三日月宝珠と愛しき幽体

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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宮部希海の視点

ごめんな

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「愛せると思っていたんだ。希海との子供じゃなくても、愛せるって…。でも、無理だった。気づいた時に、俺は希海を本当に愛していたのがわかったんだ。遅いよな。本当に、ごめん」

私は、首を横に振った。

「自分勝手な事ばかりして、あの子に名前までつけたりして、ここに頼んだりして、本当にごめんなさい。」

「いいの。あの子をずっと愛してくれてありがとう。智君に、愛されてあの子は幸せだよ。」

私は、笑って言った。

「希海、ごめんな。あの時の希海の気持ちをわかってあげられなくてごめんな。」

「もう、いいの。過ぎた事だから…。」

全ては、過ぎ去った事。

三日月さんに言われた言葉を思い出す、あの時もこの時も人にはないのだから…。


「今、幸せなんだな」

「えっ?」

「そんな柔らかい笑顔を浮かべられる相手といるんだな!本当に、よかった。」

「そんな顔してたかな?」

私は、恥ずかしくて顔を伏せた。

「してたよ。凄く、いい顔してた。希海が、今過ごしてる場所が凄くいい所なんだってわかった。」

そう言われて、皆の顔が過った。

光珠さんの顔が、浮かんで笑いそうになった。

「今の顔、俺と初めて付き合った時に似てる。希海、その人が凄く大切なんだな」

智君に言われて、顔を上げる。

「そんなの覚えてるの?」

「覚えてるよ。希海は、いつから俺を好きだったかは知らないけど。俺は、希海に好きになってもらいたくて必死だったから…。」

「もう、10年以上も前じゃない。私は、もうおばさんだよ」

「そんな事ないよ!希海は、あの頃と何も変わってないよ。大好きな仕事に打ち込んで、全力で恋をしていた。何も変わってない」

「そんなに褒めても、何もでないわよ。」

そう言って、二人で笑った。

「希海が、幸せになれてよかった。俺のせいで、もう恋愛をやめていたらどうしようって勝手に思ってたから…。」

「あるわけないじゃない。そんな事あるわけない。」

もう、彼にこれ以上の痛みを味合わせる必要はないと思った。

「ありがとう、希海」

「そっちは、どうなの?」

「俺は、今真弓といるんだ。真弓は、出会った時から子供が出来ない病気でね。時々、精神を病んで入院するんだ。そんな繰り返しの日々の中で、関西に出掛けた時に満月って名字の人に声をかけられてね。ここを紹介された。行けばきっとその先の人生が変わるからって!希海には、悪い気がした。でも、真弓は俺がもってるエコー写真見て会ってみたかったって泣いてくれたんだ。それで、真弓がやってみたいって言ってきて!俺一人で、話を聞きにきた。それで、気づいたら依頼して帰ってたんだ。ごめん」

「もういいの。私は、ひかりちゃんに会った。ある人が見せてくれたから…。ひかりちゃんは、智君が好きだよ。だから、今の人と二人で大人にしてあげてよ。」

私は、智君に謝らせる事しかもう出来ない存在。

あんなに、愛し合っていたのは過去のもの。

まだ、胸が締め付けられるのは好きだった私の亡霊が残ってるから…。

「俺も、満月って人にひかりちゃんが笑ってる事、お父さんを愛してる事を言われた。一瞬だけ、浮かび上がらせてくれたんだ。目元が、希海によく似てた。」

「知ってる。見たから、私も」

「女の子だったね」

「うん」

「希海は、あの子を見ても愛せなかったんだろ?」

「うん、ごめんね」

智君は、首を横に振った。

「いいんだよ。愛せないなら、愛せなくて。それが、希海なんだから」

その言葉に、涙が流れてきた。

「あの時、こう言えてたら今でも希海の傍にいれたよな。」

「そんなの言ったら、キリがないよ。ただ、従姉妹とはしないで欲しかった。私を愛したやり方で、彼女を愛して欲しくなかった。」

「ごめん。」

「もういいの。過ぎた事を悔やんだって仕方ないんだから…。」

「言い訳になるかもしれないけど、俺はずっと希海を愛してたよ。それに、希海にするようには愛していなかった。もっと、優しくしたかった。無理やりしたりしてごめん。俺、希海を…」

「子供だったんだよ。年だけ大人で私達」

私の言葉に、智君は私を見つめて泣いている。


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