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一日をあなたに
行きましょうか
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私は、宮部さんが落ち着いたのを感じた。
「希海(のぞみ)の本心を知れてよかった。」
私は、宮部さんの涙を拭った。
「宝珠のお陰で、やっと息が出来るようになった。私は、ずっと苦しかった。この年齢になると皆、結婚して子供がいるのが当たり前だから…。そんな事にちっとも興味のない私はどうなるのって…。」
私は、宮部さんの頬を優しく撫でる。
「従姉妹に、人生はタイミングなのよ。って、いいと思った瞬間に手に入れなきゃ、誰かにとられるのよって!その前に走って行かなきゃって言われた。私は、駆け込み乗車のように走らないと間に合わないのなら、私には最初からいらないと思った。私にとって、その結婚(でんしゃ)はどうしても乗らなきゃいけないものではなかったし、その子供(えき)にはどうしても辿り着かないといけないわけじゃなかったから…。」
「そうですね。私も、電車はゆっくり乗っていたいです。」
「フフフ、同じですね。私も揺られて、揺られて辿り着いた先で降りたいです。従姉妹は、離婚して再婚してを3回繰り返しました。そして、子供は父親がバラバラです。今の旦那さんは優しいけれど、前の旦那さんとの子供にだけは優しくないそうです。それでも、結婚はいいのよ、子供はいいものよと私に説教がましく言うんです。」
「一人もいいものですよ」
私は、宮部さんに笑った。
「知ってますよ。私もずっと一人だから、病気しても自分でなんとかやってきたし、寂しいはなかったんです。むしろ、誰も家にいなくてよかったーって。熱が出て、ゴロゴロ床に転がりながら思ったんです。」
「それ、わかるよ。冷たい床にゴロゴロ転がって、熱を冷ます。」
『全裸で』
一緒に言った、言葉に二人で笑った。
「人がいたら、はしたない。みっともないって言われて、取り繕って生きるのよね」
「私も、幽体とベラベラお話も出来ない」
「緊張感が好きな人はいいけど、私は家では好きな格好でだらけていたい。」
「わかるよ。」
「それを、相手は許してくれない」
「そうだろうね」
「何でも許せて、何でも言い合って、いなくならない人間なんてそう簡単にいるわけがない。」
「そうだね」
宮部さんは、私の手を握りしめた。
「見えない部分があるから、見たいと思う。でも、全部見てしまったら、私に興味なんて残るのかしら。そしたら、家族になるというけれど子供がいなかったら家族になっているの?両親のように、家族だからとデリカシーのない言動をするようにならない?」
「そうですね。家族は、絶対的に裏切らない、いなくならない。そう思ってるから、きっと相手が家族になれば同じ事をするね。そしたら、その人は、いなくなるでしょうね。」
「だって、家族じゃないものね。伴侶であって、家族じゃないものね。家族っていいように言葉を作って縛りつけてるだけなのよね。家族って言葉を使って、どんな事を言ってもやっても許されると思ってる。実際によっぽどじゃない限り許されるわけだから…。」
「ですね」
宮部さんは、また泣いてしまった。
「私は、家族を作りたくも持ちたくもない。こんな事、わかってくれるのは宝珠しかいない。」
「私と暮らせば、お化けまみれだよ。キスも営みも、幽霊が見てるよ」
「嘘」
「嘘じゃない。本当だよ。」
私の言葉に、宮部さんは笑った。
よかった、笑ってくれて。
「もっともっと、この事を話したい気持ちはあるけど…。やめておく。だって、1日しかないのに勿体ないから」
「そうだね。」
「みんなに渡すものを選びに行こう」
「行きましょうか」
私は、車から降りた。
私は助手席を開けた、宮部さんが降りる。
私は、宮部さんの決めた決断をずっと応援する存在でありたい。
一人を選ぶとどうしてこんなにも世間は厳しい目を向けるのだろうか?
結婚しなければ、大人ではないという世の中が古いのではないか?
結婚したらしたで、子供がいなければ大人ではないという。
ならば、大人とはいったいなんなのだろうか?
私も宮部さんも、自分の行動に責任をもって生きてきた。
それが、大人でないならば私と宮部さんはいったいなんなのだろうか?
大人になれない呪縛に苦しめられて、歳だけとっていけという事なのだろうか?
