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救えなかった恋
上條陸、五木結斗
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俺は、病院から見える桜の木を見つめていた。
「上條、またボッーとしてるね」
「伊納か、いや、看護婦長と呼ぶべきだよな」
「なに、それ?別にいらないし」
「なあー。俺が、医者目指したきっかけの話し覚えてる。」
「忘れないよ。あの日々は…」
「あの日も、こんな風に咲いてたよな」
「懐かしいね」
「伊納は、あがり?」
「そっちは?」
「俺もうあがる」
「じゃあ、久々に肉食べに行かない?」
「いいねー」
俺と伊納は、幼馴染みだった。
「彼氏に言っとけよ」
「そっちもな」
「じゃあ、着替えたら桜の木の下にいるから」
「了解」
服を着替えて俺は、凌平にメッセージを送った。
桜の木の下につくと伊納が居た。
「あれは、伊納のせいじゃないって、絶対」
「どうだろうね」
俺は、伊納と並んで歩く。
焼き肉【パンちゃん】は、俺と伊納の行きつけだった。
「今日は、呼び出しない?」
「今日は、全くない」
「じゃあ、ビールだすよ」
「出してください」
店長は、もう何も言わなくても食べるものを出してくれる。
「いただきまーす。乾杯」
「乾杯」
ジョッキをカチンと合わせて、ゴクッゴクッとビールを飲んだ。
「プハー。あったまった所で、贖罪を捧げますか」
「そうだね」
俺と伊納は、この季節になるとあの日の話をする。
それが、贖罪だって思っているからだ。
そうあれは、俺が13歳の頃の話。
今から、32年前の出来事だ。
キーンコーンカーンコーン
入学して、三日目。
派手に転んだ俺は、保健室に来ていた。
ガラガラ
「先生、すみません」
「あらら、凄く痛そうね。座って」
保健室の優しい篠浦先生は、俺を椅子に座らせた。
消毒をされていた俺の前に、天使が現れたのをハッキリと見た。
「先生、やっぱり帰ります」
「あら、五木君。親御さんにかけるまで寝てなさい」
「はい」
色が白くて、透き通ってるみたいだった。
「はい、出来た。先生、ちょっと電話してくるから、上條君は、教室戻りなさいよ」
「はい」
ガラガラ
先生が、出ていった後、俺は、引き寄せらるように五木君のベッドのカーテンを開けた。
シャー
「何?」
「綺麗だね」
初めて恋をした。
俺は、自分が同性愛者だとこの瞬間に気づいた。
「プッ、そんなの言うやつ初めてだよ。」
「そうなの…。ごめん」
「あー。ごめん。僕、五木結斗。二年、よろしくね」
「よろしく。俺は、上條陸。一年」
華奢な白い手と、握手をした。
チュッ
「えっ?」
「あっ、ごめん。挨拶かな?って」
「そうなの?」
「そうかな?って」
「じゃあ、俺もするよ」
チュッ
「ハハハ、よろしくね」
笑った顔も、綺麗で息がつまる程美しかった。
「よろしく」
「いつも、ここにいるの?」
「うん、いるよ」
「また、きてもいい?」
「いいよ、おいで。待ってるから」
そう言って、五木君は笑った。
俺は、名残惜しく手を離した。
「また、明日ね」
「うん、バイバイ」
手の甲に残る天使の唇の感触が、気持ちよくて、俺は、保健室を出ながら、手の甲にキスをしていた。
ガラガラ
「上條、手当てしてもらったか?」
「はい、すみませんでした。」
「気を付けろよ」
俺は、教室に戻った。
授業中も、ずっと天使の事ばかり考えていた。
キーンコーンカーンコーン
授業が終わり、窓の外を覗きに行く。
五木君が、お母さんに連れられて帰って行っていた。
バイバイ
俺は、心の中で呟いていた。
その日の授業は、何一つ身が入らなかった。
「上條、またボッーとしてるね」
「伊納か、いや、看護婦長と呼ぶべきだよな」
「なに、それ?別にいらないし」
「なあー。俺が、医者目指したきっかけの話し覚えてる。」
「忘れないよ。あの日々は…」
「あの日も、こんな風に咲いてたよな」
「懐かしいね」
「伊納は、あがり?」
「そっちは?」
「俺もうあがる」
「じゃあ、久々に肉食べに行かない?」
「いいねー」
俺と伊納は、幼馴染みだった。
「彼氏に言っとけよ」
「そっちもな」
「じゃあ、着替えたら桜の木の下にいるから」
「了解」
服を着替えて俺は、凌平にメッセージを送った。
桜の木の下につくと伊納が居た。
「あれは、伊納のせいじゃないって、絶対」
「どうだろうね」
俺は、伊納と並んで歩く。
焼き肉【パンちゃん】は、俺と伊納の行きつけだった。
「今日は、呼び出しない?」
「今日は、全くない」
「じゃあ、ビールだすよ」
「出してください」
店長は、もう何も言わなくても食べるものを出してくれる。
「いただきまーす。乾杯」
「乾杯」
ジョッキをカチンと合わせて、ゴクッゴクッとビールを飲んだ。
「プハー。あったまった所で、贖罪を捧げますか」
「そうだね」
俺と伊納は、この季節になるとあの日の話をする。
それが、贖罪だって思っているからだ。
そうあれは、俺が13歳の頃の話。
今から、32年前の出来事だ。
キーンコーンカーンコーン
入学して、三日目。
派手に転んだ俺は、保健室に来ていた。
ガラガラ
「先生、すみません」
「あらら、凄く痛そうね。座って」
保健室の優しい篠浦先生は、俺を椅子に座らせた。
消毒をされていた俺の前に、天使が現れたのをハッキリと見た。
「先生、やっぱり帰ります」
「あら、五木君。親御さんにかけるまで寝てなさい」
「はい」
色が白くて、透き通ってるみたいだった。
「はい、出来た。先生、ちょっと電話してくるから、上條君は、教室戻りなさいよ」
「はい」
ガラガラ
先生が、出ていった後、俺は、引き寄せらるように五木君のベッドのカーテンを開けた。
シャー
「何?」
「綺麗だね」
初めて恋をした。
俺は、自分が同性愛者だとこの瞬間に気づいた。
「プッ、そんなの言うやつ初めてだよ。」
「そうなの…。ごめん」
「あー。ごめん。僕、五木結斗。二年、よろしくね」
「よろしく。俺は、上條陸。一年」
華奢な白い手と、握手をした。
チュッ
「えっ?」
「あっ、ごめん。挨拶かな?って」
「そうなの?」
「そうかな?って」
「じゃあ、俺もするよ」
チュッ
「ハハハ、よろしくね」
笑った顔も、綺麗で息がつまる程美しかった。
「よろしく」
「いつも、ここにいるの?」
「うん、いるよ」
「また、きてもいい?」
「いいよ、おいで。待ってるから」
そう言って、五木君は笑った。
俺は、名残惜しく手を離した。
「また、明日ね」
「うん、バイバイ」
手の甲に残る天使の唇の感触が、気持ちよくて、俺は、保健室を出ながら、手の甲にキスをしていた。
ガラガラ
「上條、手当てしてもらったか?」
「はい、すみませんでした。」
「気を付けろよ」
俺は、教室に戻った。
授業中も、ずっと天使の事ばかり考えていた。
キーンコーンカーンコーン
授業が終わり、窓の外を覗きに行く。
五木君が、お母さんに連れられて帰って行っていた。
バイバイ
俺は、心の中で呟いていた。
その日の授業は、何一つ身が入らなかった。
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