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人形師
依頼ですよね
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二人が、出ていってゐ空さんは私と喜与恵を見つめていた。
「依頼ですね」
そう言われて、喜与恵と二人顔を見合わせた。
「お互いを抱く事が、出来ないのですね」
「はい。でも、少し怖いです。」
喜与恵は、さっきの話を聞いて怯えているようだった。
「大丈夫ですよ。お二人の身体の代わりになる器を造りますから」
「でも、それをすると災いが起こります。」
喜与恵の言葉に、ゐ空さんは首を横に振った。
「起こらないのですか?」
「はい、人形ですから…。」
そう言うと、一枚の写真を出してきた。
「これは?」
「私の師匠です。これは、神社の巫女です。」
「巫女さん。こちらは?」
「若き頃の、三日月億珠(みかづきおくじゅ)です。」
「え、えぇ!」
「喜与恵君は、知らなかったですか?二人が、愛し合っていたのを、まだ10代だったようですけど…。」
「それって、まさか!」
喜与恵の言葉に、ゐ空さんは笑いながら頷いた。
「今のお二人のように、人形を師匠が造ったと私にビジョンを見せてくれました。災いは、起こったのでしょうか?」
「いえ、そんな話しは聞いていません。」
「そうですよね!だって、これは人形の交わりになるので…。人間は、関係ないからです。」
「気持ち悪いでしょうか?」
喜与恵の言葉に、ゐ空さんは思い出したように笑った。
「私も一度だけ試した事があります!ただ、不思議な感覚でしたよ。気持ち悪いとかはなかった。人の交わりを見ているような感覚でいながら、快楽がある。何とも、不思議な感覚です。ただ、私は一度だったので。もしかすると、回数を重ねればさらに融合されていくのではないのでしょうか?」
「そうなのですね」
喜与恵は、悩んでいるようだった。
「そこまで、性に拘らなくてもいいのではないですか?そこは、ゴールですか?なければ、なくて生きていけるのでは?」
その言葉に、私と喜与恵は見つめ合っていた。
「あのゐ空さんは、どうして人形と交わったのですか?」
ゐ空さんは、写真をポケットから出してきた。
「これは?」
「私が、一度だけ愛した女の人です。」
「すごく、綺麗な方ですね」
「はい。師匠の病院にお見舞いに行った時に出会いました。彼女は、病気でした。」
「そうだったのですね」
「はい、小さな頃からだそうです。お付き合いをしてから、そのような事も経験したいと話していました。しかし、するためには、お医者様の許可をとらねばならなくて…。それには、時間がかかると…。なので、私は人形を造りました。」
「それで、したのですね」
「はい、たった一度だけ。その後、彼女の病気は急激に悪化し始めて二度と使わなくなりました。それでも、3年間は頑張って生きていてくれましたよ。」
「ゐ空さんは、その行為は必要ないと感じたのですか?」
喜与恵の質問に、ゐ空さんは頷いた。
そして、喜与恵の手を握った。
「必要ないじゃないですか?それを、必要とする意味が私にはなかった。」
「どうしてですか?」
「私は、ずっとその行為は子孫を繁栄する為だけのものだと思って生きてきました。私は、子孫繁栄する必要もなかったです。そして、彼女も、子供を産めるような身体でもありませんでした。結果的に、私にはどうしてもしなくちゃいけないものではなくなりました。」
ゐ空さんは、喜与恵から手を離した。
「何故?それをするのでしょうか?愛しているからですか?それとも、本能ですか?」
「何故でしょうか?」
「もしも、愛する事とそちらはイコールではないと考えてるのなら、人形は必要ないのではないですか?喜与恵君。どうしてもと言うのなら、私はいつでもお造りしますよ。ただ、私には二人がどうしても、その行為を必要としていると思えないのです。」
ゐ空さんは、眼鏡をあげて私と喜与恵を見つめる。
「もう少し考えてみます。」
喜与恵は、そう言って頷いていた。
本能…子孫繁栄…愛してるから、私の頭の中は、堂々巡りを繰り返していた。
「宝珠君は、子を授けられない運命(さだめ)なのですね」
ゐ空さんに言われて、私は顔をあげた。
「依頼ですね」
そう言われて、喜与恵と二人顔を見合わせた。
「お互いを抱く事が、出来ないのですね」
「はい。でも、少し怖いです。」
喜与恵は、さっきの話を聞いて怯えているようだった。
「大丈夫ですよ。お二人の身体の代わりになる器を造りますから」
「でも、それをすると災いが起こります。」
喜与恵の言葉に、ゐ空さんは首を横に振った。
「起こらないのですか?」
「はい、人形ですから…。」
そう言うと、一枚の写真を出してきた。
「これは?」
「私の師匠です。これは、神社の巫女です。」
「巫女さん。こちらは?」
「若き頃の、三日月億珠(みかづきおくじゅ)です。」
「え、えぇ!」
「喜与恵君は、知らなかったですか?二人が、愛し合っていたのを、まだ10代だったようですけど…。」
「それって、まさか!」
喜与恵の言葉に、ゐ空さんは笑いながら頷いた。
「今のお二人のように、人形を師匠が造ったと私にビジョンを見せてくれました。災いは、起こったのでしょうか?」
「いえ、そんな話しは聞いていません。」
「そうですよね!だって、これは人形の交わりになるので…。人間は、関係ないからです。」
「気持ち悪いでしょうか?」
喜与恵の言葉に、ゐ空さんは思い出したように笑った。
「私も一度だけ試した事があります!ただ、不思議な感覚でしたよ。気持ち悪いとかはなかった。人の交わりを見ているような感覚でいながら、快楽がある。何とも、不思議な感覚です。ただ、私は一度だったので。もしかすると、回数を重ねればさらに融合されていくのではないのでしょうか?」
「そうなのですね」
喜与恵は、悩んでいるようだった。
「そこまで、性に拘らなくてもいいのではないですか?そこは、ゴールですか?なければ、なくて生きていけるのでは?」
その言葉に、私と喜与恵は見つめ合っていた。
「あのゐ空さんは、どうして人形と交わったのですか?」
ゐ空さんは、写真をポケットから出してきた。
「これは?」
「私が、一度だけ愛した女の人です。」
「すごく、綺麗な方ですね」
「はい。師匠の病院にお見舞いに行った時に出会いました。彼女は、病気でした。」
「そうだったのですね」
「はい、小さな頃からだそうです。お付き合いをしてから、そのような事も経験したいと話していました。しかし、するためには、お医者様の許可をとらねばならなくて…。それには、時間がかかると…。なので、私は人形を造りました。」
「それで、したのですね」
「はい、たった一度だけ。その後、彼女の病気は急激に悪化し始めて二度と使わなくなりました。それでも、3年間は頑張って生きていてくれましたよ。」
「ゐ空さんは、その行為は必要ないと感じたのですか?」
喜与恵の質問に、ゐ空さんは頷いた。
そして、喜与恵の手を握った。
「必要ないじゃないですか?それを、必要とする意味が私にはなかった。」
「どうしてですか?」
「私は、ずっとその行為は子孫を繁栄する為だけのものだと思って生きてきました。私は、子孫繁栄する必要もなかったです。そして、彼女も、子供を産めるような身体でもありませんでした。結果的に、私にはどうしてもしなくちゃいけないものではなくなりました。」
ゐ空さんは、喜与恵から手を離した。
「何故?それをするのでしょうか?愛しているからですか?それとも、本能ですか?」
「何故でしょうか?」
「もしも、愛する事とそちらはイコールではないと考えてるのなら、人形は必要ないのではないですか?喜与恵君。どうしてもと言うのなら、私はいつでもお造りしますよ。ただ、私には二人がどうしても、その行為を必要としていると思えないのです。」
ゐ空さんは、眼鏡をあげて私と喜与恵を見つめる。
「もう少し考えてみます。」
喜与恵は、そう言って頷いていた。
本能…子孫繁栄…愛してるから、私の頭の中は、堂々巡りを繰り返していた。
「宝珠君は、子を授けられない運命(さだめ)なのですね」
ゐ空さんに言われて、私は顔をあげた。
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