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第7章 ダンジョン都市
第174話 ダンジョン攻略②
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21階層へと足を踏み入れたケビンたちは、先導者をケビンからティナに切り替えて先へと進んでいた。
遭遇する敵は、ようやく歯ごたえのありそうなものへと変わり、3人で連携をしながら戦っている。
そんな中、ケビンはここに来るまでに、冒険者とすれ違わないことを不思議に思っていた。
ダンジョン都市と言う割には、ダンジョンに篭っている冒険者の数が少ないのだ。
ケビンの【マップ】にも、冒険者を示すマーカーはついてなく、つまり今いる階層はケビンたちしかいないということになる。
「ケビン君、難しい顔をしてどうしたの?」
この階層での戦闘にも慣れて、片手間で魔物を屠っていくティナがケビンに尋ねた。
「いや、冒険者が見当たらないなと思ってね」
「そういえば、中々鉢合わせすることがないわね」
「ダンジョン攻略する冒険者って、あまりいないのかな?」
「それはないとは思うんだけど。たまたま今日は、ダンジョンに潜る冒険者が少ないんじゃない?」
「そうだといいんだけど」
「心配しすぎよ。それに私たちは新参なんだから、今まで攻略してた人は、もっと下の階層を探索しているはずよ」
「それもそうか」
ティナの言うことがご尤もだと思ったケビンは、まだ浅層を攻略している最中なので、余計なことは考えずに攻略を進めていくことにした。
その後ケビンたちは、21階層を全て回り終えたところで、22階層へと降りていった。
魔物のバラエティは21階層と変わらず、攻略もスムーズに進んでいたこともあり、行き止まりに当たったところで一旦昼休憩を挟むことにした。
「ちょうどいい時間だし、昼休憩にしようか? 場所もいいところだし」
「そうね。行き止まりなら、一方向だけ警戒していればいいものね」
「念のためティナさんは結界を張っておいて。気配探知があるから来てもわかるだろうけど」
「わかったわ」
「ルルは食事の準備をお願いするよ」
「かしこまりました」
「ニーナさんは俺とセッティングね」
「わかった」
ケビンは、必要なものをどんどん【無限収納】から出していき、ルルはその中から調理に必要なものを選んでいく。
ニーナは大きめの毛布を拾うとケビンと2人で広げて、シート代わりにどんどん地面に敷いていく。
ティナが結界を張り終えると、その様子を見て自然と笑みをこぼした。
「何だかピクニックに来たみたいね」
「そう言われるとそうだね。場所は危険極まりないけど」
「こういうのも楽しい」
「そうね。ケビン君と一緒じゃないと、味わえない楽しさね」
ケビンとニーナが毛布を敷き終わると、3人でシート代わりの毛布の上でくつろぎ、ルルの料理を待つことにした。
やがてルルの調理が終わるとそれぞれの前へ並べていき、食事の準備が整ったところでルルが座るのを待つ。
「それじゃあ、食べようか」
昼食はパンとサラダの簡単なものだったが、いつもと違う雰囲気の中で食べているせいか、皆の箸も進んであっという間に食べ終わってしまう。
談笑がてら食休みをしてくつろいでいると、思いのほか時間が過ぎていたようなので攻略を再開することにした。
その後、攻略はスムーズに進んで行き、やがて30階層のボス部屋まで到達する。
「今度はどんな魔物が出るんだろう?」
「ゴブリンやオークみたいなのは嫌ね。もっと簡単なのにして欲しいわ。フロアとボス部屋の難易度の差が違いすぎるのよ」
「確かに」
「何故あの様にアンバランスなのでしょうか?」
「うーん……下へ進んで欲しくないとか?」
「ダンジョンがそんな事考えるの?」
「謎……」
ニーナの言う通り謎が深まるばかりだが、ルルが思いもよらぬことを口にした。
「もしかして……人が意図的にしたのでは?」
「人?」
「予想でしかないのですが、狩場の儲けを独占するためにとか……有名なクランは2つだけでしたよね? ダンジョン都市なのに……もっとあってもいいような気がするんですが」
「でも、人がダンジョンに手を加えるなんて考えられないわ。どうやってボス部屋の魔物を増やすのよ?」
「……」
一同が悩んでいる時に、ニーナがハッとした表情を見せて、思い出したかのように呟いた。
「……テイマー……」
その呟きをケビンは聞き逃さず、自分の考える職種と一致しているかどうか確認するためにも、ニーナに聞き返した。
「テイマー?」
「魔物を手懐ける職種」
「いくらテイマーでも、ゴブリンキングは無理じゃない?」
「いえ、逆の発想ではどうでしょうか?」
「逆?」
