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小瓶の中の悪役令嬢
しおりを挟む「お母さん。お話して!!」
「そうねぇ。じゃぁ……これはこれは昔のお話です」
「昔のお話?」
「そう、昔の姫のお話です」
「ふーん」
「ある所に一人の悪~い、悪~いお嬢さんがいました」
「うん」
「お嬢さんはよく人をバカにし苛めていましたがそんな中で恨みを買い。小瓶に閉じ込められてしまいます」
「自業自得」
「あら、難しい言葉なのに偉いわ」
「へへ」
「そう、自業自得。だけど、大事なお話です」
*
「……なんで私が封印されないといけないのですか!!」
「心当たりがないと申すかね。シルフィ……君は彼女を苛めていたのでしょう」
「……さぁ」
「君は人ではない妖精の血をもつ。だが、イタズラが過ぎたな」
「……」
「彼女は君を見ると怖がる。故に封印し、彼女の見えない場所へ置く。シルフィ……君はやり過ぎたのだ。皆の前では公開処刑ではなく。私刑であることは君の家族も了承している。家を汚したと事と今までの行いに大怒りです」
「……それで? そのまま蓋をするのかしら?」
「ああ。蓋をする。そして一番信用出来る騎士に君を託し封印を破らないように監視させる。残念だが自由はない」
「ふん!! どうせ、あなたの親友のあの学園にいる騎士見習いでしょ」
「ああ、そうです」
(気に食わない……本当に)
*
「これを君にお願いします」
「これは……」
「シルフィを封印した瓶だ。小さい瓶だが彼女はいる」
「瓶詰め妖精か。シルフィもこうなってしまえばもう。悪さも出来ない。考えるじゃないか」
「そうだな。彼女の家もこれで悪評は広がらない」
「……あぁあああああ!! 出しなさい!! やっぱり我慢できないわ!! くそくそ割れろぉ!!」
「破天荒な悪霊かな?」
「親友のよしみで頼む。シルフィの封印をお願いします」
「ああ、わかった」
「くぅ、出たら覚えておきなさい」
「元気な瓶だなぁ」
*
「……暇、暇よ。何もできないなんて暇よ。見えるのは仏頂面の男の顔だけ」
「……」
「やーいやーい」
「……」
「お前の性格、悪魔以下」
「……怒りを抱かせて割らそうとするのやめろよ。わかってるぞ」
「ちっ」
「瓶詰め前のお前……まだしっかりと令嬢してたな。中身そんなのだったか」
「面を被ってる令嬢なんて見ればわかるわよ」
「……女を信じれなくなるな。彼女もそうなのか?」
「ミルフィの事かしら? あれはただの無知とバカなだけよ」
「なるほど。素なのか。可愛いじゃないか」
「あーあ、男ってあんなの好きねぇ。馬鹿馬鹿しい」
「……しょうがない。この学園ではああいう子が珍しいからな」
「ふーん。本当に馬鹿馬鹿しいわ」
「それよりもなんで今までのあの子に突っ掛かったんだ?」
「そうね、せっかくだし話してあげるわ。元々は他の令嬢も嫌っていたわ。ぶりっ子で、可愛いし、綺麗だから。それに優しい性格で醜くなく。そこを知ってる男が友達など連れてはいモテモテ」
「嫉妬心か……シルフィも可愛い所あるな。嫉妬抱くのな」
「………くっ!!」カンカンカンカンカンカン
「こら!! うるさい!! バレたからって叩くなよ自分が話したじゃないか」
「悔しい!! 夜中も鳴らしてやるぅ!!」
「いや迷惑な!?」
*
「ふぁああん。見るだけの舞踏会はなんてつまらないのかしらね」
「気が合うな。俺もだ」
「あら、じゃぁなんで来たのよ」
「親友が誘ったからな。まぁ今は俺よりもあっちに夢中っと」
「ミルフィね。まぁ~お綺麗なこと。胸も寄せちゃって」
「本当にズケズケ言うなシルフィ。今までよく我慢したな」
「ふふふ。腹黒いのはもう諦めてます。ミルフィが眩しく見えるほどにね」
「全くな……」
「あら、何処へ行きますの?」
「腹も満たせたし風を感じに」
「王子の親友が姫と踊りますわよ。一緒に誰かと踊らないの?」
「騎士に踊りは似合わない。似合うのは剣を持った時だけだ」
「あらぁ? 気になる子でもいないのかしら? あなたモテるでしょう? そこの女でも連れていきなさいよ」
「瓶詰めアクセサリーにスッゴいお喋りなのがいるのに近付けないぞ」
「ふふ、黙っておくわ。面白そうじゃない……女の媚びた仮面を見るの」
「おれは却下」
「あら、満月綺麗じゃない」
「……そうだな。綺麗だな」
「なに哀愁漂わせてるのよ……全く。ミルフィの事気になるのでしょ」
「お、おまえ!?」
「瓶から見えていたわ。ずっと見ていたのも、せっかく忘れさせるきっかけ教えたのに。ミルフィを見る目がいつもと違ってたわ」
「……」
「まぁ、しょうがないわ。彼の本気は私を瓶詰めにしたことも私の親族に話しに行ったことも全部。ミルフィのためだものね」
「だなぁ」
「告白しなさいよ」
「親友と喧嘩になる。嫌だね」
「修羅場をここから見たかった」
「残念だったな。意思は硬い」
「ふーん。まぁいいわ。今の私には引っ掻き回す力もない。精々、話に付き合ってあげるだけよ……どうせ。ミルフィが立派な令嬢となって卒業するまでこのままよ。胸の内、吐露したら少し楽になるわ……私のようにね」
「少し、もう少し、内の吐露を黙って居てくれたら嬉しかったのにな。疑心暗鬼だよ女性に対して」
「ふふ、よう……ござんした。ミルフィとの出会いは王子からの紹介でしょ」
「ああ、そうだな。親友が相談で気になる人がいると言い。俺と一緒に話しかけにな。親友は女性からやってくるから初めて声を逆に行くとなると不安でおれ同伴だった」
「……うわぁ。王子さま」
「親友の前だけ弱い自分を見せてくれる。俺も心がおれそうな時ほど頼ったし悩みを相談した。まぁ、今は俺の代わりになるほどの人を見つけたからなぁ」
「逆にあなたが相談出来なくなった」
「出来るわけないだろ。ミルフィに好意を持ってる事なんてな。せっかく出来た恋人なんだから。婚約者候補いっぱいいるのにな……だが、それでもだからこそ。昔からの親友を俺は応援したい」
「熱い友情ね。壊したい」
「瓶詰めして正解だなぁ。まぁ、それに俺が好意を持ったとしてももう。すでにああも仲良くなったらな」
「遅かったのねぇ……そういえば辛くないの? 軽々しく言ってて」
「辛くなかったら風を感じになんか出ない」
「それも……そうね。お疲れ様。安心して時間が解決するわ。忍耐勝負よ」
「本当に疲れる。忍耐勝負なら得意だ」
「応援してるわ」
「ありがとう。シルフィが優しい言葉で体調悪くなりそう」
「酷いわねぇ。さすがに傷に塩は塗らないわ」
「その優しさをミルフィにあげたらよかったのにな」
「それは嫌よ。虫酸が走る。あれはそういった存在じゃない。女の敵よ」
「なら、男の味方だな」
「はぁ、そうなのよねぇ。瓶詰めされて悲しいけど男社会の愚かさを知ったわ」
「若いからな……」
「あなたも私も若いわ。そろそろ曲も終わりに近づいてる。一言二言、彼女に褒めなさい」
「……わかった。瓶詰めされて本当に優しくなったな?」
「ここから出して」
「ごめん。全く優しさに信用できなくなった」
*
「鎧着ながら私を装備するなんて。割れても知らないわよ」
「割れない強力な封印だから安心らしい。それよりもこの前の訓練中に猫に持っていかれる方が怖い」
「地獄の黒犬ブラッドウルフね。焦ったわねあれ」
「ただの黒猫だろう。そんな大層な名前ではない」
「あら、凄く格好いい名前じゃない。私の名前よりも……」
「猫なのに犬の名前じゃないか。それにしても君の本名。吹き荒れる風刃のシルフィと言う名前で驚いた。冗談かと思ったよ」
「はぁ!? お父様が3日3晩考えた名よ!! なお私は吹き荒れるより、風刃竜のは格好いいと思ったけどね」
「……君の家族は皆がそれなのか? 恥ずかしくないのか?」
「二つ名は妖精の文化ですよ。恥ずかしくないかと言われれば最初は恥ずかしくかったですが皆もその名ですし、皆もそうだから慣れました。いまではいい名前一歩手前です。娘につけましょう。それか旦那になる人にしましょう」
「……君と家族になる人を哀れむよ」
「失礼な文化ですよ!!」
「ははは……」
*
「ここまで来てしまった。次はあの昨年の優勝者西方騎士団長か……」
「怖がってますね。ここまで頑張ったじゃない。なにビビってるの?」
「いや、実力があるなんて思っていなかった。ここまで上がってこれるなんて……初めてなんだ。既に満足してしまってる」
「震えてる」
「……バレバレか。ああ、大観衆の中で戦えるだろうか」
「今までに同じように戦ったじゃない。私的には瓶に当てて割って欲しかったけどもね!! 決闘中置いていくし」
「……それは出来ない相談だな」
「もう、反省したから解放して欲しいわ」
「それを決めるのは君じゃない俺たちだ。まぁ、俺も相談しに行くよ」
「おっ!? 優しい!? どうしたの? 余裕ない?」
「……はぁ。本当に君は変わらない。だけど落ち着いた。いつも通り闘うだけだ」
「ふふ、良かった。あと一歩で優勝よ、だから助言してあげる。技術、速さ、勘など絶対に劣ってる」
「……知ってる」
「でも力はあなたのが上よ。小競り合いで剣を力で弾き上げて隙を作るしかない」
「本当に君は凄いな。一般の令嬢よりも凄いな」
「いや、他の令嬢も良く楽しんで見てますよ。ただ、お下品に見える事と男は聞かないでしょ話を」
「ああ、全くだな……そろそろいくぞ」
「あれ? 私を置いてかないの?」
「特等席で見せてやる。黙っててな……」
「ふふ、一人じゃ不安?」
「ああ、残念ながら幸運の御守りが手放せなくてね」
「じゃぁ、見せなさい。私にあなたが勝つところを!!」
「難しい事を……だが、俺は勝ちたい!!」
「……ええ、勝ちたい」
*
トントン
「どうぞ……何のようかな? 君の父親も来て話があると言っていたので」
「……騎士団長殿に謝りを。そして、明日の表彰を欠席しようと思います」
「……真剣勝負に何を謝りに?」
「自分は不正を行ってます」
「不正を? 薬かなにかかな? 残念ながら薬はグレーゾーンだよ。使うなら使えばいい」
「いえ、あの瞬間。剣を弾き騎士団長様が脇からナイフを取り出すその瞬間に私は助言をいただいたのです。見えていなかったのに」
「……ああ、あれか。確かに私もあれにはしてやられたと思う。完璧に裏をついたと思ったのにね。助言……助言なら試合前の事だろう」
「いいえ」
コトン
「……これは? 女の子が入っている。妖精か!?」
「話題のシルフィ姫です。悪さの反省をと小瓶に封印されております。あの瞬間にいち早く気付き彼女が私に教えてくださいました」
「シルフィと申します。真剣勝負に水を差してしまい。申し訳ありませんでした」
「……君があの王子から禁固処分を下った令嬢か。なるほど。妖精であるから瓶詰めの封印を……事情はわかりました。その旨をあなたの父上にもお伝えしているのでしょう。判断は私に任せるわけですね」
「はい、学園の学生身分です。学生身分が座に登るのはどうかとも思います。その座は卒業後に座ります」
「ははははは!! 卒業後に優勝すると言うんだね。なかなかの自信家、いや、自信通りの腕だ。有望だね。うん、わかった。ならば私の話を聞いて欲しい二人とも」
