不思議な桜が繋いだ縁【仮】

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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三日月宝珠への怨み

師匠のノート

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五木結斗
(徳丸万理のお腹の子供、性別不明、殺害され死亡)


母親 澄川真理亜(現世、男)
(徳丸万理女性 殺害され死亡)


父親 三日月宝珠みかづきほうじゅ
(三日月宝亀みかづきほうずき)
前世、現世共に黒き爪の能力者。

私、三日月万珠みかづきまんじゅ(三日月兆珠みかづきちょうじゅ)
前世、現世共に宝珠の叔父。

千川二条せんかわにじょう
千川一条せんかわいちじょう
前世、現世共に黒き痣の能力者。

三日月兆珠は、徳丸万理と赤子をあの方に頼み殺害させた。

そして、黒き爪の能力者を産ませぬようにあの方に頼み込む。

千川一条を自害させるようにあの方に依頼する。

黒き能力者は、一人だけでいい。

.
.
.
.
私達は、師匠のノートを見ながら首を傾げる。

「師匠の日記が、あります」 

糸埜が、そう言ってそれを見せる。

真理亜が、朗読した。

『痣のある二条を自害に追いやる。今、身体に五体の幽体がいるという。消せるけれど、私はしない。二条と五木結斗の魂を封じ込める器をあの方が見つけてきた。どうやら、最強の能力者ができるという。魂を閉じ込める檻に、二条の骨がいるという。』

次のページを捲る。

『三日月宝珠の抹殺をあの方が強くお望みになられた。私も、死期が近い。日を増す事に宝珠への怒りがこみ上げる。あの方は、それを喜んでくれている。器の名前は、もう聞いた。糸埜は、私の抹消に失敗する。二条だけが、抹消される。5年後、あの方が二条を再構築する。私は、器を虜にしなければならぬ』

次のページを捲る。

『あの方が、望んだ力を作らなければ三日月家みかづきけは崩壊する。宝珠の代で終わらせてなるものか。昔から、私は、宝珠が大嫌いだ。それも、あの方も同じだ。やっと、やっとだ。大勢の魂と引き換えに、やっと出来るのだ。ただ、宝珠が愛しいとほざく魂の抹消をあの方が望まれている。私も同意見だ。何が、愛しいだ。そんな幽体などありはしないのだ。』

真理亜が、次を捲る手を私は、止めた。

『どうしたの?』

「もう、これ以上師匠を嫌いになりたくない」

「わかりました」

糸埜は、ノートを鞄にいれた。

「失礼ですが、宝珠」

「何でしょう?」

「こんな傷だらけな器で、ビジョンを他人に見せるべきではない。師匠に乗っ取られますよ」

「五木結斗のビジョンが、乗っ取られたのは私のせいですか、糸埜?」

「そうでしょうね。宝珠の器は傷だらけです。一刻も早くやめるべきです。」

「出来ません。まだ、残っているんです。今日も、宮部さんと約束があります。」

私の言葉に、糸埜が笑った。

「ならば、手伝いましょう。私の身体をとおしてビジョンを見せましょう。宝珠、よろしいですか?」

「それは、助かります。師匠に、これ以上、私の愛する幽体を傷つけられたくない。」

「それから…」

糸埜は、ポケットからナイフを取り出した。

ためらいなく、手首を切る。

「真理亜さん、穢れが巣食っていますよ。」

真理亜の口に、手首を押し当てる。

「糸埜」

糸埜の血を飲ませただけで、真理亜の身体はいっきに回復した。

『すごい』

「だてに、修行をしていません。そして私は、二条の血を飲んでいましたから」

そう言って、糸埜は笑った。

私は、手首を縛って上げた。

「ありがとう」

糸埜は、冷たそうな雰囲気を纒い、淡々と話すけれど、凄く優しい人だ。

私が、5つの時に悪しき霊から私を守った糸埜の前髪は白色に抜け落ちた。
しかし、糸埜の切れ長の目にピッタリ似合っている。

糸埜は、男でいるのは勿体ないほどの色気を持っている。

ちなみに、両方いけて、両方いるのだ。
   
歌乃うたのは、元気か?」

「あぁ、元気だよ」

強い能力者は、子孫に能力をいかさない為に子が産まれない。子種のないものだけが、強い能力者になれるのだという。

糸埜は、強くはないにしてもきちんと力のある能力者だ。

だから、糸埜には、家族がいる。

3人の子供もいる。

「宝珠さん、準備が整いました。」

「シャワーを浴びてくるべきだろ?宝珠」

「あぁ、そうだな。」

糸埜は、さっきの手首をほどき私に血を飲ませた。

「ゴクッ」

少し飲んだだけで、驚くほど元気になった。

「気持ち悪い家系だよな。宝珠」

糸埜は、そう言って笑った。

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