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人形師
初めまして
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「すみませんね。」
「いえ」
「ついてきて下さい。」
「はい」
ゐ空さんは、私達を連れて行く。
「今日は、勇太君が最後だったんです。一気にやるのは、精神がもたないんですよ。」
「そうですよね」
「わかりますか?動いて、話して、血まで出るんです。温もりもあるわけで。私は、生身の人間を殺してるのとかわらなくてね。1日に、3体が限界なんですよ」
そう言われて、連れてこられた場所には沢山の人形がいる。
「まだ、服を着てるでしょ?これはね、返品されてきた人形なんですよ。写真撮りますか?宮部さん」
「私が、記事を書くって知ってるのですか?」
「はい。私は、次の日に起きる出来事が見れます。それだけでは、ありません。見るだけで、その人の全てがわかります。宮部さんの身体中に文字が浮かんでいます。付き合ってますね!お二人。」
「凄いですね」
「ここに名前が書いてますよ。」
そう言って、ゐ空さんは頬をトントンと叩いた。
「写真撮ります。」
「どうぞ」
宮部さんが、スマホを取り出してシャッターボタンを押した瞬間。
人形の目が、開いた。
「生きてるのですね?」
「生きてますよ。私の能力をわけているので!」
「どんな能力ですか?」
「物体に命を宿せる能力です。私の父が、その能力をもっていたので引き継ぎました。父は、私が産まれた日に死にました。事故でした。トラックとぶつかって!」
ゐ空さんは、目を伏せていた。
「返品されたのは、何体ですか?」
「ここにあるだけで、620体です。1000体あったのですが、少しずつ解体しています。ただ、返品されてくるので解体するより早く数が増えます。」
ゐ空さんは、泣いている。
「彼女はね、子供がお腹にいたまま亡くなったんです。バイクに跳ねられてね。ご主人は、泣きながら作ってくれと言ったんですが…。1年経って、返品されました。」
「何故ですか?」
「再婚するそうですよ。相手も妊娠してるそうですよ。二度殺されるなら、造らなければよかったですかね。」
ゐ空さんは、彼女の髪の毛を撫でている。
「どうして、造らせるのでしょうか?返品されるなら、造る必要はあるのでしょうか?血を流して、痛みに耐えて、解体される必要があるのでしょうか?」
私達は、何も言えなかった。
「人間は、自分勝手ですね。人形
には、感情はないと思っています。だから、平気で返品されてくる。この人はね、捨ててくれって婚約者さんに言われました。この赤ちゃんはね、いらないって言われました。この子はね、人形だから沢山殴られてね。」
ゐ空さんは、泣いている。
「すみません。少し感情的になりました。造る行程の方がいいですよね。解体する行程なんかより。」
「いいえ。私は、こっちの方が必要です。」
宮部さんは、そう言った。
「今の世の中に似ていますね。人も物も、使い捨てにされる。そこに、感情なんて必要ない。流されて生きれないものは、全て時代遅れの化石でしかない。そう思うのです。この子達を見ていると…。」
ゐ空さんは、宮部さんにそう言って笑いかけた。
「愛した人を平気で殺せるのですね?」
「人形だからでしょう?ハリボテの玩具同然ですよ。心音も、聞こえるのにね。」
「やっぱり、あれはそうだったのですか?」
「はい、心音ですよ。私の能力です。この人は、それで気持ち悪いって3日で返品されました。」
「最低です!最低!何なんですか?最低しか言葉が出ません」
宮部さんは、怒っている。
「怒ってもらうのは、嬉しいですが、返品してきた人達には届きませんよ。いらない、捨てといて、いつだって、そうやって返ってきますから。私は、安易に造りたくないのですよ。それで、以前お断りしたんですよ。そしたら、その方が自殺未遂されまして。散々叩かれて、弟子を食べさせられなくなったので…。依頼は、全て引き受けるようになりました。自殺未遂をした彼女は、私の予想通りこの子を3ヶ月後に返品してきました。そんな気がしていたから、お断りしたのですがね。」
「どんな理由だったんですか?」
「彼氏が、気持ち悪いって言ったからだそうですよ。」
ゐ空さんは、涙をポタポタ流している。
