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終幕~幸せな時間の流れは早い~
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私の嫁の控え室前まで来た。膨らんだお腹の状態でウェディングドレスを着ているだろう彼女。時期は秋であり。出産間近でありながらも結婚の儀を行う。なぜ出産間近と言えば参加する騎士の予定が決まらなかったからだ。ここまで引き伸ばした事に俺は申し訳ないと思う。
トントン、ガチャ
「準備は出来………ん!?」
「トラストさん。出来ました」
「ええ、奥さまの準備が出来ました」
ワルダが綺麗な黒髪をとかしながら喋る。俺は入った瞬間。あまりの綺麗さに言葉を失った。アメリアの小柄なウェディングドレス姿の少女の美しさに。
「トラストさん?」
「あ、ああ」
目に焼き付ける。この瞬間を。
幼い細身の体に、不釣り合いな大きいお腹。その体を包む純白のドレス。自分は彼女を独り占めしたいと言う黒い感情で犯し。孕ませた筈なのに。綺麗なのだ。汚れておらず。清く美しい。
「南方騎士、トラスト。ただいま姫様の元へ」
跪き彼女の手を取る。何度も演技した行為だか今日は何も考えずに体が動く。
「愛おしい愛おしい姫様に言葉を失いました。まるで女神のように美しい」
「ほ、褒めすぎです」
「いいえ、奥さまは美しいです」
「では………ヴェールはいりません」
「えっ? どうして!?」
「こうやって。式場までいくからです」
彼女をお姫様抱っこをする。ずっしりとしたお腹の重みを感じ。この中に子がいることを重さで感じ取れる。
「と、トラスト!?」
「では、皆が待っています」
俺はそのまま。彼女をもって式場の壇上まで行くのだった。
多くの歓声と冷やかしを浴びたが嬉しかった。
§
結婚の儀は秋に執り行われた。大きくなったお腹の状態での儀式。ウェディングドレスは重く大変で体もダルい中で行われた。
しかし、彼は私を1日中持ち上げてくれたので移動は楽だった。
多くの人に囲まれながらの口づけは恥ずかしかったが。口づけの時は全てを忘れ彼を求めてしまった。皆に長いとトラストさんが怒られているのを私は苦笑いしたのだった。何事もなく式は終わる。しかし、宴会は欠席し………静かに屋敷で療養しなくちゃいけなかった。
結婚の儀は出産の時期にまでずれ込み。陣痛はちょくちょくあり。最初の陣痛は産まれると焦り、不安で泣いてしまっていたが今は問題ない。でも、痛いのは変わらない。
そんな中での短い結婚式だった。
「アメリア………すまない。色々あって………この時期になってしまった。昨日は大丈夫だったかい?」
次の日の寝室。私はベットで横になりながら絵本を読んでいた中。昨日ぶりにトラストさんと出会う。宴会とそのほか諸々で帰ってこれなかったらしい。
「はい………大丈夫です。この時期になったとしても私は良かったです」
名実と共にアフトクラトス家に嫁げれたことが本当に良かった。
「それよりも昨日から………お疲れさまです」
「疲れたぁ………父上の使用人たちが全てやってくれたけど。色々とね、付き合いが多くて………大変だったよ」
「マクシミリアン次期ご当主ですもんね」
「違うよ。騎士団連中がつるんで来るんですよ」
「そうなんですか?」
「貴族がチラチラ見てたが………ヌチェル家とリトラトス家しか挨拶は来なかったな。強引に入ってきたけど。騎士団員とも仲良くしていたし」
騎士団と貴族は仲が悪いと聞いていたので何となくわかった。騎士団員が貴族に嫌がらせで彼を離さなかったのだろう。
「………騎士団員が多かったですね。皆いい人です」
「ああ、いい人だけど。ちょっと………暑苦しいかなぁ」
「………そういえば。団員に好まれているのはワルダやリトスから聞いてるんですけど。どうして短期間でここまで仲良くなったんですか?」
「………何でだろう?」
彼は首を傾げる。実際、短期間で騎士団に馴染み皆が彼を慕うようになった。何故なのか。
「最初は嫌われてたんだけどね」
「そ、そうなんですか?」
「そう、陰口や悪口。親の七光りって言われ続けてたね」
「それが………何故ですか?」
「………わからん。でも仲良くなろうと頑張ったよ色々」
トントン、ガチャ
「失礼します。奥様」
「失礼するわよ」
「あっ………二人とも」
「お二人さん。こんにちは」
入ってきたのはワルダとリトスだ。両方とも婚約者が騎士であり。私の唯一理解を示してくれる二人。騎士の奥さん同士で話が合う。
「お見舞っと言うより。様子を見に来たわ。感謝しなさい」
「奥様、梨っと言う果物です」
「ありがとう。二人とも」
「いつも妻をありがとうございます。では………自分は引きましょう」
「トラストさん。居てもいいんですよ?」
「………いいんですか?」
最近は彼が感情を顔に出さない事がわかった。
「はい。居てください………それよりも、トラストさんの騎士団でのお話を聞きたいです。ワルダとリトスも教えて欲しい」
「いいわよ」
「いいでしょう。奥様」
「………僕は恥ずかしいのでいいかなぁ~」
「トラスト。小説の件」
「ああぁ………わかったよ我慢する」
渋々、椅子を私のベットの横に2つ用意してくれて私の友人が座る。
「では、私からいいかしら? アメリア」
「どうぞ、リトス」
「私の婚約者はトラストさんの事を高く評価していたわ。5番隊長の座を奪われても文句が言えないとも」
「…………リトスさん。それは自分がいるときに話してもいいのですか?」
「婚約者紹介したのはあなたです。背中叩いて奮起させましたけどね」
「そういうの聞きたかったんですが。トラストさん話してくれないんですよ」
「奥様でしたら。トラストさんの入団からの伝説を教えましょう」
「なんですか?」
「……………はぁ」
トラストさんが珍しく顔を押さえる。恥ずかしい事があったのだろう。
「奥様はトラストさんが素晴らしい騎士の外面しか見てませんが。入団当初嫌われていたにはご存知ですか?」
「そう、だったんですよね。どうしてあんなに仲が良くなったんですか?」
「実はシェテムさん筆頭に苛めてたみたいですね」
「ええ…………」
「親の七光り。入団から忌み嫌われますよ」
「ど、どうしてあんなに仲が?」
「私も婚約者から笑い話で聞いたことあるわ。たしか………苛めグループに」
「そうですね。訓練で多人数に叩かれる筈だったらしいですね」
「あったなぁ………普通の訓練方法っと勘違いしてました」
彼が懐かしみながら頷く。
「結局?」
「結局は普通に苛めをしようとして返り討ち。今では南方騎士団での正式な訓練のひとつになりました。トラストさんそうですよね?」
「そうですね。黒騎士流の訓練ですが」
「私はそれを美談のようにしたって聞いたわ」
「トラストさん。流石ですね」
「はは………安心しましたてっきりあの事かと」
少し照れながら頭を掻いている旦那様。
「奥様。このあとトラストさんの伝説続くんですが…………迷子になったお話をご存知ですか?」
「私も聞いたわ。確か決闘場に出ようとしたら観客席から出てきた話よね。皆は最初は演出だと思ったらしいけど。聞けば迷子でそこから出てきたらしいですね」
「あっ………やっぱりそれ言います?」
「クス、お間抜けですね」
「それも3回」
「あああ!? リトスお嬢!! 黙っていてください‼」
「他の場所は迷子にならないのに決闘場だけは迷子になるらしいですわ」
「わぁ!! トラストさん可愛いですね‼」
「…………はは。恥ずかしいですね」
「奥様!! まだありますよ‼………実は婚約者から聞いた話なのですが………」
ワルダが立て続けにトラストさんの噂を話始める。聞けば中々、変なことが多くてクスクスと私はずっと笑っていられたのだった。
§
夜、寝室でご飯を食べ終わり。トラストさんがベットの横に椅子を置き。私のお腹を見る。
「………今日は恥ずかしかった」
「そうですか? 私は知らないあなたを見れてスゴく嬉しかったです」
「結婚式、遅くなったのすいません。参加したい同僚が多かったから用意が大変だったんです」
「本当にもう黒騎士だったの忘れてますね」
「………どうだろ。忘れられないと思うけどね」
キリッとした顔を私に見せた。私はドキッと心が跳ねる。男性の真面目な顔は女を魅了する。
「お父さんは格好いいね。ランスロット」
お腹を撫でながら我が子に声をかける。お腹の中から子の足がポコッと蹴るのがわかる。
「父上、母上も期待してますね。アメリア」
「一番楽しみなのはあなたでしょ?」
「もちろん。最初はただただ出た舞踏会で………顔が暗く大人しい子だと思ったが。期待に答えてくれたよ」
「それも全て………あなた様のお陰ですよ」
「そうだね。不安はない?」
「ないですね。気付けば幸せになってました。一人ボッチだった私はあなたに出会って沢山の物をいただきました。感謝してます。償いと言うとあれなのですが。この子はしっかりと育てます」
「………わかった。頼んだよ。忙しくなるからね」
彼は私のおでこにキスをする。
「口じゃないんですね」
「今日はそっちの気分だ。6番隊長襲名が決まったよ」
「えっ?」
「新米騎士から大抜擢。部下は訓練中の直属の10人の新米と他から自分の元へ来たい人で構成する少数の部隊」
「すごいですね!?」
「元からあと数千ぐらい増やしたかったが番隊長になれるのが居なかったんだってな。完全な引き抜きでビックリだよ。父上に聞いたら………お前を利用するなら徹底的に利用するって言われて背筋が冷えたよ」
「出世ですね。おめでとうございます」
「忙しくなって君に会える時間が減る」
「わがままですね。いっぱい稼いでくださいよ………ランスロットのお父さん」
「よし!! やる気出た」
「ふふ、簡単なお人です」
「そういうもんだよ」
彼は胸を張って話す。
「王子さまはもう終わり。父親らしい事を今度は演じるよ」
「はい。旦那様………今度もお願いしますね」
それに私は微笑み返し言葉を口にする。
「見捨てられた私には……あなたと言う王子に拾われて……幸せです」
トラストさんは強く……私を抱き締めたのだった。
§
10月。難産の末、子が生まれた。男の子であり。名前はもちろんランスロットと名付けた。トラストさんは泣いて我が子を抱いていた。
リトス、ワルダから噂を聞けば6番隊長としてしっかりと仕事をこなしているらしい。少数精鋭を目指し、遊撃隊として発足させ。日々訓練と魔物の討伐等地獄の訓練をこなしていると聞く。
四方騎士団の中で話題が出るほどに厳しいっと聞く。黒騎士からも強くさせ過ぎる場合は黒騎士に戻すっと脅しを受けるぐらいに。
我が子はそんな彼の子。期待の重圧で潰されないのかすでに不安だ。
§
1月、順調に夜泣きもするし。健康そのものだ。彼に似て甘えるのはお上手で凄く愛おしい。
ランスロットと遊びたいとワガママを言う旦那様を落ち着かせるのは大変。
お義父さんが仕事を放り出して会いに来てトラストが連れ帰るのも大変。
父上が顔を出して。孫を抱いて………私に見せたことのない愛しい表情を見たとき。本当に嬉しくて泣いてしまった。
そして、我が子は甘やかす人が多くて困ってます。
§
ランスロットが16歳の成人になった。トラストに似た容姿で。とにかく優しい子に育った。剣の腕もトラストとお義父さまの厳しい厳しい厳しい………訓練の末に16で騎士を負かす程強くなった。
いつもいつも。厳しい訓練を嫌がりもせず頑張っていたランスロットは紳士に育って行く。
トラストの王子のように振る舞う様に教育と徹底とした我が子の前での王子のような振る舞いにランスロットは真似てしまった。
私よりも、王子に憧れが強い旦那様に呆れながらも。子育てに手が焼かない事に寂しさを覚える。
§
ランスロットを養子に出すことが決まってしまった。私は泣きながらトラストに反対するが理由を聞いて驚いてしまう。
城の中、皇帝住まう宮廷に刺さっている剣。王選定の剣をランスロットが誤って抜いてしまったらしい。トラストが養子の話を断ろうと足を運んだとき、冗談半分で抜かせたらスルッと抜けてしまったと言う。
皇帝陛下の養子に出す予定は無かった。しかし、皇帝陛下以外に剣を抜ける者が現れてしまった。
トラストさんはまさか我が子がとか。ランスロットの名前では抜ける筈がないとも冗談で言っていた。
しかし、抜けてしまったなら仕方がなく。ランスロットは王位継承者の一人となってしまった。養子になり、皇子となってしまう。
南方騎士団に編入も無くなってしまい。白騎士へ編入となった。
あの子はたった一回の事件で人生が狂ってしまった気がする。
§
白騎士編入し、我が子は一応皇帝の子っとなっているが私に会いに来てくれる。そういうところは父親と同じだ。悩みも打ち明ける。
遠回しに皆が避けるという。仕事もなにもさせてくれないと。自由だが、お荷物と思われているのが大変だったと。しかし、それを全て吹き飛ばすほど嬉しいことがあったらしい。黒騎士に友人が出来たと言う。
その友人はランスロットをランスロットとしてしか見ず。バカにはするし、無茶苦茶する。毎日が楽しいっと言っている我が子を見ると………よかったと胸を撫で下ろした。
§
戦争が始まった。帝国と隣国の戦争。我が子もトラストも向かってしまう。
毎日不安が募る。手紙を届けてくれる人にビクビクしながらいつも悲報の手紙が無いことに安心する。あるのはトラストさんのラブレターだけ。
噂では勝っている。だけど、犠牲者を出しながら。
いつか届くかもしれない。悲報に怯えながら………私は眠れない日々を送った。
§
ランスロットが帝国から旅立つ。戦争で白騎士団が無くなるほどの被害を受け、居場所が無いと言う。私はトラストから事の顛末を聞き。ランスロットに聞いた。
本当ですお母様と言う我が子に衝撃を受けながらも。それでも顔が明るい彼に何故かトラストの……父親の面影を見た。
もう、2度と出会うことは無い。それを知ると涙が溢れ、優しくトラストが抱き締めてくれ
た。
ランスロットは深く頭を下げて。今までの感謝の言葉を口にし、背を向けた。何も言えず………愛しい我が子と別れる。白騎士団を裏切り壊した我が子に名前の由来を思い出しながら。
§
数年後に嬉しいことがあった。手紙が届いたのだが内容は驚くべき物。
遠くの地で幸せを掴んでいるらしい。愛しい人を見つけたようだ。
何となく旦那様を思い出す。きっと何処かで女の子を助けたのかそれとも拾ったのかもしれない。私は………トラストが帰ってくるのを初心のように今日も寝室で待つ。ランスロットが姫様を見つけたよといち早く報告するために。
トントン、ガチャ
「準備は出来………ん!?」
「トラストさん。出来ました」
「ええ、奥さまの準備が出来ました」
ワルダが綺麗な黒髪をとかしながら喋る。俺は入った瞬間。あまりの綺麗さに言葉を失った。アメリアの小柄なウェディングドレス姿の少女の美しさに。
「トラストさん?」
「あ、ああ」
目に焼き付ける。この瞬間を。
幼い細身の体に、不釣り合いな大きいお腹。その体を包む純白のドレス。自分は彼女を独り占めしたいと言う黒い感情で犯し。孕ませた筈なのに。綺麗なのだ。汚れておらず。清く美しい。
「南方騎士、トラスト。ただいま姫様の元へ」
跪き彼女の手を取る。何度も演技した行為だか今日は何も考えずに体が動く。
「愛おしい愛おしい姫様に言葉を失いました。まるで女神のように美しい」
「ほ、褒めすぎです」
「いいえ、奥さまは美しいです」
「では………ヴェールはいりません」
「えっ? どうして!?」
「こうやって。式場までいくからです」
彼女をお姫様抱っこをする。ずっしりとしたお腹の重みを感じ。この中に子がいることを重さで感じ取れる。
「と、トラスト!?」
「では、皆が待っています」
俺はそのまま。彼女をもって式場の壇上まで行くのだった。
多くの歓声と冷やかしを浴びたが嬉しかった。
§
結婚の儀は秋に執り行われた。大きくなったお腹の状態での儀式。ウェディングドレスは重く大変で体もダルい中で行われた。
しかし、彼は私を1日中持ち上げてくれたので移動は楽だった。
多くの人に囲まれながらの口づけは恥ずかしかったが。口づけの時は全てを忘れ彼を求めてしまった。皆に長いとトラストさんが怒られているのを私は苦笑いしたのだった。何事もなく式は終わる。しかし、宴会は欠席し………静かに屋敷で療養しなくちゃいけなかった。
