三日月宝珠と愛しき幽体

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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珠理と希海の視点

悲しい想い

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ブー、ブー

スマホを見つめてると、剛から着信が来た。

「電話なら、出ていいよ」

「ええねん。ええねん。」

「剛さんですか?」

「そうやで!しょーもない、留守電いれてくんねん。死にそうな声だしてな!」

「それって、剛さんも苦しんでるって事ですよね?」

「そうやで!自業自得やろ?子供が出来たらあっちとの縁も強なるから。余計、苦しんどるんやろ」

「不倫は…。」

「絶対にせんよ!」

そう言って、うちは、目を伏せる。

「祖父は、三日月億珠の父親との不倫の末に出来た子供やねん。祖母も不倫してて、うちの母親も不倫しとった。代々、不倫家系なんやろなぁー。だから、うちもそうなるように仕向けられたんやろ?剛との事。この歪みを正すのがうちの役目やと思ってる。」

「じゃあ、死ぬまでずっと苦しむの?」

宮部さんは、うちの為に泣いてくれる。

「そやな!死ぬまで、苦しむ。でも、しゃーない事やから。それが、うちの家の呪縛やから…。でも、わかっとっても。剛に、会いたくて、剛に抱き締められたくて、うちも母親みたいになろうとしてしまうねん」

胸が、グサグサ痛くて涙が流れてくる。

「珠理さん」

宮部さんは、うちの手を握ってくれる。

「アカンのなんかわかっとるよ。不貞は、アカン。世間かて許さへん。そんなんわかっとる。でも、剛に会ったら止められんくなる。向こうも、同じやねん。それでも、うちは剛に冷たくすんねん。家に帰れって、怒鳴るねん。明日、帰ったら、剛がおるのわかってんねん。どれだけ、出来るかわからん。それでも、足掻くよ。うちは、足掻き続ける。前世からの縁なんかに、絶対負けへん。そう心に決めてんのにな!こんなんゆうやん」

うちは、宮部さんにスマホを見せる。

「珠理が、受け入れてくれるまで会いに行くから。アカンかったら、死ぬから…。」

「はぁー。アホやろ?」

うちは、剛に父親やのにしょーもない事ゆうなと送信した。

「珠理さんと同じ痛みを味わってるけど、剛さんは耐えれないって事だよね?」

「そうやな。男やから弱いんやない?ってのは、嘘やで!耐えれるわけがないんよ。こんな痛みに…。胸の奥が、抉られんねんもん。おうたら、ちょっとマシになるねん。剛もそれをわかってるんやと思う。」

ブー、ブー


「電話」

「ええねん、無視無視」

うちは、剛の電話を無視する。

「昼御飯食べにいかへん?取材は、サクッと終わらせようや!聞きたい事なんやったっけ?」

宮部さんは、鞄から手帳を取り出してる。

「聞きたい事は、聞けてます。」

「あー。さっきのもバッチリとってたんやね。」

「すみません。」

「ええねん。希海ちゃんが、知りたかったんは、子供や結婚をしたくないかどうかやろ?役に立ったなら、よかったわ。」

「取材って、口実だった。私は、珠理さんにお会いしたくて」

「じゃあ、記事にならへんの?」

「そのつもり。」

「それは、アカンやん!じゃあ、うちが初めて能力に気づいた日に出会った幽体の話をしたげるわ。」

うちら、宮部さんに話した。

「ありがとうございます。素敵なお話です。記事にします。」

「うん。よろしくな!読むから」

ブー、ブー

「電話いいの?」

「ええねん。どうせ、会いたいとか今どこいるんとか、そんなんやから!電源切られんから、めんどくさいよな。で、何食べる?」

「ピザ、食べに行かない?」

「ええね!行こか」

「はい」

うちは、宮部さんと一緒にお店を出た。

並んで歩く。

スマホが、何度も鳴っては消える。

「近いん?」

「もうすぐ、つく。釜で焼いたピザが有名なんだよ」

「へー。楽しみやわ」

宮部さんと離れて、一人になったら、剛の電話に出てしまうのがわかるから嫌だった。

「ついたよ!」

「おしゃれな店やね」

「うん」

宮部さんとお店に入る。

不倫家系やからって、不倫をしたくない。

そんなん私で、終わらせたい。

父が、苦しんで泣いてるのをよく見ていた。

剛の奥さんを苦しめて泣かせるんは、違う気がする。

それでも、胸の奥が痛くて堪らへん。

誰か、助けて欲しい。

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