13 / 20
求愛の調べ
しおりを挟む
エレベーターに乗り込むと、光陽は咲夜の手を離さず礼を言う。
「咲夜、貴重な時間をあんな奴らの為に割いてくれてありがとう。」
「私は楽しかったわ。連盟にはいろんな方がいるのね。」
と咲夜が答えると、光陽は顔色を変えて、
「咲夜、まさかクリスが気に入ったのか? 確かにあいつは女性の扱いに長けてはいるが、僕の方が戦いにおいては上だという自信がある。あいつの能力は戦闘向きではないからな。いざという時、咲夜を守れるのは僕だけだ。」
と焦った様に咲夜の両手を握って一気にたたみかけて説得する。
光陽の勢いに咲夜はびっくりしながらも、微笑んで答える。
「もちろん、光陽の強さは分かっているわ。私はただ、初めて見る人外の類の人たちだったから、楽しかっただけよ。」
(それに、やっぱり女性にモテるのね。’氷の貴公子’なんて通り名まであるなんて、ライバル多そうだわ・・・)
今日会った女性二人は、光陽と親しそうではあるが、光陽がその気がない事は態度でわかる。
安心する一方、自分があんな素っ気ない態度を光陽に取られたらと思うとちょっとあの二人のメンタルの強さに感心してしまう。
(でも、諦めないわ、あの二人も強そうだったし、私は戦いでお荷物になる様な女性よりは、頼りになる女性になりたい。足手纏いになるのは嫌よ。)
「光陽、私、訓練頑張るわ。」
「そうか、よし、今日もお弁当を用意したから、訓練が終わったらピクニックにしよう。」
咲夜の言葉に光陽は嬉しそうに咲夜の腰に手を伸ばしかけ、ここがまだ職場でエレベーターの監視カメラの存在を思い出して、手を途中で止める。そして咲夜の手をもう一度強く握った。
「そうねまだ早いし、訓練が終わっても9時前までは時間があるわ。」
「明日も早番なのかい?」
「ええ、今週は早番のシフトなの。その代わり2時に終わるから、午後は自由になるの。」
チーンとエレベーターが地下の駐車場に着くと、人気のない駐車場で’ブローズ’を取り出し車に変える。
車に乗り込むと、光陽は素早く咲夜を引き寄せキスをして、公園に出発する。
「シャーロットさんはなぜ身内扱いなの?」
「ロッティの一族はもともと次元の違う世界に住んでいるんだが、なぜか毋方の一族を彼らの世界の支配者だと思っていて、召使いとして使えと押し掛けてくるんだよ。仕事はできるし信頼できるから資産管理を任せている。」
「ニーナさんは?」
「ニーナは魔物だが、人間を害さない。好物が魔物の生気だし、人間とも相性がいいと言っている。まあ魔物の世界は力が全てで、彼女曰く’美味しいレストランとかお洒落ができるこの世界が気に入っている’そうだ。」
(なるほど、それで力の強い光陽が気に入っているのね。)
「彼女たちは強いの?」
「ロッティの一族はもともと森の狩人だ。弓が主要武器で飛行能力があるから空中戦では強い見方だ。ニーナは相手に接触すると生気を奪う事が出来る。まあ接近戦のプロだな。」
公園に着くと、早い時間だからかまだ子供達がフィールドで遊んでいる。
「光陽、子供達が帰るまで待つ?」
「いや、大丈夫だ。」
と言うと彼が力を放ったのがわかる。波上に広がっていくそれに触れた子供達は、それぞれ、お家に帰らないと、と言いながらフィールドから出て行く。
「チャームの応用で人払いが必要な時に使う。便利な技だから咲夜にも教えるよ。さて咲夜、結界を張って始めよう。」
その日は、目に見えない敵を力を放って、索敵しながら戦う技を教えて貰い、咲夜は着々と強くなっている、と実感出来た。
訓練が終わり、二人で手を繋いで、雛ちゃんに教えてもらった二人の桃源郷スポットにやって来ると、’スキーズ’で着替えてから、ピクニックを始めた。
桜は二日前よりだいぶ散り始め、肌に当たる空気も心なし暖かい。今日は桜の真下だと花びらがお弁当に舞い散るので池の淵の方に敷物をひいて二人で美味しく夕食を食べる。
「咲夜、今日はわらび餅だ。はい、アーン」
またもや彼の手からデザートを食べさされ、恥ずかしさに頬が熱くなる咲夜は、’氷の貴公子’は絶対何かの間違いだと思いたくなる。
「光陽、デザートぐらい、自分で食べれるわ。」
