28 / 65
嘘つきな人
早乙女加奈枝、宮瀬歩
しおりを挟む
「歩君が、好きです。」
「よっしゃー。俺の勝ち。じゃ、ごめんね」
私が出会った時から、宮瀬歩は、こんな事を繰り返していた。
「慎吾、ジュースおごりな」
「はいはい、了解」
「関口、アイスな」
「はいよ」
仲良し三人組で、小学校の頃からずっと同じ事を繰り返していた。
彼が、何故こんな事をしてるか私は知ってる。
私は、彼と同じマンションに住んでいるから知っていた。
「おう、早乙女。お前も、俺が好きか?」
「好きだよ」
「はい、冗談。そういう哀れみいらないから。それと、俺キスとかセックスとか大嫌いなわけ。わかるよな?」
「うん」
「じゃあな」
どうせ、今、家に入ったって秒で出てくるくせに…
ほら、言わんこっちゃない。
「早乙女、お前んちで勉強させて」
「うん」
私の家は、共働きで夜の9時以降にしか帰宅しない。
そして、歩君は9時までいるのだ。
これを知ってる人は、誰もいない。
「早乙女の両親忙しいよなー」
「そうだね」
「姉ちゃん、寮だよな」
「うん」
お姉ちゃんは、4つ年上で、寮つきの高校に通っていた。
「歩君は、人をおちょくって楽しいの?」
「楽しいよ。人が、恋に堕ちてく姿は、滑稽だよ。」
「最低だね」
「かもな」
私は、立ち上がってキッチンに行った。
こんな最低な人に、初恋をした私って馬鹿だ。
チョコチップクッキーをお皿に入れて、りんごジュースをいれて、部屋に持っていく。
「はい」
「いつも、ありがとな」
「ううん」
「学校で、話さないようにしてくれてありがとな」
「ううん」
今、この瞬間だけは歩君は、私のものだから…。
「ゴミ箱持ちながら、食べる?」
「ああ、悪い」
チョコチップクッキーは、歩君の大好物だ。
小学校一年の夏休み、私があげた。
「ほら、見て。ポケット叩いたら二つになった。あげる」
昔の懐かしい歌を真似て、ポケットに忍ばせておいたチョコチップクッキーを渡した。
「美味しい、早乙女。ありがとな」
あの笑った顔から、私は歩君にずっと恋をしている。
「うまいわー。やっぱり、これ」
「好きな味?」
「そうだな」
「よかったね」
「今日、晩御飯は?」
「レトルトカレー、食べてく?」
「うん」
私の晩御飯は、全部レトルトだった。
「なあー。あれ、歌って」
「えぇ、また?」
「まただよ」
5年生の夏、眠った歩君の隣で、ANRIの歌を口ずさんだ私
実は、起きていたようで、度々歌えと要求された。
「♪長い恋の終わりは♪HAPPYENDにはならない♪そんな事を誰かが話していたんだよ♪君の寝顔見てると♪そんな事どうでもよくて♪愛さなくていいから♪ただ、傍にいさせて欲しい♪………」
パチパチパチパチ
「好きなの?この歌」
「違う。早乙女の声が気に入ってる。歌手になれば?」
「無理に決まってるじゃん」
「あー。じゃあ、あれだ。佐々木先生みたいになればいいじゃん。なっ?」
単純な思考回路で、この日私は音楽の教師になる夢を持った。
「ちょっと、寝ていい?」
「うん」
歩君は、私の肩に頭をのせていつも眠る。
家では、いつも睡眠不足なのだ。
私は、イヤホンをいれてANRIの曲を聞いていた。
ANRIの曲は、恋する私にピッタリな曲ばかりだった。
「嘘ばかりつく君♪本当は、寂しいくせに♪わかってないの?♪わからないフリ?♪続ける意味はあるの?」
あっ!!!
私は、歩君と目が合ってしまった。
「あれ、寝てたんじゃなかったの?」
イヤホンを抜いて話した。
「うん、さっき起きた。」
「そっか」
「早乙女、キスしてやろうか?」
「馬鹿な事、言わないでよ」
「何で、俺が好きならいいじゃん」
「私は、私を好きになってくれる人としかしないから」
「あっそ!めんどくさいやつだな。」
そう言って、歩君は笑った。
また、チョコチップクッキーを食べている。
彼にとって、私の存在など、どうでもいいものなのだ。
「よっしゃー。俺の勝ち。じゃ、ごめんね」
私が出会った時から、宮瀬歩は、こんな事を繰り返していた。
「慎吾、ジュースおごりな」
「はいはい、了解」
「関口、アイスな」
「はいよ」
仲良し三人組で、小学校の頃からずっと同じ事を繰り返していた。
彼が、何故こんな事をしてるか私は知ってる。
私は、彼と同じマンションに住んでいるから知っていた。
「おう、早乙女。お前も、俺が好きか?」
「好きだよ」
「はい、冗談。そういう哀れみいらないから。それと、俺キスとかセックスとか大嫌いなわけ。わかるよな?」
「うん」
「じゃあな」
どうせ、今、家に入ったって秒で出てくるくせに…
ほら、言わんこっちゃない。
「早乙女、お前んちで勉強させて」
「うん」
私の家は、共働きで夜の9時以降にしか帰宅しない。
そして、歩君は9時までいるのだ。
これを知ってる人は、誰もいない。
「早乙女の両親忙しいよなー」
「そうだね」
「姉ちゃん、寮だよな」
「うん」
お姉ちゃんは、4つ年上で、寮つきの高校に通っていた。
「歩君は、人をおちょくって楽しいの?」
「楽しいよ。人が、恋に堕ちてく姿は、滑稽だよ。」
「最低だね」
「かもな」
私は、立ち上がってキッチンに行った。
こんな最低な人に、初恋をした私って馬鹿だ。
チョコチップクッキーをお皿に入れて、りんごジュースをいれて、部屋に持っていく。
「はい」
「いつも、ありがとな」
「ううん」
「学校で、話さないようにしてくれてありがとな」
「ううん」
今、この瞬間だけは歩君は、私のものだから…。
「ゴミ箱持ちながら、食べる?」
「ああ、悪い」
チョコチップクッキーは、歩君の大好物だ。
小学校一年の夏休み、私があげた。
「ほら、見て。ポケット叩いたら二つになった。あげる」
昔の懐かしい歌を真似て、ポケットに忍ばせておいたチョコチップクッキーを渡した。
「美味しい、早乙女。ありがとな」
あの笑った顔から、私は歩君にずっと恋をしている。
「うまいわー。やっぱり、これ」
「好きな味?」
「そうだな」
「よかったね」
「今日、晩御飯は?」
「レトルトカレー、食べてく?」
「うん」
私の晩御飯は、全部レトルトだった。
「なあー。あれ、歌って」
「えぇ、また?」
「まただよ」
5年生の夏、眠った歩君の隣で、ANRIの歌を口ずさんだ私
実は、起きていたようで、度々歌えと要求された。
「♪長い恋の終わりは♪HAPPYENDにはならない♪そんな事を誰かが話していたんだよ♪君の寝顔見てると♪そんな事どうでもよくて♪愛さなくていいから♪ただ、傍にいさせて欲しい♪………」
パチパチパチパチ
「好きなの?この歌」
「違う。早乙女の声が気に入ってる。歌手になれば?」
「無理に決まってるじゃん」
「あー。じゃあ、あれだ。佐々木先生みたいになればいいじゃん。なっ?」
単純な思考回路で、この日私は音楽の教師になる夢を持った。
「ちょっと、寝ていい?」
「うん」
歩君は、私の肩に頭をのせていつも眠る。
家では、いつも睡眠不足なのだ。
私は、イヤホンをいれてANRIの曲を聞いていた。
ANRIの曲は、恋する私にピッタリな曲ばかりだった。
「嘘ばかりつく君♪本当は、寂しいくせに♪わかってないの?♪わからないフリ?♪続ける意味はあるの?」
あっ!!!
私は、歩君と目が合ってしまった。
「あれ、寝てたんじゃなかったの?」
イヤホンを抜いて話した。
「うん、さっき起きた。」
「そっか」
「早乙女、キスしてやろうか?」
「馬鹿な事、言わないでよ」
「何で、俺が好きならいいじゃん」
「私は、私を好きになってくれる人としかしないから」
「あっそ!めんどくさいやつだな。」
そう言って、歩君は笑った。
また、チョコチップクッキーを食べている。
彼にとって、私の存在など、どうでもいいものなのだ。
0
あなたにおすすめの小説
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる