2 / 17
day1 出会い
しおりを挟む
夏休みの最終日、父親が母親と祖父母と僕と兄を道連れに一家心中をはかろうとした。
たまたま、兄は父親には内緒で、友人の家にいた。
僕は、燃え盛る炎の中目を覚ました。
そんな僕を、祖父母が、二階から放り投げた。
「青ちゃん(しょうちゃん)、婆ちゃんと爺ちゃん、母さんと父さんの分も晴ちゃん(はるちゃん)と生きるんよ。」
ドサッ…。
布団ごと投げられた。
寝ぼけた体の全身に、痛みが走ったのを覚えている。
なぜか、腕を骨折しただけですんだのは奇跡だった。
それは、夏休み最後の8月31日の出来事だった。
「青生(しょうき)、生きてたんか?よかった、ホンマよかった。」
「晴兄、みんな燃えてしもた。みんな、みんな…。」
夜の22時、必死で走って帰ってきた兄は、僕を抱き締めていた。
燃え盛る炎の中。
僕は、誰一人助ける事が出来なかった。
「何で?こんな事になったんや?何でや?何で…。」
晴兄は、その場に崩れ落ちて地面を叩き続けていた。
ハッ…。
全身に嫌な汗をじっとりかいて目が覚めた。
夢でよかったと、胸を撫で下ろした。
「おはよう」
「また、夢見たんか?うなされてたで」
晴兄は、歯磨きしながら僕に言った。
関西の田舎に戻ってきてから、一年が経った。
祖父母の家は、九州にある星が綺麗な離島だった。
晴兄は、5歳まで過ごした事もあり、数人の友達がいた。
「朝御飯食べたら、学校行きや」
「うん」
僕は、晴兄が作ったトーストと目玉焼きとウィンナーののったお皿を見つめていた。
「いただきます」
「ほら、牛乳。アカン。俺、行くわな。ちゃんと、学校行くんやで!嫌でも、途中までは行くんやで!そのうち、行けるからな。行ってきます」
「行ってらっしゃい、きぃつけてな」
「はい」
晴兄は、出て行った。
僕は、パンを食べながら思い出していた。
お葬式で聞いた、父の借金と母の不倫。
祖父母が、お金を貸してくれなかったら家族を道連れに死ぬと父が言っていたとTVで友人Aが話ていた。
晴兄は、大学を辞めて、僕を養うために働きだした。
僕は、学校で可哀想な子だと言われて、今まで話した事ない人まで優しくしてきて、それが不気味で気持ち悪くて不登校になった。
可哀想だとみんなの目が言っていたし、僕がいなくなるとそんな話をされていた。
一緒に死んでたら、よかった。
「ごちそうさまでした」
お皿を下げて、シンクに置いた。
頑張って、行くしかないと学校に向かう。
やっぱり、途中で行けなくなる。
どうしても、この歩道橋で足がすくむのだ。
今日は、そんな歩道橋に先客がいた。
引き返そうとした僕は、その子の腕を掴んだ。
「死んだら、アカンで」
その子は、僕を睨みつけた。
「何(なに)?君は、HEROにでもなりたいつもりなの?」
標準語…。
よく見たら、制服も違う。
「関西の人やないんやね。ごめん。なんか、そっから落ちそうやったから…。つい、ごめん」
僕の顔を見て、彼女は笑った。
「HERO君、大正解だよ。私はね、私を殺そうとしていた所」
「なんでや?」
「自分の中にフツフツと沸いている感情に、これ以上支配されたくないからだよ。」
そう言って、彼女は笑った。
「どんな感情や?」
「多分、誰にも理解されない。」
彼女は、眉間に皺を寄せて言った。
「でも、死ぬのはアカンよ。僕が言っても説得力ないやろうけど。まあ、じゃあ。僕、帰るわ」
「すぐそこなのに、学校に行かないの?」
「行きたくないねん。そこで、いつも足がすくむ」
僕は、元きた道へ歩こうとした。
「待って、私と一緒に行こう」
「どこに?」
そう言って、彼女は僕の腕を引っ張って行く。
「私の家」
一軒家を指差した。
「何(なん)で?意味わからんのやけど」
「外に居たら、目立つだけだ。」
彼女のあまり感情を含まない淡々とした話し方に、僕は安心を覚える。
「親とかいるやろ?アカンよ」
「二人とも仕事で、帰宅は夜遅いから大丈夫」
そう言って、彼女は家の鍵を開けた。
たまたま、兄は父親には内緒で、友人の家にいた。
僕は、燃え盛る炎の中目を覚ました。
そんな僕を、祖父母が、二階から放り投げた。
「青ちゃん(しょうちゃん)、婆ちゃんと爺ちゃん、母さんと父さんの分も晴ちゃん(はるちゃん)と生きるんよ。」
