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リゼの話

生きろ

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「してもいいぞ!最後なんだから」

「するわけねーだろ!」

「じゃあ、何で!俺は、顎を掴まれてる?」

「リゼの綺麗な顔を刻み付けとこうと思ってさ」

そう言ってルカは、ボロボロ泣き出した。

「馬鹿だな!ルカ」

「お前は、俺の人生の、全てだったんだよ!当たり前だろ?」

「そうだな!ルカ」

「お前とずっと生きてきた!」

ルカは、そう言うと俺の手を自分の胸に置いた。

「まさか?」

「聞こえるだろ?心音が」

「聞こえる」

「俺は、出会った時からお前に感じてた!この音」

「それって」

「バァーカ!恋や愛なわけねーだろ!だけどな、特別ってやつなのはわかってたよ!ずっと」

「ルカ」

「お前が、桜木杏柰に夢中なのも知っていた。お前の後をつけてたから…。二つの気持ちもわかってる!だけどな!リゼ。俺は、お前には生きていて欲しかった」

「ルカ」

「お前がいなくなるって思ったら、ここが痛んで苦しいんだよ!苦しくて悲しくて死にたくなる」

「ルカ」

「俺は、お前に母さんを重ねていたんだ。それを俺はわかってる」

俺は、ルカを抱き締めていた。

「リゼ、安心しろ!お前が死ぬなら、俺もすぐにそっちに逝くから」

「ルカ!生きろ!生きて、生きて、生き抜いて…。ゆっくり俺に会いにこい」

「リゼ」

ルカは、俺を強く強く抱き締めてくる。俺もそれに答えるように抱き締める。

「時間だ!」

その声がして、俺はルカから離れた。

「行こうか?ルカ」

「うん」

俺は、案内人とルカと皆の所に行く。

「リゼ、さようなら」

皆が俺に手を振る。

ルシア様とケント様が、隣にやってきた。

「全員、敬礼」

ルシア様の合図に皆が、俺に敬礼をする。

「最後は、拍手で送り出そう」

ケント様の言葉に拍手が鳴り響く。

「リゼ、今までお疲れ様でした」

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ

まるで、結婚式のように俺は皆から離れて案内人と歩きだした。

神様のしもべ達のラッパの音色が響き渡る気がした。
嫌、ノーチが鳴らさせていた。祝福の鐘の音と幸福のラッパ音が鳴り響く中!
俺は、食堂を後にした。

「今になって、震えていますか?」

案内人の言葉に、自分の歯の音と体の震えに気づいた。

「愛されているのを知れば知るほど、臆病になるのですよ」

「怖いんだな、俺」

「リゼは、愛されていたから怖いのでしょう」

そう言って案内人は、俺を見ずに続ける。

「死ぬのが怖いと思えるのは幸せな事ですよ!それだけ、リゼは愛されていた証だから!リゼの死神人生は、生きていた時よりも幸せでしたね」

裁きの庭の前についた。

コンコンー

「リゼだけ、入りなさい」

「はい」

「それでは、さようなら」

「ありがとう」

俺は、深々と頭を下げて裁きの庭の中に入る。
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