と咲夜が赤くなりながら抗議すると、
「咲夜の恥ずかしがる可愛い顔を見るのは、僕の特権だ。」
と光陽はまたスプーンを咲夜の口許に運ぶ。可愛くうーと唸りながらも、光陽が喜ぶのがわかっているので咲夜は口を開けて、素直に食べさせて貰う。
(こんなこと許すの、光陽だけなんだから。)
と恥ずかしさに耐えている、咲夜が光陽は可愛くてしょうがない。
もぐもぐと食べ終わった咲夜を引寄せ、髪に目尻にと唇を寄せる。
咲夜も光陽の身体に腕を回し、顔を彼の広い胸に埋める。彼の匂いに心が暖かくなり、家に帰ってきたような安心感に包まれる。
(うーん、光陽大好きよ。)
そっと目を開けると、彼の肩越しに幻想的に景色が浮かび上がる。池に映った細い三日月に濃紺の夜空からたくさんの桃色の桜の花びらが夜風に舞いひらひら落ちてくる。
「光陽、見て、今日は三日月なのね、綺麗ね。」
心の感動を光陽にと分かち合いたくて、思わず彼の注意を促す。光陽も風に舞う花びらが咲夜の髪を持ち上げ舞う様子を見て、目を細め、
「本当だ、今日は明るい三日月だね。なんだか久しぶりにが弾きたくなった。」
と言って、咲夜の髪を弄っていた指を離し、ブレスレットからバイオリンを取り出した。
咲夜は本物のバイオリンをこんなにまじかで見るのは初めてで、武闘派の光陽の意外な趣味に好奇心でいっぱいだ。
「わあ、バイオリンを見るのは初めて。これってバイオリンよね?思ってたより、ずっと小さいわ。触ってもいい?」
はしゃぐ咲夜に光陽は優しく微笑み、
「もちろんだよ、ほら、こういう風に顎の下で挟むんだ。」
と弦とバイオリンを渡して、咲夜に正しい持ち方を教える。
咲夜が恐る恐る弦を弾くと、バイオリンが掠れた音を出し、もう一度弾いて見るがやっぱり、うまく音が出ない。
「光陽、どうして音が出ないのかしら?」
と情けなそうに言う咲夜を見て、
「はは、最初は誰でもそんなものだよ、ほら力を抜いてそう腕をあげて・・」
と光陽が咲夜の手に彼の手を重ね、一緒に弦を弾くと、綺麗いな音がバイオリンから出る。咲夜は感動して、
「綺麗な音、ねえ何か弾いてみて。」
と光陽にねだった。
「僕も正式に習った事がないから咲夜の知っているような曲は弾けない。即興の自己流で良ければ。」
「私もバイオリンの曲なんて知らないわ。でもバイオリンの音色が好きなの。光陽の曲を聴かせて。」
と言うと彼がゆっくり甘い旋律を奏で出した。彼の醸し出すバイオリンの音は、まるで誰かが歌っているようで、先程綺麗だ、と思った音とも比べ物にならないくらい、深く透明な音色が流れる。
月夜の下で奏でられる甘く切ない音色に咲夜の心はひどく揺さぶられ、深く感銘する。
(なんて、綺麗な音色なの、楽器の演奏を聴いてこんなに感動したこと、初めて。)
いつのまにか演奏を終えていた彼の長い指が、咲夜の目尻に優しく触れて涙を拭い、知らずに自分が静かに泣いていた事に咲夜は気づく。
咲夜の涙をそっと拭う、その優しい大きな手を咲夜は少し震える両手で包み込む。
包んだ男らしい大きな手から伝わる温もりに、咲夜の心の中へ、彼への愛がもう自分の中ではとっくに引き返せない、光陽以上に愛せる人は決していない、と言う事実がすとん、と落ちた。
たとえ光陽が自分を愛してくれなくても、彼が他の誰かを愛しても、咲夜は光陽以外を愛せない。
光陽の優しさ、厳しさ、ちょっぴり意地悪なところ、今日見た彼の冷淡な一面さえ、咲夜の心を捉えてはなさい。
「どうした咲夜? 何故泣く?」
彼の咲夜を気遣う優しさがとても嬉しい。
「なんでもないわ、あんまりにも綺麗な演奏に感動しちゃったわ。光陽、もっとあなたの演奏が聴きたいわ。弾いてくれる?」
「もちろんだが、本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。さあ、お願い。」
光陽が再び演奏を始めると、咲夜は黙って彼のバイオリンに向かう真剣な横顔を見つめ、春の夜に奏でられる二人きりの演奏会を心から堪能するのだった。
光陽は、咲夜の突然の涙に動揺していた。自分は何か咲夜を泣かせる様な事をしてしまっただろうか?