一人でいると、性格に難アリ、親に難アリ、どこかしら難アリのわけあり物件にされてしまう。
私には、宮部さんはわけあり物件ではない。
私は、実際にわけあり物件だけれど。
「希海(のぞみ)の本心を知れてよかった。」
私は、宮部さんの涙を拭った。
「宝珠のお陰で、やっと息が出来るようになった。私は、ずっと苦しかった。この年齢になると皆、結婚して子供がいるのが当たり前だから…。そんな事にちっとも興味のない私はどうなるのって…。」
私は、宮部さんの頬を優しく撫でる。
「従姉妹に、人生はタイミングなのよ。って、いいと思った瞬間に手に入れなきゃ、誰かにとられるのよって!その前に走って行かなきゃって言われた。私は、駆け込み乗車のように走らないと間に合わないのなら、私には最初からいらないと思った。私にとって、その結婚(でんしゃ)はどうしても乗らなきゃいけないものではなかったし、その子供(えき)にはどうしても辿り着かないといけないわけじゃなかったから…。」
「そうですね。私も、電車はゆっくり乗っていたいです。」
「フフフ、同じですね。私も揺られて、揺られて辿り着いた先で降りたいです。従姉妹は、離婚して再婚してを3回繰り返しました。そして、子供は父親がバラバラです。今の旦那さんは優しいけれど、前の旦那さんとの子供にだけは優しくないそうです。それでも、結婚はいいのよ、子供はいいものよと私に説教がましく言うんです。」
「一人もいいものですよ」
私は、宮部さんに笑った。
「知ってますよ。私もずっと一人だから、病気しても自分でなんとかやってきたし、寂しいはなかったんです。むしろ、誰も家にいなくてよかったーって。熱が出て、ゴロゴロ床に転がりながら思ったんです。」
「それ、わかるよ。冷たい床にゴロゴロ転がって、熱を冷ます。」
『全裸で』
一緒に言った、言葉に二人で笑った。
「人がいたら、はしたない。みっともないって言われて、取り繕って生きるのよね」
「私も、幽体とベラベラお話も出来ない」
「緊張感が好きな人はいいけど、私は家では好きな格好でだらけていたい。」
「わかるよ。」
「それを、相手は許してくれない」
「そうだろうね」
「何でも許せて、何でも言い合って、いなくならない人間なんてそう簡単にいるわけがない。」
「そうだね」
宮部さんは、私の手を握りしめた。
「見えない部分があるから、見たいと思う。でも、全部見てしまったら、私に興味なんて残るのかしら。そしたら、家族になるというけれど子供がいなかったら家族になっているの?両親のように、家族だからとデリカシーのない言動をするようにならない?」
「そうですね。家族は、絶対的に裏切らない、いなくならない。そう思ってるから、きっと相手が家族になれば同じ事をするね。そしたら、その人は、いなくなるでしょうね。」
「だって、家族じゃないものね。伴侶であって、家族じゃないものね。家族っていいように言葉を作って縛りつけてるだけなのよね。家族って言葉を使って、どんな事を言ってもやっても許されると思ってる。実際によっぽどじゃない限り許されるわけだから…。」
「ですね」
宮部さんは、また泣いてしまった。
「私は、家族を作りたくも持ちたくもない。こんな事、わかってくれるのは宝珠しかいない。」
「私と暮らせば、お化けまみれだよ。キスも営みも、幽霊が見てるよ」
「嘘」
「嘘じゃない。本当だよ。」
私の言葉に、宮部さんは笑った。
よかった、笑ってくれて。
「もっともっと、この事を話したい気持ちはあるけど…。やめておく。だって、1日しかないのに勿体ないから」
「そうだね。」
「みんなに渡すものを選びに行こう」
「行きましょうか」
私は、車から降りた。
私は助手席を開けた、宮部さんが降りる。
私は、宮部さんの決めた決断をずっと応援する存在でありたい。
一人を選ぶとどうしてこんなにも世間は厳しい目を向けるのだろうか?
結婚しなければ、大人ではないという世の中が古いのではないか?
結婚したらしたで、子供がいなければ大人ではないという。
ならば、大人とはいったいなんなのだろうか?
私も宮部さんも、自分の行動に責任をもって生きてきた。
それが、大人でないならば私と宮部さんはいったいなんなのだろうか?
大人になれない呪縛に苦しめられて、歳だけとっていけという事なのだろうか?
一人でいると、性格に難アリ、親に難アリ、どこかしら難アリのわけあり物件にされてしまう。
私には、宮部さんはわけあり物件ではない。
私は、実際にわけあり物件だけれど。
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