47 / 94
ぬいぐるみ師
許してあげて
しおりを挟む
「許してあげて下さい。自分の事をもっと…。」
「モカ君」
「一度しか許されない人生の中にいるのは、辛いだけですよ。やめましょう。自分をそこまで、責めるのは…。師匠が、悪いんですよ。」
「そんな事ないよ。ゐ空さんは、正しいよ。執着してるから、手を上げたんだ。」
「愛と憎しみは、紙一重ですが、愛と執着も紙一重ですか!まぁ、そうなりますよね。どうしても、手放したくない。なくしたくない、そんな人がいるから、私と師匠の商売は成り立つわけです。執着心は、いけない事でしょうか?」
「手放せば幸せになれるらしいよ」
モカ君は、あぁって顔をした。
「八重桜さんでしょ?占い師の!私も見ましたよ。一昨日、特集をやってましたよね!依存心や執着心を手放した先に幸福があるのです。」
ピシッと私に人差し指をさした。
「ハハハ、それ。希海さんの先輩が八重桜さんの記事を書くって話だったから一緒に見てたんだ。」
「嘘ばっかりですよ!あの人」
「そうかな?依存心も執着心も必要ないんじゃないかな?手放せるなら、手放すべきなんじゃないかな?」
モカ君は、首を横に振った。
「少しでも依存するから誰かと生きていきたいと思えるんじゃないんですか?」
「依存は、愛の始まりって事?」
「少なくとも、私はそう思いますよ。少しも、もっていなければ天涯孤独で生きていきます。」
「モカ君は、ゐ空さんに依存していると思ってる?」
「はい!私は、師匠に依存してますよ。師匠を頼りにしているし、師匠がいなければ生きていけない。それを手放せば幸せになると言うのなら…。私には、必要ないです。手放すつもりは、これっぽっちもありませんから」
そう言って、モカ君は笑った。
「じゃあ、執着心はどう?」
「私は、凄く執着心が強い人間だと思います。だって、依頼されたこの子達とお別れするのが悲しいですもん。でも、そう思えるものを造れると言うことはぬいぐるみ師にとっては最高な事なのです。父は、いつも私に言っていました。モカが手放したくないと思えるものを造らなければいけないと…。だから、私にとっての執着心は仕事をするうえで必要です。それを、手放せというのなら必要ないですね」
そう言って、ハーブを撫でている。
「感情も欲しいものも、人それぞれですね。」
モカ君は、満面の笑みで私を見つめる。
依存の先に愛があるか…。
この子は、面白い考え方をしている。
物を生み出すものと、生み出さぬものの違いなのだろうか?
「光珠さんは、手放すべきだと思ったのですか?」
「そうだね。私は、20年も彼女に執着していたのかもしれないと思ったから…。」
「執着する事を悪だという人がいますが、私はそうは思わないですよ。愛した人をさっさと手放す事なんて、そんな簡単に出来るのでしょうか?そんなに、簡単に次にいける事なんてありますか?もしいけるなら、相手を愛してなどいませんよね?」
モカ君は、そう言いながら目を伏せている。
「次から次に移り行く人は、ペットもアクセサリーのように変えていきます。私は、何度も依頼を断った人がいます。その人は、僅か二年で、猫を亡くすんです。」
「そんなに、寿命短くないよね」
「そうです。全て、事故で亡くしたそうです。二年事に、違う猫を造れと依頼してきました。一度だけ依頼を受けたのですが、次の日にはいらないと返品されました。彼女にとっての、ペットはアクセサリーの一部なのだと気づきました。お金もある方でしたし、すぐに飼えるのでしょうね。何でも欲しいものは、お金があれば手に入ると言っていましたよ。」
「凄いね。そうやって、ハッキリ言えるの」
「はい、凄いですよ!普通なら、お金で買えないものもあるって言いますけどね。でも、彼女は本当にお金で何でも手に入れていました。買えないものは、なかった。それなのに、初めて、私が造らないと言ったんです。彼女は、驚いた!そして、いくらだしてもいいと言いました。けれど、私は無理だといいました。凄く驚いていましたよ。どうやら、別のぬいぐるみ師に頼んだようですけどね」
モカ君は、そう言いながら悲しそうに目を伏せている。
