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お泊まり
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「今から事務所を出る。」
と彼からメッセージが届いたのはちょうど花蓮が洗濯物を乾燥機から取り出して、彼の家に持って行く服に大いに悩んでいる最中だった。
私服を数着、パジャマと数枚の下着、化粧セットの予備、こんな物だろう。
(小旅行に持って行く小さなカバンに詰めてっと、)
’コンコン’とノックの音が玄関でした。
「はーい、今開けます。」
俊幸を笑顔で迎えて、小さなカバンを手に持ちそのまま家を出ようとすると、彼が、
「花蓮、君さえ良ければ家を案内してくれないか?」
と聞いてきた。そういえば、いつも玄関までは送ってもらっていたが、部屋に招いたことはなかった。花蓮が彼の立場なら当然気になる。
「はい、もちろんどうぞ、狭い家ですが入ってください。」
「有難う。お邪魔します。」
彼が花蓮の家のキッチンに立っている。家の中を興味深そうに眺めているその後ろ姿を見ながら衝動的に背中に抱きつきたい気持ちになる。
(私、この人が好きだ。)
気がつけば彼のシャツの袖をそっと握っていた。振り向いた彼の手が袖を握っている花蓮の手の上に重なり指と指を繋げる、袖を放した花蓮を指をつなげた手でそっと引き寄せると力強く抱きしめた。
「花蓮、持って行く荷物はそのカバンだけなのか?」
「はい。」
「君の服はどこにある?」
花蓮が戸惑った顔をすると、
「君がいつも服をしまっているタンスはどこだ?」
「ああ、それならこっちです。」
花蓮がベッドの横のお気に入りのチェストと押入れを指す。
「旅行用のトランクは?」
「??押入れですけど。」
「トランクを出そう。押入れ開けていいかな?」
頷きながら、まさか、と思っていると、押入れから出したトランクを開けて花蓮に、
「手伝うから来週一週間分の荷物をこれに詰めよう。」
「あの。まさか1週間泊まりにこいってことじゃあ・・・・」
「そのまさかだ。ここのセキュリティは無いに等しいし、僕は月曜から出張で、向こうに行ってる間ここに泥棒でもはいったらどうする? ここに駆けつける事も出来ないし、電話でしか君の安否を確認できない。帰ってきても毎日帰りが遅くなるだろうし、多分金曜の夜まで会えない。僕がそんな状況に甘んじるとでも? 僕の家なら君が安全なことは分かっているし、僕がいなくてもガードが24時間いる。帰りが遅くなっても君の寝顔が毎晩みれる。心配の種がなくなって僕も仕事に集中できるし、君のいる我が家に帰ってくるのが楽しみにもなる。さて、君の意見は?」
「・・・・・」
実は花蓮も元から俊幸が出張でいなくても彼の家には毎日バイトに通うことは決めていた。
彼の家は居心地が良かったし、家にいることで少しでも彼に会えない寂しさが紛れるかな、と思ったのだ。
そして彼の帰りが遅くなるなら休みの前日の金曜日なら遅くまで待っていられると思ったから来週の約束を変更したのだ。
彼の案は花蓮のものより一歩どころかスキップで10歩ほど進んでいたが、根本的には同じような発想からだ、と分かっていた。
花蓮はトランクの横でじっと花蓮を見つめている彼にかがんで頬にキスをして、「わかりました、俊幸さんが仕事に集中できるのなら、喜んで伺います。」と言った。
俊幸は満悦の笑顔で、
「有難う、僕のささやかな願いを叶えてくれて嬉しいよ。さあ服を詰めよう。もちろん今日から泊まって行くだろう?」
というのを聞いて、お願いされたのは花蓮なのに、負けた気がするのは何故だろうと花蓮は思った。
その日の午後は彼と一緒に家具専門店にダイニングセットを見に行くことにした。道すがら、車の中でどうして急にダイニングセットの買い換えを思いついたのか聞いてみた。
「昨日の夜、花蓮が買い換えて欲しい、って言ったからね。いい機会だと思ったんだよ。一緒に行けばお互いの好みも把握できる。」
そういえば、そんな話をしたような・・・・・
「どうせだから、他の家具も見ていこう。」
「そうですね、この際他の家具もいいものがあれば揃えましょう。」
ダイニングのセットはもちろん、空っぽだったもう一つの居間用のソファや、リビングに敷くラグなど二人で気に入ったものを購入していった。
何件目かに立ち寄った輸入家具専門店で、花蓮は自分好みのドレッサーを見つけてしまった。
(か、可愛いい、この曲線のフォルムといい、色といい、いいなぁ。)
値段は貯金を使えば払えないことはなかったが、一体花蓮のあの狭い家のどこに置くのだ、という現実に後ろ髪を引かれる思いでそこから立ち去ったが、その店では素敵なアームチェアやサイドテーブルが二人とも気に入りその日の夕方に搬送できるというのでその場で購入した。その日は他にも数点気に入ったものを購入して帰りにスーパーで夕食の買い物をして夕方家に帰ってきた。
「ただいま」と玄関でつい一人暮らしの癖で声に出して言ってしまってから、ここは自分の家じゃなかった、と俊幸の方を見ると、彼は嬉しそうに微笑しながら、
「おかえり」と返し、花蓮を引き寄せると優しく髪にキスをする。そして「疲れただろう、もう直ぐ家具が届くと思うからそれまで休んでおいで。よかったら何か淹れるよ。何が飲みたい?」
と気を遣ってくれた。花蓮はほうじ茶を頼んで窓際の大きなソファーにぽすんと座ると、そのままうとうと寝てしまった。
耳から着替えてくるざわめきと美味しそうな匂いに頭がだんだん覚醒してくる。花蓮の体にはミッドナイトブルーのふかふかの毛布が掛かっていて、花蓮は大きなソファーで暖かく快適に目覚めた。俊幸と誰か知らない人との会話が聞こえておりお客さんが来てるんだな、とぼんやりした頭で暖炉の方を向いた。人の気配はだんだん近づいて来てどうやら玄関の近くで挨拶をしているようだ。そこまで考えて花蓮はハッと目覚めた。少し掠れた声で会話の主だと思われる人の名を呼ぶ。