心当たりがありすぎて、冷や汗が出そうだ。
咲夜の初めてを奪った翌日、彼女を放置して、仕事に出向き、寂しい思いをさせることが分かっていても、顔も見せず、今日、会うなり彼女の意思も確認せず早急に抱いてしまった。それも咲夜はまだ2回目なのにリネン室で立ったまま碌に愛撫もせず、5分で済ませた。余韻も何もあったものじゃない、まるで娼婦を抱く様に、だ。
自分で顧みても酷すぎる。
さっきは、月夜に照らされて、桜の花びらの中で笑う咲夜があまりにも綺麗で、その気持ちをそのままバイオリンに載せたのだが。
咲夜の涙を優しくぬぐいながら、恐る恐る泣いている訳を咲夜に聞いてみる。
すると咲夜は光陽のバイオリンに感動したと言ってくれた。
(なんて感受性の強い、優しい人なんだ。)
そして、もっと弾いて欲しいとねだってくる。
(可愛い咲夜、僕の魂の片割れ、一生大事にする。)
そして二人でゆっくり愛を育むのだ。
(彼女は若い、まだ生をを受けて23年しか経っていない。これからもっといろんな経験をして、たくさんの出会いがあるだろう。咲夜を今僕に縛り付けるのは二人にとっていいことなんだろうか?・・・・・愛は簡単には生まれない。僕をゆっくり愛する様になってくれれば良い。)
それに光陽は戦いの前線にいることが多い。危険と常に隣り合わせの生活に咲夜を巻き込んで良いものか?
迷いは尽きないが、いまこの瞬間は再び咲夜への気持ちを込めて、バイオリンの弦をゆっくり優しく動かし始めた。
春の月が浮かぶ穏やかな池に、甘やかなバイオリンの旋律と共にひらり、またひらりと桜の花が舞い降りる。
季節はゆっくり変わっていく。此処の桜もあと何週間もすればみどりの新緑に取って代わるのだろう。
そうして、光陽が奏でる求愛の調べは深い想いとともにその澄んだ音色でますます二人を愛の虜にしていくのだった。
その夜、咲夜は光陽の大きなベッドの上で、甘やかにとろとろに蕩かされていつの間にか眠っていた。
バイオリンの演奏を終えた光陽は、最後は静かに目を瞑って聞き入っていた咲夜をそっと抱き締めて、耳元で咲夜に懇願した。
「咲夜、今日は貴女を家に帰したくない。明日は仕事で早いと分かっているが、何もしないから、ただ貴女の側で眠りたいんだ。どうか、うんと頷いてくれ。」
咲夜は、バイオリンの音色にうっとりとなりながら、光陽がいいと言ってくれるなら、彼が日本にいる間は出来るだけ自分から積極的に動いて一緒に居る時間を増やそう、と決心したばかりだったので彼の申し出は渡りに船だった。
「私も同じよ、光陽と一緒にいたいわ。それに私はいつでも光陽に抱かれたいわ。私も貴方が欲しいし、貴方が同じように私を求めてくれるのが嬉しいの。光陽の好きなようにしてくれて良いのよ。」
逞しい背中に手を回し、頷きながら光陽に答えると、光陽は咲夜の顔を覗き込み、金緑の瞳で咲夜を見つめながら、確かめるように低く囁く。
「咲夜、僕はいつでも貴女が欲しいよ。でも、貴女が嫌がることはしたくないんだ。もし、少しでも嫌だと思うことがあれば言って欲しい。約束してくれ。僕も思うことがあれば口にするよう、努力する。」
「分かったわ。そうよね、嫌だと思うことは言わないと分からないわよね。」
今まで彼にされて本気で嫌だと思った事などないが、二人でいる、と言うことは、妥協の繰り返しだと言う事は、両親を見ていて分かっていた。咲夜の両親は咲夜の前で喧嘩は滅多にしなかったが、二人ともお互いを思いやりながらも、自分の見解を述べ、その上でお互いの意見を大切にしていた。時々、咲夜の母は父が好きでないと言う歌をカラオケで歌っていたし、父も母がなんかピンとこないと言う、演歌を歌っていた。どちらもこんな歌のどこが良いのかさっぱりわからないと言いつつも、黙って聞いていたのだ。
光陽は、躊躇いがちに咲夜に聞いてきた。
「咲夜、あの、貴女は昼のことは怒ってないのか?」
「昼のことって?」
光陽の遠回しの言い方ではなんのことか本気で分からず、首を傾げて聞き返す。
「昼に貴女を抱いたことだ。」
「? どうして私が怒るの?光陽に抱かれるのは嬉しいわ。」
「しかし、貴女が不慣れなのが分かっていたのに、酷い抱き方をしてしまった。」
?? 酷い抱き方? もしかして、時間がなかったことを気にしているのだろうか?
