不思議な桜が繋いだ縁【仮】

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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宮瀬歩

ニコとカール

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俺は、ニコとカールと付き合うしかなくなってしまった。

驚く程、俺達三人は病んでいて…。

何だろう?

パズルのピースが、カチッてはまったみたいな気がした。

「ねぇー。三人でしよう」

「ラリってんのか?」

「ハハハ、いいじゃん」

ニコは、合法的な薬物で、頭が飛びまくっていた。

「いいね。ほら、歩。どっちにもいれてよ」

カールは、朝から酒を飲んでいてアルコール中毒だった。

「わかったよ」

俺だけが、まともだった気がする。

「すごいよ、歩。んんっ」

「歩、いいよ。好き」

日本語が、ご立派だな。

身体が交われば、心は満たされると思っていた。

でも、違うんだな。

身体だけが、ダルくなっていって、心はどんどんスカってく。

なんか、奇妙な感覚で。

「死にたい」

カチッ…

「スー、フー」

この頃には、本気で、死にたいって思った。

ラリった二人と過ごす俺。

カールは、アル中で仕事はほぼ出来なくて、ニコも同じようなものだった。

別にいいんだけどさ。

俺は、収入があったから二人を養っていける。

だけど、そんなんじゃないんだよ。

なんか、そんなんじゃないんだよ。

「歩、どうした?」

「大丈夫だけど、何してんの?」

「んんっ。んんっ。」

「好きだねー。カール」

カールもニコも日常的に俺を求めた。

身体が繋がれば安心するのは、わかるよ。

俺は、煙草を消した。

わかるから、求められたら応じた。

「んんっ。ハァー」

激しい程、いいらしい。

「愛してる、歩」

「僕も愛してるよ、歩」

「俺もだよ」

嘘つきになっていく気がした。

ずっと泥沼を泳いでいる、そんな感覚だった。

それでも、失くしたくなかった。

なのに、それは突然やってきた。

「カールが死んだ?」

「そうなんだよ。明日で、会社を辞めて治療に専念するって話だったんだけどね。」

俺は、片方の翼を失った。

「あのー。」

「えっ?」

まだ、神社の前にいたのを忘れていた。

金髪のボブヘアーが、さらさら揺れてる。

めっちゃ綺麗な人。

「少しだけ、すみません。」

ドクン……

「歩、会いたかったよ」

「カールなのか?」

「酔っぱらってね。寝ちゃってね。レイプされたんだよ。だからね、自分が許せなくてね。死んだんだ。ごめんね。歩を本当に愛してたんだ。歩は、違ったかも知れないけど…。僕は、満たされてたんだ。」

カールが、唇にキスをすると本当にされてるみたいで。

「ねぇー。抱いてよ。最後に抱いて」

「ここで?」

「今、ここで」

そう言われて、望みを叶えた。

「これで、僕はもう思い残す事はないよ。歩も、思い残しのない人生にしなよ。僕のものは、もっていくから」

カールは、俺の胸にキスをして消えた。

ドクン……

「大丈夫ですか?」

真っ白なハンカチを差し出された。

俺は、泣いているようだった。

「今のは、何ですか?」

「今のは、貴方の後ろにいる方がお願いされまして。日本語がお上手でよかったです。私は、日本専門なので」

「何の話ですか?」

ピリピリ

「あー。すみません。予約で急いでいたんです。」

「あのハンカチ」

「どうぞ、差し上げます」

そう言って、その人は去ってしまった。

カールへの暗い感情が消えている。

俺は、涙を拭っていた。

カールが、俺を本気で愛していたのに…。

俺は、カールを本気で愛してなかった。

ごめんな、カール。

俺が、もっとカールを見ていたら…。

「僕はね、ゴミ箱に捨てられたんだ。4歳の時にね。何でかな?ゲイってバレてたのかな?」

捨てられるのが、怖くて俺にしがみついたカール。

だから、あの告白の時も否定していないのにあんな事をしてきた。

「歩は、僕を捨てない?」

勿論だよ、当たり前だよ、何でも言えたのに、俺は「うん」しか言わなかった。

愛してるよって言われても、「俺もだよ」ってしか言わなくて…。

加奈枝を失くした時と同じで失ってから大切だったって気づいて、今更どうこう出来ないってわかって…。

また、俺は空っぽに落ちていくしかなくて…

涙の一滴が、ポタリと落ちた瞬間からペラペラと季節が一気に進んで行く。

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