無視したらええよ」

その言葉に、胸がズキズキする。

痛みが、走るのはなぜだろう?

「そうそう。僕は、秋帆とゆるい付き合いを続けて行くから、会えてよかったよ。」

その言葉に、キリキリと胸に痛みが走るのはなんでだろう?

「じゃあな。また、どっかでいつか会おうや」

またっていつ?

20年も会っていなかったのに、会えるの?

「バイバイ」

そう言って、桜並木を二人は仲良く歩いてく。

「ほら、心春。口から血いでとるからじっとせい」

「痛いよ。」

「絆創膏だして、貼ったるから」

「消毒は?」

「いらんやろ」

「乱暴だな。」

二人が、消えて行っちゃう。

二人が、見えなくなっちゃう。

動けない、胸が痛くて動けない。

「ここの桜だけは、綺麗だね」

「俺も、標準語話すかな。」

「教えてあげようか?」

「そやな、悪(わる)ないかもな。」

いなくなっちゃう

いなくなっちゃう


ちゃんと気持ちを言ってくれたのに…。

俺は、何も伝えてないのに…。

「待って」めちゃくちゃ大声を出した。

止まってくれた。

「なんや?」秋帆君が、大きな声で叫んでくれた。

涙が目の前を覆って、滲んで全部が見えない。

「あのね、あのね」

「うん」

もう、見えないよ。

涙で前が、見えないよ。

でも、言わなくちゃ

言わなくちゃ


「待ってよ、俺の王子様」

ギュッて、後ろと前から抱き締められる感覚がした。

えっ?

「そんな顔したらもっと愛してまうやんか」

そう言われた。

「とめられなくなってしまうよ。」

そう言われた。

「ごめん、変な事言ってしもたな。心春、ハンカチ」

「うん、はい。涙拭いて」

「じゃあな。ちゃんと幸せになるんやで!もう、あの時を引きずらんでいいようになったやろ?」

「さっきの俺の為に、みんなにうちあけたん?」

そう言った俺の涙を心春君が手で拭ってくれた。

「あんな嫌な思いをずっとしてたのに、ちゃんと守れなくてごめんね。でも、美月君は幸せになっていいんだよ。これ以上苦しまなくたっていいんだよ。」

そう言って、優しく涙を拭ってくれる。

「心春、あんまりおったら俺等もあいつらみたいなるから」

「うん、わかってる。じゃあね」

「じゃあな」

そう言って、また歩きだしてしまった。

「何で?聞いてなかったん?」

俺は、もう一度二人に声をかけた。

「なに?」

心春君が、聞いてきた。

「さっき、言うたやん。待って、俺の王子様って、言うたやん。聞こえてなかったん?二回もいうの恥ずかしいやん。」

顔が熱くなる。

そう言った俺の顔を秋帆君が、覗いてきた。

「それって、どういう意味なん?」

って言われた。

「わからへん。わからへんけど、さっき助けられた時も会場から引っ張られた時も、王子様に連れていかれたお姫様に思った。そやから、二人は俺の王子様や。二人が、見えんなったら悲しなる。二人が、いなくなったら苦しなる。
今は、それしかわからへん」

俺は、涙が止まらなくなった。

また、溢(あふ)れてきた。
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