その男マイペースにつき

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召還されてしまうよ。

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自分でも思うが、俺は特徴が少ないと思う。
借金を完済した途端、ふと思う。
高校生の時からバイトをして社会の荒波へ
抗ってきた。
元々、体が弱く勉強も出きる方ではない。
しかし、この世とは不思議なもので、
苦しいから逃げるとずっと苦しいままだと言うことをこの23年間で学んだ。
人生の一区切りが付き、帰ろうと銀行のドアを開いて見ると、辺り一面真っ白の空間に投げ出された。
中央に何か、居る。
姿は見えないが、確かにそこに存在している奴が居る。
その存在Xはこちらに意識を向けると同時に
話しかけてきた。
<良く来たね。>

頭に直接響く優しい男とも女とも取れない声。

<待ってたよ?>
 
どうやら待っててくれたらしい。
なんとなく、ありがとうと伝えて。
存在Xは何のために俺を呼んだのかを聞いてみた。

<これから、君が居た世界とは別次元の所へ行って貰いたくてね。  特別な力をあげるから行って貰えないかな?>

なるほど。良くわからない。
俺よりももっと
優れた人なら腐るほどいるはず。
疑問を隠しきれなくなった俺は聞いてみた。
何故と。

<確かに、君より力が強い子も賢い子も居るね
だけど、皆自分に溺れてしまうんだよね😵
…そこで、精神的に強い君を迎えに来たと言うわけさ。>

懇切丁寧に教えてくれた。
そこまで評価をくれていることに
感謝すら覚える。
しかし、この存在Xはなんとなく疲れきっている感じが気になってもどかしい。
俺は、力は要らないと答えた。

<え、いや?💦
何かの力を受け取ってくれないと送れないんだけど、願いとか無いの?
君の事は少しの間だけど、
すごく気に入ったんだ。何でも言ってよ。>

この存在Xは恐らく人の為に損をし続ける。
現に、恐らくもっと輝いて居ただろうオーラが
くすんだ部分が多くある。
俺は少し考えてこう答えた。
貴方のそのくすんだ部分を下さい。
それから、俺は何かを倒すとか戦い等は
一切やらない。

<この呪いが欲しいの?
君には祝福をあげたいんだけど、ダメかな?>

間髪入れずに、呪いを貰い受ける旨を伝える。

<分かったよ。
でも、苦しくなったらいつでも言ってね。
すぐに祝福に作り替えるからさ。
無理はしないでね。>

ありがとう。
どうせ人生の一区切りが付いたのだ。
少し旅行を楽しもう。
では、また会おう。

------------------_____--------------
<こんなに優しい綺麗な人は初めてだ。
これから、
君が平和に過ごせますように。>

1つの魂を送った審判の間に
残っている神は独り言を言っていた。
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