秘密のdiary【恋と嘘】

三愛 紫月 (さんあい しづき)

文字の大きさ
18 / 18

兄の日記

しおりを挟む
父にLimeをすると、すぐに返信がきた。

【一時間後に行きます】とはいってきた。

僕は、兄ちゃんの日記を開いた。

八(はち)と別れた後を知りたかったのだ。

【■■に、嘘をついた。優しさを利用して、体の関係を迫る。受け入れてくれた。】

誰?

二文字なら、美(めい)さんか?

僕は、次を見る。

【家に来た。また、優しさを利用する。嫌?って聞いたら嫌ちゃうよって笑う。ごめん、■■】

この日記を預ける前は、どうやら名前を書いていたらしい。

反対側に透かしても、何してもわからないように兄ちゃんはしていた。

【■■をラブホテルに連れてきた。ここは、八(はち)と来た場所だった。キスの記憶の上書きをするためか?もう、最近は諦めたのか?■■から、キスを仕掛けてくるようになった。俺は、■■となら何でもできる。】

あのラブホテルの事だとわかった。

【■■に、好きな人が出来たと言われた。やめたいん?と聞いたら、まだ付き合ってないからと言われた。だったらと、家で初めて■をさせる。■■は、優しい。嫌がった顔を見せなかった。また、利用した。】

どこの家とかは、バレるからかいていなかった。

【■■が、好きな子と楽しそうに話していた。ムカついた。イライラする。俺のなのに…。家で、また■をさせた。今度は、もっと丁寧にさせた。俺も■をした。しなくていいと言うのがムカついた。何度も何度も苛めてやった。俺しか、見れないようにしてやる】

何をさせたのか、誰なのか、まったく理解できなくて頭を掻いた。

【■■への気持ちが、体への執着心だと気づいた。それでも、好きな人に楽しそうに笑ってる■■が許せなかった。俺のだ。】

好きが曖昧だったんだな。兄ちゃんも…。

【■■が、好きな子とまた楽しそうに話していた。彼女は、■■の髪に触(ふ)れた。苛立つ。帰り道、駅のトイレに無理やり引っ張る。嫌や、こんなとこ。そう言われたけど、止められなかった。■■は、涙目で俺を見ていた。謝れなかった。】

兄ちゃんの執着心は、暴走していた。あの、爽やかに過ごしている裏でこんな風な気持ちを抱えていたとは知らなかった。

【■■の好きな人が■■の肩にわざとらしく頭をおいた。体調が悪いと言った。イライラした。もう、外はやめるってしないって約束したのに…。裏校舎のトイレは、普段使われてないのを知っていた。そこでした。酷いやん。こんな所で。ボロボロ泣いた。ごめん、■■やめよかって言ったら、ええよって笑った。優しさに壊してしまいたくなる。】

この人は、誰なんだろうか?

兄ちゃんに、凄く優しくしてくれたのだ。

八(はち)を失った兄ちゃんに寄り添っていたのだ。

ピンポーン

インターホンの音に、僕は、日記を閉じた。

キャリーバッグを持って、鍵を閉めた。

父と一緒に実家に帰った。

「また、荷物運ぶん手伝って」

「ええよ」

父に告げて、部屋に荷物を置いた。

母は、出掛けていた。

「僕、ちょっと出掛けるから」

「はいはい」

僕は、実家を出た。

電車に乗って、映画館近くの駅前にきた。

「九(きゅう)」

「八(はち)」

すでに、駅前で待ってくれていた。

「ほんなら、行こう」

「うん」

僕は、八(はち)の手を握りしめた。

兄ちゃんの日記を僕は、まだまだ読みたかった。

「九(きゅう)、何見るん?」

「何やったかな」

兄ちゃんが、離した手を僕はしっかり繋いだ。

あの頃の、兄ちゃんが何を想い考えていたかを僕は知りたかった。

病気の兄ちゃんを、誰かが支えてくれた?

あの日記みたいに、黒塗りにされた誰かが…。

僕は、兄ちゃんの事をもっと知りたかった。

何でも出来る完璧な兄の、剥き出しの想いに触(ふ)れられた事が、嬉しかった。

「九(きゅう)、好きやで」

八(はち)の言葉にどこからかやってきた桜の花びらが、肩にとまった。

僕は、その花びらを掴みながら兄を思っていた。

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...