ドサッ…。
布団ごと投げられた。
寝ぼけた体の全身に、痛みが走ったのを覚えている。
なぜか、腕を骨折しただけですんだのは奇跡だった。
それは、夏休み最後の8月31日の出来事だった。
「青生(しょうき)、生きてたんか?よかった、ホンマよかった。」
「晴兄、みんな燃えてしもた。みんな、みんな…。」
夜の22時、必死で走って帰ってきた兄は、僕を抱き締めていた。
燃え盛る炎の中。
僕は、誰一人助ける事が出来なかった。
「何で?こんな事になったんや?何でや?何で…。」
晴兄は、その場に崩れ落ちて地面を叩き続けていた。
ハッ…。
全身に嫌な汗をじっとりかいて目が覚めた。
夢でよかったと、胸を撫で下ろした。
「おはよう」
「また、夢見たんか?うなされてたで」
晴兄は、歯磨きしながら僕に言った。
関西の田舎に戻ってきてから、一年が経った。
祖父母の家は、九州にある星が綺麗な離島だった。
晴兄は、5歳まで過ごした事もあり、数人の友達がいた。
「朝御飯食べたら、学校行きや」
「うん」
僕は、晴兄が作ったトーストと目玉焼きとウィンナーののったお皿を見つめていた。
「いただきます」
「ほら、牛乳。アカン。俺、行くわな。ちゃんと、学校行くんやで!嫌でも、途中までは行くんやで!そのうち、行けるからな。行ってきます」
「行ってらっしゃい、きぃつけてな」
「はい」
晴兄は、出て行った。
僕は、パンを食べながら思い出していた。
お葬式で聞いた、父の借金と母の不倫。
祖父母が、お金を貸してくれなかったら家族を道連れに死ぬと父が言っていたとTVで友人Aが話ていた。
晴兄は、大学を辞めて、僕を養うために働きだした。
僕は、学校で可哀想な子だと言われて、今まで話した事ない人まで優しくしてきて、それが不気味で気持ち悪くて不登校になった。
可哀想だとみんなの目が言っていたし、僕がいなくなるとそんな話をされていた。
一緒に死んでたら、よかった。
「ごちそうさまでした」
お皿を下げて、シンクに置いた。
頑張って、行くしかないと学校に向かう。
やっぱり、途中で行けなくなる。
どうしても、この歩道橋で足がすくむのだ。
今日は、そんな歩道橋に先客がいた。
引き返そうとした僕は、その子の腕を掴んだ。
「死んだら、アカンで」
その子は、僕を睨みつけた。
「何(なに)?君は、HEROにでもなりたいつもりなの?」
標準語…。
よく見たら、制服も違う。
「関西の人やないんやね。ごめん。なんか、そっから落ちそうやったから…。つい、ごめん」
僕の顔を見て、彼女は笑った。
「HERO君、大正解だよ。私はね、私を殺そうとしていた所」
「なんでや?」
「自分の中にフツフツと沸いている感情に、これ以上支配されたくないからだよ。」
そう言って、彼女は笑った。
「どんな感情や?」
「多分、誰にも理解されない。」
彼女は、眉間に皺を寄せて言った。
「でも、死ぬのはアカンよ。僕が言っても説得力ないやろうけど。まあ、じゃあ。僕、帰るわ」
「すぐそこなのに、学校に行かないの?」
「行きたくないねん。そこで、いつも足がすくむ」
僕は、元きた道へ歩こうとした。
「待って、私と一緒に行こう」
「どこに?」
そう言って、彼女は僕の腕を引っ張って行く。
「私の家」
一軒家を指差した。
「何(なん)で?意味わからんのやけど」
「外に居たら、目立つだけだ。」
彼女のあまり感情を含まない淡々とした話し方に、僕は安心を覚える。
「親とかいるやろ?アカンよ」
「二人とも仕事で、帰宅は夜遅いから大丈夫」
そう言って、彼女は家の鍵を開けた。
0
あなたにおすすめの小説
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
すべてはあなたの為だった~狂愛~
矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。
愛しているのは君だけ…。
大切なのも君だけ…。
『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』
※設定はゆるいです。
※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる