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謎のお届け物
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「柚からの、誕生日プレゼント…?」
段ボールを開けた。
誕生日なんて、話した覚えはなかった。
[40歳の誕生日おめでとう。もしも、この荷物を君が無事に受け取ったなら、会いに来てくれないかな?あの歩道橋で待っています。]
十字架のネックレス…。
綺麗なままだった。
僕は、家を飛び出た。
ザァー
ドンッ、ゴロゴロ
あの日と同じ天気だった。
鍵を締めて、家をでる。
大きな黒い傘をさして、歩道橋にやってきた。
先客がいた、真っ白なワンピースを来た女の人。
僕を見つめて、その人が話す。
「明日、君は後悔する。だけど、自分を責めないでいい。TVのコメンテーターが、好き勝手言っても…。気にしなくていい。君に出来ることは、これしかなかった。そうだろ?青(しょう)」
深く被った帽子を放り投げた。
「柚羽なんか?」
その人は、僕に笑いかけた。
「覚えていてくれて、嬉しいよ」
淡々と話す言葉が懐かしい。
「生きてたん?」
「勘違いするな、君とよく過ごしていたのは、朝井戸柚祢(あさいどゆずね)。双子の弟だ。」
「えっ?」
僕は、持っていた傘を落とした。
「ホテルに行ったのは、私だよ。あの日、君と体の関係を持ったのは私だ。だけど、それ以外の事をしていたのは弟だ。」
「背中の火傷は?」
「それは、私だ。」
「お兄ちゃんを殺したんは?」
「弟だよ」
25年経って、頭の中がグチャグチャになった。
「双子やったん?」
「そうだ」
「僕を刺したんは?」
「弟だ。」
「じゃあ、性的虐待を受けてたんわ?」
「弟だ。私は、両親からの虐待を受けていた。」
「僕を好きやったのは…?」
「弟だ。」
頭の中が、グチャグチャでその場に崩れ落ちた。
「何で、僕とやったんや」
「君を、助けて欲しいと頼まれたから」
柚、そっくりの女の人は、僕の頬を触(さわ)る。
「25年後、君がまだ一人でいたら傍にいてやって欲しいと言われた。」
「僕を好きやないのに?」
「好きだよ。君の事を、私も好きになった。柚祢(ゆずね)は、それを許さなかった。もし、君が気づいたら兄を殺す計画はやめるって話しになった。気づかなかったら、実行する。たった3日で見破れないと話したけれど…。柚祢(ゆずね)は、やりたいと言った。」
「僕が、ずっと会いたかったんは、柚祢(ゆずね)やったん?」
「そうじゃない?嫌なら、私は、消えるよ」
「待って、行かんといて。もう、無理や。どっちでもええ。もう、いなくなったら生きていかれへん。二度目のサヨナラは無理や。二度と立ち直られへんくなる。」
僕は、涙が止まらなかった。
「なら、君は私と一緒になるしかないよ」
柚羽(ゆずは)は、僕の手からネックレスを受け取った。
「もう、いなくならん?」
15歳の僕が顔を出して、柚羽(ゆずは)に聞いた。
「大丈夫。ならない」
そう言って、抱き締めてくれた。
「再会したら連れて行きたかった場所がある。」
そう言って、彼女は僕を立たせた。
大きな傘を手に取った、中の水を落としてから、二人ではいる。
柚羽(ゆずは)が、住んでいた家のあった場所は、駐車場にかわっていた。
バスに乗り込んだ。
「お姉ちゃんって君の事だったの?」
「そうだ」
窓から流れる景色を見つめている。
「両親は?」
「死んだよ。二年後に…。」
「なんで、死んだん?」
「交通事故だった。兄の奥さんも、兄が死んだ年に流産した。なぜ、君はあの日記を世間に出さなかったのだ?」
