彩られる作品【仮】

三愛 紫月 (さんあい しづき)

文字の大きさ
83 / 136
待てを言われた僕達は…。

【待てを言われた僕達は…】⑩

しおりを挟む
凛音が目覚めると安藤はいなかった。

【好きにしてくれ。冷蔵庫にご飯あるから、温めて食べて。鍵は、いつか返しにきてくれたらいい】

そう書いたメモと鍵が置かれていた。

凛音は、スマホを開いた。

海斗からの連絡はなかった。

凛音は、海斗に電話をする。

コール音は、鳴り響くけれど電話にでない。

【解毒剤はあるには、あるけれど…。女性としなければならない。それ以外に方法はない。すまない。】

昨日、頭を下げられたのを思い出した。

【君といると海斗君は、三年以内に死ぬ。】

そうハッキリと言われたのだった。

海斗が生きてるなら、女性としたって構わない。

そう思ったのに…。

海斗の初めては、自分であって欲しかった。

嫌、自分の初めてを海斗にあげよう。

嫌、自分とすると海斗は死ぬのだ。

凛音は、海斗にメッセージを作っては消すを繰り返していた。

死んで欲しくない。

【男同士で、性行為をすると。その体液を感じとりウイルスはいっきに増殖します。5分以内に解毒剤と性行為しなければ死にます。ならば、いっその事三人でしてはいかがですか?】

卑猥な事を淡々と話したあの関口が、堪らなく憎たらしかった。

【耐えられますか?海斗君が、誰かの中で、果ててるのを見て。君は、耐えられますか?】

そう言われた問いかけに、凛音は答えられなかった。

海斗と同じような傷を凛音も持っていたのだ。

.
.
.
.
.

凛音、7歳ー

「ねー。凄いわ」

「お父さん?何見てるの?」

「あー。凛音、起きちゃったか?一緒に見るか?」

「何を?」

「綺麗な映像だよ。凛音が好きなやつ」

「戦隊のオンレンジャー?」

「そんな感じで、戦うやつ」

「見るーー」

当時、凛音はオンレンジャーにはまっていた。

父親は、母親の不倫を許せなかったんだと大人になったらわかった。

「じゃあ、行くよ」

「うん」

満面の笑みで笑った無垢な少年の凛音の前で、父親はそれを再生した。

「もっと、もっと…いいわ」

「聖子、気持ちいい?」

「うん…凄い。しょう、ぁあ」

凛音は、固まった。

隣の父親は、ニタニタと笑ってる。

「凛音、凄いだろ?母さんがね。悪党を倒してるんだよ」

どう見たってそんな風には見えなかった。

「父さんね、興奮するんだよ。怒りと絶望をね。100周ぐらい通りすぎたらね。興奮にかわったんだ。ほら、だから凛音も100回は見ないとな!」

母親は、画面の中で複数の男としていた。

「あの人よりいいわ」

「これ、お兄ちゃんの…」

家庭教師の正宗君がうつった。

「そうだよ。」

兄は、凛音より8つ上だった。

「正宗君は、激しいんだ。複数対戦が好きなんだ。」

「何?それ」

「凛音も、見るんだよ。ちゃんと、見るんだよ」

それから、7年間。凛音は、母親のそれを見せられた。

そして、父親はとんでもない事を凛音に言った。

「凛音、父さんとしよう。な?いいだろ?」

「はあ?ふざけんな。気色悪いんだよ」

「凛音、お願いだよ」

「金やるから、外でしろよ」

「嫌だよ!凛音が、いいんだよ。手だけでもいいから。ほら、凛音」

「やめろよ」

「母さんに似てるからいいんだよ。凛音が!わかるだろ?」

「やめろよ」

15歳の凛音は、父親のものを…
.
.
.
.
.

「はぁ、はぁ、はぁ。僕、汚(きたな)かった。海斗。ごめん。」

凛音は、泣きながら起き上がった。

一瞬、眠っていたようだった。

【不倫した恨みから、父さんは凛音にいったんだ!悪いのは、あの人だろ?相手してやれよ。手ぐらい減るもんじゃねーじゃん。】

兄に相談した凛音は、そう言われた。

【俺じゃ駄目なんだよ。あの人に似てねーから!てかさ、凛音。ゲイだろ?三井が凛音にコクられてどうしようって言ってたから!だったら、父さんの咥えてやれや!いっその事、父さんとし続けて童貞終わらせろ!な?凛音】

兄は、凛音が大嫌いだった。

世界の中心が、自分から凛音にうつった日に、兄は凛音を殺してやりたいぐらい嫌いになったと凛音が10歳の時に話したのだ。

凛音は、そんな兄や父をもっていながら、何故自分が男を好きなのか理解できなかった。

それは、今も凛音の中の謎でしかなかった。

「海斗…」

凛音は、海斗に繰り返しかける。

海斗といたら、幸せだった。

あの日、父親にそれをいれられそうになって凛音は家を飛び出した。

あれから、凛音は海斗といた。

一ヶ月に一度、母親から電話がくるだけになった。

本当は、怯えながら海斗のを触(さわ)っていた。

でも、終わった瞬間に、恐怖よりも愛しさが込み上げた自分に驚いた。だから、凛音は、海斗のそれを胃袋に流し込めたのだ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

なほ
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模るな子。新入社員として入った会社でるなを待ち受ける運命とは....。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...