「時間が無かったことなら、仕事なんだし気にしていないわ。寧ろ、求められて私は嬉しかったの。光陽も私を欲しがってるって実感できたから。」
その言葉に光陽は目を見開き、咲夜が本気でそういった事がわかると破顔して、
「ああ、咲夜、僕の可愛い人。今日は我慢するつもりだったのに、できそうにないよ。やっぱり貴女を抱きたい。」
と言って、咲夜を素早く抱き上げて、ベッドルームに直行した。
そして、「嫌なら、今言ってくれ、今ならまだ僕は我慢できる。」と咲夜をベットにそっと降ろしながら警告する。
「光陽、私が本気で嫌がる時は、全力で抵抗させてもらうわ。これでも誰かさんに鍛えられてだいぶ腕が上がったのよ。」
と、咲夜が笑いながら言うと、光陽の瞳が金に光り出し、金髪に髪が染まっていき、咲夜を捉えるスパイシーな香りが漂ってくる。
光陽は、咲夜の目を見つめ、前ボタンをゆっくり外しながら、逃さない、というように男の色香にあふれる様子で、
「咲夜、では僕も全力で貴女を可愛がらせてもらうよ。今日の昼のお詫びも兼ねて。」
と言うなり、咲夜の手をとって、ゆっくり指で優しくなぞり唇を這わせる。
その夜、咲夜は全身を余す事なく、光陽に触られ、熱い舌で舐められて足の指一本残さず愛された。
ゆっくり時間をかけた愛撫は、昼間の情熱的な交わりと違って、ひたすら優しく甘く焦れったい。
どれくらいの時間が経ったのだろう、永遠に続くかのように与えられる快感に、咲夜はもう何度も腰がビクビクと痙攣して、蜜口から蜜が溢れ、忘我の状態だ。
「あっ・・こう・よ・う・もう・・」
咲夜は、とろとろに蕩かされて、気持ちいいのに、彼が欲しくて苦しい不思議な感覚の中にいた。咲夜の掠れた力のない声を聞いて、光陽はやっと足の間から頭を上げ、口の周りを拭いながら、覆い被さってくる。
咲夜のピンクに染まった全身と、光陽を見る濡れた眼差し、堪らず光陽は激しく舌を絡ませ深く長く口づける。
そしてそのまま身体をゆっくり重ねてきた。
「咲夜、中がトロトロだ、すごく熱いよ。」
彼が激しく咲夜の中に突き入れ、咲夜の内壁はうねって彼を離さないが、咲夜は彼にしがみつくのが精一杯だ。
快感から解放されず、ふわふわした忘我意識のまま腰を揺らされている。
光陽が咲夜の腰を持ち上げ奥まで突き入れるように屹立を押し当て、一層激しく彼の熱い青く光った力と共にズンと突き上げると、声も出せず無意識に彼を締め付けて、頭の中が快感の電圧で焼き切れたように真っ白になり意識を失った。
「っ・・咲夜、愛してるよ。僕の可愛い人。」
光陽がどくっどくっと彼の思いを咲夜の中に注ぎ込むが、咲夜は微笑んだまま幸せそうにクーと寝てしまっていた。
光陽はその頭を優しく撫でながら、気が済んだとばかりに満悦の笑みを浮かべて、咲夜を大事そうに抱き直すと、そのまま眠りについた。
「咲夜、貴重な時間をあんな奴らの為に割いてくれてありがとう。」
「私は楽しかったわ。連盟にはいろんな方がいるのね。」
と咲夜が答えると、光陽は顔色を変えて、
「咲夜、まさかクリスが気に入ったのか? 確かにあいつは女性の扱いに長けてはいるが、僕の方が戦いにおいては上だという自信がある。あいつの能力は戦闘向きではないからな。いざという時、咲夜を守れるのは僕だけだ。」
と焦った様に咲夜の両手を握って一気にたたみかけて説得する。
光陽の勢いに咲夜はびっくりしながらも、微笑んで答える。
「もちろん、光陽の強さは分かっているわ。私はただ、初めて見る人外の類の人たちだったから、楽しかっただけよ。」
(それに、やっぱり女性にモテるのね。’氷の貴公子’なんて通り名まであるなんて、ライバル多そうだわ・・・)
今日会った女性二人は、光陽と親しそうではあるが、光陽がその気がない事は態度でわかる。
安心する一方、自分があんな素っ気ない態度を光陽に取られたらと思うとちょっとあの二人のメンタルの強さに感心してしまう。
(でも、諦めないわ、あの二人も強そうだったし、私は戦いでお荷物になる様な女性よりは、頼りになる女性になりたい。足手纏いになるのは嫌よ。)
「光陽、私、訓練頑張るわ。」
「そうか、よし、今日もお弁当を用意したから、訓練が終わったらピクニックにしよう。」
咲夜の言葉に光陽は嬉しそうに咲夜の腰に手を伸ばしかけ、ここがまだ職場でエレベーターの監視カメラの存在を思い出して、手を途中で止める。そして咲夜の手をもう一度強く握った。
「そうねまだ早いし、訓練が終わっても9時前までは時間があるわ。」
「明日も早番なのかい?」
「ええ、今週は早番のシフトなの。その代わり2時に終わるから、午後は自由になるの。」
チーンとエレベーターが地下の駐車場に着くと、人気のない駐車場で’ブローズ’を取り出し車に変える。
車に乗り込むと、光陽は素早く咲夜を引き寄せキスをして、公園に出発する。
「シャーロットさんはなぜ身内扱いなの?」
「ロッティの一族はもともと次元の違う世界に住んでいるんだが、なぜか毋方の一族を彼らの世界の支配者だと思っていて、召使いとして使えと押し掛けてくるんだよ。仕事はできるし信頼できるから資産管理を任せている。」
「ニーナさんは?」
「ニーナは魔物だが、人間を害さない。好物が魔物の生気だし、人間とも相性がいいと言っている。まあ魔物の世界は力が全てで、彼女曰く’美味しいレストランとかお洒落ができるこの世界が気に入っている’そうだ。」
(なるほど、それで力の強い光陽が気に入っているのね。)
「彼女たちは強いの?」
「ロッティの一族はもともと森の狩人だ。弓が主要武器で飛行能力があるから空中戦では強い見方だ。ニーナは相手に接触すると生気を奪う事が出来る。まあ接近戦のプロだな。」
公園に着くと、早い時間だからかまだ子供達がフィールドで遊んでいる。
「光陽、子供達が帰るまで待つ?」
「いや、大丈夫だ。」
と言うと彼が力を放ったのがわかる。波上に広がっていくそれに触れた子供達は、それぞれ、お家に帰らないと、と言いながらフィールドから出て行く。
「チャームの応用で人払いが必要な時に使う。便利な技だから咲夜にも教えるよ。さて咲夜、結界を張って始めよう。」
その日は、目に見えない敵を力を放って、索敵しながら戦う技を教えて貰い、咲夜は着々と強くなっている、と実感出来た。
訓練が終わり、二人で手を繋いで、雛ちゃんに教えてもらった二人の桃源郷スポットにやって来ると、’スキーズ’で着替えてから、ピクニックを始めた。
桜は二日前よりだいぶ散り始め、肌に当たる空気も心なし暖かい。今日は桜の真下だと花びらがお弁当に舞い散るので池の淵の方に敷物をひいて二人で美味しく夕食を食べる。
「咲夜、今日はわらび餅だ。はい、アーン」
またもや彼の手からデザートを食べさされ、恥ずかしさに頬が熱くなる咲夜は、’氷の貴公子’は絶対何かの間違いだと思いたくなる。
「光陽、デザートぐらい、自分で食べれるわ。」
と咲夜が赤くなりながら抗議すると、
「咲夜の恥ずかしがる可愛い顔を見るのは、僕の特権だ。」
と光陽はまたスプーンを咲夜の口許に運ぶ。可愛くうーと唸りながらも、光陽が喜ぶのがわかっているので咲夜は口を開けて、素直に食べさせて貰う。
(こんなこと許すの、光陽だけなんだから。)
と恥ずかしさに耐えている、咲夜が光陽は可愛くてしょうがない。
もぐもぐと食べ終わった咲夜を引寄せ、髪に目尻にと唇を寄せる。
咲夜も光陽の身体に腕を回し、顔を彼の広い胸に埋める。彼の匂いに心が暖かくなり、家に帰ってきたような安心感に包まれる。
(うーん、光陽大好きよ。)
そっと目を開けると、彼の肩越しに幻想的に景色が浮かび上がる。池に映った細い三日月に濃紺の夜空からたくさんの桃色の桜の花びらが夜風に舞いひらひら落ちてくる。
「光陽、見て、今日は三日月なのね、綺麗ね。」
心の感動を光陽にと分かち合いたくて、思わず彼の注意を促す。光陽も風に舞う花びらが咲夜の髪を持ち上げ舞う様子を見て、目を細め、
「本当だ、今日は明るい三日月だね。なんだか久しぶりにが弾きたくなった。」
と言って、咲夜の髪を弄っていた指を離し、ブレスレットからバイオリンを取り出した。
咲夜は本物のバイオリンをこんなにまじかで見るのは初めてで、武闘派の光陽の意外な趣味に好奇心でいっぱいだ。
「わあ、バイオリンを見るのは初めて。これってバイオリンよね?思ってたより、ずっと小さいわ。触ってもいい?」
はしゃぐ咲夜に光陽は優しく微笑み、
「もちろんだよ、ほら、こういう風に顎の下で挟むんだ。」
と弦とバイオリンを渡して、咲夜に正しい持ち方を教える。
咲夜が恐る恐る弦を弾くと、バイオリンが掠れた音を出し、もう一度弾いて見るがやっぱり、うまく音が出ない。
「光陽、どうして音が出ないのかしら?」
と情けなそうに言う咲夜を見て、
「はは、最初は誰でもそんなものだよ、ほら力を抜いてそう腕をあげて・・」
と光陽が咲夜の手に彼の手を重ね、一緒に弦を弾くと、綺麗いな音がバイオリンから出る。咲夜は感動して、
「綺麗な音、ねえ何か弾いてみて。」
と光陽にねだった。
「僕も正式に習った事がないから咲夜の知っているような曲は弾けない。即興の自己流で良ければ。」
「私もバイオリンの曲なんて知らないわ。でもバイオリンの音色が好きなの。光陽の曲を聴かせて。」
と言うと彼がゆっくり甘い旋律を奏で出した。彼の醸し出すバイオリンの音は、まるで誰かが歌っているようで、先程綺麗だ、と思った音とも比べ物にならないくらい、深く透明な音色が流れる。
月夜の下で奏でられる甘く切ない音色に咲夜の心はひどく揺さぶられ、深く感銘する。
(なんて、綺麗な音色なの、楽器の演奏を聴いてこんなに感動したこと、初めて。)
いつのまにか演奏を終えていた彼の長い指が、咲夜の目尻に優しく触れて涙を拭い、知らずに自分が静かに泣いていた事に咲夜は気づく。
咲夜の涙をそっと拭う、その優しい大きな手を咲夜は少し震える両手で包み込む。
包んだ男らしい大きな手から伝わる温もりに、咲夜の心の中へ、彼への愛がもう自分の中ではとっくに引き返せない、光陽以上に愛せる人は決していない、と言う事実がすとん、と落ちた。
たとえ光陽が自分を愛してくれなくても、彼が他の誰かを愛しても、咲夜は光陽以外を愛せない。
光陽の優しさ、厳しさ、ちょっぴり意地悪なところ、今日見た彼の冷淡な一面さえ、咲夜の心を捉えてはなさい。
「どうした咲夜? 何故泣く?」
彼の咲夜を気遣う優しさがとても嬉しい。
「なんでもないわ、あんまりにも綺麗な演奏に感動しちゃったわ。光陽、もっとあなたの演奏が聴きたいわ。弾いてくれる?」
「もちろんだが、本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。さあ、お願い。」
光陽が再び演奏を始めると、咲夜は黙って彼のバイオリンに向かう真剣な横顔を見つめ、春の夜に奏でられる二人きりの演奏会を心から堪能するのだった。
光陽は、咲夜の突然の涙に動揺していた。自分は何か咲夜を泣かせる様な事をしてしまっただろうか?
心当たりがありすぎて、冷や汗が出そうだ。
咲夜の初めてを奪った翌日、彼女を放置して、仕事に出向き、寂しい思いをさせることが分かっていても、顔も見せず、今日、会うなり彼女の意思も確認せず早急に抱いてしまった。それも咲夜はまだ2回目なのにリネン室で立ったまま碌に愛撫もせず、5分で済ませた。余韻も何もあったものじゃない、まるで娼婦を抱く様に、だ。
自分で顧みても酷すぎる。
さっきは、月夜に照らされて、桜の花びらの中で笑う咲夜があまりにも綺麗で、その気持ちをそのままバイオリンに載せたのだが。
咲夜の涙を優しくぬぐいながら、恐る恐る泣いている訳を咲夜に聞いてみる。
すると咲夜は光陽のバイオリンに感動したと言ってくれた。
(なんて感受性の強い、優しい人なんだ。)
そして、もっと弾いて欲しいとねだってくる。
(可愛い咲夜、僕の魂の片割れ、一生大事にする。)
そして二人でゆっくり愛を育むのだ。
(彼女は若い、まだ生をを受けて23年しか経っていない。これからもっといろんな経験をして、たくさんの出会いがあるだろう。咲夜を今僕に縛り付けるのは二人にとっていいことなんだろうか?・・・・・愛は簡単には生まれない。僕をゆっくり愛する様になってくれれば良い。)
それに光陽は戦いの前線にいることが多い。危険と常に隣り合わせの生活に咲夜を巻き込んで良いものか?
