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シークレット作品②
【温度】⑰
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一輝もまた、パサっと下半身にカッターをかけられたまま、丸まって泣いていた。
桜は、あれから何度も何度も一輝に繰り返した。
妊娠させる事など出来ない惨めな身体に、それを繰り返される意味がわからなかった。
涙で、目の前が滲んでいく。
桜の熱を感じた下半身の熱は、引かない。
一輝の体温とは、違うから…。
上半身と下半身が、まるで別の生き物だった。
縛られたくない…
もう、子供が出来ない事にも、桜にも…。
だけど、心が起き上がらないから身体が動かない。
力が入らなくて、涙がとまらなくて…。
花香に画面が切り替わる。
花香も、身体に力が入らずに泣いていた。
下半身の熱が、身体に広がるのが嫌で…。
花香は、下腹部をギュッと押さえた。
「赤ちゃん、欲しかった。私だって」
ポツリと口に出して泣いた。
用意をしなくちゃいけないのに、動けずにいた。
一方、泉ー
ガチャン…
「あー。最悪」
花香の為に、少しだけ寝てから片付けていた。
棚に置いていた、物が落ちた。
割れものがなくて、よかった。
夕方からのバイトだから、それまでに片付けないと…。
泉は、棚から落ちた物を拾った。
「花ちゃん、大丈夫かな?」
急に、不安になった。
泉は、首を横に振って片付ける。
大丈夫、大丈夫。花ちゃんは来てくれる。
一方、彪伍ー
パリン…
「あー、最悪だ」
マグカップを割ってしまった。
片付けして、掃除機を当てる。
「いっちゃん、大丈夫かな?」
彪伍も、一輝を心配していた。
片付けなきゃ、一輝が来るからと彪伍は片付けを続ける。
画面は、切り替わって一輝ー
「一輝、お昼ご飯出来たよ」
寝転がったまま動けない一輝の所に、桜が来た。
「昨日のトンカツ食べよう」
一輝は、桜に起こされる。
「一輝、どうしたの?」
桜は、一輝を抱き締める。
「一輝、どうしちゃったの?」
一輝は、ただ泣いていた。
昨日、皆で聞いた盗聴器の会話…
酷いことを言っていたのに、手放してくれない桜。
「お腹痛いの?一輝」
一輝は、首を横に振る。
「まだ、したいの?」
一輝は、首を横に振る。
「私は、したいよ。一輝」
まただ、流されていく。
一輝は、まだ出来る自分の身体が怖かった。
桜を愛してる、自分が大嫌いだった。
画面が切り替わって、花香ー
「花香、シチュー食べよう」
寝転がってる花香に孝輔は、声をかける。
「花香、大丈夫?風邪、引いちゃうよ」
孝輔は、花香を起こしてワンピースを着せる。
「どうしたの、花香?大丈夫?」
花香は、泣きながら孝輔を見ていた。
「花香、まだしたいの?」
花香は、首を横に振る。
「花香、俺は、まだしたいよ。」
孝輔は、花香の髪を撫でる。
花香は、首を横に振る。
カラオケで聞いた孝輔の言葉が、頭に流れる。
「花香、綺麗だよ」
また、こうやって流されていくんだ。
花香の嫌なんて言葉を孝輔は聞かない。
まだ、愛してるのを気づかれてる。
花香と一輝が、かわるがわる映る。
ただ、黙って泣いてる二人…。
二人の気持ちなんか、関係ないのがわかる。
「愛してる、一輝」
「愛してる、花香」
その言葉で、また二人は縛り付けられていく。
笑っていた二人の言葉が頭の中を流れていく。
どうして、求められるのか?
どうして、断れないのか?
どうしてが、降り積もってく…
苦しくて、悲しくて、なのに、身体は答えていく
それが、絶望でしかなかった。
「愛してる、愛してる、愛してる」
その言葉は、「渡さない、離さない、別れない」と聞こえる。
やめて欲しくて、許して欲しくて、なのに…
なのに…
許されないのは、自分達なのだろうか?
もう、別れてよ。
ピキピキと心が、音をたてる。
離婚したいと言われたのは、何だったのか?
子供が欲しいと言われたのは、何だったのか?
自分達をいらないと言ったのに、何故放してくれないのか…。
理解できないまま、流されてく二人。
何度も、何度も、「愛してる」を言われる。
桜は、あれから何度も何度も一輝に繰り返した。
妊娠させる事など出来ない惨めな身体に、それを繰り返される意味がわからなかった。
涙で、目の前が滲んでいく。
桜の熱を感じた下半身の熱は、引かない。
一輝の体温とは、違うから…。
上半身と下半身が、まるで別の生き物だった。
縛られたくない…
もう、子供が出来ない事にも、桜にも…。
だけど、心が起き上がらないから身体が動かない。
力が入らなくて、涙がとまらなくて…。
花香に画面が切り替わる。
花香も、身体に力が入らずに泣いていた。
下半身の熱が、身体に広がるのが嫌で…。
花香は、下腹部をギュッと押さえた。
「赤ちゃん、欲しかった。私だって」
ポツリと口に出して泣いた。
用意をしなくちゃいけないのに、動けずにいた。
一方、泉ー
ガチャン…
「あー。最悪」
花香の為に、少しだけ寝てから片付けていた。
棚に置いていた、物が落ちた。
割れものがなくて、よかった。
夕方からのバイトだから、それまでに片付けないと…。
泉は、棚から落ちた物を拾った。
「花ちゃん、大丈夫かな?」
急に、不安になった。
泉は、首を横に振って片付ける。
大丈夫、大丈夫。花ちゃんは来てくれる。
一方、彪伍ー
パリン…
「あー、最悪だ」
マグカップを割ってしまった。
片付けして、掃除機を当てる。
「いっちゃん、大丈夫かな?」
彪伍も、一輝を心配していた。
片付けなきゃ、一輝が来るからと彪伍は片付けを続ける。
画面は、切り替わって一輝ー
「一輝、お昼ご飯出来たよ」
寝転がったまま動けない一輝の所に、桜が来た。
「昨日のトンカツ食べよう」
一輝は、桜に起こされる。
「一輝、どうしたの?」
桜は、一輝を抱き締める。
「一輝、どうしちゃったの?」
一輝は、ただ泣いていた。
昨日、皆で聞いた盗聴器の会話…
酷いことを言っていたのに、手放してくれない桜。
「お腹痛いの?一輝」
一輝は、首を横に振る。
「まだ、したいの?」
一輝は、首を横に振る。
「私は、したいよ。一輝」
まただ、流されていく。
一輝は、まだ出来る自分の身体が怖かった。
桜を愛してる、自分が大嫌いだった。
画面が切り替わって、花香ー
「花香、シチュー食べよう」
寝転がってる花香に孝輔は、声をかける。
「花香、大丈夫?風邪、引いちゃうよ」
孝輔は、花香を起こしてワンピースを着せる。
「どうしたの、花香?大丈夫?」
花香は、泣きながら孝輔を見ていた。
「花香、まだしたいの?」
花香は、首を横に振る。
「花香、俺は、まだしたいよ。」
孝輔は、花香の髪を撫でる。
花香は、首を横に振る。
カラオケで聞いた孝輔の言葉が、頭に流れる。
「花香、綺麗だよ」
また、こうやって流されていくんだ。
花香の嫌なんて言葉を孝輔は聞かない。
まだ、愛してるのを気づかれてる。
花香と一輝が、かわるがわる映る。
ただ、黙って泣いてる二人…。
二人の気持ちなんか、関係ないのがわかる。
「愛してる、一輝」
「愛してる、花香」
その言葉で、また二人は縛り付けられていく。
笑っていた二人の言葉が頭の中を流れていく。
どうして、求められるのか?
どうして、断れないのか?
どうしてが、降り積もってく…
苦しくて、悲しくて、なのに、身体は答えていく
それが、絶望でしかなかった。
「愛してる、愛してる、愛してる」
その言葉は、「渡さない、離さない、別れない」と聞こえる。
やめて欲しくて、許して欲しくて、なのに…
なのに…
許されないのは、自分達なのだろうか?
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離婚したいと言われたのは、何だったのか?
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何度も、何度も、「愛してる」を言われる。
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