「はい。ボス部屋なのだからゴブリンキングは元々いたと仮定すれば、その他の魔物を増やすだけでいいはずです。幸い、ナイトやメイジ、ゴブリンはフロアでも見かけましたし」
「それならオークの時も、ナイトとかフロアで彷徨いてたね」
「でも、魔物を中に入れても、1回倒したらいなくなるんじゃない?」
「それはどうだろう……ボス部屋で魔物を倒すと、光の粒子になって消えていったよね? 道中の魔物は、素材が剥ぎ取れるように残っていたのに。そのことを踏まえると、あの部屋にいる魔物は記憶されてるんじゃないかな?」
「記憶?」
「そう。もし1回で終わりなら魔物から剥ぎ取りできるように、その場で残ってなきゃいけないでしょ? だけど、粒子となって消えてから再度挑戦した時には再び同じ数だけ現れていた。剥ぎ取りした魔物もいつの間にか消えているから、どこかで再出現しているとは思うけど……」
「それには検証が必要だと思われます。ケビン様、10階層で検証してみませんか? もしかしたらそれが原因でケビン様が懸念されていた、冒険者があまりダンジョンにいないことと繋がるかも知れません」
「確かに、そんなこと気にしてたわね」
「検証必須」
「それじゃあ、ここのボス部屋は後回しにして、ゴブリンの所へ行こうか」
ケビンたちは自分たちの考えを検証するべく、10階層のボス部屋まで転移で移動してきた。
「とりあえず、ゴブリンを1匹転移させて増やしてみようか? その後に、ボス部屋に突入して殲滅する。それが終わったら再度ボス部屋に突入して、増えているかどうかの確認だね」
ケビンは同階層にいるゴブリンを、ボス部屋の中に転移させて、ゴブリンの数が増えたことを確認すると、ティナたちに任せてボス部屋を攻略させる。
その後、再度ボス部屋の前まで転移してみると、【マップ】にボス部屋のゴブリンが増えた状態で映し出されていた。
「ティナさん、気配探知でボス部屋の中はわかる?」
「無理ね。何故かわからないけど、気配を全く感じないわ」
ティナの返答を聞くと、改めて【マップ】が壊れ性能であることを再認識したケビンであった。
「もしかして……ケビン君には見えてるわけ?」
「そうだね。最悪の形で見えてるよ。ゴブリンの数が増えたままだ」
「「「……」」」
ティナたちの沈黙は、自分たちの予想が当たってしまったことへの沈黙なのか、それともケビンのスキルの凄さに呆れ返っていることへの沈黙なのか、現時点では定かでない。
もしかしたら、その両方であるかも知れないが……
「とりあえず、中に入って目視でも確認しようか? 間違いかもしれないし」
「ケビン君の【マップ】に映ってるなら、間違いないと思うんだけど……」
それからケビンたちは中へ入り、数が増えたままで変わってないことを確認したら、サクッと攻略して再度ボス部屋の前に転移した。
「問題はここからだよね」
「それなら簡単じゃない? 逆のことをすれば数が減るでしょ?」
「ティナが冴えてる……」
「ちょっ、ニーナ! 私はいつでも冴えてるのよ!」
「プッ……朝は冴えてないくせに」
「ぐぬぬ……」
ティナとニーナがやり合っている中、ケビンは適度な広さのところへ行くと、ボス部屋の中からゴブリン1匹を転移させた。
転移させられたゴブリンは、何が何だかわからずにキョロキョロしていたが、それが最後の行動となった。
ケビンは表情ひとつ変えずにゴブリンの首を刎ねて、そのままボス部屋の中へと転移して1人で攻略すると、再度ボス部屋の前まで戻ってきて中の様子を【マップ】で確認する。
「ちょっとケビン君! なに1人で黙々と作業してるのよ」
「ん? ニーナさんとの遊びは終わった?」
「ぐっ……お、終わったわ」
「勝った」
悔しそうに答えるティナに対してニーナはドヤ顔であることから、ティナとニーナの言い合いは、どうやらニーナに軍配が上がったようである。
「それで? ケビン君は何をしてたの?」
「あぁ、中のゴブリンを1匹転移させて殺してから、ボス部屋を攻略して戻ってきたところ」
「それで、そこにゴブリンが転がってるわけね」
「結論から言うと、ボス部屋のゴブリンの数は減ってるね」
「ということは、このボス部屋もオークの時も、意図的に誰かがした細工をしたってわけね」
「そうなるね」
「どうするの? 数を減らしておく?」
「いや、放っておくよ。慈善家ではないし俺には関係ないから。謎が解けただけで満足かな。ダンジョンの秘密もわかったことだし」
「ケビン君って結構ドライね」
「そう? いつも通りだけど」
「ケビン様は身内にはお優しいですけど、それ以外には興味を持たれないのです」
「そうなんだ。それじゃあ、30階層のボス部屋を攻略しに行きましょ」
ケビンたちは30階層のボス部屋前まで転移すると、そのまま中へと入って行った。