迷いは尽きないが、いまこの瞬間は再び咲夜への気持ちを込めて、バイオリンの弦をゆっくり優しく動かし始めた。
春の月が浮かぶ穏やかな池に、甘やかなバイオリンの旋律と共にひらり、またひらりと桜の花が舞い降りる。
季節はゆっくり変わっていく。此処の桜もあと何週間もすればみどりの新緑に取って代わるのだろう。
そうして、光陽が奏でる求愛の調べは深い想いとともにその澄んだ音色でますます二人を愛の虜にしていくのだった。
その夜、咲夜は光陽の大きなベッドの上で、甘やかにとろとろに蕩かされていつの間にか眠っていた。
バイオリンの演奏を終えた光陽は、最後は静かに目を瞑って聞き入っていた咲夜をそっと抱き締めて、耳元で咲夜に懇願した。
「咲夜、今日は貴女を家に帰したくない。明日は仕事で早いと分かっているが、何もしないから、ただ貴女の側で眠りたいんだ。どうか、うんと頷いてくれ。」
咲夜は、バイオリンの音色にうっとりとなりながら、光陽がいいと言ってくれるなら、彼が日本にいる間は出来るだけ自分から積極的に動いて一緒に居る時間を増やそう、と決心したばかりだったので彼の申し出は渡りに船だった。
「私も同じよ、光陽と一緒にいたいわ。それに私はいつでも光陽に抱かれたいわ。私も貴方が欲しいし、貴方が同じように私を求めてくれるのが嬉しいの。光陽の好きなようにしてくれて良いのよ。」
逞しい背中に手を回し、頷きながら光陽に答えると、光陽は咲夜の顔を覗き込み、金緑の瞳で咲夜を見つめながら、確かめるように低く囁く。
「咲夜、僕はいつでも貴女が欲しいよ。でも、貴女が嫌がることはしたくないんだ。もし、少しでも嫌だと思うことがあれば言って欲しい。約束してくれ。僕も思うことがあれば口にするよう、努力する。」
「分かったわ。そうよね、嫌だと思うことは言わないと分からないわよね。」
今まで彼にされて本気で嫌だと思った事などないが、二人でいる、と言うことは、妥協の繰り返しだと言う事は、両親を見ていて分かっていた。咲夜の両親は咲夜の前で喧嘩は滅多にしなかったが、二人ともお互いを思いやりながらも、自分の見解を述べ、その上でお互いの意見を大切にしていた。時々、咲夜の母は父が好きでないと言う歌をカラオケで歌っていたし、父も母がなんかピンとこないと言う、演歌を歌っていた。どちらもこんな歌のどこが良いのかさっぱりわからないと言いつつも、黙って聞いていたのだ。
光陽は、躊躇いがちに咲夜に聞いてきた。
「咲夜、あの、貴女は昼のことは怒ってないのか?」
「昼のことって?」
光陽の遠回しの言い方ではなんのことか本気で分からず、首を傾げて聞き返す。
「昼に貴女を抱いたことだ。」
「? どうして私が怒るの?光陽に抱かれるのは嬉しいわ。」
「しかし、貴女が不慣れなのが分かっていたのに、酷い抱き方をしてしまった。」
?? 酷い抱き方? もしかして、時間がなかったことを気にしているのだろうか?
「時間が無かったことなら、仕事なんだし気にしていないわ。寧ろ、求められて私は嬉しかったの。光陽も私を欲しがってるって実感できたから。」
その言葉に光陽は目を見開き、咲夜が本気でそういった事がわかると破顔して、
「ああ、咲夜、僕の可愛い人。今日は我慢するつもりだったのに、できそうにないよ。やっぱり貴女を抱きたい。」
と言って、咲夜を素早く抱き上げて、ベッドルームに直行した。
そして、「嫌なら、今言ってくれ、今ならまだ僕は我慢できる。」と咲夜をベットにそっと降ろしながら警告する。
「光陽、私が本気で嫌がる時は、全力で抵抗させてもらうわ。これでも誰かさんに鍛えられてだいぶ腕が上がったのよ。」
と、咲夜が笑いながら言うと、光陽の瞳が金に光り出し、金髪に髪が染まっていき、咲夜を捉えるスパイシーな香りが漂ってくる。
光陽は、咲夜の目を見つめ、前ボタンをゆっくり外しながら、逃さない、というように男の色香にあふれる様子で、
「咲夜、では僕も全力で貴女を可愛がらせてもらうよ。今日の昼のお詫びも兼ねて。」
と言うなり、咲夜の手をとって、ゆっくり指で優しくなぞり唇を這わせる。
その夜、咲夜は全身を余す事なく、光陽に触られ、熱い舌で舐められて足の指一本残さず愛された。
ゆっくり時間をかけた愛撫は、昼間の情熱的な交わりと違って、ひたすら優しく甘く焦れったい。
どれくらいの時間が経ったのだろう、永遠に続くかのように与えられる快感に、咲夜はもう何度も腰がビクビクと痙攣して、蜜口から蜜が溢れ、忘我の状態だ。
「あっ・・こう・よ・う・もう・・」
咲夜は、とろとろに蕩かされて、気持ちいいのに、彼が欲しくて苦しい不思議な感覚の中にいた。咲夜の掠れた力のない声を聞いて、光陽はやっと足の間から頭を上げ、口の周りを拭いながら、覆い被さってくる。
咲夜のピンクに染まった全身と、光陽を見る濡れた眼差し、堪らず光陽は激しく舌を絡ませ深く長く口づける。
そしてそのまま身体をゆっくり重ねてきた。
「咲夜、中がトロトロだ、すごく熱いよ。」
彼が激しく咲夜の中に突き入れ、咲夜の内壁はうねって彼を離さないが、咲夜は彼にしがみつくのが精一杯だ。
快感から解放されず、ふわふわした忘我意識のまま腰を揺らされている。
光陽が咲夜の腰を持ち上げ奥まで突き入れるように屹立を押し当て、一層激しく彼の熱い青く光った力と共にズンと突き上げると、声も出せず無意識に彼を締め付けて、頭の中が快感の電圧で焼き切れたように真っ白になり意識を失った。
「っ・・咲夜、愛してるよ。僕の可愛い人。」
