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10年以上の時を越えてヒロインと悪役令嬢は相対した
しおりを挟むミェースチはシャルティエ女王の寝室に出向く。ミェースチは震える手でその扉を開ける。
「……ミェースチ姉さん」
「シャルティエ……シャルティエ!!」
開けた瞬間。疲れた表情のシャルティエと怒りに唇を噛んだミェースチが相対し、レイチェル姫にウリエルとガブリエル、ラファエルにミカエルが待機する。他の騎士は扉の外で剣を抜く。
紅の鎧を身を包んだミェースチに白いドレスに身を包んだシャルティエは全く油と水のように違っていた。
「……会いたかったわ!! シャルティエ!!」
「……ふぅ。会いたくありませんでした。ミェースチ姉さん。いいえ、メアリー姉さま」
「ふふ。なつかしい名前ね。シャルティエ。どう? こんな場所でなーにしてるの? 私は頑張ったわ!! どう見てた!? 聞いてた!?」
「……はい」
「ふふふ!!」
「聞いて。何年も前から敗けを認めて生きる気力を失ってます……メアリー姉さん。ごめんなさい。もう……あなたが一番です」
「へ?」
満足げに胸をはっていたミェースチは突然の敗北宣言に固まる。
「私は何も出来なかった。民を煽動し、勇気をミェースチ女王は見せたけど。私には出来なかった。ミェースチ女王は大陸で名を残すのに私には何も残すものがない……だから。本当に……ずっと……負けてます。メアリー姉さん……こんな私に復讐する価値はあるのでしょうか?」
「……はは……ねぇ何言ってるの? ねぇ? あなたは私の宿敵でしょ? ねぇ? なに弱々しい言葉を吐くの? 女王でしょ? 私とは違い清く正しい女王でしょ? 騎士団だって……民に慕われてるのでしょ?」
「そんな人は……ごめんなさい。居ないのです」
「嘘よ。だって……娘を送り出すぐらい非道になれるでしょ? もっとこう……私のように立派に……」
「メアリー姉さんのように私はなれません……どうぞ……その剣で終わらせてください」
シャルティエの弱々しい姿にミェースチが少しずつ牙をむく。周りがざわつき出す。
「はぁああああ!! なに弱々しい言葉を!! 弱々しい姿を!! シャルティエ!! あなたはもっと!! 強くて!! 王国の女王なのよ!! 目を覚ましなさい!! 覚ませ!! 娘を死地に追いやる非道な事も出来る女王なのよ!!」
ミェースチがシャルティエに拳を握って殴り抜こうとする。周りが慌ててミェースチを取り押さえた。ラファエルとミカエルは腕を、ガブリエルは前から抱き付いて押さえる。レイチェルもシャルティエを護るように前に出た。
「退きなさい!! 目を覚まさせてやる!!」
「母上!! 殴ってはだめです!!」
「お母ちゃん!! 強い!!」
「お母様!! 殴ったら死にます!!」
「お義母さん!! お義母さん……やめて!! やっぱり……殺されたくない……」
「退きなさい!! 許せるの!! あなたを死地に追いやった事を!! 私に殺させようとしたのよ!!」
「許せる!! だってお義母さんに会ったから!!」
「なら!! 退きなさい!! こんな娘を送り出す糞親を殴らせろ!!」
ミェースチが牙を向く。シャルティエは腰が引くが。レイチェルが支える。シャルティエはその逞しいレイチェルの姿に……ミェースチの子になったことを察した。ここでも敗北を見せられるのかと。
「母上!! シャルティエ女王の復讐は……終わってるんです!!」
「そうです!! お母ちゃん!! シャルティエ女王はもう最初から敗けを認めて……ずっとひき込もってた!!」
「お母さん!! 復讐する相手はすでに……すでに……お母さんに絶望的な復讐を味わっていたんです‼ 精神面で!!」
「知るかぁ!! 騙されるな!! これが奴の手口だ!! 護られる!! 物語の姫のように!! そして!! 爪を研ぐのよ!! いつか!! いつか!! 私に勝つために!!」
「母上!!」「お義母さん!!」「母さん!!」「お母様!!」
ミェースチが牙のように歯を向けながら魔物のように叫ぶ。シャルティエを殴るしか考えず。皆がそれをやめさせようと動く。そして……皆がある王子に向き声を出す。
「ウリエル!!」「ウリエルお義兄さん!!」「ウリエルお兄様!!」「ウリエル兄ちゃん!!」
静観していた長兄は声に対して頷く。マントを翻し、宣言した。
「様子を見てましたが……わかりました。他言無用でお願いします。この場を治めましょう」
皆が喜ぶ。ウリエル満面の笑みでそれに答えた。
「頼られるのは好きです。そして、誰よりも……母上を愛してます。母上!!」
「ウリエル!! 邪魔をするなら……例え……一番愛した息子だろうと噛み殺す!!」
「やってみろメアリー。返して貰う!! 僕の母上を!!」
ウリエルがそう言い。皆が期待する中で……ウリエルはミェースチの背後に立ち。勢いよく。
ズボッ!!
ミェースチの谷間が空いている鎧の胸当てに手を入れる。もちろんしっかりと掴み揉む。
「「「「「!?」」」」」
ウリエルの奇行に皆が驚く。シャルティエは恥ずかしくなり目線を反らせ。ミェースチは……ゆっくりとゆっくりと顔を紅くする。他の全員も何があったか理解し……あのウリエルがとビックリする。
「……は……は……はああ……はぁあああ!? きゃあああああああああああああ!! ウリエル!! あなた何をしてるの!! ラファエル!! ちょっと離しなさい!!」
ラファエルが離し、皆が一斉にミェースチから離れる。ウリエルはそれでも胸から手を抜こうとせず。それをミェースチは掴み。握りつぶす。慌ててウリエルは抜いた瞬間にミェースチは一回転し、ウリエルの顔面に拳を叩き込む。体制を崩し、床に叩きつけられるウリエル。
「ウリエル!! あなた!! 何をしたかわかってる!!」
「胸を揉みました。柔らかくスベスベしてまし……ぐべ!?」
床に叩きつけられたウリエルをミェースチは踏み潰そうとする。グリグリとし……ミェースチは涙目で胸を押さえる。
「どうしてあなたはそういうことするの!! ウリエル!!」
「最近……させていただけないので……ぐべ」
「最近以前に!! あれ以降!! させてないでしょ!!」
「キッチンで一回……」
「「「「キッチンで一回……」」」」「ミェースチ姉さん……もしかして……」
ミカエル、ガブリエル、レイチェル、シャルティエ、ラファエルはある事がおもいつく。ミェースチは体を抱きながら……唇を噛む。
「殺して……私を殺して。いえ……ウリエル死になさい」
「嫌です。母上……愛してます」
「ウリエル!! 黙ってお願い!! お願いだからあなたは黙って!! 死ね死ね!! 私には旦那がいるのよ!!」
「売ってもらいましたが?」
「殺す!! そして私も死ぬ!!」
ミェースチは剣を抜き。ウリエルの腹に刺そうとし、今度は皆がそれをやめさせようと躍起になる。そして……ウリエルは立ち上がりながら笑みを溢す。
「母上、恨むなら恨んでください……そして……」
ウリエルはシャルティエに近付く。シャルティエはそのウリエルに違う意味で恐怖を抱き、微かな声を聞く。
「シャルティエ女王……母上の復讐もいただきます。あなたには勿体ないですからね」
シャルティエは……後ろに下がり。震える目でウリエルを見たのだった。
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