「「はい」」
「不正はなかった。私が負けたのは禁固処分中に色々と知っていたシルフィ令嬢の助言が生きた結果である。そしてシルフィ令嬢はあの場には居なかった。これでいい」
「騎士団長様? それでは嘘を……」
「大丈夫、嘘も真実もありわかりづらい。それに嘘以上にその瓶詰め姫のが公表する方が危ない。一応、同盟国の令嬢。瓶詰めされている事は知られてない。そのまま知らない方がいい。それに……助言をしてすぐに動けたのは君の力だ。そうそう、あの動きが出来るわけない。負けて当然。あとね……君と私で秘密を共有だ」
「……共有?」
「ああ、これは私たちだけの秘密であり。協力である。君が私の弟子としてね」
「「!?」」
「驚くかい? 聞いているだろう。決闘優秀者には声がかかることを。それに……正直、君の父上は古い考えで嫌いだが君は大好きだ。既に君に卒業後即入隊を歓迎する。それまでも鍛えさせてもらいたい。脅しのような話だが。君の父上にも話をしよう。君をかけて決闘かなぁ」
「そこまで評価をしていただけるなんて光栄です」
「いやいや。若いのに落ち着いているからね。では、その妖精の姫に約束だ」
「わかりました。我の名前は吹き荒れる風刃シルフィ。聞き届けました」
「ありがとうございます」
「では、明日表彰式で宣言させていただくよ。先手は打つ。他の方面騎士団も顔を向ける前に」
「……シルフィ。なんか大事になったんだが」
「これが大人。嘘も真実も混ぜて言うのも何もかも。政治力もいるのが大人」
「まぁ、良かった。シルフィとの約束成就できて」
「あら、そっちを心配?」
「まぁね」
*
「最近、余計にモテるようになった」
「あっそ」
「……なんだよ」
「なんでも」
「最近、シルフィ全然話しても拾ってくれないが?」
「さぁね?」
「何か機嫌を損ねることしたか?」
「したんじゃない?」
「……あああああもう!! めんどくせぇえええ」
「うるさいわねぇ!!」
「……シルフィ。卒業後国へ帰るのか?」
「そうね」
「そっか……」
「なによ」
「なんでもない」
「はぁ、そうなのよねぇ。瓶詰め生活長いし楽だからこのままでもいいかも」
「……それは怒られるから却下」
「はいはい。わかってるわよ」
*
「シルフィは反省してるからもうだしてもいいんじゃないか?」
「ああ、ミルフィもいいね? 卒業前に出すけど」
「はい、話は伺ってました……すいません。私のせいで」
「「いや、シルフィが悪い」」
「おい、男ども……甘やかしすぎでは?」
「えっと……」
「まぁ、封印を解くにはそれ相応の儀式が必要で……」
「はぁああああ!!」
「危ない!! がはっ!? くっそ……気づかなかった」
「えっ!? きゃあああああああああああああ」
「なに!? セシル!? セシル!!」
「セシル!! お前らはいったい!!」
「王子、すまないがここで消えてもらう」
「あぐっ!!」
「いやあああああああああああああ」
「あっ……あっ……」
*
瓶の目の前でセシルは倒れる。そして王子は倒れ、ミルフィは王子を揺さぶり泣き叫ぶ。周りの男たちは囲み止めの刺そうとする。
私は瓶を叩く。瓶の中から叫ぶ。瓶の中から……涙が出る。
セシルなら、剣を持っていたならこんなやつらに敗けはしない。それなのに庇う事と不意打ちにより深く剣が刺さっている。
私は……目の前で殺されそうになる彼らを見るしか出来ず唇を噛む。
ミルフィが憎い、ミルフィは瓶の外で……戦える筈なのに。いや、わかってる。弱い、弱いから。弱いから二人は護ろうと動くのだ。
そう、それがセシル。
「ああ、そっか……死んじゃ嫌よ。セシル。死んじゃ嫌よ!!」
「シルフィ……」
そう、私が愛した男ならこんな時必ず………
*
バシュン!!
「なんだ!? 今の大音に煙は!!」
「ふぅふぅ。女神がいるなら。今なら信じれる」
「なっ!? 何処から現れた。うぉ!? 風が!?」
「こいつは!? 魔法使いか!! 対魔法準備!!」
「ミルフィ!! 引き剥がした。二人のそばで回復魔法ぐらい習ってるでしょ」
「シルフィ……さん?」
「あなたは弱いから、そこで待ってなさい。瓶の中でセシルが教えてくれたわ。ノブレスオブリュージュ。高貴さは義務を強制する。例え嫉妬であなたが嫌いでも……私はセシルの騎士道を尊重する!!」
「くっ……何者か知らないが!! 我々にも使命がある!!」
「どうせ王位継承がらみの暗殺者でしょ。覚悟しなさい。私は正義で人を殺めないことはない!!」
*
「……」
「あら、おはよう。お見舞いに来たわよ。今さっきミルフィも来てたわね。花がある」
「おはよう、シルフィ。話は聞いたよ……情けないなぁ。斬られてすぐに気を失うなんて」
「安心しなさい致命傷だったわ」
「生きてる生きてる」
「ふふ、そうね。元気ね。親友心配しないの?」
「それはミルフィから聞いている。ミルフィも親友も感謝してた。だけどミルフィから逃げてるらしいね」
「感謝される筋はないわ。当然の事をしたまでよ」
「昔の君に見せたい姿だ」
「昔の私にあってぶっ叩きたい」
「それは困る。瓶詰められない」
「……そうね。ミルフィは一人で来たんでしょ? 何かあったかしら?」
「……そうだなぁ来た。色々と話をした。いい人で綺麗な人だ」
「良かったじゃない。叶わないだろうけども……リンゴ剥いてあげるわ。食べるでしょ」
「ああ、まぁ綺麗な人だけど。いい人だけど。それだけかな」
「いいえ、令嬢教育しっかりしてるしそんなことはないわ」
「…………ええっと」
「何か言いたげね? 傷でも開いた? 痛い? ウサギ切りがいいのかしら?」
「いや、違う。はぁ……」
「何よ見つめて。恥ずかしいじゃない。あっち見て」
「…………ん、くぅ。そのな。ありがとう」
「どういたしまして」
「…………はぁ情けない。告白出来なかった」
「あら。修羅場見そびれちゃった」
「シルフィ。卒業後……結婚してほしい」
「……」
「……」
「リンゴ落としちゃった……」
「おい。話を剃らすな。告白出来たぞ」
「…………じ、時間を」
「嫌だ。今、決めろ」
「……はい」
「ふぅうううううううはああああああああああああああ」
「なに深いため息吐いてるのよ!! 失礼ね!!」
「いや。スッゴく緊張して、スッゴく疲れた」
「…………私だって震えて心臓が痛いわ」
「ははは。ナイフ下ろそうな」
「そうね……私も勇気を見せてもらった。ミルフィに向き合ってみるわ」
「ああ、頑張れ」
「そうそう、結婚するなら二つ名決めさせて」
「却下!!」
*
「すぅーすぅー」
「あら、寝ちゃった。お休み」
カチャ
「やぁ、ただいま」
「あら、帰ってたの……あなた」
「いや、まぁ……昔話を邪魔するのは悪いかなって」
「……悪い人。恥ずかしいじゃない。それにそれまた着けてる」
「これか? いいじゃないか……割れない幸運の瓶だ。それのこれを見せると恥ずかるのを茶化せるしな」
「本当に意地の悪い人ねぇ……でっ今日は帰ってくるの早いけどどうしたの?」
「たまには早く帰らせてくれよ。まぁ、そうだな2つお願いがある」
「なーに?」
「一つは一緒に仕事手伝って欲しい」
「まぁーた? 子供預けるの心苦しいのよ」
「背中を預けるので一番信用できるから……」
「親友は?」
「残念だけど家族には敵わない」
「じゃぁ、二つ目は依頼ね」
「二つ目は依頼じゃない……もう一人。欲しくはないか?」
「……ふふ、いいですよ。セシル」
「よかった。シルフィ」
「じゃぁ、キスからね」
「ああ……」
*
終
制作・著作
━━━━━
アルファポリス
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