光陽がどくっどくっと彼の思いを咲夜の中に注ぎ込むが、咲夜は微笑んだまま幸せそうにクーと寝てしまっていた。
光陽はその頭を優しく撫でながら、気が済んだとばかりに満悦の笑みを浮かべて、咲夜を大事そうに抱き直すと、そのまま眠りについた。
0
あなたにおすすめの小説
思い出のチョコレートエッグ
ライヒェル
恋愛
失恋傷心旅行に出た花音は、思い出の地、オランダでの出会いをきっかけに、ワーキングホリデー制度を利用し、ドイツの首都、ベルリンに1年限定で住むことを決意する。
慣れない海外生活に戸惑い、異国ならではの苦労もするが、やがて、日々の生活がリズムに乗り始めたころ、とてつもなく魅力的な男性と出会う。
秘密の多い彼との恋愛、彼を取り巻く複雑な人間関係、初めて経験するセレブの世界。
主人公、花音の人生パズルが、紆余曲折を経て、ついに最後のピースがぴったりはまり完成するまでを追う、胸キュン&溺愛系ラブストーリーです。
* ドイツ在住の作者がお届けする、ヨーロッパを舞台にした、喜怒哀楽満載のラブストーリー。
* 外国での生活や、外国人との恋愛の様子をリアルに感じて、主人公の日々を間近に見ているような気分になれる内容となっています。
* 実在する場所と人物を一部モデルにした、リアリティ感の溢れる長編小説です。
泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。
待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。
結婚式に代理出席したら花嫁になっちゃいました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
美希は平日派遣の事務仕事をしているが、暇な土日に便利屋のバイトをしている。ある日、結婚式の友人の代理出席をする予定で式場にいたのに!?
本編は完結してますが、色々描き足りなかったので、第2章も書いています。
理想の男性(ヒト)は、お祖父さま
たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。
そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室?
王太子はまったく好みじゃない。
彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。
彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。
そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった!
彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。
そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。
恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。
この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?
◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
R-Kingdom_1
他サイトでも掲載しています。
イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
楠ノ木雫
恋愛
蒸発した母の借金を擦り付けられた主人公瑠奈は、お見合い代行のアルバイトを受けた。だが、そのお見合い相手、矢野湊に借金の事を見破られ3ヶ月間恋人役を務めるアルバイトを提案された。瑠奈はその報酬に飛びついたが……
世界一美しい妹にせがまれるので婚約破棄される前に諦めます~辺境暮らしも悪くない~
tartan321
恋愛
美しさにかけては恐らく世界一……私の妹は自慢の妹なのです。そして、誰もがそれを認め、私は正直言って邪魔者なのです。でも、私は長女なので、王子様と婚約することになる運命……なのですが、やはり、ここは辞退すべきなのでしょうね。
そもそも、私にとって、王子様との婚約はそれほど意味がありません。私はもう少し静かに、そして、慎ましく生活できればいいのです。
完結いたしました。今後は後日談を書きます。
ですから、一度は婚約が決まっているのですけど……ごたごたが生じて婚約破棄になる前に、私の方から、婚約を取り下げます!!!!!!
課長のケーキは甘い包囲網
花里 美佐
恋愛
田崎すみれ 二十二歳 料亭の娘だが、自分は料理が全くできない負い目がある。
えくぼの見える笑顔が可愛い、ケーキが大好きな女子。
×
沢島 誠司 三十三歳 洋菓子メーカー人事総務課長。笑わない鬼課長だった。
実は四年前まで商品開発担当パティシエだった。
大好きな洋菓子メーカーに就職したすみれ。
面接官だった彼が上司となった。
しかも、彼は面接に来る前からすみれを知っていた。
彼女のいつも買うケーキは、彼にとって重要な意味を持っていたからだ。
心に傷を持つヒーローとコンプレックス持ちのヒロインの恋(。・ω・。)ノ♡
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる