白と黒、未来へ

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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いつでも、話してよ。

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れんは、キッチンの俺の横にやってきた。

れん「そんなにいれたら、苦いよ。」

俺の手からコーヒーをとる。

洋「ごめん。俺、酷い話してるよな。」

れん「ちょっとだけ、傷ついた。僕と過ごした日々は、洋にとって意味がなかったのかなって思ったから…。」

洋「あるよ。れんのお陰で、俺は生きてる。れんが居たから、皆にも出会えた。でも、やっぱり。れんと最後にちゃんと別れて、前向けたって思ってたけど…。時々、悪夢見るし、あいつ等に似たやつ見たらあしがすくんでさ。」


れん「うん。」


洋「でも、的井さんといたら救われる気がしたんだ。」

れんが、黙ってお湯を沸かす。

洋「叔母さんの事で、幸せになるのが怖い事も。的井さんと過ごしたら、消える気がして」

れんは、俺を見た。

れん「僕もそう思うよ。」って笑った。

洋「そうかな?」

れん「的井さん、洋と同じ感じがしたから…。生きるだけで、精一杯な人だと思った。一緒に居たら、お互いの傷を取り除ける気がしたよ。ただ、僕はやきもちやいたんだよ。心が離れるんじゃないかって思って」

お湯が沸いて、れんがコーヒーカップにお湯を注ぐ。

洋「れんと感じた気持ちを的井さんに感じる事はないよ。それに、心は離れないよ。ただ、れんも拜島さんも亜香里も支えていきたい。その為にも、俺には的井さんが必要なんだ。」

れんは、コーヒーを渡してくれた。

れん「一緒に住むんでしょ?ここが、なくなるのは寂しいけど。心にいっぱい思い出があるから」

そう言って笑う。

洋「俺さ、れんと一緒に生きてきた日々を…。誰かに話すつもりは、ないんだよ。的井さんは、大切な思い出を全部話す必要はないって言ってくれた。俺、れんとの大切な思い出は誰にも言いたくない。最後のお別れの日も、忘れたくないし、あの日触れたぬくもりも覚えていたい。だから、れんも誰にも話さないでよ。拜島さんにも…。」

俺の涙が、コーヒーカップにポタポタ落ちてく。

れん「話すわけないよ。大切な大切な忘れたくない思い出なんだから…。」そう言って笑ってくれた。

洋「ありがとう。」俺は、涙を拭って言った。

れん「僕も洋も、これから大変な事がたくさんあると思う。お互い頑張ろう」笑顔で、れんが言う。

洋「拜島さん、れんに触れられなくなってるのか?」

俺の言葉に、れんが顔をあげた。

れん「キスとか抱き締めるとかが、出来ないんじゃないかなって僕は思ってる。」

洋「どんな夢を見ていたかは、わからないけど…。また、れんに触れられるようになるよ。今は、無理なだけだよ。」

れん「記憶整理する度にそうなるのかな?」

洋「そうだろうとは、思う。でもさ、れんへの愛情を思い出したから一緒にいれてるんだから…。不安にならなくて大丈夫だよ。何度だってれんを見つけてくれるよ。拜島さんなら」

そう言って俺は、笑った。

れん「また、こうやって話がしたい。洋に話したら不安な気持ちが減るから。」

洋「いつでも話してよ。」

れん「ありがとう。」

れんが、そう言って笑った。

洋「拜島さんといるの幸せ?」

れん「うん。」

洋「よかった。」

れんが笑ってるだけで、俺は幸せを感じるよ。

れん「いつから行くの?的井さん所」

洋「お店が開くまでには、行こうと思ってるよ。少しずつ整理して」

れん「僕も荷物取りにくるよ」

洋「うん。」

れんと向かい合ってコーヒーを飲んだ。

ここでの日々が、思い出される。

もう二度と触れ合う事はない。

それでも、こんなに幸せで


れん「亜香里との結婚は、やめたんだね。」

洋「うん。支えたいのは、本当。でも、支える人間がこれじゃ駄目だわ。」

れん「僕も、色々覚えてるからなんか複雑。」

洋「なかった事には、できないもんな。」

れん「うん。あの日見せられたのとか脳裏に浮かんでくるから」

洋「俺も、あの日の亜香里の言葉や亜香里の事、思い出すから」

れん「それでも、向こうは覚えてないから忘れる努力しなきゃいけないよね。」

洋「そうだな。一緒にいるのを決めたからには、そうしなきゃな」

れん「同じ人がいるだけで、心強いよ。」

洋「そうだな。」俺達は、笑い合った。

れんは、用意するねとコーヒーカップをキッチンに置いて行ってしまった。

俺達は、覚悟を決めたんだ。

辛い時は、こうやって話そう。

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