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生きたいと思える自分に出会えた
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あの頃は、知恵も金もなくて、考え方も浅はかで、どうしようもないぐらいに幼稚だった。
25年経っても、たいした大人にはなれていなかった。
それでも、生きていたいと思うのは、あの頃より選択肢が増えたからなのがわかる。
いつでも、別の場所にいける。
ただ、それだけで心が楽になる。
あの時、見た映画でみのじゅん演じる愛翔(まなと)が言っていた台詞と似ていた。
『この場所から逃げる為のツールを一つでも多く手に入れていたら、君は死にたいなんて思わないだろう。その小さな世界で、生きている限り。君が生を選ぶことなどありはしないのだから…。彼女は、明日死にゆく命。それを知っていながらも彼女は生きたがっている。誰よりも死を身近に感じながら…。彼女は、無限の可能性をもっている。君とは違う。可能性のない今を生きる君にとって、生きる事は苦痛でしかないのだよ。君は、死という選択肢しかもっていないのだよ。』
あの日の僕も、死ぬという選択肢しかなかった。
それなのに、夢を失くしても、彼女を失っても、大人の僕には、死ぬという選択肢はなかった。
なぜだろうか?
あの時よりも、可能性を失ったのに…。
あの頃より、選択肢は増えた。
逃げる事、戦うこと、諦める事、終わらせる事、向き合う事…。
どの選択を選んでもいいと自分に言えたのは、大人になったからだ。
大人になる程に、選択肢が減ると思っていた。
でも、違ったんだな。
大人になる程に、選択肢は増えた。
それは、お金を手にしたからだと思う。
与えられて決められた範囲の自由の中では、選択肢は常に二つだった。
生か死の、二択だけが常につきまとっていた。
大人になって、お金を稼ぎ、自分の人生になると逃げてもいいと自分を甘やかすことが出来た。
いつの間にか選択肢は、二択だけではなくなっていた。
気づけば、嫌なら逃げれるようになっていた。
自分を追い詰めなくてもいいと思えた。
あの日、柚祢(ゆずね)が僕をちゃんと死なせなかった事に感謝している。
これは、生き続けなければ見えない景色だった。
堕落(だらく)した自分でも、まあいいかと思えた。
ただ、ダラダラと生きているだけのみすぼらしい自分を嫌いになる事もなかった。
それも、全て、自分だと思えた。
足を引きずっているから、人より出来る事の幅も減った。
昔だったら、生きるのをやめただろう
でも僕は、そんな自分を嫌いには、なれなかった。
しんどくて、痛くて、情けない。
でも、その全部が、生を感じられる。
体は、あちこち痛くなってきて、若い頃のように無理だってきかない。
それでも、今が堪らないぐらい幸せなのを感じる。
歳を重ねていくと、体は、どんどん不自由になる、なのに心はどんどん自由になっていく。
あの頃とは、逆だった。
15歳の僕は、体は、どんどん自由になるのに心はどんどん不自由になっていった。
そのアンバランスさが、大嫌いだった。
体よりも心が、不自由になる事の方が辛い事を大人になって知った。
今の僕は、幸せだよ。
心が自由だから…
有り余る選択肢を見つけたから…
逃げ出す勇気をもてたから…
柚祢(ゆずね)、君にも教えてあげたかったよ。
大人になる事が、こんなにも素敵な事だってことを…。
脳裏にこびりついた映像が、少しずつ、少しずつ、古びていくことを…。
あの日の君に、教えてあげたかった。
僕は、柚祢(ゆずね)の最後の相手にちゃんとなれただろうか?
柚祢(ゆずね)、君の最後の瞬間は幸せでしたか?
幸せだったなら僕は、嬉しいです。
これから先、どんな事があっても僕は、生きていくよ。
遠回りや回り道や道草をしながら、ゆっくり前に進んでいくよ。
選んだ道と違っててもいい。
どんな選択肢を選んだって、後悔だけはしないように生きていきます。
柚祢(ゆずね)が、生きる事が出来なかった一日、一日を僕は、生きていきます。
あの日、柚祢(ゆずね)と柚羽(ゆずは)に出会わなければ僕は、今、この世界に生きていなかったと思うんだ。
柚祢(ゆずね)、大人って楽しくて幸せだよ。
あの日、僕は、生きる事が、苦痛だった君を本当は、救いだしたかったんだ。
君に刺された時に感じた、君の苦しみを今でも僕は、覚えてる。
あの頃の僕は、無力でちっぽけで何も出来なかった。
退院して、柚祢(ゆずね)の家に行って、君の欠片でもないか必死で探した。
知恵もお金もなかった。
だから、君をどこかに連れて逃げる事も出来なかった。
君の苦しみや悲しみを、取り除いてあげる事も出来なかった。
考えが浅はかだった。
死だけが、唯一の救いだった。
あの日、君の手をひいてあの家から連れ出せていたら…。
もっと早くに、君の元にたどり着いていたら…。
失った時間は戻らない、どれだけの後悔や深い悲しみを感じた所で、柚祢(ゆずね)が生き返るなんて事は、有りはしないのだ。
後悔と悲しみを重ねながら、僕は、大人になった。
悲しみや喜びや憎しみや楽しさを折り重ねながら僕は、今日までの日々を生きていた。
死に損ないの下らない人生を、ずっと歩むだけだと思っていた。
なのにね、違ったんだよ。
柚祢(ゆずね)僕は、どれだけ、みすぼらしくても格好悪くても、君がプレゼントしてくれた命を生きていくから…。
そこから、見ていて欲しい。
40歳の誕生日に、素敵なプレゼントをくれてありがとう。
僕は、柚祢(ゆずね)があの日選んでくれた深紅のネクタイをつける。
「早く、行くよ。青(しょう)」
「でるん、早いから」
「遅刻するでしょ?早く行かないと…。」
「わかってるって」
僕は、柚羽(ゆずは)の手を握った。
これから先、どんな事があっても僕は、柚祢(ゆずね)と柚羽(ゆずは)と一生一緒にいる事を誓うよ。
あの日から
ずっと僕は
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「愛してる。」
25年経っても、たいした大人にはなれていなかった。
それでも、生きていたいと思うのは、あの頃より選択肢が増えたからなのがわかる。
いつでも、別の場所にいける。
ただ、それだけで心が楽になる。
あの時、見た映画でみのじゅん演じる愛翔(まなと)が言っていた台詞と似ていた。
『この場所から逃げる為のツールを一つでも多く手に入れていたら、君は死にたいなんて思わないだろう。その小さな世界で、生きている限り。君が生を選ぶことなどありはしないのだから…。彼女は、明日死にゆく命。それを知っていながらも彼女は生きたがっている。誰よりも死を身近に感じながら…。彼女は、無限の可能性をもっている。君とは違う。可能性のない今を生きる君にとって、生きる事は苦痛でしかないのだよ。君は、死という選択肢しかもっていないのだよ。』
あの日の僕も、死ぬという選択肢しかなかった。
それなのに、夢を失くしても、彼女を失っても、大人の僕には、死ぬという選択肢はなかった。
なぜだろうか?