自分が、造ったものが必要ないと言われる悲しみ。
痛みに耐えて、解体される人形の悲しみ、苦しみ。
「いえ」
「ついてきて下さい。」
「はい」
ゐ空さんは、私達を連れて行く。
「今日は、勇太君が最後だったんです。一気にやるのは、精神がもたないんですよ。」
「そうですよね」
「わかりますか?動いて、話して、血まで出るんです。温もりもあるわけで。私は、生身の人間を殺してるのとかわらなくてね。1日に、3体が限界なんですよ」
そう言われて、連れてこられた場所には沢山の人形がいる。
「まだ、服を着てるでしょ?これはね、返品されてきた人形なんですよ。写真撮りますか?宮部さん」
「私が、記事を書くって知ってるのですか?」
「はい。私は、次の日に起きる出来事が見れます。それだけでは、ありません。見るだけで、その人の全てがわかります。宮部さんの身体中に文字が浮かんでいます。付き合ってますね!お二人。」
「凄いですね」
「ここに名前が書いてますよ。」
そう言って、ゐ空さんは頬をトントンと叩いた。
「写真撮ります。」
「どうぞ」
宮部さんが、スマホを取り出してシャッターボタンを押した瞬間。
人形の目が、開いた。
「生きてるのですね?」
「生きてますよ。私の能力をわけているので!」
「どんな能力ですか?」
「物体に命を宿せる能力です。私の父が、その能力をもっていたので引き継ぎました。父は、私が産まれた日に死にました。事故でした。トラックとぶつかって!」
ゐ空さんは、目を伏せていた。
「返品されたのは、何体ですか?」
「ここにあるだけで、620体です。1000体あったのですが、少しずつ解体しています。ただ、返品されてくるので解体するより早く数が増えます。」
ゐ空さんは、泣いている。
「彼女はね、子供がお腹にいたまま亡くなったんです。バイクに跳ねられてね。ご主人は、泣きながら作ってくれと言ったんですが…。1年経って、返品されました。」
「何故ですか?」
「再婚するそうですよ。相手も妊娠してるそうですよ。二度殺されるなら、造らなければよかったですかね。」
ゐ空さんは、彼女の髪の毛を撫でている。
「どうして、造らせるのでしょうか?返品されるなら、造る必要はあるのでしょうか?血を流して、痛みに耐えて、解体される必要があるのでしょうか?」
私達は、何も言えなかった。
「人間は、自分勝手ですね。人形
には、感情はないと思っています。だから、平気で返品されてくる。この人はね、捨ててくれって婚約者さんに言われました。この赤ちゃんはね、いらないって言われました。この子はね、人形だから沢山殴られてね。」
ゐ空さんは、泣いている。
「すみません。少し感情的になりました。造る行程の方がいいですよね。解体する行程なんかより。」
「いいえ。私は、こっちの方が必要です。」
宮部さんは、そう言った。
「今の世の中に似ていますね。人も物も、使い捨てにされる。そこに、感情なんて必要ない。流されて生きれないものは、全て時代遅れの化石でしかない。そう思うのです。この子達を見ていると…。」
ゐ空さんは、宮部さんにそう言って笑いかけた。
「愛した人を平気で殺せるのですね?」
「人形だからでしょう?ハリボテの玩具同然ですよ。心音も、聞こえるのにね。」
「やっぱり、あれはそうだったのですか?」
「はい、心音ですよ。私の能力です。この人は、それで気持ち悪いって3日で返品されました。」
「最低です!最低!何なんですか?最低しか言葉が出ません」
宮部さんは、怒っている。
「怒ってもらうのは、嬉しいですが、返品してきた人達には届きませんよ。いらない、捨てといて、いつだって、そうやって返ってきますから。私は、安易に造りたくないのですよ。それで、以前お断りしたんですよ。そしたら、その方が自殺未遂されまして。散々叩かれて、弟子を食べさせられなくなったので…。依頼は、全て引き受けるようになりました。自殺未遂をした彼女は、私の予想通りこの子を3ヶ月後に返品してきました。そんな気がしていたから、お断りしたのですがね。」
「どんな理由だったんですか?」
「彼氏が、気持ち悪いって言ったからだそうですよ。」
ゐ空さんは、涙をポタポタ流している。
自分が、造ったものが必要ないと言われる悲しみ。
痛みに耐えて、解体される人形の悲しみ、苦しみ。
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