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エピローグ

見たことがある人!

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次の日、私達は家族全員で病院に行く。ロビーですれ違う車椅子の女の人とそれを押してる男の人に目を奪われる。

何だろう?見た事がある気がする…。でも、思い出せない。
誰だっけ?誰だっけ?
頭の奥の方に引っ掛かってる気がするの…。
また、後で考えよう。
診察室に呼ばれてはいる。

「おめでとうございます。妊娠していますよ」

ニコニコ笑う先生の言葉に凄く涙が流れてきた。何でだろう?
私、三人目なのに…。

「ご主人と娘さんも呼びますか?」

「はい」

そう言って、看護士さんが誠と雪那を呼びに行った。

「どうぞ」

誠と雪那がやってきた。
エコー映像を見ながら、誠は私より泣き出した。

「大丈夫?パパ」

「ごめん。何か、凄いね」

「パパ、へんだよー」

「ごめん、ごめん」

先生は、私達を見ながら終始微笑んでいた。診察が終わり私達は、診察室から出た。

「パパ、泣きすぎだよ」

「ごめん、何か本当に嬉しくて」

そう言って私が渡したハンドタオルで涙を拭っていた。やっぱり、誠は変わろうとしているのがわかった。私は、看護士さんからお会計のファイルを受け取って歩き出した。

「よかったね!葵」

「ありがとう、誠」

私達を雪那が見つめる。

「ママとパパ何かへん!」

「変かな?」

「パパは優しくてへん!」

「こんなパパは、嫌?」

「ううん、大好き」

「お会計俺がしてくるから、座って待ってなよ」

「ありがとう」

「せつなも行くーー」

「はい、はい!」

そう言って、二人はお会計に言ってしまった。

私は、さっきの人達を思い出そうとしていた。抱っこしてる恭介を見つめる。
昔に比べて、よく眠るようになったね。
私は、恭介の髪の毛を撫でながら頭の奥にある何かを引っ張っていく。

「ママ」

「帰ろう」

「うん」

望んだ人生だったけど、驚く程に不幸が染み付いていた。私は、許されるのならばこの人生は選びたくなかった。それでも、もう進むしかないのだ。

そう思っていたのを私は、思い出した。

「ママ、帰ろう」

ボッーとしてる私を雪那が引っ張る。

「ごめんね」

「いいよ」

だけど、何でだろう?

今の誠となら、もう一度歩ける気がするのが不思議!

「ママ、お茶飲むー」

「パパ、鞄から麦茶取って」

「麦茶?」

「水筒の」

「ああ、これね」

誠は、雪那に麦茶を渡した。小さなペットボトルで麦茶を飲んでいる。

「パパ飲む?」

「飲む」

「誠、麦茶嫌いだったよね?」

「えっ?何で?あー、葵が入院してる間に飲めるようになったんだよ!母さんがさ、好きだから麦茶」

「えっ?そうだったっけ」

「そうだよ!気にしない、気にしない」

そう言って、ニコニコ笑いながら麦茶を飲んでいる。
変な誠…。
私は、誠を見ながら笑っていた。


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