中で待ち構えていたのは、うようよと蠢く蔦に、花のような頭部とその中心にある大きな口から涎を垂らし、茎の部分がグネグネと動いているマンイーターだった。
その周りには体長1メートルほどの蛾が飛んでいる。羽には目玉が付いているような模様があり、鱗粉を撒き散らしながら浮遊している状態だ。
「あれは生理的に受け付けないわね」
「マンイーター3体にアイズモス10匹だね。これは下手したら触手プレイになるのかな?」
「ケビン君、触手プレイって何?」
「ティナさんがマンイーターの蔦に捕まって、その蔦からエッチなことをされている状況だよ。服の中に入り込んできたり、大事なところを弄り回されたりして、色々されちゃう感じ」
「うっ……寒イボが……」
そんな状況でも想像してしまったのか、ティナはブルっと体を震わせて、腕をさすっていた。
ティナに限らずニーナやルルまでもが、同じようなことを想像してしまったようで、腕をさすっている。
「ケ、ケビン君、つかぬことをお聞きしますが、代わりに倒してくれちゃったりなんかは……?」
「して欲しいの?」
「ちょっと想像してしまったら、近づきたくないっていうかなんというか……」
「んー……ニーナさんにルルも?」
「無理っ!」
「ケビン様、使用人である私がこの様な願いを申し上げるのは、如何なものかとも思いますが、是非とも倒して頂きたくっ!」
「それじゃあ、みんな貸し1だから、後で何を要求されても断れないからね?」
「「「お願いします!」」」
ティナたちは揃ってケビンに頭を下げた。よほど気持ち悪い想像でもしてしまったのか、ひとつの場所にみんなで固まり抱き合っている。
ケビンは、ティナたちを背後へ庇うように前へ出ると、一気に魔力を高めた。
「《放熱遮断》《白焔》」
ケビンが魔法を唱えて自分たちを結界で遮断すると、マンイーターやアイズモスを取り囲むように白い炎が現れて辺りを埋め尽くすと、魔物たちは逃げ場をなくした。
むしろ魔物たちは逃げる暇さえ与えられなかった。瞬時に燃やし尽くしてしまい、その後には何が起きたのかさえわからないような状態で、ダンジョンでありながらも壁や地面は溶けただれ、マグマと化していた。
「「「……」」」
ティナたちは、目の前で起きたことに、ただただ呆然とするしかなかった。
「……うん、やり過ぎた……そして、熱そう……」
ケビンは辺りの惨状を見て淡々と感想をこぼし、熱気が凄そうということもあり、冷却しながら風を操っては排気を行っている。
「やり過ぎたじゃないでしょぉぉぉっ! どうすんのよコレェェェッ!」
「ティナが壊れた……」
「……」
あまりの出来事と惨状にティナが大絶叫して、それを見たニーナがボソッと呟くが、ルルは沈黙を守っているのか、それともただ現実逃避をしているだけなのか、そのどちらなのかは定かでない。
「まぁ、過ぎたことは仕方ないよ」
「……はぁぁ……いくらなんでもやり過ぎよ」
「それなら、次はティナさんがやる?」
「うっ……それは……」
「冗談だって。俺もあれはキモいと思ったから早めに処理したんだし。少しだけ力が入ったんだよ」
「ケビン君、あれ何の魔法?」
「気になるの? ニーナさん」
「凄く気になる」
「ニーナさんも使ってる魔法だよ」
「?」
ニーナは思いつかないのか、こてんと首を傾げて人差し指を口元に当てたままケビンに視線を向けていた。
(カ、カワイイ……)
その破壊力の凄さに見事大ダメージを受けたケビンは、しばらくニーナを見つめ、ニーナもまたケビンの視線に気づき見つめ返していた。
やがて、ケビンは吸い込まれるようにニーナへと口づけをして、ニーナはそんなケビンに体を委ねた。
「ん……」
そんな、独特の雰囲気に包まれた2人の様子を見て、音を立てずにティナが近付いてきた。
「……ゴホンッ!」
「ん? ティナさん風邪でもひいたの?」
ティナの咳払いに口づけを止めて現実へ復帰したケビンは、何事もなかったかのようにティナに尋ねるが、そこにはジト目で睨みつけるティナの姿があった。
「今この状況でそんなことが言えるケビン君は、ある意味尊敬に値するわ。どうしてニーナと見つめ合った上にキスしていたの? 魔法の説明をしてたはずだよね?」
「可愛かったから」
「……照れる」
ニーナもまた、既に現実へ復帰しており、ケビンの出した回答にモジモジしながらも照れていた。
「……はぁぁ……ダンジョンでそんなことしてるのは、ケビン君ぐらいだよ?」
「他の人は、余裕がないだろうからね」
「ダンジョンの中だっていうのに、強すぎるのも考えものだわ……」
「じゃあ、ティナさんにはしないでおくね。ニーナさんかルルだけにしておくよ」
「――ッ!」
「ケ、ケビン様!?」
思わぬところで自分の名前が出てきて、ルルは慌てふためく。