「俊幸さん?」
「花蓮、起こしてしまったか。まだそこでゆっくりしておいで。こっちは大丈夫だから。」
「誰かお客様ですか?」
すると知らない顔の男性が玄関で振り向いて、
「ああ、奥さん、起こしてしまいましたか。すいません、お騒がせして。それではまたご贔屓に。」
と言って帰っていった。
花蓮が配達の人の’奥さん’発言を綺麗にスルーして、「お客様がいらしていたのに、寝てしまってごめんさい。」と謝ると、彼はなんでもない事のように軽く笑って、
「お客様じゃなくて、配送会社の人たちだよ。家具の配達を手配しただろう、それが届いたんだよ。」
周りを見渡すと、暖炉の前にはラグが敷いてあり、足が伸ばせるオットマンがソファの前に置かれていた。コーナーには床ランプも置いてある。花蓮がせっせと片付けて書斎に運び込んだ書類の山や洗濯物も見えず部屋の様子は一段と寛げるものに様変わりしていた。
「わあーいいですね、俊幸さんはこんな感じ、どうですか?ほぼ私の趣味で決めてしまったので、気に入ってくれたら嬉しいのですけど。」
「二人で決めたんだから、もちろん気に入ってるよ。前よりもっと部屋らしくなって寛げる家になった。花蓮のアドバイスのお陰だ。ありがとう。」
「とんでもない、お役に立てて嬉しいです。」
二人で家の中を見て回って今後の買い物リストについて話し合いながら最後にマスターベッドルームに入って行く。この部屋で買い足した家具はベッドのサイドテーブル二つに窓際で本が読めるアームチェアだ。朝は気がつかなかったが、彼は学生時代の引き出しをサイドテーブルとして使っていたのだそうだ。古い家具は先ほどの配達業者が運び出してくれているので、今は新しい白いマホガニー製のサイドテーブルがきちんと二つベッドの両サイドに収まっている。座り心地良さそうな大きなアームチェアとペアのオットマンが窓際に置いてある。
そしてベッドの先の壁にはサイドテーブルとお揃いの花蓮が諦めていたドレッサーが置いてあった。
「俊幸さん!」
「この部屋気に入った?これで出勤する時にもバスルームの取り合いを避けられるだろ?」
「私はゲストルームを使えば良いのでは・・・。」
「ゲストルームにベッドはまだないよ。」
「? でも、キッチン側のベッドルームの一つにベッドが置いてありますよね。」
「ああ、あの部屋は時々泊まりにくる僕の友達が使っているんだ。着替えとか置いてあっただろ。」
そういえば男物のシャツとかあったような気がする。
「でも、という事は予備のベッドありますよね。」
彼はちょっと拗ねたように、
「花蓮は僕のベッドで寝るのが嫌なのか?」
「いや、そういうわけでは、でも常識で考えてですね・・」
「嫌じゃないなら、問題ない。第一、花蓮があいつと同じベッドで寝るなんて僕が嫌だ。」
「・・・わかりました。」
「じゃあお腹もすいたし、ご飯にしようか。花蓮は玄関の小部屋に置いてあるトランクをこの部屋のクローゼットに持っておいで。クローゼットの空いているところに花蓮の服を仕舞えばいいから。疲れただろう、ご飯が終わったら風呂に入ればいい。」
「はい。ありがとうござます、俊幸さん。ドレッサーもとても嬉しいです。すごく欲しかったんです。でも我が家だと置き場所がなくて諦めてたんです。」
「花蓮、僕に続いて言ってみよう、’ありがとう、俊幸’」
「ありがとう、俊幸さん」
「ハア、まあ今日のところはそれで我慢するよ。」
彼の部屋のバスルームは予想はしていたが、やはり大きくゆったりした設計で、例えるならそう、外国にある一流ホテルのスウィートに相応しい作りだった。
日本式のお風呂ではなくシャワーと浴槽が別々にあり洗面所も彼と彼女用に二つ付いている。キッチン側にある家族用の風呂は、日本式のお風呂だったが、花蓮は久々に洋式の風呂に入り、窓から見える夜景を楽しんだ。
彼は花蓮への贈り物のドレッサーはバスルームの朝の混雑を避けるのに、と言っていたがこんな10人ぐらい余裕で入れそうなバスルームに混雑など永遠に起きそうにない。
先ほど荷物を詰めたウォークインクローゼットも半分が空で花蓮の持参した衣服をしまってもまだまだ余裕があった。下着など花蓮のもっている半分ぐらいを詰めてきたのに、何段もある作り付けの引き出しの一つにも満たなかった。
花蓮は広いバスタブから夜景を望みながら、やっぱり彼のペースだ、と思いつつも同時に彼のテリトリーに入れてもらって嬉しいと感じている。なんとなく彼は常日頃こんなに簡単にガードを下げる人でははない、と思えたからだ。だけど花蓮にとっての彼もそうだ。花蓮も通常ここまで簡単に異性に気を許すことは滅多になかった。花蓮と彼の感情表現は年の差で彼がリードを握っているとはいえ常に対等だ。それを花蓮は嬉しく思った。
お風呂から上がると寝間着のキャミソールに着替え、俊幸に彼もお湯が冷めないうちに入るよう勧める。お腹も一杯だしお風呂に入って体もポカポカ、そして彼のベッドに入って彼の匂いに包まれて心が安らぎ、今日の疲れもあってか、直ぐにくーと寝つき良く寝始めた。
夜明け前の白々とした空がうっすら朝日で染まる頃、花蓮は暖かい腕の中で目が覚めた。
俊幸のもう片方の手は花蓮の腰を抱いており、二人の足も絡まっている。花蓮は暫くじっとしてその暖かい感触を楽しむうちウトウト再び二度寝にはいる。と、すうすうと寝ていた彼が身じろぎをし花蓮を無意識に引き寄せると、
「ん、」
と今度は花蓮も無意識に彼の首に縋りつくように腕を回す。
目を覚ました彼の甘いテノールが耳に吐息とともに囁いた。
「おはよう、花蓮」
「ん~おはようございます。」
欠伸を噛み殺しながら挨拶を返したため、少し涙目になりながら彼をみる。
「花蓮、その顔は反則だ。」
「えっ?」
突然、彼の下に組み敷かれ、彼の唇が花蓮の唇に優しく重ねられる。
甘やかだが昏い熱情を伴った瞳が花蓮を見つめ、花蓮が目を閉じて彼の首に回した両腕に力を込めると、再び深く長く口づけられる。
時々口づけの間に唇をそっと潤すように唇を舐められ、口を開くと花蓮の舌を優しくなぞる彼の舌を花蓮は優しく甘噛みする。彼にそのまま舌を引き込まれ二人の舌が激しく絡まり合い、温かく濡れた感触に花蓮が恍惚となると、二人の唾液が口内に溢れやがて口端から滴り始めた。
気持ちいい。
彼との口づけは甘いワインのように花蓮を酔わし、溢れてくる甘い唾液を味わいながらを喉を鳴らして飲み込む。
飽きることなく何度も何度も角度を変え深く交わす口づけは二人を酩酊させ、甘く喉に滴る唾液にさえ掻き立てられ果てし無く永遠に続くかのようだった。絶え間なく交わされる口づけの波のようなリズムに、いつしか二人の手足は絡まり彼の熱く硬いものがボクサー越しに下腹部に押し付けられると花蓮は堪らず脚を開き腰を浮かして彼を迎える。
花蓮の奔放な動きに彼は喉の奥で低く唸り、
「花蓮、俺を誘っているのか、」
と唇を合わせながら囁くと花蓮の臀部に大きな手を回し、柔らかくカーブした肉を掴むと彼の滾るものを花蓮のショーツにぐっと強く押し付けて腰を回す。
「あっ・・・ん」
花蓮の下半身に快感が走り思わず踵をベッドに押し付け喉をのけぞらせると声が喉奥から漏れた。花蓮の着ていたキャミソールはいつの間にか胸の下まで捲れ上がり肩紐は大きくズレている。
彼は花蓮のそのしどけない姿を一旦体を離して見つめると、花蓮も乱れた息を整えながらじっと彼の瞳を見つめ返す。
彼の息も髪も乱れていたが、ゆっくり笑いかける顔は強烈な男の色香を放っていて何時もの紳士然とした態度とも明らかに雰囲気が違う。
「花蓮、お腹が空いているかも知れないが、もう少し俺に付き合ってくれ。足りないんだ。」
花蓮は彼の一人称が’僕’から’俺’に変わっていることに気づいたが、この理性が剥がれかけの彼はなんとも言えずセクシーで少し乱暴で、けれども変わらず花蓮を気遣ってくれている。
これも彼の一部だと思うと普段の彼とはまた違った魅力で花蓮はますます惹かれてしまう。
花蓮が陶然とした表情で「ふふふ・・・」と笑うと、彼が少し驚いたように目を見開き次に目を細めて、
「まったく君は・・・・」
と呟き、キャミの上から大きな手に胸を柔らかく包まれる。
「ふっ、ぅん・・」
「柔らかいな。花蓮、気持ちいいか?」
ゆっくりと感触を確かめるように胸を揉まれ快感が体を走る。
体はどんどん熱くなり胸の先がジンジンと痛いほど尖ってくる。
彼の頭が胸に近づいてキャミの上から花蓮の尖った乳首を指でそっと撫でたかと思うとおもむろに唇に含んだ。突然与えられた生暖かく甘い刺激に花蓮の身体はびくんと跳ね、思わず叫声が「んっ」と漏れてしまった。
その声に満足げに、
「声を抑えるな、大丈夫、俺しかいないしほかには聞こえない。感じてる声が聞きたい。」と言ってまた唇を胸に寄せ布越しに花蓮が掠れた声で鳴き続けるまで吸い続けた。
やがてキャミをそっと胸の上までずらし、胸が露わになると素肌に直接手を触れる。彼の指が彼が残した赤い印を胸の形に沿って軽くなぞると乳首の周りをそっとゆっくり円を描くように触れて、乳首を親指と中指でキュっと挟んだ。
「あっんっ」
ジンと疼く乳首に息がフッと吹きかけられそのまま口に含まれ、一瞬強く吸われるとチュっと音がして唇が離れて行く。どうして、と彼を見ると、花蓮の目を見ながら見せつけるように舌を伸ばし敏感な乳首を熱い舌でぺろっと舐める。
「ふぁ、ぁっ」
花蓮の気持ち良さそうな声に、続けて乳首を舌でぺろ、ぺろ、ぺろとやんわり舐められ、強い刺激を求めてもどかしさで花蓮が無意識に腰を揺らす。
(もっと。もっとして。)
花蓮の切ない表情に俊幸は満足そうに微笑んで、胸を口に含み舌で乳首を転がすと、唇で挟み強くじゅっっと音を立てて吸う。花蓮の身体がビクッと動いて、
「あ、あぁっ・・・」
と声にならない嬉声を漏らす。彼は乳首を口に含んでちゅっと吸ったまま軽く歯を立てて甘噛みしつつ熱い舌で前後に舐めまわした。
花蓮は胸に広がる甘美な刺激に腕を伸ばして彼の頭を抱え、堪え切れず連続して声を漏らす。
「あっ、あっ、あんっ・・・」
花蓮が彼の頭の拘束を緩めると彼が上体を起こして仰向けになった花蓮の膝を押して足を大きく開かせ、足の間に身体を割り込ませる。
指がショーツの縁をなぞり太ももの内側まで来ると両手で柔らかい肌を撫でながらゆっくり更に押し開く。彼の頭が下がり唇を寄せると、太ももにちりっと熱い痛みが走り、かなり際どいところに赤い痕跡が残る。
温かい吐息がフッと太もも内側にかかり、ショーツの上から柔らかく口付けしてくる。そして一旦顔を離し熱い息を湿ったショーツにふうっと吹きかけると花蓮の腰がビクと震え微かな声が喉から漏れる。
そのままショーツの膨らんだ部分に湿った熱い息を吹きかけながら、かりっかりっと甘噛みされると、花蓮は反射的に膝を閉じようとしたが、太もものに絡みついた彼の腕が脚を閉じることをさりげなく許さない。
「ん・・・んっ・・あっあっ」
足の間に絶え間なく快感を与えられ、膝は断続的に揺れ続ける。ジワリとショーツに滲みてきたシミはだんだん広がり、彼が濡れた生地越しに小さくはっきり尖った膨らみを口に含み、強目に噛んでそのまま歯で噛み合わすかのよう縦横に動かすと花蓮の体を痺れたような快感が何度も走る。声は細く震え、揺れで途切れがちだったが、堪らなくなって背中を反らせると切羽詰まった声が喉から漏れる。
「いャっっあ、あッ、アッッゥ」
びくんと大きく背中が揺れ、たまらず嬉声を上げた。ふわっとした浮遊感に包まれ、ふわふわがゆっくり降りてくる。
彼の手がショーツにかかり突っ張っていた体が弛緩してドキドキしていた心拍が落ち着いてくる暇もなくショーツを脱がされる。
先ほどより膨れた突起を彼の熱く濡れた舌先でチロチロと小刻みに舐め上げられ、無意識に引こうとする細い腰回りを両手で掴むとやんわりともとに戻される。敏感な一点を襲う快感の奔流に堪らず悲鳴のようなか細い声が絶え間なく漏れ、腰が浮くが力強い手がそれを押しとどめる。身体に緊張が走り太ももに無意識に力が入って踵がベッドに強く押し付けられ、腰が浮いてくる。
「・・・ぁ・・・っ」
甘美な快感に切なげな吐息を漏らし、腰が小刻みに揺れる。
膨らんだ突起の覆いを彼の尖った舌が追いやり剥き出しにすると唇で挟みちゅうと吸い上げた。途端にきゅんきゅんしびれるような快感が下半身に広がる。吸い上げた突起を今度は舌で捏ねくり回し、舐め上げ、また強く吸う。絶え間なく与えられる快感の嵐にやがて花蓮が息もできないほど呼吸音が乱れてくると、彼が剥き出しの突起に柔らかく歯を当て甘噛みをそっと何回も繰り返した。
最も敏感な突起への際限なく与えられる刺激に身体がびくんと緊張して太ももに強く力がはいり、腰が振動のように揺れる。強い快感の奔流についに花蓮の身体は踵をピンと突っ張り再び大きく背を反らせ、嬉声を響かせてビクンビクンと何度も波のような痙攣が走った。
呼吸が困難なほどハアハアと荒い呼吸を繰り返し、疼く体が弛緩してきてドキドキしていた脈拍が下がってくると、彼が今度はゆっくりと熱い舌を剥かれた突起にあてた。そのまま動かず、舌の動きを止めてずきんずきんと疼き敏感になっている突起の上に生暖かい息と熱く濡れた舌がペトリと被さる。
熱く濡れた舌の熱がじわりじわり快感の中心にある突起から波状に広がると同時に花蓮の中から愛液が溢れてくる。心拍は温かい息が疼く突起のまわりにかかるたびにドクンドクンと早くなるが、彼の熱い舌は突起に被さって留まったまま動かず、コポコポと愛液は泉のように溢れて太ももを流れ落ちる。
花蓮は焦らされて自分で腰を揺らそうとするが、彼の大きな手がそれを許さず、マグマのような熱い快感の塊が溢れる蜜口の奥からゆっくり上がってきて、下半身が蕩けてしまいそうだ。
「ああっ、だめっ、いやっ」
ドロッと濃厚な熱い塊が身体を上がってくる感覚は尿意にも似ていて、花蓮はどうしていいのか分からない。動かない彼の舌に身体は焦れてついに熱いドロ状の愛液の塊が大量に止めどなく蜜口からどくどくと溢れ出し太ももを熱くねっとり濡らしていく。
「ああっ、いやっ、いやっ」
花蓮は恥ずかしさに必死で膝を閉じようとするが、彼の花蓮の太股を抱いた腕はびくとも動かず、熱い舌も疼く突起にあてられたままだ。全身が延々と続く絶頂感から逃れられず次から次へと止め処無く熱く透明な愛液は溢れ続け、花蓮の体は痙攣と弛緩を繰り返し、太ももを伝った愛液がシーツまでぐしゃぐしゃに濡らし始める。
細く高く掠れ鳴く声は止まらず、波のように押し寄せる快感はいつまでも収まらない。花蓮の意識は果てし無く続く甘い奔流に支配され朦朧としてきて身体はついにぐったりベッドに沈み込んだ。
彼はゆっくり花蓮の太ももから腕を抜き、花蓮から溢れた愛液をじゅうっと啜り最後に突起を強く擦って花蓮が身体も動かせず、腰がびくんびくんと揺れるのを見てとる。
彼の顔が花蓮の涙ぐむ潤んだ瞳の視界に写って、上気した頬や涙を含む目尻、と顔じゅうに優しく口づけされ、最後に花蓮を強く抱きしめながら唇に舌を深く差し入れて口づけされた。
花蓮は彼を抱き返したかったが、腕も上がらず体が思うように動かない。
その様子を見てとった彼が慈しむように花蓮の髪を撫で、
「いったんだな。花蓮、最高だ。本当に可愛いよ。無理して動かなくていい、ちょっと待ってろ。シャワーして風呂の用意するから。」
と言って立ち上がる。
彼がまだ高ぶっていてボクサーから硬く熱く滾っているのが見えたが、彼は気にする様子もなく屈んで花蓮に寝具を掛けるとシャワーに消えていく。
花蓮はまだ快感の余韻から抜け出せず、胸を上下に震わせて深い呼吸を繰り返しながらその後ろ姿を見送る。
まだ朦朧とした意識の中
(これは何、どうしちゃったの私の身体、こんなに気持ちいいなんて。最初のキスから、もしかして身体の相性がいいかもとは思ったけれど・・・これは、’いった’で済むレベルなの・・・)
と生まれて初めての無防備な感覚に未だ戸惑っていた。
これでまだ、彼も花蓮も服さえ全部脱いでいない、彼が「もう少し付き合って」といった結果。花蓮は、「もう少し」が「全部」になったら自分はどうなるのだろうと思った。
そうなのだ、彼と交わすキスはとても気持ちよくて何度も’もっと’と思う気持ちが止められない。彼に身体を触れられると嬉しくて自分も彼に触れられずにはいられない。
高揚感と浮上感を伴った今もさっきまで彼に触れられていて満足したばかりなのに、彼の姿が見えなくなるともう寂しい寂寥感が胸に広がる。花蓮はぼんやりと思った。
(彼と愛を交わすという行為は自分のすべてを余す事なく委ねて、心を預け合うことなのかも。)
だからこそ、自我が薄くなり、怖いほど無防備に彼に体を委ねて、花蓮の身体は余計なことを考えず彼の与えてくれる愛撫にとても敏感になる。そこには彼に対する絶対の信頼があった。
彼はシャワーから戻ってくると、花蓮を両手に抱いて浴槽に一緒に入りぼうっとした花蓮を洗ってくれてそのままリビングのソファーに降ろしてくれた。花蓮は身体のだるさが抜けずそのままウトウトと寝入ってしまい次に目を覚ました時はご飯の用意が整った遅い朝だった。彼はもう朝食を済ませていて一緒に食卓で紅茶だけを飲みながら花蓮が美味しそうに食べるのを満足そうに見ていた。
と彼からメッセージが届いたのはちょうど花蓮が洗濯物を乾燥機から取り出して、彼の家に持って行く服に大いに悩んでいる最中だった。
私服を数着、パジャマと数枚の下着、化粧セットの予備、こんな物だろう。
(小旅行に持って行く小さなカバンに詰めてっと、)
’コンコン’とノックの音が玄関でした。
「はーい、今開けます。」
俊幸を笑顔で迎えて、小さなカバンを手に持ちそのまま家を出ようとすると、彼が、
「花蓮、君さえ良ければ家を案内してくれないか?」
と聞いてきた。そういえば、いつも玄関までは送ってもらっていたが、部屋に招いたことはなかった。花蓮が彼の立場なら当然気になる。
「はい、もちろんどうぞ、狭い家ですが入ってください。」
「有難う。お邪魔します。」
彼が花蓮の家のキッチンに立っている。家の中を興味深そうに眺めているその後ろ姿を見ながら衝動的に背中に抱きつきたい気持ちになる。
(私、この人が好きだ。)
気がつけば彼のシャツの袖をそっと握っていた。振り向いた彼の手が袖を握っている花蓮の手の上に重なり指と指を繋げる、袖を放した花蓮を指をつなげた手でそっと引き寄せると力強く抱きしめた。
「花蓮、持って行く荷物はそのカバンだけなのか?」
「はい。」
「君の服はどこにある?」
花蓮が戸惑った顔をすると、
「君がいつも服をしまっているタンスはどこだ?」
「ああ、それならこっちです。」
花蓮がベッドの横のお気に入りのチェストと押入れを指す。
「旅行用のトランクは?」
「??押入れですけど。」
「トランクを出そう。押入れ開けていいかな?」
頷きながら、まさか、と思っていると、押入れから出したトランクを開けて花蓮に、
「手伝うから来週一週間分の荷物をこれに詰めよう。」
「あの。まさか1週間泊まりにこいってことじゃあ・・・・」
「そのまさかだ。ここのセキュリティは無いに等しいし、僕は月曜から出張で、向こうに行ってる間ここに泥棒でもはいったらどうする? ここに駆けつける事も出来ないし、電話でしか君の安否を確認できない。帰ってきても毎日帰りが遅くなるだろうし、多分金曜の夜まで会えない。僕がそんな状況に甘んじるとでも? 僕の家なら君が安全なことは分かっているし、僕がいなくてもガードが24時間いる。帰りが遅くなっても君の寝顔が毎晩みれる。心配の種がなくなって僕も仕事に集中できるし、君のいる我が家に帰ってくるのが楽しみにもなる。さて、君の意見は?」
「・・・・・」
実は花蓮も元から俊幸が出張でいなくても彼の家には毎日バイトに通うことは決めていた。
彼の家は居心地が良かったし、家にいることで少しでも彼に会えない寂しさが紛れるかな、と思ったのだ。
そして彼の帰りが遅くなるなら休みの前日の金曜日なら遅くまで待っていられると思ったから来週の約束を変更したのだ。
彼の案は花蓮のものより一歩どころかスキップで10歩ほど進んでいたが、根本的には同じような発想からだ、と分かっていた。
花蓮はトランクの横でじっと花蓮を見つめている彼にかがんで頬にキスをして、「わかりました、俊幸さんが仕事に集中できるのなら、喜んで伺います。」と言った。
俊幸は満悦の笑顔で、
「有難う、僕のささやかな願いを叶えてくれて嬉しいよ。さあ服を詰めよう。もちろん今日から泊まって行くだろう?」
というのを聞いて、お願いされたのは花蓮なのに、負けた気がするのは何故だろうと花蓮は思った。
その日の午後は彼と一緒に家具専門店にダイニングセットを見に行くことにした。道すがら、車の中でどうして急にダイニングセットの買い換えを思いついたのか聞いてみた。
「昨日の夜、花蓮が買い換えて欲しい、って言ったからね。いい機会だと思ったんだよ。一緒に行けばお互いの好みも把握できる。」
そういえば、そんな話をしたような・・・・・
「どうせだから、他の家具も見ていこう。」
「そうですね、この際他の家具もいいものがあれば揃えましょう。」
ダイニングのセットはもちろん、空っぽだったもう一つの居間用のソファや、リビングに敷くラグなど二人で気に入ったものを購入していった。
何件目かに立ち寄った輸入家具専門店で、花蓮は自分好みのドレッサーを見つけてしまった。
(か、可愛いい、この曲線のフォルムといい、色といい、いいなぁ。)
値段は貯金を使えば払えないことはなかったが、一体花蓮のあの狭い家のどこに置くのだ、という現実に後ろ髪を引かれる思いでそこから立ち去ったが、その店では素敵なアームチェアやサイドテーブルが二人とも気に入りその日の夕方に搬送できるというのでその場で購入した。その日は他にも数点気に入ったものを購入して帰りにスーパーで夕食の買い物をして夕方家に帰ってきた。
「ただいま」と玄関でつい一人暮らしの癖で声に出して言ってしまってから、ここは自分の家じゃなかった、と俊幸の方を見ると、彼は嬉しそうに微笑しながら、
「おかえり」と返し、花蓮を引き寄せると優しく髪にキスをする。そして「疲れただろう、もう直ぐ家具が届くと思うからそれまで休んでおいで。よかったら何か淹れるよ。何が飲みたい?」
と気を遣ってくれた。花蓮はほうじ茶を頼んで窓際の大きなソファーにぽすんと座ると、そのままうとうと寝てしまった。
耳から着替えてくるざわめきと美味しそうな匂いに頭がだんだん覚醒してくる。花蓮の体にはミッドナイトブルーのふかふかの毛布が掛かっていて、花蓮は大きなソファーで暖かく快適に目覚めた。俊幸と誰か知らない人との会話が聞こえておりお客さんが来てるんだな、とぼんやりした頭で暖炉の方を向いた。人の気配はだんだん近づいて来てどうやら玄関の近くで挨拶をしているようだ。そこまで考えて花蓮はハッと目覚めた。少し掠れた声で会話の主だと思われる人の名を呼ぶ。
「俊幸さん?」
「花蓮、起こしてしまったか。まだそこでゆっくりしておいで。こっちは大丈夫だから。」
「誰かお客様ですか?」
すると知らない顔の男性が玄関で振り向いて、
「ああ、奥さん、起こしてしまいましたか。すいません、お騒がせして。それではまたご贔屓に。」
と言って帰っていった。
花蓮が配達の人の’奥さん’発言を綺麗にスルーして、「お客様がいらしていたのに、寝てしまってごめんさい。」と謝ると、彼はなんでもない事のように軽く笑って、
「お客様じゃなくて、配送会社の人たちだよ。家具の配達を手配しただろう、それが届いたんだよ。」
周りを見渡すと、暖炉の前にはラグが敷いてあり、足が伸ばせるオットマンがソファの前に置かれていた。コーナーには床ランプも置いてある。花蓮がせっせと片付けて書斎に運び込んだ書類の山や洗濯物も見えず部屋の様子は一段と寛げるものに様変わりしていた。
「わあーいいですね、俊幸さんはこんな感じ、どうですか?ほぼ私の趣味で決めてしまったので、気に入ってくれたら嬉しいのですけど。」
「二人で決めたんだから、もちろん気に入ってるよ。前よりもっと部屋らしくなって寛げる家になった。花蓮のアドバイスのお陰だ。ありがとう。」
「とんでもない、お役に立てて嬉しいです。」
二人で家の中を見て回って今後の買い物リストについて話し合いながら最後にマスターベッドルームに入って行く。この部屋で買い足した家具はベッドのサイドテーブル二つに窓際で本が読めるアームチェアだ。朝は気がつかなかったが、彼は学生時代の引き出しをサイドテーブルとして使っていたのだそうだ。古い家具は先ほどの配達業者が運び出してくれているので、今は新しい白いマホガニー製のサイドテーブルがきちんと二つベッドの両サイドに収まっている。座り心地良さそうな大きなアームチェアとペアのオットマンが窓際に置いてある。
そしてベッドの先の壁にはサイドテーブルとお揃いの花蓮が諦めていたドレッサーが置いてあった。
「俊幸さん!」
「この部屋気に入った?これで出勤する時にもバスルームの取り合いを避けられるだろ?」
「私はゲストルームを使えば良いのでは・・・。」
「ゲストルームにベッドはまだないよ。」
「? でも、キッチン側のベッドルームの一つにベッドが置いてありますよね。」
「ああ、あの部屋は時々泊まりにくる僕の友達が使っているんだ。着替えとか置いてあっただろ。」
そういえば男物のシャツとかあったような気がする。
「でも、という事は予備のベッドありますよね。」
彼はちょっと拗ねたように、
「花蓮は僕のベッドで寝るのが嫌なのか?」
「いや、そういうわけでは、でも常識で考えてですね・・」
「嫌じゃないなら、問題ない。第一、花蓮があいつと同じベッドで寝るなんて僕が嫌だ。」
「・・・わかりました。」
「じゃあお腹もすいたし、ご飯にしようか。花蓮は玄関の小部屋に置いてあるトランクをこの部屋のクローゼットに持っておいで。クローゼットの空いているところに花蓮の服を仕舞えばいいから。疲れただろう、ご飯が終わったら風呂に入ればいい。」
「はい。ありがとうござます、俊幸さん。ドレッサーもとても嬉しいです。すごく欲しかったんです。でも我が家だと置き場所がなくて諦めてたんです。」
「花蓮、僕に続いて言ってみよう、’ありがとう、俊幸’」
「ありがとう、俊幸さん」
「ハア、まあ今日のところはそれで我慢するよ。」
彼の部屋のバスルームは予想はしていたが、やはり大きくゆったりした設計で、例えるならそう、外国にある一流ホテルのスウィートに相応しい作りだった。
日本式のお風呂ではなくシャワーと浴槽が別々にあり洗面所も彼と彼女用に二つ付いている。キッチン側にある家族用の風呂は、日本式のお風呂だったが、花蓮は久々に洋式の風呂に入り、窓から見える夜景を楽しんだ。
彼は花蓮への贈り物のドレッサーはバスルームの朝の混雑を避けるのに、と言っていたがこんな10人ぐらい余裕で入れそうなバスルームに混雑など永遠に起きそうにない。
先ほど荷物を詰めたウォークインクローゼットも半分が空で花蓮の持参した衣服をしまってもまだまだ余裕があった。下着など花蓮のもっている半分ぐらいを詰めてきたのに、何段もある作り付けの引き出しの一つにも満たなかった。
花蓮は広いバスタブから夜景を望みながら、やっぱり彼のペースだ、と思いつつも同時に彼のテリトリーに入れてもらって嬉しいと感じている。なんとなく彼は常日頃こんなに簡単にガードを下げる人でははない、と思えたからだ。だけど花蓮にとっての彼もそうだ。花蓮も通常ここまで簡単に異性に気を許すことは滅多になかった。花蓮と彼の感情表現は年の差で彼がリードを握っているとはいえ常に対等だ。それを花蓮は嬉しく思った。
お風呂から上がると寝間着のキャミソールに着替え、俊幸に彼もお湯が冷めないうちに入るよう勧める。お腹も一杯だしお風呂に入って体もポカポカ、そして彼のベッドに入って彼の匂いに包まれて心が安らぎ、今日の疲れもあってか、直ぐにくーと寝つき良く寝始めた。
夜明け前の白々とした空がうっすら朝日で染まる頃、花蓮は暖かい腕の中で目が覚めた。
俊幸のもう片方の手は花蓮の腰を抱いており、二人の足も絡まっている。花蓮は暫くじっとしてその暖かい感触を楽しむうちウトウト再び二度寝にはいる。と、すうすうと寝ていた彼が身じろぎをし花蓮を無意識に引き寄せると、
「ん、」
と今度は花蓮も無意識に彼の首に縋りつくように腕を回す。
目を覚ました彼の甘いテノールが耳に吐息とともに囁いた。
「おはよう、花蓮」
「ん~おはようございます。」
欠伸を噛み殺しながら挨拶を返したため、少し涙目になりながら彼をみる。
「花蓮、その顔は反則だ。」
「えっ?」
突然、彼の下に組み敷かれ、彼の唇が花蓮の唇に優しく重ねられる。
甘やかだが昏い熱情を伴った瞳が花蓮を見つめ、花蓮が目を閉じて彼の首に回した両腕に力を込めると、再び深く長く口づけられる。
時々口づけの間に唇をそっと潤すように唇を舐められ、口を開くと花蓮の舌を優しくなぞる彼の舌を花蓮は優しく甘噛みする。彼にそのまま舌を引き込まれ二人の舌が激しく絡まり合い、温かく濡れた感触に花蓮が恍惚となると、二人の唾液が口内に溢れやがて口端から滴り始めた。
気持ちいい。
彼との口づけは甘いワインのように花蓮を酔わし、溢れてくる甘い唾液を味わいながらを喉を鳴らして飲み込む。
飽きることなく何度も何度も角度を変え深く交わす口づけは二人を酩酊させ、甘く喉に滴る唾液にさえ掻き立てられ果てし無く永遠に続くかのようだった。絶え間なく交わされる口づけの波のようなリズムに、いつしか二人の手足は絡まり彼の熱く硬いものがボクサー越しに下腹部に押し付けられると花蓮は堪らず脚を開き腰を浮かして彼を迎える。
花蓮の奔放な動きに彼は喉の奥で低く唸り、
「花蓮、俺を誘っているのか、」
と唇を合わせながら囁くと花蓮の臀部に大きな手を回し、柔らかくカーブした肉を掴むと彼の滾るものを花蓮のショーツにぐっと強く押し付けて腰を回す。
「あっ・・・ん」
花蓮の下半身に快感が走り思わず踵をベッドに押し付け喉をのけぞらせると声が喉奥から漏れた。花蓮の着ていたキャミソールはいつの間にか胸の下まで捲れ上がり肩紐は大きくズレている。
彼は花蓮のそのしどけない姿を一旦体を離して見つめると、花蓮も乱れた息を整えながらじっと彼の瞳を見つめ返す。
彼の息も髪も乱れていたが、ゆっくり笑いかける顔は強烈な男の色香を放っていて何時もの紳士然とした態度とも明らかに雰囲気が違う。
「花蓮、お腹が空いているかも知れないが、もう少し俺に付き合ってくれ。足りないんだ。」
花蓮は彼の一人称が’僕’から’俺’に変わっていることに気づいたが、この理性が剥がれかけの彼はなんとも言えずセクシーで少し乱暴で、けれども変わらず花蓮を気遣ってくれている。
これも彼の一部だと思うと普段の彼とはまた違った魅力で花蓮はますます惹かれてしまう。
花蓮が陶然とした表情で「ふふふ・・・」と笑うと、彼が少し驚いたように目を見開き次に目を細めて、
「まったく君は・・・・」
と呟き、キャミの上から大きな手に胸を柔らかく包まれる。
「ふっ、ぅん・・」
「柔らかいな。花蓮、気持ちいいか?」
ゆっくりと感触を確かめるように胸を揉まれ快感が体を走る。
体はどんどん熱くなり胸の先がジンジンと痛いほど尖ってくる。
彼の頭が胸に近づいてキャミの上から花蓮の尖った乳首を指でそっと撫でたかと思うとおもむろに唇に含んだ。突然与えられた生暖かく甘い刺激に花蓮の身体はびくんと跳ね、思わず叫声が「んっ」と漏れてしまった。
その声に満足げに、
「声を抑えるな、大丈夫、俺しかいないしほかには聞こえない。感じてる声が聞きたい。」と言ってまた唇を胸に寄せ布越しに花蓮が掠れた声で鳴き続けるまで吸い続けた。
やがてキャミをそっと胸の上までずらし、胸が露わになると素肌に直接手を触れる。彼の指が彼が残した赤い印を胸の形に沿って軽くなぞると乳首の周りをそっとゆっくり円を描くように触れて、乳首を親指と中指でキュっと挟んだ。
「あっんっ」
ジンと疼く乳首に息がフッと吹きかけられそのまま口に含まれ、一瞬強く吸われるとチュっと音がして唇が離れて行く。どうして、と彼を見ると、花蓮の目を見ながら見せつけるように舌を伸ばし敏感な乳首を熱い舌でぺろっと舐める。
「ふぁ、ぁっ」
花蓮の気持ち良さそうな声に、続けて乳首を舌でぺろ、ぺろ、ぺろとやんわり舐められ、強い刺激を求めてもどかしさで花蓮が無意識に腰を揺らす。
(もっと。もっとして。)
花蓮の切ない表情に俊幸は満足そうに微笑んで、胸を口に含み舌で乳首を転がすと、唇で挟み強くじゅっっと音を立てて吸う。花蓮の身体がビクッと動いて、
「あ、あぁっ・・・」
と声にならない嬉声を漏らす。彼は乳首を口に含んでちゅっと吸ったまま軽く歯を立てて甘噛みしつつ熱い舌で前後に舐めまわした。
花蓮は胸に広がる甘美な刺激に腕を伸ばして彼の頭を抱え、堪え切れず連続して声を漏らす。
「あっ、あっ、あんっ・・・」
花蓮が彼の頭の拘束を緩めると彼が上体を起こして仰向けになった花蓮の膝を押して足を大きく開かせ、足の間に身体を割り込ませる。
指がショーツの縁をなぞり太ももの内側まで来ると両手で柔らかい肌を撫でながらゆっくり更に押し開く。彼の頭が下がり唇を寄せると、太ももにちりっと熱い痛みが走り、かなり際どいところに赤い痕跡が残る。
温かい吐息がフッと太もも内側にかかり、ショーツの上から柔らかく口付けしてくる。そして一旦顔を離し熱い息を湿ったショーツにふうっと吹きかけると花蓮の腰がビクと震え微かな声が喉から漏れる。
そのままショーツの膨らんだ部分に湿った熱い息を吹きかけながら、かりっかりっと甘噛みされると、花蓮は反射的に膝を閉じようとしたが、太もものに絡みついた彼の腕が脚を閉じることをさりげなく許さない。
「ん・・・んっ・・あっあっ」
足の間に絶え間なく快感を与えられ、膝は断続的に揺れ続ける。ジワリとショーツに滲みてきたシミはだんだん広がり、彼が濡れた生地越しに小さくはっきり尖った膨らみを口に含み、強目に噛んでそのまま歯で噛み合わすかのよう縦横に動かすと花蓮の体を痺れたような快感が何度も走る。声は細く震え、揺れで途切れがちだったが、堪らなくなって背中を反らせると切羽詰まった声が喉から漏れる。
「いャっっあ、あッ、アッッゥ」
びくんと大きく背中が揺れ、たまらず嬉声を上げた。ふわっとした浮遊感に包まれ、ふわふわがゆっくり降りてくる。
彼の手がショーツにかかり突っ張っていた体が弛緩してドキドキしていた心拍が落ち着いてくる暇もなくショーツを脱がされる。
先ほどより膨れた突起を彼の熱く濡れた舌先でチロチロと小刻みに舐め上げられ、無意識に引こうとする細い腰回りを両手で掴むとやんわりともとに戻される。敏感な一点を襲う快感の奔流に堪らず悲鳴のようなか細い声が絶え間なく漏れ、腰が浮くが力強い手がそれを押しとどめる。身体に緊張が走り太ももに無意識に力が入って踵がベッドに強く押し付けられ、腰が浮いてくる。
「・・・ぁ・・・っ」
甘美な快感に切なげな吐息を漏らし、腰が小刻みに揺れる。
膨らんだ突起の覆いを彼の尖った舌が追いやり剥き出しにすると唇で挟みちゅうと吸い上げた。途端にきゅんきゅんしびれるような快感が下半身に広がる。吸い上げた突起を今度は舌で捏ねくり回し、舐め上げ、また強く吸う。絶え間なく与えられる快感の嵐にやがて花蓮が息もできないほど呼吸音が乱れてくると、彼が剥き出しの突起に柔らかく歯を当て甘噛みをそっと何回も繰り返した。
最も敏感な突起への際限なく与えられる刺激に身体がびくんと緊張して太ももに強く力がはいり、腰が振動のように揺れる。強い快感の奔流についに花蓮の身体は踵をピンと突っ張り再び大きく背を反らせ、嬉声を響かせてビクンビクンと何度も波のような痙攣が走った。
呼吸が困難なほどハアハアと荒い呼吸を繰り返し、疼く体が弛緩してきてドキドキしていた脈拍が下がってくると、彼が今度はゆっくりと熱い舌を剥かれた突起にあてた。そのまま動かず、舌の動きを止めてずきんずきんと疼き敏感になっている突起の上に生暖かい息と熱く濡れた舌がペトリと被さる。
熱く濡れた舌の熱がじわりじわり快感の中心にある突起から波状に広がると同時に花蓮の中から愛液が溢れてくる。心拍は温かい息が疼く突起のまわりにかかるたびにドクンドクンと早くなるが、彼の熱い舌は突起に被さって留まったまま動かず、コポコポと愛液は泉のように溢れて太ももを流れ落ちる。
花蓮は焦らされて自分で腰を揺らそうとするが、彼の大きな手がそれを許さず、マグマのような熱い快感の塊が溢れる蜜口の奥からゆっくり上がってきて、下半身が蕩けてしまいそうだ。
「ああっ、だめっ、いやっ」
ドロッと濃厚な熱い塊が身体を上がってくる感覚は尿意にも似ていて、花蓮はどうしていいのか分からない。動かない彼の舌に身体は焦れてついに熱いドロ状の愛液の塊が大量に止めどなく蜜口からどくどくと溢れ出し太ももを熱くねっとり濡らしていく。
「ああっ、いやっ、いやっ」
花蓮は恥ずかしさに必死で膝を閉じようとするが、彼の花蓮の太股を抱いた腕はびくとも動かず、熱い舌も疼く突起にあてられたままだ。全身が延々と続く絶頂感から逃れられず次から次へと止め処無く熱く透明な愛液は溢れ続け、花蓮の体は痙攣と弛緩を繰り返し、太ももを伝った愛液がシーツまでぐしゃぐしゃに濡らし始める。
細く高く掠れ鳴く声は止まらず、波のように押し寄せる快感はいつまでも収まらない。花蓮の意識は果てし無く続く甘い奔流に支配され朦朧としてきて身体はついにぐったりベッドに沈み込んだ。
彼はゆっくり花蓮の太ももから腕を抜き、花蓮から溢れた愛液をじゅうっと啜り最後に突起を強く擦って花蓮が身体も動かせず、腰がびくんびくんと揺れるのを見てとる。
彼の顔が花蓮の涙ぐむ潤んだ瞳の視界に写って、上気した頬や涙を含む目尻、と顔じゅうに優しく口づけされ、最後に花蓮を強く抱きしめながら唇に舌を深く差し入れて口づけされた。
花蓮は彼を抱き返したかったが、腕も上がらず体が思うように動かない。
その様子を見てとった彼が慈しむように花蓮の髪を撫で、
「いったんだな。花蓮、最高だ。本当に可愛いよ。無理して動かなくていい、ちょっと待ってろ。シャワーして風呂の用意するから。」
と言って立ち上がる。
彼がまだ高ぶっていてボクサーから硬く熱く滾っているのが見えたが、彼は気にする様子もなく屈んで花蓮に寝具を掛けるとシャワーに消えていく。
花蓮はまだ快感の余韻から抜け出せず、胸を上下に震わせて深い呼吸を繰り返しながらその後ろ姿を見送る。
まだ朦朧とした意識の中
(これは何、どうしちゃったの私の身体、こんなに気持ちいいなんて。最初のキスから、もしかして身体の相性がいいかもとは思ったけれど・・・これは、’いった’で済むレベルなの・・・)
と生まれて初めての無防備な感覚に未だ戸惑っていた。
これでまだ、彼も花蓮も服さえ全部脱いでいない、彼が「もう少し付き合って」といった結果。花蓮は、「もう少し」が「全部」になったら自分はどうなるのだろうと思った。
そうなのだ、彼と交わすキスはとても気持ちよくて何度も’もっと’と思う気持ちが止められない。彼に身体を触れられると嬉しくて自分も彼に触れられずにはいられない。
高揚感と浮上感を伴った今もさっきまで彼に触れられていて満足したばかりなのに、彼の姿が見えなくなるともう寂しい寂寥感が胸に広がる。花蓮はぼんやりと思った。
(彼と愛を交わすという行為は自分のすべてを余す事なく委ねて、心を預け合うことなのかも。)
だからこそ、自我が薄くなり、怖いほど無防備に彼に体を委ねて、花蓮の身体は余計なことを考えず彼の与えてくれる愛撫にとても敏感になる。そこには彼に対する絶対の信頼があった。
彼はシャワーから戻ってくると、花蓮を両手に抱いて浴槽に一緒に入りぼうっとした花蓮を洗ってくれてそのままリビングのソファーに降ろしてくれた。花蓮は身体のだるさが抜けずそのままウトウトと寝入ってしまい次に目を覚ました時はご飯の用意が整った遅い朝だった。彼はもう朝食を済ませていて一緒に食卓で紅茶だけを飲みながら花蓮が美味しそうに食べるのを満足そうに見ていた。
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