三日間の恋人

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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三ヶ月後と真実

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あれから僕は、柚羽(ゆずは)と一緒にいる事になった。

戸籍上は、朝井戸柚祢(あさいどゆずね)になっている。

古い週刊紙を見つめてる。

「遺体が、丸焦げで柚羽(ゆずは)か柚祢(ゆずね)か判断が出来なかった。」

僕は、コーヒーを柚羽(ゆずは)に渡した。

「ご飯を食べる場所に、私も行っていなかった。兄からの話で、柚羽(ゆずは)と話すって事を聞いていた両親は私だと警察に言ってしまった。」

「柚羽(ゆずは)は、どうしてたん?」

「全てが終わった後に、私は帰宅した。映画を観に行ってたんだ。柚祢(ゆずね)が、好きな俳優のね。帰ってきた私に両親は、すごく驚いた。でも、否定する事は、もう出来ないから、柚祢(ゆずね)として生きて行って欲しいと頭を下げられた。頭が固くてね。人に頭を下げない両親が、私に頭を下げた。それだけで、私は全てを理解した。」

「そうやったんやね。でも、ずっと名乗られへんかったのは、辛かったんやない?」

僕の言葉に、首を横にふった。

「柚祢(ゆずね)と二人で生きてるみたいで嬉しかった。」

そう言って笑った。

「中学一年生の時に、君を見つけたのは柚祢(ゆずね)だった。僕は、君と三日間過ごした前の年に君を見つけた。双子だね。同じ人を好きになった。柚祢(ゆずね)は、男の子だからフリな部分が多いから…。二人で、協力した。」

「一日目に歩道橋にいたのは、柚羽(ゆずは)やんな?」

「そうだよ。いったん部屋からでて柚祢(ゆずね)と変わった。」

「僕は、柚祢(ゆずね)ともそうなったんよな?」

「そうだよ。関係をもっている」

「どのタイミングやったんか聞いてええの?」

柚羽(ゆずは)は、コーヒーを飲んで笑った。

「自分で考えて欲しい。その方が、柚祢(ゆずね)をずっと忘れずにいてもらえる。私は、その方が嬉しい。」

「わかった」

そう言いながらも、頭の中の整理はつかなかった。

最後にやったのは、柚祢(ゆずね)で間違いない。

キスマークも、そうやったんや。

でも、いつどのタイミングで、柚羽(ゆずは)と入れ替わったんだろうか?

「柚祢(ゆずね)は、男を感じさせなかっただろう?」

「そうやな、今、思い出しても全然わからへん。」

「兄に抱かれるために私をずっと装っていたから…。女性の感覚に近かったのだと思う。そんな柚祢(ゆずね)の人生は、いったい何だったのだろうか?」

淡々と話す話し方は、二人ともよく似ていた。

でも、声をあらげたのは柚祢(ゆずね)の方だったのではないか?

だとしたら、ラブホテルではどうなっていたのか…。

やっぱり、頭の中がグチャグチャだ。

「もう、考えなくていい。柚祢(ゆずね)と私は、一つになったのだから」

そう言って、柚羽(ゆずは)は笑った。

本当に双子かどうかもわからない。

実際に僕は、二人を同時に見ていない。

それでも、25年の苦しみから解放してくれたのは目の前にいる彼女で、ちゃんとお墓には柚羽(ゆずは)と書かれていて。

彼女は、紛れもなく女性で…。

やっぱり、頭の中はグチャグチャだ。

「もう、何(なん)も考えたない。僕は、今いる君と生きていくって決めたんやから」

「急に、どうしたの?」

「あの日、過ごしたのが誰かなんて関係ない。僕は、君と一生、生きていきたい。ええかな?」

「いいに決まってる」

柚羽(ゆずは)は、僕にキスをしてくれた。

「柚羽(ゆずは)」

「柚でいいよ」

「柚、旅行でも行こうか?」

「いいね」

あの頃は、金もなかった。

だから、どこにも連れ出せなかった。

「どこに行こうか?」

「遠いところがええな」

「うん」

「祖父母のいた場所にでもいかへんか?柚となら、行ける気がする」

「あの事件の場所か?」

「今なら、行ける気がするねん」

「もう、縛られたくないんだね」

「うん」

もう、縛られたくない。

25年間も縛られてきた思いを手放したい。

「一緒に行ってあげるよ」

そう言って、柚は笑った。

「柚は、解放されたんやな。」

「うん、今はとても幸せだよ」

「ほんなら、よかった」

僕は、柚の頭を撫でた。

「大好きやで、柚」

「私も、君が好きだよ。」

新しい人生をこれからは、二人で歩いていく。


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