結婚の儀は出産の時期にまでずれ込み。陣痛はちょくちょくあり。最初の陣痛は産まれると焦り、不安で泣いてしまっていたが今は問題ない。でも、痛いのは変わらない。
そんな中での短い結婚式だった。
「アメリア………すまない。色々あって………この時期になってしまった。昨日は大丈夫だったかい?」
次の日の寝室。私はベットで横になりながら絵本を読んでいた中。昨日ぶりにトラストさんと出会う。宴会とそのほか諸々で帰ってこれなかったらしい。
「はい………大丈夫です。この時期になったとしても私は良かったです」
名実と共にアフトクラトス家に嫁げれたことが本当に良かった。
「それよりも昨日から………お疲れさまです」
「疲れたぁ………父上の使用人たちが全てやってくれたけど。色々とね、付き合いが多くて………大変だったよ」
「マクシミリアン次期ご当主ですもんね」
「違うよ。騎士団連中がつるんで来るんですよ」
「そうなんですか?」
「貴族がチラチラ見てたが………ヌチェル家とリトラトス家しか挨拶は来なかったな。強引に入ってきたけど。騎士団員とも仲良くしていたし」
騎士団と貴族は仲が悪いと聞いていたので何となくわかった。騎士団員が貴族に嫌がらせで彼を離さなかったのだろう。
「………騎士団員が多かったですね。皆いい人です」
「ああ、いい人だけど。ちょっと………暑苦しいかなぁ」
「………そういえば。団員に好まれているのはワルダやリトスから聞いてるんですけど。どうして短期間でここまで仲良くなったんですか?」
「………何でだろう?」
彼は首を傾げる。実際、短期間で騎士団に馴染み皆が彼を慕うようになった。何故なのか。
「最初は嫌われてたんだけどね」
「そ、そうなんですか?」
「そう、陰口や悪口。親の七光りって言われ続けてたね」
「それが………何故ですか?」
「………わからん。でも仲良くなろうと頑張ったよ色々」
トントン、ガチャ
「失礼します。奥様」
「失礼するわよ」
「あっ………二人とも」
「お二人さん。こんにちは」
入ってきたのはワルダとリトスだ。両方とも婚約者が騎士であり。私の唯一理解を示してくれる二人。騎士の奥さん同士で話が合う。
「お見舞っと言うより。様子を見に来たわ。感謝しなさい」
「奥様、梨っと言う果物です」
「ありがとう。二人とも」
「いつも妻をありがとうございます。では………自分は引きましょう」
「トラストさん。居てもいいんですよ?」
「………いいんですか?」
最近は彼が感情を顔に出さない事がわかった。
「はい。居てください………それよりも、トラストさんの騎士団でのお話を聞きたいです。ワルダとリトスも教えて欲しい」
「いいわよ」
「いいでしょう。奥様」
「………僕は恥ずかしいのでいいかなぁ~」
「トラスト。小説の件」
「ああぁ………わかったよ我慢する」
渋々、椅子を私のベットの横に2つ用意してくれて私の友人が座る。
「では、私からいいかしら? アメリア」
「どうぞ、リトス」
「私の婚約者はトラストさんの事を高く評価していたわ。5番隊長の座を奪われても文句が言えないとも」
「…………リトスさん。それは自分がいるときに話してもいいのですか?」
「婚約者紹介したのはあなたです。背中叩いて奮起させましたけどね」
「そういうの聞きたかったんですが。トラストさん話してくれないんですよ」
「奥様でしたら。トラストさんの入団からの伝説を教えましょう」
「なんですか?」
「……………はぁ」
トラストさんが珍しく顔を押さえる。恥ずかしい事があったのだろう。
「奥様はトラストさんが素晴らしい騎士の外面しか見てませんが。入団当初嫌われていたにはご存知ですか?」
「そう、だったんですよね。どうしてあんなに仲が良くなったんですか?」
「実はシェテムさん筆頭に苛めてたみたいですね」
「ええ…………」
「親の七光り。入団から忌み嫌われますよ」
「ど、どうしてあんなに仲が?」
「私も婚約者から笑い話で聞いたことあるわ。たしか………苛めグループに」
「そうですね。訓練で多人数に叩かれる筈だったらしいですね」
「あったなぁ………普通の訓練方法っと勘違いしてました」
彼が懐かしみながら頷く。
「結局?」
「結局は普通に苛めをしようとして返り討ち。今では南方騎士団での正式な訓練のひとつになりました。トラストさんそうですよね?」
「そうですね。黒騎士流の訓練ですが」
「私はそれを美談のようにしたって聞いたわ」
「トラストさん。流石ですね」
「はは………安心しましたてっきりあの事かと」
少し照れながら頭を掻いている旦那様。
「奥様。このあとトラストさんの伝説続くんですが…………迷子になったお話をご存知ですか?」
「私も聞いたわ。確か決闘場に出ようとしたら観客席から出てきた話よね。皆は最初は演出だと思ったらしいけど。聞けば迷子でそこから出てきたらしいですね」
「あっ………やっぱりそれ言います?」
「クス、お間抜けですね」
「それも3回」
「あああ!? リトスお嬢!! 黙っていてください‼」
「他の場所は迷子にならないのに決闘場だけは迷子になるらしいですわ」
「わぁ!! トラストさん可愛いですね‼」
「…………はは。恥ずかしいですね」
「奥様!! まだありますよ‼………実は婚約者から聞いた話なのですが………」
ワルダが立て続けにトラストさんの噂を話始める。聞けば中々、変なことが多くてクスクスと私はずっと笑っていられたのだった。
§
夜、寝室でご飯を食べ終わり。トラストさんがベットの横に椅子を置き。私のお腹を見る。
「………今日は恥ずかしかった」
「そうですか? 私は知らないあなたを見れてスゴく嬉しかったです」
「結婚式、遅くなったのすいません。参加したい同僚が多かったから用意が大変だったんです」
「本当にもう黒騎士だったの忘れてますね」
「………どうだろ。忘れられないと思うけどね」
キリッとした顔を私に見せた。私はドキッと心が跳ねる。男性の真面目な顔は女を魅了する。
「お父さんは格好いいね。ランスロット」
お腹を撫でながら我が子に声をかける。お腹の中から子の足がポコッと蹴るのがわかる。
「父上、母上も期待してますね。アメリア」
「一番楽しみなのはあなたでしょ?」
「もちろん。最初はただただ出た舞踏会で………顔が暗く大人しい子だと思ったが。期待に答えてくれたよ」
「それも全て………あなた様のお陰ですよ」
「そうだね。不安はない?」
「ないですね。気付けば幸せになってました。一人ボッチだった私はあなたに出会って沢山の物をいただきました。感謝してます。償いと言うとあれなのですが。この子はしっかりと育てます」
「………わかった。頼んだよ。忙しくなるからね」
彼は私のおでこにキスをする。
「口じゃないんですね」
「今日はそっちの気分だ。6番隊長襲名が決まったよ」
「えっ?」
「新米騎士から大抜擢。部下は訓練中の直属の10人の新米と他から自分の元へ来たい人で構成する少数の部隊」
「すごいですね!?」
「元からあと数千ぐらい増やしたかったが番隊長になれるのが居なかったんだってな。完全な引き抜きでビックリだよ。父上に聞いたら………お前を利用するなら徹底的に利用するって言われて背筋が冷えたよ」
「出世ですね。おめでとうございます」
「忙しくなって君に会える時間が減る」
「わがままですね。いっぱい稼いでくださいよ………ランスロットのお父さん」
「よし!! やる気出た」
「ふふ、簡単なお人です」
「そういうもんだよ」
彼は胸を張って話す。
「王子さまはもう終わり。父親らしい事を今度は演じるよ」
「はい。旦那様………今度もお願いしますね」
それに私は微笑み返し言葉を口にする。
「見捨てられた私には……あなたと言う王子に拾われて……幸せです」
トラストさんは強く……私を抱き締めたのだった。
§
10月。難産の末、子が生まれた。男の子であり。名前はもちろんランスロットと名付けた。トラストさんは泣いて我が子を抱いていた。
リトス、ワルダから噂を聞けば6番隊長としてしっかりと仕事をこなしているらしい。少数精鋭を目指し、遊撃隊として発足させ。日々訓練と魔物の討伐等地獄の訓練をこなしていると聞く。
四方騎士団の中で話題が出るほどに厳しいっと聞く。黒騎士からも強くさせ過ぎる場合は黒騎士に戻すっと脅しを受けるぐらいに。
我が子はそんな彼の子。期待の重圧で潰されないのかすでに不安だ。
§
1月、順調に夜泣きもするし。健康そのものだ。彼に似て甘えるのはお上手で凄く愛おしい。
ランスロットと遊びたいとワガママを言う旦那様を落ち着かせるのは大変。
お義父さんが仕事を放り出して会いに来てトラストが連れ帰るのも大変。
父上が顔を出して。孫を抱いて………私に見せたことのない愛しい表情を見たとき。本当に嬉しくて泣いてしまった。
そして、我が子は甘やかす人が多くて困ってます。
§
ランスロットが16歳の成人になった。トラストに似た容姿で。とにかく優しい子に育った。剣の腕もトラストとお義父さまの厳しい厳しい厳しい………訓練の末に16で騎士を負かす程強くなった。
いつもいつも。厳しい訓練を嫌がりもせず頑張っていたランスロットは紳士に育って行く。
トラストの王子のように振る舞う様に教育と徹底とした我が子の前での王子のような振る舞いにランスロットは真似てしまった。
私よりも、王子に憧れが強い旦那様に呆れながらも。子育てに手が焼かない事に寂しさを覚える。
§
ランスロットを養子に出すことが決まってしまった。私は泣きながらトラストに反対するが理由を聞いて驚いてしまう。
城の中、皇帝住まう宮廷に刺さっている剣。王選定の剣をランスロットが誤って抜いてしまったらしい。トラストが養子の話を断ろうと足を運んだとき、冗談半分で抜かせたらスルッと抜けてしまったと言う。
皇帝陛下の養子に出す予定は無かった。しかし、皇帝陛下以外に剣を抜ける者が現れてしまった。
トラストさんはまさか我が子がとか。ランスロットの名前では抜ける筈がないとも冗談で言っていた。
しかし、抜けてしまったなら仕方がなく。ランスロットは王位継承者の一人となってしまった。養子になり、皇子となってしまう。
南方騎士団に編入も無くなってしまい。白騎士へ編入となった。
あの子はたった一回の事件で人生が狂ってしまった気がする。
§
白騎士編入し、我が子は一応皇帝の子っとなっているが私に会いに来てくれる。そういうところは父親と同じだ。悩みも打ち明ける。
遠回しに皆が避けるという。仕事もなにもさせてくれないと。自由だが、お荷物と思われているのが大変だったと。しかし、それを全て吹き飛ばすほど嬉しいことがあったらしい。黒騎士に友人が出来たと言う。
その友人はランスロットをランスロットとしてしか見ず。バカにはするし、無茶苦茶する。毎日が楽しいっと言っている我が子を見ると………よかったと胸を撫で下ろした。
§
戦争が始まった。帝国と隣国の戦争。我が子もトラストも向かってしまう。
毎日不安が募る。手紙を届けてくれる人にビクビクしながらいつも悲報の手紙が無いことに安心する。あるのはトラストさんのラブレターだけ。
噂では勝っている。だけど、犠牲者を出しながら。
いつか届くかもしれない。悲報に怯えながら………私は眠れない日々を送った。
§
ランスロットが帝国から旅立つ。戦争で白騎士団が無くなるほどの被害を受け、居場所が無いと言う。私はトラストから事の顛末を聞き。ランスロットに聞いた。
本当ですお母様と言う我が子に衝撃を受けながらも。それでも顔が明るい彼に何故かトラストの……父親の面影を見た。
もう、2度と出会うことは無い。それを知ると涙が溢れ、優しくトラストが抱き締めてくれ
た。
ランスロットは深く頭を下げて。今までの感謝の言葉を口にし、背を向けた。何も言えず………愛しい我が子と別れる。白騎士団を裏切り壊した我が子に名前の由来を思い出しながら。
§
数年後に嬉しいことがあった。手紙が届いたのだが内容は驚くべき物。
遠くの地で幸せを掴んでいるらしい。愛しい人を見つけたようだ。
何となく旦那様を思い出す。きっと何処かで女の子を助けたのかそれとも拾ったのかもしれない。私は………トラストが帰ってくるのを初心のように今日も寝室で待つ。ランスロットが姫様を見つけたよといち早く報告するために。
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