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jewelを説得【巽】

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昨日、六花と話せた。それだけで、俺は幸せだった。とりあえず、今日jewelメンバー説得するかな!

「おはようございます」

マネージャーが、迎えに来てくれていた。

「おはようございます」

「おっはよ」

「真琴、おはよう」

「今日は、巽と一緒だよって言われたから」

「うん」

「もしかして、佐浜さんの事話すのか?」

真琴は、すぐに何でも気づいてくれる。

「うん」

「和馬が、ヤバいかもよ」

「こないだの事もあるしな」

あれから、何も触れずにいた。仕事の話以外せずに過ごしてた。

「来月のシングルのジャケ写撮りだから!喧嘩しても味になるんじゃない?」

「そうかな?」

俺は、首を傾げながら真琴を見つめていた。

車は、皆がいるスタジオに停まった。

俺と真琴は、車から降りて歩きだした。

「巽、緊張してる?」

「何となくだけどな」

「怒るかな?」

「和馬が、怒ると思うんだ」

真琴と話しながら、俺達は楽屋にやってきた。

「おはよう」

「おはよう」

俺は、深く深呼吸して話し出す。

「あのさ、みんなに話があるんだ!」

「何だよ」

「佐浜さんを正式にjewelの歌詞を書く人にしたいと思ってるんだ」

「はあ?」

和馬は、俺の言葉にもの凄い剣幕で怒っていた。俺は、和馬に睨み付けられる。

「まぁ、まぁ!怒んなって」

愛助は、和馬の肩を叩いた。

「巽!ふざけんなよ。今、jewelにとって大事な時期だってわかってるよな?」

「わかってるよ」

「だったら、あんな人妻と遊んでる場合じゃない事ぐらいわかれよ!それとも体で払ってもらったか?」

俺は、和馬の言葉に和真の胸ぐらを掴んでいた。

「ふざけんな!佐浜さんは、そんな人間じゃない。佐浜さんは、色んな事を抱えながら生きてるんだ。そんな肉体関係なんて…。そんな事してない」

「じゃあ、これは何だよ」

そう言って、和馬は俺の左手首を掴んだ。

「このバングル。そのおばさんと同じじゃないのか?」

その言葉に、俺は何も言い返せなかった。

「ほら、みろ!そんなにあの女とするのがよかったか?」

「ふざけんな」

ガンと壁に和馬を押し当てた。

「体の関係なくて、男女の友情なんかあるわけねーだろ」

和馬の言葉に怒りがこみ上げてくる。俺は、和馬の胸ぐらを掴みあげる。

「そんなのなくたって、佐浜さんと俺は…。佐浜さんと俺は」

口に出したいのに、うまく言葉に出来なかった。佐浜さんを傷つけられて苦しかった。

「巽君、やめなさい」

マネージャーが、俺と和馬を引き離した。

「昔から、巽はそうだよな!都合悪くなるとシャッター閉じるんだよ。入ってくんなって顔して!だったら、ちゃんと言えよ!俺が納得するような言葉を話してみろよ」

和馬は、そう言って俺を睨み付ける。

「お前がちゃんとあの女との関係話した上でやりたいって言うなら!俺だって少しは認めてやるよ!でも、その前に体の関係がないって証明しろよ」

俺は、何も言えずに俯いた。これ以上、佐浜さんと俺の関係を傷つけられたくなかった。

「もう、終わりだよ。撮影行くよ」

マネージャーにそう言われて、俺達は用意をした。メイクもしてもらって、ジャケット撮影をした。
喧嘩してるのがいい味になったかは、わからないけれど…。いつの間にか、終わっていた。

「お疲れ様でした」

そう言われて、今日が終わった。

「大丈夫?巽」

「うん、大丈夫」

真琴の言葉に頷いて笑った。もう、今日は疲れてしまった。六花を認めてもらいたかっただけなのに…。和馬に変な勘繰りを入れられただけだった。

「巽君、送ろうか?」

「いえ、電車にします」

「それなら、タクシーにしてくれるかな?」

俺は、マネージャーさんからタクシーチケットを渡された。

「わかりました」

「明日は個人の仕事があるからね」

「わかってます」

「じゃあ、気をつけて帰って」

「はい!失礼します」

俺は、マネージャーに頭を下げて歩きだした。俺は、もう少しうまく説得出来る気がしていた。
    
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