不思議な桜が繋いだ縁【仮】

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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宝珠の考え

願いを知った

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私は、シャワーから上がった。

明日使う道具を作ってる場所にみんなが居た。

「宝珠(ほうじゅ)をどうにか引き留めれませんかね?」

「肉体は、こっちに置いていって変わりを人形がするわけやから…。魂を連れて帰ってこれたら成功よな。」

「こうやって、くくりつけてもどすとかは?」

「代わりの鍵になる人を探すとか…。」

私は、皆を見ていた。

『冴草健斗は、助けてきましたよ。宝珠』

「真理亜、ありがとう」

『皆が、宝珠を助けようと頑張っています。あのね、宝珠。私も協力します。』

「どういう意味だ?」

『宝珠が、あちらに行くなら私も行くつもりです。』

「そんな堅苦しい話し方をすると思ったら、やはりそんな事だと思ったよ。真理亜」

『私は、ずっと宝珠といます。例え、鍵になろうとも…。忘れないで下さい。』

「真理亜」

真理亜は、消えてしまった。

みんなの願いを知った。

『鬼か、悪魔とおもっとったか?』

「念珠(ねんじゅ)さん」

『みーんな、宝珠が大好きなんじゃよ』

「そうみたいですね」

『糸埜(いとの)は、二条を亡くしてから、ずっと宝珠に再会しようと動いていた。でもな、万珠(まんじゅ)が許さんかった。』

「そうでしたか…。」

『それでも、いつか、いつかって願ってた。宝珠が、三年前に自分の所に来た時は凄く喜んでたんじゃよ。また、宝珠と繋がれたと…。』

「それなのに、またさよならになる。」

『今度は、永久じゃな。糸埜は、諦めきれんのだよ。豊澄(とよす)がいなくなり、二条もいなくなり、宝珠を失いたくはないんじゃ。わかってやってくれんか?最後まで、好きなだけやらせてあげて欲しい。糸埜のやりたいようにやらせてやって欲しい。』

「わかりました。」

『それじゃあ、向こうでの準備があるから』

「はい」

念珠さんが、消えた。

糸埜のやりたいように、やってくれ。

私は、どんな事でもやるよ。

糸埜が望むなら、どんな事でもするよ。

私は、皆を見つめながら泣いた。

喜与恵(きよえ)の元に行く。

スッーと開けると喜与恵は、泣いていた。

「喜与恵、すまない。」

「宝珠、宝珠」

喜与恵は、私に抱きついてくる。

「ついてくるか?」

「えっ?」

「向こうについてくるか、喜与恵」

「真理亜さんも行くのですね、宝珠」

「わからないが、そのつもりだと思う。」

「ならば、私も行きます。扉が、閉まる前に、あの鈴の音が響き渡ったら、ここから出て宝珠の元に走って行きます。」

喜与恵は、さらに私を抱き締めてくる。

「待っているよ、喜与恵。共に、行こう。それが、喜与恵にとっての幸せになるのなら」

私も喜与恵を抱きしめる。

「なります。なりますよ。」

「なら、よかった。」

「もう、寝ましょう。宮部さんを迎えに行くまで、後三時間しかありませんよ」

「そうだね」

私は、喜与恵を引き寄せて抱き締める。

喜与恵は、私の胸に顔を埋める。

「昔、出会った夫婦の幽体を覚えていますか?」

「ああ、覚えてるよ」

「二人が、子供を望んだ気持ちが私にもわかります。でも、あの二人は生きていて欲しかった。子供がいなくとも素敵な夫婦でした。」

「いつか、宮部さんに話してもいいかな?」

「いいのでは、ないですか。妻の願いを叶えた夫ってタイトルになりますかね?」

「そうかも知れない。あんな願いの叶え方もあるなんて思わなかった。」

「縁がないって苦しみますね。もの凄く苦しみますね。」

「それを繋いであげるって言われたら、借金をしてでもそうして欲しくなるんだよね」

喜与恵は、私の顔を上目遣いで見る。

「酷い事を話す占い師がいるようですね。縁を繋いだと言われて、片思いの彼に振られて、自殺した高校生もいましたよ。彼女には、彼が全てだったのに…。」

「そうだったね。占い師は、難しいものだね」

「宝珠は、占い師でも優しすぎるから駄目なのですよ。」

「優しくないよ。喜与恵。喜与恵もう眠りたい。」

「可愛いですね、宝珠」

「おやすみ、喜与恵」

「おやすみ宝珠」

愛してると言うのは、最後に向こうに行く時にしよう。

向こうに行ったら、沢山愛し合おうね。

喜与恵…

疲れがいっきに出て、瞼が落ちた。


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