「ルルも止めとく?」
「い、いえ! むしろご褒美です!」
「ケビン君、さっきの続き」
ルルと話していたケビンの服をクイクイっと引っ張って、ニーナが声をかけた。
「ん? キス足りなかった?」
「……それは帰ってから。魔法の話……」
「あぁぁ……答えね。答えは“ファイア”だよ」
「……意味不明」
「これは理解するのが難しい分野だからね。簡単に言うと、火の温度を上げたんだよ」
「温度で色が変わる?」
「そうだよ。温度以外でも変えることは出来るけど、さっきやった魔法は、温度を上げたから色が変わったんだよ」
「……謎」
「じゃあ、実演するよ。熱くなるし危ないから魔法を結界で覆うね。《ファイア》《放熱遮断》」
ケビンは実際に見た方が早いだろうと、離れた場所に火を作り出してからその火を放熱遮断の結界で覆い、周りへ先程のように熱量による被害が出ないようにしてから実演することにした。
「今はまだ、普通の“ファイア”だから赤いよね?」
「うん。赤い」
ケビンは、そこからどんどん温度を上昇させていく。すると色に変化がつき始めた。
「ほら、温度が上がってオレンジ色になってきた」
「ッ! 変わってる!」
……
「今度は黄色」
「お日様みたい」
……
「で、白色。さっき使ったのはこれだよ」
「本当だ」
「ちなみに、この石を投げると……」
(ジュッ)
「溶けた……」
「これがさっきの被害ね」
「ドロドロ」
……
「更に上がると青白くなる」
「少し青色が付いた」
……
「最終段階がこれ」
「青い……」
「以上が温度変化による“ファイア”の有効活用でした。ご清聴ありがとうございました」
(パチパチパチ……)
ケビンのなんちゃって講義が終わると、ニーナどころかルルまでもが拍手をしていた。
「よし、キリもいいから宝箱を開けて帰ろうか」
ケビンはファイアを霧散させると、宝箱を開けて中身の確認をする。大して良い物は入っておらず、安定の売却素材となるのだった。
そのまま、スタスタとボス部屋の先に行くケビンに、ニーナとルルが続き、ティナは慌てて後を追いかける。
「ちょ、ちょっと待ってよぉ」
そんなティナにケビンは振り返り、何かあったのかと聞き返してみる。
「ん? どうしたの?」
「さっきの私にもして欲しい……」
「魔法の実演? 見逃したの?」
「……違う……キス……」
「でもティナさんの中では、ダンジョンでそういうことをするのは抵抗あるんでしょ? 自分で言ってたことだし」
「うぅ……だってぇ……」
「それじゃあ、外に出よう」
「ま、待って」
ケビンが魔法陣に乗るとダンジョン外へと転移して、ニーナとルルも後に続くが、ニーナを見送ったあとルルが魔法陣に乗る前にティナに助言をする。
「ティナさん、嫉妬は程々にしないと邪魔したら敬遠されますよ。して欲しいなら、順番待ちをすればいいだけなんですから。ケビン様は頼めばきっとしてくれますよ?」
「……うん」
それだけ言うとルルは魔法陣に乗り、ダンジョン外へと転移する。残されたティナもその後に続いた。
外へと転移したティナを待ち受けていたのは、不意打ちすぎるケビンからの口づけであった。
「んっ! ……」
ティナは驚きに目を見開くが、やがてケビンに身を委ねてしばらくキスを続けたのち、ケビンが唇を離すと惚けているティナに声をかける。
「ダンジョンの外だから問題ないよね?」
悪戯っぽく笑みを浮かべてケビンが尋ねると、ティナはそれに対して自分の気持ちを正直に伝えた。
「違うの……さっきのはニーナが羨ましくて当たってただけなの……ごめんね、ニーナとのキスを邪魔して。本当は場所なんてどうでもいいの。ただ私は、ニーナみたいに可愛くできないし、おっぱいしか取り柄がないから、ニーナに嫉妬して邪魔しただけなの」
そんなティナの気持ちを包み込むかのように、ケビンは優しくティナを抱き寄せると自分の気持ちを伝えた。
「ティナさんはちゃんと可愛いよ。ティナさんにはティナさんの可愛さがあるんだから、ニーナさんを真似する必要はないし、胸以外にもちゃんと取り柄だってあるんだから自信持って」
「本当?」
「本当だよ」
「他の取り柄って何?」
「朝起きないところとか、ニーナさんに口喧嘩で勝てないところとか、気が緩むとダラけるところとか、大雑把で適当なところとか――」
「それってダメなところよね?」
「俺にとっては、そんなティナさんが可愛いからいいんだよ。しっかりしてそうで全くできてないダメなところが、俺から見るティナさんの魅力だよ」
「もう! それだと単に手のかかる女の子みたいじゃない」
「実際そうだからね。真面目で几帳面なティナさんなんて想像できないし、本当に嫌ならさっさと矯正させてるよ」
「このままでもいいの?」
「それがティナさんらしさだよ」
「ありがとう。大好きよ、ケビン君」
それからケビンたちは、ギルドに寄って素材の買取を済ませると、夢見亭へと帰宅するのであった。
遭遇する敵は、ようやく歯ごたえのありそうなものへと変わり、3人で連携をしながら戦っている。
そんな中、ケビンはここに来るまでに、冒険者とすれ違わないことを不思議に思っていた。
ダンジョン都市と言う割には、ダンジョンに篭っている冒険者の数が少ないのだ。
ケビンの【マップ】にも、冒険者を示すマーカーはついてなく、つまり今いる階層はケビンたちしかいないということになる。
「ケビン君、難しい顔をしてどうしたの?」
この階層での戦闘にも慣れて、片手間で魔物を屠っていくティナがケビンに尋ねた。
「いや、冒険者が見当たらないなと思ってね」
「そういえば、中々鉢合わせすることがないわね」
「ダンジョン攻略する冒険者って、あまりいないのかな?」
「それはないとは思うんだけど。たまたま今日は、ダンジョンに潜る冒険者が少ないんじゃない?」
「そうだといいんだけど」
「心配しすぎよ。それに私たちは新参なんだから、今まで攻略してた人は、もっと下の階層を探索しているはずよ」
「それもそうか」
ティナの言うことがご尤もだと思ったケビンは、まだ浅層を攻略している最中なので、余計なことは考えずに攻略を進めていくことにした。
その後ケビンたちは、21階層を全て回り終えたところで、22階層へと降りていった。
魔物のバラエティは21階層と変わらず、攻略もスムーズに進んでいたこともあり、行き止まりに当たったところで一旦昼休憩を挟むことにした。
「ちょうどいい時間だし、昼休憩にしようか? 場所もいいところだし」
「そうね。行き止まりなら、一方向だけ警戒していればいいものね」
「念のためティナさんは結界を張っておいて。気配探知があるから来てもわかるだろうけど」
「わかったわ」
「ルルは食事の準備をお願いするよ」
「かしこまりました」
「ニーナさんは俺とセッティングね」
「わかった」
ケビンは、必要なものをどんどん【無限収納】から出していき、ルルはその中から調理に必要なものを選んでいく。
ニーナは大きめの毛布を拾うとケビンと2人で広げて、シート代わりにどんどん地面に敷いていく。
ティナが結界を張り終えると、その様子を見て自然と笑みをこぼした。
「何だかピクニックに来たみたいね」
「そう言われるとそうだね。場所は危険極まりないけど」
「こういうのも楽しい」
「そうね。ケビン君と一緒じゃないと、味わえない楽しさね」
ケビンとニーナが毛布を敷き終わると、3人でシート代わりの毛布の上でくつろぎ、ルルの料理を待つことにした。
やがてルルの調理が終わるとそれぞれの前へ並べていき、食事の準備が整ったところでルルが座るのを待つ。
「それじゃあ、食べようか」
昼食はパンとサラダの簡単なものだったが、いつもと違う雰囲気の中で食べているせいか、皆の箸も進んであっという間に食べ終わってしまう。
談笑がてら食休みをしてくつろいでいると、思いのほか時間が過ぎていたようなので攻略を再開することにした。
その後、攻略はスムーズに進んで行き、やがて30階層のボス部屋まで到達する。
「今度はどんな魔物が出るんだろう?」
「ゴブリンやオークみたいなのは嫌ね。もっと簡単なのにして欲しいわ。フロアとボス部屋の難易度の差が違いすぎるのよ」
「確かに」
「何故あの様にアンバランスなのでしょうか?」
「うーん……下へ進んで欲しくないとか?」
「ダンジョンがそんな事考えるの?」
「謎……」
ニーナの言う通り謎が深まるばかりだが、ルルが思いもよらぬことを口にした。
「もしかして……人が意図的にしたのでは?」
「人?」
「予想でしかないのですが、狩場の儲けを独占するためにとか……有名なクランは2つだけでしたよね? ダンジョン都市なのに……もっとあってもいいような気がするんですが」
「でも、人がダンジョンに手を加えるなんて考えられないわ。どうやってボス部屋の魔物を増やすのよ?」
「……」
一同が悩んでいる時に、ニーナがハッとした表情を見せて、思い出したかのように呟いた。
「……テイマー……」
その呟きをケビンは聞き逃さず、自分の考える職種と一致しているかどうか確認するためにも、ニーナに聞き返した。
「テイマー?」
「魔物を手懐ける職種」
「いくらテイマーでも、ゴブリンキングは無理じゃない?」
「いえ、逆の発想ではどうでしょうか?」
「逆?」
「はい。ボス部屋なのだからゴブリンキングは元々いたと仮定すれば、その他の魔物を増やすだけでいいはずです。幸い、ナイトやメイジ、ゴブリンはフロアでも見かけましたし」
「それならオークの時も、ナイトとかフロアで彷徨いてたね」
「でも、魔物を中に入れても、1回倒したらいなくなるんじゃない?」
「それはどうだろう……ボス部屋で魔物を倒すと、光の粒子になって消えていったよね? 道中の魔物は、素材が剥ぎ取れるように残っていたのに。そのことを踏まえると、あの部屋にいる魔物は記憶されてるんじゃないかな?」
「記憶?」
「そう。もし1回で終わりなら魔物から剥ぎ取りできるように、その場で残ってなきゃいけないでしょ? だけど、粒子となって消えてから再度挑戦した時には再び同じ数だけ現れていた。剥ぎ取りした魔物もいつの間にか消えているから、どこかで再出現しているとは思うけど……」
「それには検証が必要だと思われます。ケビン様、10階層で検証してみませんか? もしかしたらそれが原因でケビン様が懸念されていた、冒険者があまりダンジョンにいないことと繋がるかも知れません」
「確かに、そんなこと気にしてたわね」
「検証必須」
「それじゃあ、ここのボス部屋は後回しにして、ゴブリンの所へ行こうか」
ケビンたちは自分たちの考えを検証するべく、10階層のボス部屋まで転移で移動してきた。
「とりあえず、ゴブリンを1匹転移させて増やしてみようか? その後に、ボス部屋に突入して殲滅する。それが終わったら再度ボス部屋に突入して、増えているかどうかの確認だね」
ケビンは同階層にいるゴブリンを、ボス部屋の中に転移させて、ゴブリンの数が増えたことを確認すると、ティナたちに任せてボス部屋を攻略させる。
その後、再度ボス部屋の前まで転移してみると、【マップ】にボス部屋のゴブリンが増えた状態で映し出されていた。
「ティナさん、気配探知でボス部屋の中はわかる?」
「無理ね。何故かわからないけど、気配を全く感じないわ」
ティナの返答を聞くと、改めて【マップ】が壊れ性能であることを再認識したケビンであった。
「もしかして……ケビン君には見えてるわけ?」
「そうだね。最悪の形で見えてるよ。ゴブリンの数が増えたままだ」
「「「……」」」
ティナたちの沈黙は、自分たちの予想が当たってしまったことへの沈黙なのか、それともケビンのスキルの凄さに呆れ返っていることへの沈黙なのか、現時点では定かでない。
もしかしたら、その両方であるかも知れないが……
「とりあえず、中に入って目視でも確認しようか? 間違いかもしれないし」
「ケビン君の【マップ】に映ってるなら、間違いないと思うんだけど……」
それからケビンたちは中へ入り、数が増えたままで変わってないことを確認したら、サクッと攻略して再度ボス部屋の前に転移した。
「問題はここからだよね」
「それなら簡単じゃない? 逆のことをすれば数が減るでしょ?」
「ティナが冴えてる……」
「ちょっ、ニーナ! 私はいつでも冴えてるのよ!」
「プッ……朝は冴えてないくせに」
「ぐぬぬ……」
ティナとニーナがやり合っている中、ケビンは適度な広さのところへ行くと、ボス部屋の中からゴブリン1匹を転移させた。
転移させられたゴブリンは、何が何だかわからずにキョロキョロしていたが、それが最後の行動となった。
ケビンは表情ひとつ変えずにゴブリンの首を刎ねて、そのままボス部屋の中へと転移して1人で攻略すると、再度ボス部屋の前まで戻ってきて中の様子を【マップ】で確認する。
「ちょっとケビン君! なに1人で黙々と作業してるのよ」
「ん? ニーナさんとの遊びは終わった?」
「ぐっ……お、終わったわ」
「勝った」
悔しそうに答えるティナに対してニーナはドヤ顔であることから、ティナとニーナの言い合いは、どうやらニーナに軍配が上がったようである。
「それで? ケビン君は何をしてたの?」
「あぁ、中のゴブリンを1匹転移させて殺してから、ボス部屋を攻略して戻ってきたところ」
「それで、そこにゴブリンが転がってるわけね」
「結論から言うと、ボス部屋のゴブリンの数は減ってるね」
「ということは、このボス部屋もオークの時も、意図的に誰かがした細工をしたってわけね」
「そうなるね」
「どうするの? 数を減らしておく?」
「いや、放っておくよ。慈善家ではないし俺には関係ないから。謎が解けただけで満足かな。ダンジョンの秘密もわかったことだし」
「ケビン君って結構ドライね」
「そう? いつも通りだけど」
「ケビン様は身内にはお優しいですけど、それ以外には興味を持たれないのです」
「そうなんだ。それじゃあ、30階層のボス部屋を攻略しに行きましょ」
ケビンたちは30階層のボス部屋前まで転移すると、そのまま中へと入って行った。
中で待ち構えていたのは、うようよと蠢く蔦に、花のような頭部とその中心にある大きな口から涎を垂らし、茎の部分がグネグネと動いているマンイーターだった。
その周りには体長1メートルほどの蛾が飛んでいる。羽には目玉が付いているような模様があり、鱗粉を撒き散らしながら浮遊している状態だ。
「あれは生理的に受け付けないわね」
「マンイーター3体にアイズモス10匹だね。これは下手したら触手プレイになるのかな?」
「ケビン君、触手プレイって何?」
「ティナさんがマンイーターの蔦に捕まって、その蔦からエッチなことをされている状況だよ。服の中に入り込んできたり、大事なところを弄り回されたりして、色々されちゃう感じ」
「うっ……寒イボが……」
そんな状況でも想像してしまったのか、ティナはブルっと体を震わせて、腕をさすっていた。
ティナに限らずニーナやルルまでもが、同じようなことを想像してしまったようで、腕をさすっている。
「ケ、ケビン君、つかぬことをお聞きしますが、代わりに倒してくれちゃったりなんかは……?」
「して欲しいの?」
「ちょっと想像してしまったら、近づきたくないっていうかなんというか……」
「んー……ニーナさんにルルも?」
「無理っ!」
「ケビン様、使用人である私がこの様な願いを申し上げるのは、如何なものかとも思いますが、是非とも倒して頂きたくっ!」
「それじゃあ、みんな貸し1だから、後で何を要求されても断れないからね?」
「「「お願いします!」」」
ティナたちは揃ってケビンに頭を下げた。よほど気持ち悪い想像でもしてしまったのか、ひとつの場所にみんなで固まり抱き合っている。
ケビンは、ティナたちを背後へ庇うように前へ出ると、一気に魔力を高めた。
「《放熱遮断》《白焔》」
ケビンが魔法を唱えて自分たちを結界で遮断すると、マンイーターやアイズモスを取り囲むように白い炎が現れて辺りを埋め尽くすと、魔物たちは逃げ場をなくした。
むしろ魔物たちは逃げる暇さえ与えられなかった。瞬時に燃やし尽くしてしまい、その後には何が起きたのかさえわからないような状態で、ダンジョンでありながらも壁や地面は溶けただれ、マグマと化していた。
「「「……」」」
ティナたちは、目の前で起きたことに、ただただ呆然とするしかなかった。
「……うん、やり過ぎた……そして、熱そう……」
ケビンは辺りの惨状を見て淡々と感想をこぼし、熱気が凄そうということもあり、冷却しながら風を操っては排気を行っている。
「やり過ぎたじゃないでしょぉぉぉっ! どうすんのよコレェェェッ!」
「ティナが壊れた……」
「……」
あまりの出来事と惨状にティナが大絶叫して、それを見たニーナがボソッと呟くが、ルルは沈黙を守っているのか、それともただ現実逃避をしているだけなのか、そのどちらなのかは定かでない。
「まぁ、過ぎたことは仕方ないよ」
「……はぁぁ……いくらなんでもやり過ぎよ」
「それなら、次はティナさんがやる?」
「うっ……それは……」
「冗談だって。俺もあれはキモいと思ったから早めに処理したんだし。少しだけ力が入ったんだよ」
「ケビン君、あれ何の魔法?」
「気になるの? ニーナさん」
「凄く気になる」
「ニーナさんも使ってる魔法だよ」
「?」
ニーナは思いつかないのか、こてんと首を傾げて人差し指を口元に当てたままケビンに視線を向けていた。
(カ、カワイイ……)
その破壊力の凄さに見事大ダメージを受けたケビンは、しばらくニーナを見つめ、ニーナもまたケビンの視線に気づき見つめ返していた。
やがて、ケビンは吸い込まれるようにニーナへと口づけをして、ニーナはそんなケビンに体を委ねた。
「ん……」
そんな、独特の雰囲気に包まれた2人の様子を見て、音を立てずにティナが近付いてきた。
「……ゴホンッ!」
「ん? ティナさん風邪でもひいたの?」
ティナの咳払いに口づけを止めて現実へ復帰したケビンは、何事もなかったかのようにティナに尋ねるが、そこにはジト目で睨みつけるティナの姿があった。
「今この状況でそんなことが言えるケビン君は、ある意味尊敬に値するわ。どうしてニーナと見つめ合った上にキスしていたの? 魔法の説明をしてたはずだよね?」
「可愛かったから」
「……照れる」
ニーナもまた、既に現実へ復帰しており、ケビンの出した回答にモジモジしながらも照れていた。
「……はぁぁ……ダンジョンでそんなことしてるのは、ケビン君ぐらいだよ?」
「他の人は、余裕がないだろうからね」
「ダンジョンの中だっていうのに、強すぎるのも考えものだわ……」
「じゃあ、ティナさんにはしないでおくね。ニーナさんかルルだけにしておくよ」
「――ッ!」
「ケ、ケビン様!?」
思わぬところで自分の名前が出てきて、ルルは慌てふためく。
「ルルも止めとく?」
「い、いえ! むしろご褒美です!」
「ケビン君、さっきの続き」
ルルと話していたケビンの服をクイクイっと引っ張って、ニーナが声をかけた。
「ん? キス足りなかった?」
「……それは帰ってから。魔法の話……」
「あぁぁ……答えね。答えは“ファイア”だよ」
「……意味不明」
「これは理解するのが難しい分野だからね。簡単に言うと、火の温度を上げたんだよ」
「温度で色が変わる?」
「そうだよ。温度以外でも変えることは出来るけど、さっきやった魔法は、温度を上げたから色が変わったんだよ」
「……謎」
「じゃあ、実演するよ。熱くなるし危ないから魔法を結界で覆うね。《ファイア》《放熱遮断》」
ケビンは実際に見た方が早いだろうと、離れた場所に火を作り出してからその火を放熱遮断の結界で覆い、周りへ先程のように熱量による被害が出ないようにしてから実演することにした。
「今はまだ、普通の“ファイア”だから赤いよね?」
「うん。赤い」
ケビンは、そこからどんどん温度を上昇させていく。すると色に変化がつき始めた。
「ほら、温度が上がってオレンジ色になってきた」
「ッ! 変わってる!」
……
「今度は黄色」
「お日様みたい」
……
「で、白色。さっき使ったのはこれだよ」
「本当だ」
「ちなみに、この石を投げると……」
(ジュッ)
「溶けた……」
「これがさっきの被害ね」
「ドロドロ」
……
「更に上がると青白くなる」
「少し青色が付いた」
……
「最終段階がこれ」
「青い……」
「以上が温度変化による“ファイア”の有効活用でした。ご清聴ありがとうございました」
(パチパチパチ……)
ケビンのなんちゃって講義が終わると、ニーナどころかルルまでもが拍手をしていた。
「よし、キリもいいから宝箱を開けて帰ろうか」
ケビンはファイアを霧散させると、宝箱を開けて中身の確認をする。大して良い物は入っておらず、安定の売却素材となるのだった。
そのまま、スタスタとボス部屋の先に行くケビンに、ニーナとルルが続き、ティナは慌てて後を追いかける。
「ちょ、ちょっと待ってよぉ」
そんなティナにケビンは振り返り、何かあったのかと聞き返してみる。
「ん? どうしたの?」
「さっきの私にもして欲しい……」
「魔法の実演? 見逃したの?」
「……違う……キス……」
「でもティナさんの中では、ダンジョンでそういうことをするのは抵抗あるんでしょ? 自分で言ってたことだし」
「うぅ……だってぇ……」
「それじゃあ、外に出よう」
「ま、待って」
ケビンが魔法陣に乗るとダンジョン外へと転移して、ニーナとルルも後に続くが、ニーナを見送ったあとルルが魔法陣に乗る前にティナに助言をする。
「ティナさん、嫉妬は程々にしないと邪魔したら敬遠されますよ。して欲しいなら、順番待ちをすればいいだけなんですから。ケビン様は頼めばきっとしてくれますよ?」
「……うん」
それだけ言うとルルは魔法陣に乗り、ダンジョン外へと転移する。残されたティナもその後に続いた。
外へと転移したティナを待ち受けていたのは、不意打ちすぎるケビンからの口づけであった。
「んっ! ……」
ティナは驚きに目を見開くが、やがてケビンに身を委ねてしばらくキスを続けたのち、ケビンが唇を離すと惚けているティナに声をかける。
「ダンジョンの外だから問題ないよね?」
悪戯っぽく笑みを浮かべてケビンが尋ねると、ティナはそれに対して自分の気持ちを正直に伝えた。
「違うの……さっきのはニーナが羨ましくて当たってただけなの……ごめんね、ニーナとのキスを邪魔して。本当は場所なんてどうでもいいの。ただ私は、ニーナみたいに可愛くできないし、おっぱいしか取り柄がないから、ニーナに嫉妬して邪魔しただけなの」
そんなティナの気持ちを包み込むかのように、ケビンは優しくティナを抱き寄せると自分の気持ちを伝えた。
「ティナさんはちゃんと可愛いよ。ティナさんにはティナさんの可愛さがあるんだから、ニーナさんを真似する必要はないし、胸以外にもちゃんと取り柄だってあるんだから自信持って」
「本当?」
「本当だよ」
「他の取り柄って何?」
「朝起きないところとか、ニーナさんに口喧嘩で勝てないところとか、気が緩むとダラけるところとか、大雑把で適当なところとか――」
「それってダメなところよね?」
「俺にとっては、そんなティナさんが可愛いからいいんだよ。しっかりしてそうで全くできてないダメなところが、俺から見るティナさんの魅力だよ」
「もう! それだと単に手のかかる女の子みたいじゃない」
「実際そうだからね。真面目で几帳面なティナさんなんて想像できないし、本当に嫌ならさっさと矯正させてるよ」
「このままでもいいの?」
「それがティナさんらしさだよ」
「ありがとう。大好きよ、ケビン君」
それからケビンたちは、ギルドに寄って素材の買取を済ませると、夢見亭へと帰宅するのであった。
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