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リゼの話
最後の晩餐
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俺は、案内人に連れられて食堂にやってきた。
〖リゼ、お疲れ様〗と書かれた紙がデカデカと貼ってある。さよならに似つかわしくないケーキやクラッカーやワインが並べられている。
「リゼ、最後に牛肉を食べれるぞ!リゼだけ」
「ケント様」
いつの間にか、隣にケント様が立っていた。
「クラッカー、鳴らさなきゃ!」
死神見習いの合図に、全員がクラッカーを持った。
「リゼ、お疲れ様」
ルカの声を合図に、パンパンと乾いた音が響き渡りヒラヒラとリボンが俺をめがけて飛んでくる。
『お疲れ様です』
皆が、ニコニコ笑ってくれる。最後の晩餐では、全くなくて笑える。まるで俺は、誕生日を祝われているようだ。
「じゃあ、ワインを回してください」
そう言われて、ワインが回ってきた。
「リゼから、乾杯の挨拶をお願いします」
そう言われて、俺は一歩前に出る。
「えー!この600年。俺は、本当に幸せでした。短い時間ですが、皆さんと最後の時間を過ごせる事に、乾杯」
『かんぱーい』
俺は、ワインを飲んだ。
「リゼ、牛肉を食べろ」
ケント様に言われて、牛肉を食べる。
「うまい」
「ローストビーフという食べ物だ」
「凄いですね」
「リゼは、きっと食べれていたよ!」
「そうかもしれないですね」
俺は、ケントさんに笑いかける。
「リゼ、もしも君が恋愛を経験した事がある人間だったら…。この選択はなかっただろうね」
「そうかもしれないですね」
「桜木杏奈は、死んでいたと思うよ」
「そうですね」
「それでも、リゼは鼓動が叩く理由を知りたかったんだろう?」
「はい」
「答えは、出たのか?」
「俺は、桜木杏奈を愛していた!だから、後悔はしていない。そう思っていたけど、やっぱり少しはします。ルカやローズやブタ!俺を慕ってくれた皆や仲間達、死神学校の先生…。今日集まった皆さんを見つめてると、やっぱり後悔はします」
ボロボロ泣き出した俺を、ケント様が引き寄せてくれる。
「リゼを殺したくない」
「ケント様…」
「君が今までどれだけ頑張ってやってきたかを知っている。たった一度だけで許されない事は、本当に悲しくて悔しい」
「でも、ケント様のお陰でお別れ会を出来ていますから!俺は、それだけで充分です」
「裁きの庭にいた、マリアとミッシェルとマーク!あの三人が決定を下すのだ」
「ルシア様とケント様は?」
「私とルシアの決定権は、弱いらしい。私とルシアは、優しすぎるのだとよく言われる。しかし、優しさがなく厳しさだけだと反発するものがいるからね!だから、私とルシアがいるんだよ」
ケント様は、そう言いながらワインを一口飲んで俺を見つめる。
〖リゼ、お疲れ様〗と書かれた紙がデカデカと貼ってある。さよならに似つかわしくないケーキやクラッカーやワインが並べられている。
「リゼ、最後に牛肉を食べれるぞ!リゼだけ」
「ケント様」
いつの間にか、隣にケント様が立っていた。
「クラッカー、鳴らさなきゃ!」
死神見習いの合図に、全員がクラッカーを持った。
「リゼ、お疲れ様」
ルカの声を合図に、パンパンと乾いた音が響き渡りヒラヒラとリボンが俺をめがけて飛んでくる。
『お疲れ様です』
皆が、ニコニコ笑ってくれる。最後の晩餐では、全くなくて笑える。まるで俺は、誕生日を祝われているようだ。
「じゃあ、ワインを回してください」
そう言われて、ワインが回ってきた。
「リゼから、乾杯の挨拶をお願いします」
そう言われて、俺は一歩前に出る。
「えー!この600年。俺は、本当に幸せでした。短い時間ですが、皆さんと最後の時間を過ごせる事に、乾杯」
『かんぱーい』
俺は、ワインを飲んだ。
「リゼ、牛肉を食べろ」
ケント様に言われて、牛肉を食べる。
「うまい」
「ローストビーフという食べ物だ」
「凄いですね」
「リゼは、きっと食べれていたよ!」
「そうかもしれないですね」
俺は、ケントさんに笑いかける。
「リゼ、もしも君が恋愛を経験した事がある人間だったら…。この選択はなかっただろうね」
「そうかもしれないですね」
「桜木杏奈は、死んでいたと思うよ」
「そうですね」
「それでも、リゼは鼓動が叩く理由を知りたかったんだろう?」
「はい」
「答えは、出たのか?」
「俺は、桜木杏奈を愛していた!だから、後悔はしていない。そう思っていたけど、やっぱり少しはします。ルカやローズやブタ!俺を慕ってくれた皆や仲間達、死神学校の先生…。今日集まった皆さんを見つめてると、やっぱり後悔はします」
ボロボロ泣き出した俺を、ケント様が引き寄せてくれる。
「リゼを殺したくない」
「ケント様…」
「君が今までどれだけ頑張ってやってきたかを知っている。たった一度だけで許されない事は、本当に悲しくて悔しい」
「でも、ケント様のお陰でお別れ会を出来ていますから!俺は、それだけで充分です」
「裁きの庭にいた、マリアとミッシェルとマーク!あの三人が決定を下すのだ」
「ルシア様とケント様は?」
「私とルシアの決定権は、弱いらしい。私とルシアは、優しすぎるのだとよく言われる。しかし、優しさがなく厳しさだけだと反発するものがいるからね!だから、私とルシアがいるんだよ」
ケント様は、そう言いながらワインを一口飲んで俺を見つめる。
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