「モカ君」
「一度しか許されない人生の中にいるのは、辛いだけですよ。やめましょう。自分をそこまで、責めるのは…。師匠が、悪いんですよ。」
「そんな事ないよ。ゐ空さんは、正しいよ。執着してるから、手を上げたんだ。」
「愛と憎しみは、紙一重ですが、愛と執着も紙一重ですか!まぁ、そうなりますよね。どうしても、手放したくない。なくしたくない、そんな人がいるから、私と師匠の商売は成り立つわけです。執着心は、いけない事でしょうか?」
「手放せば幸せになれるらしいよ」
モカ君は、あぁって顔をした。
「八重桜さんでしょ?占い師の!私も見ましたよ。一昨日、特集をやってましたよね!依存心や執着心を手放した先に幸福があるのです。」
ピシッと私に人差し指をさした。
「ハハハ、それ。希海さんの先輩が八重桜さんの記事を書くって話だったから一緒に見てたんだ。」
「嘘ばっかりですよ!あの人」
「そうかな?依存心も執着心も必要ないんじゃないかな?手放せるなら、手放すべきなんじゃないかな?」
モカ君は、首を横に振った。
「少しでも依存するから誰かと生きていきたいと思えるんじゃないんですか?」
「依存は、愛の始まりって事?」
「少なくとも、私はそう思いますよ。少しも、もっていなければ天涯孤独で生きていきます。」
「モカ君は、ゐ空さんに依存していると思ってる?」
「はい!私は、師匠に依存してますよ。師匠を頼りにしているし、師匠がいなければ生きていけない。それを手放せば幸せになると言うのなら…。私には、必要ないです。手放すつもりは、これっぽっちもありませんから」
そう言って、モカ君は笑った。
「じゃあ、執着心はどう?」
「私は、凄く執着心が強い人間だと思います。だって、依頼されたこの子達とお別れするのが悲しいですもん。でも、そう思えるものを造れると言うことはぬいぐるみ師にとっては最高な事なのです。父は、いつも私に言っていました。モカが手放したくないと思えるものを造らなければいけないと…。だから、私にとっての執着心は仕事をするうえで必要です。それを、手放せというのなら必要ないですね」
そう言って、ハーブを撫でている。
「感情も欲しいものも、人それぞれですね。」
モカ君は、満面の笑みで私を見つめる。
依存の先に愛があるか…。
この子は、面白い考え方をしている。
物を生み出すものと、生み出さぬものの違いなのだろうか?
「光珠さんは、手放すべきだと思ったのですか?」
「そうだね。私は、20年も彼女に執着していたのかもしれないと思ったから…。」
「執着する事を悪だという人がいますが、私はそうは思わないですよ。愛した人をさっさと手放す事なんて、そんな簡単に出来るのでしょうか?そんなに、簡単に次にいける事なんてありますか?もしいけるなら、相手を愛してなどいませんよね?」
モカ君は、そう言いながら目を伏せている。
「次から次に移り行く人は、ペットもアクセサリーのように変えていきます。私は、何度も依頼を断った人がいます。その人は、僅か二年で、猫を亡くすんです。」
「そんなに、寿命短くないよね」
「そうです。全て、事故で亡くしたそうです。二年事に、違う猫を造れと依頼してきました。一度だけ依頼を受けたのですが、次の日にはいらないと返品されました。彼女にとっての、ペットはアクセサリーの一部なのだと気づきました。お金もある方でしたし、すぐに飼えるのでしょうね。何でも欲しいものは、お金があれば手に入ると言っていましたよ。」
「凄いね。そうやって、ハッキリ言えるの」
「はい、凄いですよ!普通なら、お金で買えないものもあるって言いますけどね。でも、彼女は本当にお金で何でも手に入れていました。買えないものは、なかった。それなのに、初めて、私が造らないと言ったんです。彼女は、驚いた!そして、いくらだしてもいいと言いました。けれど、私は無理だといいました。凄く驚いていましたよ。どうやら、別のぬいぐるみ師に頼んだようですけどね」
モカ君は、そう言いながら悲しそうに目を伏せている。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる