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結末なら知っている

静馬の話②

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「何て言ったんだ?」

「何か、酔っ払ったフリして静馬とやろうとしたら、キスしたら勃起しててないわって思ったって」

まるで、業務連絡のように淡々と伝えられた。

「そう」

「それで、気づいてないフリしたんだってさ!だって、自分でたつなんて気持ち悪いだろって言ってた」

「そっか」

浅野は、突然僕を見つめて手を握りしめてきた。

「江島、優しすぎるよ!いつも、俊太に何て言われてたか知ってる?」

僕は、首を横に振った。

「俺の奴隷だよ!」

浅野は、そう言って珈琲をいっきに飲み干した。

奴隷って、言葉が頭をグルグル回ってく。

「江島、俺の兄貴バイセクシャルなんだよ!」

「えっ?」

「だから、江島がそっちってわかってるよ」

あの眼差しが、軽蔑じゃない事を知った。

「言いたくないなら、わざわざ聞かないけどさ!江島が、勃起した事聞いても俺は軽蔑なんかしなかったよ。むしろ、俊太が話した相手が俺で良かったよ」

気持ち悪いって、目を向けられてると思っていた。

勘違いだった事に、安心していた。

「あのさ、恥ずかしい事じゃないから」

そう言って、浅野は僕にスマホを見せる。

「何?」

「俺は、幼い子が好きだった。で、これ妻の美香」

「小学生?」

「ばーか!合法だよ」

「同い年?」

「嫌、8つ下だわ!俺も気持ち悪いし病気だって思ってたんだけどさ!バイの兄ちゃんが、いいんじゃねーって言ってくれたんだ。それで、28歳の時に美香に出会った。で、今に至るわけよ!」

浅野は、そう言うと柔らかい笑顔を浮かべた。

「怖いって話したら、美香は子供は作らないでいいのがよかったって笑ったんだ。美香は、虐待されててね。子供産みたくなかったって!その言葉で、結婚決めたんだ」

そう言って、また僕を見つめた。

「なあー、江島。世間の常識とか当たり前に流されて埋もれて、自分の心(なか)にある気持ち握りつぶすのやめとけよ」

僕の目から、涙がポタポタと落ちてくる。

「そんな奥底が光失くした目をするぐらいなら、自分を認めてくれる人といる方がいいぞ!あっ!悪い。九時に美香迎えに行かなきゃならなくてさ。俺、帰るわ」

「浅野」

「何?」

「今度、奥さんも一緒にご飯食べない?」

「ああ、いいよ」

浅野は、ポケットから名刺を取り出して渡してくれた。

「いつでも、連絡してくれ」

ポンポンって頭を叩かれた。

「俺、江島を気持ち悪いって思ってないから!むしろ、ずっと仲良くなりたかったんだよ!じゃあな」

「気をつけて」

バタンと扉が閉まって、僕は泣いていた。

俊太とばかりいて、こんな風に僕を認めてくれる存在(ひと)がいたのを気づけなかった。

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