「出せなかった。受け止めたくなくて」
バスを降りて並んで歩く。
「柚祢(ゆずね)のお墓だ。両親が、別で作った。悪魔と悪魔は一緒に入れって。私を指差した。」
柚祢(ゆずね)…。
男の子だって、知らなくてごめんね。
僕が、ちゃんと見抜けていたら…
この世界にいたんだよね。
「誕生日を知っていたのは?」
「全部、探偵に頼んだ。」
「そうやったんやね。会いに来てくれてありがとう」
そう言って僕は、笑った。
「本当は、兄から、虐待をされるのは私だった。だけど、柚祢(ゆずね)がかわってくれた。女の子には、耐えられないと言って…。それでも、あいつはやってきた夜這いってやつだよ。夜になって襲われそうになるから、寝る場所をかわってくれた。何度も何度も繰り返し、兄は柚祢(ゆずね)で我慢すると言った。それから、両親からの暴力は私が受け止めて、柚祢(ゆずね)は、兄からの虐待を受け止めてくれた。脳裏に焼き付いて離れない兄の姿と柚祢(ゆずね)の顔。いつか、必ず救い出すと何度も約束した。なのに、私は助ける事が出来なかった。」
「僕も同じだよ」
「だから、君を助けにきたんだ。」
「えっ?」
「柚祢(ゆずね)のかわりに、君を助けにきた。これからは、ずっと一緒にいてあげるよ」
そう言って、柚羽は僕を抱き締めてくれた。
25年間の苦しかった日々が、今、終わろうとしている。
[僕を見つけてくれて、柚祢(ゆずね)、ありがとう。]
あの日も、こんな雨だった。
無力で、ちっぽけで、何も出来なかった。
知恵も金も何もなかった。
だけど、一つだけ確かに存在していたものがあった。
僕の中にも、柚祢(ゆずね)の中にも、柚羽の中にも…。
「愛してる」
ビカッ、ドーン、ザァー。
地鳴りみたいな雷とシャッターのような稲光と声もかきけされる程のどしゃぶりな雨の中。
僕と柚羽は、大きな声で叫んだ。
段ボールを開けた。
誕生日なんて、話した覚えはなかった。
[40歳の誕生日おめでとう。もしも、この荷物を君が無事に受け取ったなら、会いに来てくれないかな?あの歩道橋で待っています。]
十字架のネックレス…。
綺麗なままだった。
僕は、家を飛び出た。
ザァー
ドンッ、ゴロゴロ
あの日と同じ天気だった。
鍵を締めて、家をでる。
大きな黒い傘をさして、歩道橋にやってきた。
先客がいた、真っ白なワンピースを来た女の人。
僕を見つめて、その人が話す。
「明日、君は後悔する。だけど、自分を責めないでいい。TVのコメンテーターが、好き勝手言っても…。気にしなくていい。君に出来ることは、これしかなかった。そうだろ?青(しょう)」
深く被った帽子を放り投げた。
「柚羽なんか?」
その人は、僕に笑いかけた。
「覚えていてくれて、嬉しいよ」
淡々と話す言葉が懐かしい。
「生きてたん?」
「勘違いするな、君とよく過ごしていたのは、朝井戸柚祢(あさいどゆずね)。双子の弟だ。」
「えっ?」
僕は、持っていた傘を落とした。
「ホテルに行ったのは、私だよ。あの日、君と体の関係を持ったのは私だ。だけど、それ以外の事をしていたのは弟だ。」
「背中の火傷は?」
「それは、私だ。」
「お兄ちゃんを殺したんは?」
「弟だよ」
25年経って、頭の中がグチャグチャになった。
「双子やったん?」
「そうだ」
「僕を刺したんは?」
「弟だ。」
「じゃあ、性的虐待を受けてたんわ?」
「弟だ。私は、両親からの虐待を受けていた。」
「僕を好きやったのは…?」
「弟だ。」
頭の中が、グチャグチャでその場に崩れ落ちた。
「何で、僕とやったんや」
「君を、助けて欲しいと頼まれたから」
柚、そっくりの女の人は、僕の頬を触(さわ)る。
「25年後、君がまだ一人でいたら傍にいてやって欲しいと言われた。」
「僕を好きやないのに?」
「好きだよ。君の事を、私も好きになった。柚祢(ゆずね)は、それを許さなかった。もし、君が気づいたら兄を殺す計画はやめるって話しになった。気づかなかったら、実行する。たった3日で見破れないと話したけれど…。柚祢(ゆずね)は、やりたいと言った。」
「僕が、ずっと会いたかったんは、柚祢(ゆずね)やったん?」
「そうじゃない?嫌なら、私は、消えるよ」
「待って、行かんといて。もう、無理や。どっちでもええ。もう、いなくなったら生きていかれへん。二度目のサヨナラは無理や。二度と立ち直られへんくなる。」
僕は、涙が止まらなかった。
「なら、君は私と一緒になるしかないよ」
柚羽(ゆずは)は、僕の手からネックレスを受け取った。
「もう、いなくならん?」
15歳の僕が顔を出して、柚羽(ゆずは)に聞いた。
「大丈夫。ならない」
そう言って、抱き締めてくれた。
「再会したら連れて行きたかった場所がある。」
そう言って、彼女は僕を立たせた。
大きな傘を手に取った、中の水を落としてから、二人ではいる。
柚羽(ゆずは)が、住んでいた家のあった場所は、駐車場にかわっていた。
バスに乗り込んだ。
「お姉ちゃんって君の事だったの?」
「そうだ」
窓から流れる景色を見つめている。
「両親は?」
「死んだよ。二年後に…。」
「なんで、死んだん?」
「交通事故だった。兄の奥さんも、兄が死んだ年に流産した。なぜ、君はあの日記を世間に出さなかったのだ?」
「出せなかった。受け止めたくなくて」
バスを降りて並んで歩く。
「柚祢(ゆずね)のお墓だ。両親が、別で作った。悪魔と悪魔は一緒に入れって。私を指差した。」
柚祢(ゆずね)…。
男の子だって、知らなくてごめんね。
僕が、ちゃんと見抜けていたら…
この世界にいたんだよね。
「誕生日を知っていたのは?」
「全部、探偵に頼んだ。」
「そうやったんやね。会いに来てくれてありがとう」
そう言って僕は、笑った。
「本当は、兄から、虐待をされるのは私だった。だけど、柚祢(ゆずね)がかわってくれた。女の子には、耐えられないと言って…。それでも、あいつはやってきた夜這いってやつだよ。夜になって襲われそうになるから、寝る場所をかわってくれた。何度も何度も繰り返し、兄は柚祢(ゆずね)で我慢すると言った。それから、両親からの暴力は私が受け止めて、柚祢(ゆずね)は、兄からの虐待を受け止めてくれた。脳裏に焼き付いて離れない兄の姿と柚祢(ゆずね)の顔。いつか、必ず救い出すと何度も約束した。なのに、私は助ける事が出来なかった。」
「僕も同じだよ」
「だから、君を助けにきたんだ。」
「えっ?」
「柚祢(ゆずね)のかわりに、君を助けにきた。これからは、ずっと一緒にいてあげるよ」
そう言って、柚羽は僕を抱き締めてくれた。
25年間の苦しかった日々が、今、終わろうとしている。
[僕を見つけてくれて、柚祢(ゆずね)、ありがとう。]
あの日も、こんな雨だった。
無力で、ちっぽけで、何も出来なかった。
知恵も金も何もなかった。
だけど、一つだけ確かに存在していたものがあった。
僕の中にも、柚祢(ゆずね)の中にも、柚羽の中にも…。
「愛してる」
ビカッ、ドーン、ザァー。
地鳴りみたいな雷とシャッターのような稲光と声もかきけされる程のどしゃぶりな雨の中。
僕と柚羽は、大きな声で叫んだ。
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