あの時よりも、可能性を失ったのに…。
あの頃より、選択肢は増えた。
逃げる事、戦うこと、諦める事、終わらせる事、向き合う事…。
どの選択を選んでもいいと自分に言えたのは、大人になったからだ。
大人になる程に、選択肢が減ると思っていた。
でも、違ったんだな。
大人になる程に、選択肢は増えた。
それは、お金を手にしたからだと思う。
与えられて決められた範囲の自由の中では、選択肢は常に二つだった。
生か死の、二択だけが常につきまとっていた。
大人になって、お金を稼ぎ、自分の人生になると逃げてもいいと自分を甘やかすことが出来た。
いつの間にか選択肢は、二択だけではなくなっていた。
気づけば、嫌なら逃げれるようになっていた。
自分を追い詰めなくてもいいと思えた。
あの日、柚祢(ゆずね)が僕をちゃんと死なせなかった事に感謝している。
これは、生き続けなければ見えない景色だった。
堕落(だらく)した自分でも、まあいいかと思えた。
ただ、ダラダラと生きているだけのみすぼらしい自分を嫌いになる事もなかった。
それも、全て、自分だと思えた。
足を引きずっているから、人より出来る事の幅も減った。
昔だったら、生きるのをやめただろう
でも僕は、そんな自分を嫌いには、なれなかった。
しんどくて、痛くて、情けない。
でも、その全部が、生を感じられる。
体は、あちこち痛くなってきて、若い頃のように無理だってきかない。
それでも、今が堪らないぐらい幸せなのを感じる。
歳を重ねていくと、体は、どんどん不自由になる、なのに心はどんどん自由になっていく。
あの頃とは、逆だった。
15歳の僕は、体は、どんどん自由になるのに心はどんどん不自由になっていった。
そのアンバランスさが、大嫌いだった。
体よりも心が、不自由になる事の方が辛い事を大人になって知った。
今の僕は、幸せだよ。
心が自由だから…
有り余る選択肢を見つけたから…
逃げ出す勇気をもてたから…
柚祢(ゆずね)、君にも教えてあげたかったよ。
大人になる事が、こんなにも素敵な事だってことを…。
脳裏にこびりついた映像が、少しずつ、少しずつ、古びていくことを…。
あの日の君に、教えてあげたかった。
僕は、柚祢(ゆずね)の最後の相手にちゃんとなれただろうか?
柚祢(ゆずね)、君の最後の瞬間は幸せでしたか?
幸せだったなら僕は、嬉しいです。
これから先、どんな事があっても僕は、生きていくよ。
遠回りや回り道や道草をしながら、ゆっくり前に進んでいくよ。
選んだ道と違っててもいい。
どんな選択肢を選んだって、後悔だけはしないように生きていきます。
柚祢(ゆずね)が、生きる事が出来なかった一日、一日を僕は、生きていきます。
あの日、柚祢(ゆずね)と柚羽(ゆずは)に出会わなければ僕は、今、この世界に生きていなかったと思うんだ。
柚祢(ゆずね)、大人って楽しくて幸せだよ。
あの日、僕は、生きる事が、苦痛だった君を本当は、救いだしたかったんだ。
君に刺された時に感じた、君の苦しみを今でも僕は、覚えてる。
あの頃の僕は、無力でちっぽけで何も出来なかった。
退院して、柚祢(ゆずね)の家に行って、君の欠片でもないか必死で探した。
知恵もお金もなかった。
だから、君をどこかに連れて逃げる事も出来なかった。
君の苦しみや悲しみを、取り除いてあげる事も出来なかった。
考えが浅はかだった。
死だけが、唯一の救いだった。
あの日、君の手をひいてあの家から連れ出せていたら…。
もっと早くに、君の元にたどり着いていたら…。
失った時間は戻らない、どれだけの後悔や深い悲しみを感じた所で、柚祢(ゆずね)が生き返るなんて事は、有りはしないのだ。
後悔と悲しみを重ねながら、僕は、大人になった。
悲しみや喜びや憎しみや楽しさを折り重ねながら僕は、今日までの日々を生きていた。
死に損ないの下らない人生を、ずっと歩むだけだと思っていた。
なのにね、違ったんだよ。
柚祢(ゆずね)僕は、どれだけ、みすぼらしくても格好悪くても、君がプレゼントしてくれた命を生きていくから…。
そこから、見ていて欲しい。
40歳の誕生日に、素敵なプレゼントをくれてありがとう。
僕は、柚祢(ゆずね)があの日選んでくれた深紅のネクタイをつける。
「早く、行くよ。青(しょう)」
「でるん、早いから」
「遅刻するでしょ?早く行かないと…。」
「わかってるって」
僕は、柚羽(ゆずは)の手を握った。
これから先、どんな事があっても僕は、柚祢(ゆずね)と柚羽(ゆずは)と一生一緒にいる事を誓うよ。
あの日から
ずっと僕は
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「愛してる。」
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