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ルカの話

忠告ー12日前ー

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「久しぶりだな!ルカ」

「モネさん、お久しぶりです」

「リゼは、一緒ではないのか?」

「えっ!ああ、最近は、先に帰宅しています」

カメムシの件で、疲れていた俺は適当に話を終らせるつもりだった。

「ルカ」

「はい」

「リゼが一人の人間に肩入れしてるって知っていたか?」

「そんなはずありません」

「俺の仲間が見たんだよ!真相を確かめるべきじゃないか?」

「どうしてですか?」

「一人に肩入れするとロクな事にはならない!いずれ、リゼは破滅する」

ドクン……………。

その言葉に、心臓が壊れそうな程に胸を叩いた。嫌、心臓なんてありやしないのに…。リゼを思うと感じるのだ。

「ご忠告いただきありがとうございます。確認してみます」

「その方がいい」

俺は、深々と頭を下げる。
モネさんがいなくなると、ビオラが現れた。

「ルカ、リゼの事好きなのね?」

「違う!その好きじゃない」

「わかってるわ!バディとしてでしょ?」

「そうだ」

「心配してる?人間なんかにって」

「ビオラ、聞いていたのか?」

「当たり前じゃない!だって、私はローズのバディなんだもの」

「そうだよな!大丈夫だとは思ってる」

「それなら、いいけど!」

「何とかするよ」

俺は、ビオラの肩を叩いた。

「わかったわ」

「じゃあ!」

何とかすると言いながら、どうすればいいのかがわからなかった。
俺は、中庭に出て煙草に火をつけた。

「部屋でも吸えるんじゃないのか?」

「ティナ」

「どうした?ルカ。顔色が悪いぞ」

俺は、ティナに打ち明けていた。

「そうか!リゼが人間にね」

煙草の煙が雲の方に上がっていくのを見つめていた。

「見間違いかもしれないし」

「そうだな」

「でも…」

「心配なのか?」

「うん」

「なら、モーリーさんに相談しな!」

「どうして?」

「面白いものを持っているよ」

ティナは、そう言って煙草を灰皿に押し付ける。俺も押し付けて立ち上がった。

「行こうか」

「うん」

俺は、ティナについていく。もしも、リゼが人間に肩入れしてるのならやめさせよう。俺は、600年リゼと一緒に居たからわかる、リゼは、俺より優しい死神だから…。俺は、ティナとモーリーさんの所にやってきた。

コンコンー

「はい」

「失礼します」

「どうぞ」

「あの、ルカが話したい事があるのですが…」

「そうですか!なら、ティナは下がりなさい」

「はい、失礼します」

ティナは、俺の顔を見つめていなくなった。

「ルカ、何の話でしょうか?」

「リゼの事です」

「どのような事ですか?」

「人間に肩入れしてると聞きました。それで…」

「自分の目で確かめたいのですね」

モーリーさんは、俺の目を見つめてから、そこに座りなさいと手を差し出した。
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