16 / 17
三ヶ月後と真実
しおりを挟む
あれから僕は、柚羽(ゆずは)と一緒にいる事になった。
戸籍上は、朝井戸柚祢(あさいどゆずね)になっている。
古い週刊紙を見つめてる。
「遺体が、丸焦げで柚羽(ゆずは)か柚祢(ゆずね)か判断が出来なかった。」
僕は、コーヒーを柚羽(ゆずは)に渡した。
「ご飯を食べる場所に、私も行っていなかった。兄からの話で、柚羽(ゆずは)と話すって事を聞いていた両親は私だと警察に言ってしまった。」
「柚羽(ゆずは)は、どうしてたん?」
「全てが終わった後に、私は帰宅した。映画を観に行ってたんだ。柚祢(ゆずね)が、好きな俳優のね。帰ってきた私に両親は、すごく驚いた。でも、否定する事は、もう出来ないから、柚祢(ゆずね)として生きて行って欲しいと頭を下げられた。頭が固くてね。人に頭を下げない両親が、私に頭を下げた。それだけで、私は全てを理解した。」
「そうやったんやね。でも、ずっと名乗られへんかったのは、辛かったんやない?」
僕の言葉に、首を横にふった。
「柚祢(ゆずね)と二人で生きてるみたいで嬉しかった。」
そう言って笑った。
「中学一年生の時に、君を見つけたのは柚祢(ゆずね)だった。僕は、君と三日間過ごした前の年に君を見つけた。双子だね。同じ人を好きになった。柚祢(ゆずね)は、男の子だからフリな部分が多いから…。二人で、協力した。」
「一日目に歩道橋にいたのは、柚羽(ゆずは)やんな?」
「そうだよ。いったん部屋からでて柚祢(ゆずね)と変わった。」
「僕は、柚祢(ゆずね)ともそうなったんよな?」
「そうだよ。関係をもっている」
「どのタイミングやったんか聞いてええの?」
柚羽(ゆずは)は、コーヒーを飲んで笑った。
「自分で考えて欲しい。その方が、柚祢(ゆずね)をずっと忘れずにいてもらえる。私は、その方が嬉しい。」
「わかった」
そう言いながらも、頭の中の整理はつかなかった。
最後にやったのは、柚祢(ゆずね)で間違いない。
キスマークも、そうやったんや。
でも、いつどのタイミングで、柚羽(ゆずは)と入れ替わったんだろうか?
「柚祢(ゆずね)は、男を感じさせなかっただろう?」
「そうやな、今、思い出しても全然わからへん。」
「兄に抱かれるために私をずっと装っていたから…。女性の感覚に近かったのだと思う。そんな柚祢(ゆずね)の人生は、いったい何だったのだろうか?」
淡々と話す話し方は、二人ともよく似ていた。
でも、声をあらげたのは柚祢(ゆずね)の方だったのではないか?
だとしたら、ラブホテルではどうなっていたのか…。
やっぱり、頭の中がグチャグチャだ。
「もう、考えなくていい。柚祢(ゆずね)と私は、一つになったのだから」
そう言って、柚羽(ゆずは)は笑った。
本当に双子かどうかもわからない。
実際に僕は、二人を同時に見ていない。
それでも、25年の苦しみから解放してくれたのは目の前にいる彼女で、ちゃんとお墓には柚羽(ゆずは)と書かれていて。
彼女は、紛れもなく女性で…。
やっぱり、頭の中はグチャグチャだ。
「もう、何(なん)も考えたない。僕は、今いる君と生きていくって決めたんやから」
「急に、どうしたの?」
「あの日、過ごしたのが誰かなんて関係ない。僕は、君と一生、生きていきたい。ええかな?」
「いいに決まってる」
柚羽(ゆずは)は、僕にキスをしてくれた。
「柚羽(ゆずは)」
「柚でいいよ」
「柚、旅行でも行こうか?」
「いいね」
あの頃は、金もなかった。
だから、どこにも連れ出せなかった。
「どこに行こうか?」
「遠いところがええな」
「うん」
「祖父母のいた場所にでもいかへんか?柚となら、行ける気がする」
「あの事件の場所か?」
「今なら、行ける気がするねん」
「もう、縛られたくないんだね」
「うん」
もう、縛られたくない。
25年間も縛られてきた思いを手放したい。
「一緒に行ってあげるよ」
そう言って、柚は笑った。
「柚は、解放されたんやな。」
「うん、今はとても幸せだよ」
「ほんなら、よかった」
僕は、柚の頭を撫でた。
「大好きやで、柚」
「私も、君が好きだよ。」
新しい人生をこれからは、二人で歩いていく。
戸籍上は、朝井戸柚祢(あさいどゆずね)になっている。
古い週刊紙を見つめてる。
「遺体が、丸焦げで柚羽(ゆずは)か柚祢(ゆずね)か判断が出来なかった。」
僕は、コーヒーを柚羽(ゆずは)に渡した。
「ご飯を食べる場所に、私も行っていなかった。兄からの話で、柚羽(ゆずは)と話すって事を聞いていた両親は私だと警察に言ってしまった。」
「柚羽(ゆずは)は、どうしてたん?」
「全てが終わった後に、私は帰宅した。映画を観に行ってたんだ。柚祢(ゆずね)が、好きな俳優のね。帰ってきた私に両親は、すごく驚いた。でも、否定する事は、もう出来ないから、柚祢(ゆずね)として生きて行って欲しいと頭を下げられた。頭が固くてね。人に頭を下げない両親が、私に頭を下げた。それだけで、私は全てを理解した。」
「そうやったんやね。でも、ずっと名乗られへんかったのは、辛かったんやない?」
僕の言葉に、首を横にふった。
「柚祢(ゆずね)と二人で生きてるみたいで嬉しかった。」
そう言って笑った。
「中学一年生の時に、君を見つけたのは柚祢(ゆずね)だった。僕は、君と三日間過ごした前の年に君を見つけた。双子だね。同じ人を好きになった。柚祢(ゆずね)は、男の子だからフリな部分が多いから…。二人で、協力した。」
「一日目に歩道橋にいたのは、柚羽(ゆずは)やんな?」
「そうだよ。いったん部屋からでて柚祢(ゆずね)と変わった。」
「僕は、柚祢(ゆずね)ともそうなったんよな?」
「そうだよ。関係をもっている」
「どのタイミングやったんか聞いてええの?」
柚羽(ゆずは)は、コーヒーを飲んで笑った。
「自分で考えて欲しい。その方が、柚祢(ゆずね)をずっと忘れずにいてもらえる。私は、その方が嬉しい。」
「わかった」
そう言いながらも、頭の中の整理はつかなかった。
最後にやったのは、柚祢(ゆずね)で間違いない。
キスマークも、そうやったんや。
でも、いつどのタイミングで、柚羽(ゆずは)と入れ替わったんだろうか?
「柚祢(ゆずね)は、男を感じさせなかっただろう?」
「そうやな、今、思い出しても全然わからへん。」
「兄に抱かれるために私をずっと装っていたから…。女性の感覚に近かったのだと思う。そんな柚祢(ゆずね)の人生は、いったい何だったのだろうか?」
淡々と話す話し方は、二人ともよく似ていた。
でも、声をあらげたのは柚祢(ゆずね)の方だったのではないか?
だとしたら、ラブホテルではどうなっていたのか…。
やっぱり、頭の中がグチャグチャだ。
「もう、考えなくていい。柚祢(ゆずね)と私は、一つになったのだから」
そう言って、柚羽(ゆずは)は笑った。
本当に双子かどうかもわからない。
実際に僕は、二人を同時に見ていない。
それでも、25年の苦しみから解放してくれたのは目の前にいる彼女で、ちゃんとお墓には柚羽(ゆずは)と書かれていて。
彼女は、紛れもなく女性で…。
やっぱり、頭の中はグチャグチャだ。
「もう、何(なん)も考えたない。僕は、今いる君と生きていくって決めたんやから」
「急に、どうしたの?」
「あの日、過ごしたのが誰かなんて関係ない。僕は、君と一生、生きていきたい。ええかな?」
「いいに決まってる」
柚羽(ゆずは)は、僕にキスをしてくれた。
「柚羽(ゆずは)」
「柚でいいよ」
「柚、旅行でも行こうか?」
「いいね」
あの頃は、金もなかった。
だから、どこにも連れ出せなかった。
「どこに行こうか?」
「遠いところがええな」
「うん」
「祖父母のいた場所にでもいかへんか?柚となら、行ける気がする」
「あの事件の場所か?」
「今なら、行ける気がするねん」
「もう、縛られたくないんだね」
「うん」
もう、縛られたくない。
25年間も縛られてきた思いを手放したい。
「一緒に行ってあげるよ」
そう言って、柚は笑った。
「柚は、解放されたんやな。」
「うん、今はとても幸せだよ」
「ほんなら、よかった」
僕は、柚の頭を撫でた。
「大好きやで、柚」
「私も、君が好きだよ。」
新しい人生をこれからは、二人で歩いていく。
0
あなたにおすすめの小説
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
すべてはあなたの為だった~狂愛~
矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。
愛しているのは君だけ…。
大切なのも君だけ…。
『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』
※設定はゆるいです。
※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる