本当にそれ、鑑定ですか?

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第21話 事情聴取ですか?

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 デートの翌日、月曜日である。やはり月曜日というのはちょっと憂鬱な気分になってしまう。

 葉月ちゃんのお目覚めボイスが無かったら、ずっと寝ていたかもしれない。

 昨日のデートを思い出す。最初は手を繋ぐ事を目標としていたけれど、終わってみればキスまでしてしまった。

 今でも昨日のデートは夢だったんじゃないかと思う。それぐらい刺激的だった。

 今日からまた学校やバイトが始まる。特にバイトの方は、葉月ちゃんとのデート代を稼ぐ為にも頑張ろうと思う。

 いつもと同じ朝食を食べ、身支度を整えたら鑑定のお時間です。あと、ちょっとだけワックスの付け方がうまくなった気がする!

「占いの神様のお陰で葉月ちゃんと恋人になれました。ありがとうございます! 今日も一日、良い日でありますように……」

 いつも以上に感謝を捧げ、神に祈った。



【中野薫】

 T大学の2年生
 彼女が出来ました。でも童貞です!
 エッチなのは恋人が卒業してからです。だから童貞です!
 いつまで我慢出来るかな? 童貞くん!
 黒川葉月とは恋人同士です! おめでとうございます~。


※今日の運勢※
 今日は多くの人があなたに注目をするでしょう。
 決して気を緩めてはいけません。もなければ、窒息するかもしれません。



「あれ、自分の紹介文がちょっと変わってるけど、運勢やばくない!?」

 やばいです、危険なワードがあります。窒息ってなに? 溺れ死ぬの? どうしたらいいんだ?

 と、とりあえず気を緩めない事が大事なのか? よし、気合を入れて行くか!

 ビクビクとしながら家を出て、大学へ向かいます。

 占いを見てしまったからかもしれないけど、やたらと視線に敏感になってます。いつもよりこっちを見ている人が多い気がする!

 挙動不審になりながら、朝の集合場所である休憩スペースに到着です。既に修二と玲子さんは座っていて、雑談をしているようです。

「お、おまたせ~」

「おーっす薫、なにビクビクしてんだ?」

「おはようございます薫さん、不審者みたいですわよ?」

「ちょっと不吉な占いの結果が出てね。ビクビクしてるんだ」

「まじかー」

「只事じゃありませんわね」

 二人の顔が真剣になってきた。まずは相談してみるしかないな。こんなこともあろうかと、自宅で占い結果をメモって来ました!

「これが結果なんだ……窒息って溺れ死ぬのかな……」

「『前半の多くの人があなたに注目をするでしょう。』っていうのは何となく分かったぜ。薫がイメチェンした結果、みんな気になって見てるんだと思うぜ」

「そうですわね。薫さんを知ってる人だったら二度見しちゃいますわ。後半は良く分かりませんが、取り敢えず水場に近づかない方がいいかもしれませんわね。お風呂とかも注意ですわ」

「やっぱそうだよね、気を付けるよ。じゃあ二人とも鑑定するよー」

 二人を鑑定し、メモ帳に書いてテーブルの上に置いた。前の経験を活かし、短文でも書いて渡すことにしました!
 

【千葉修二】

※今日の運勢※
 焼き芋を食べるとほっこりするニャン!



【天王寺玲子】

 ヤンデレ度13%(+3)

※今日の運勢※
 選択肢はCが正解です! 迷ったらどうぞ。



「普通だね」

「普通だな」

「全然普通じゃありませんわ! なんですのヤンデレ度って!?」

 本当だ。よく見ると玲子さんのヤンデレ度が上がってた。確かカリスマ美容師に綺麗にしてもらった後、夜の街に二人で消えて行ったんだよね。

 やっぱり嫉妬しちゃったのかな。前はギャルにも反応してたし……。そう言えばうちのバイト先にもギャルが居るけど、あの二人なら大丈夫なのだろうか……?

「女の子はみんなヤンデレなんだよ。きっと大丈夫だから安心してよ玲子さん」

「ヤンデレじゃありませんわ! そんな事を言ったら葉月ちゃんだってヤンデレですわね!」

「えっ?  あ、葉月ちゃんは普通だと思うよ、玲子さんと違って」

「なんですって!?」

 ぎゃおーん。玲子さん大暴れ! 助けて修二~。

「まあそれは良いとして、俺らの結果見ても薫は大丈夫そうだな。それより昨日はどうだったんだ?」

「そうですわ! デートどうでしたの!?」

 玲子さんの食いつきがすごいです。グイグイ来ます。やめてそんなに見つめないで!

「えっと、うーん、色々あった……」

「なんですのそれは!? ハッキリと言いなさい!!」

 玲子さんが詰め寄ってくる瞬間、1限開始の前に鳴る予鈴が聞こえて来た。授業に遅れちゃうから急がなきゃ!

「ご、ごめん。お昼に説明するからまた後で!」

「こ、こらー!!」

 後ろで玲子さんが叫んでるけど、しょうがないよね。だって、こんな数分で話せる内容じゃないし……。

 すまん修二、玲子さんをお願いします。

 そうして僕は、二人を置き去りにして、教室へ向かうのだった。



   ◇



 お昼休み、いつものカフェテリアに来たら既に修二と玲子さんが席に座っていた。カリスマ美容師の効果なのか、玲子さんがキラキラと輝いているから遠くからでも良く分かるよね。

 玲子さんと目が合った瞬間、睨み付けるような視線を向けられ、手をクイックイッっとされました。

 玲子さんが激おこかもしれない。お昼ご飯を買う前に、玲子さんのところへ行った方が良さそうだ。

「な、なんでしょうか玲子さん……。ぼ、僕、まだご飯買ってないんですけど……」

 何だろう、声が震える。玲子さんの高貴なオーラをヒシヒシと感じる……。

「薫さん、私がご飯を買ってきてあげましたわ。どうぞ食べてくださいな」

「あ、ありがとうございます……」

 玲子さんから、ちょっと豪華なハンバーガーセットを頂きました。でもこのコーラ、炭酸抜けてる気がするんだけどいつから居たの?

 修二は何も喋らない。ずっと黙ったままうどんを食べている。何でだろう、ちょっとくらいフォローしてくれても良いと思うんだよね。

 修二に視線を送っても無視されてます。ひどい!!

「い、いただきます……」

 ハンバーガーは冷めてるけど美味しいです。玲子さんの冷たい視線が無ければもっと美味しい気がするね!

 玲子さんがテーブルを指でトントンと叩き、早く食べろと急かして来ます。急いで口に入れ、炭酸の抜けたコーラで流し込みました。ヘニャヘニャになったポテトが強敵でした。

「ごちそうさまでした!」

「じゃあ薫さん、全部吐きなさい」

「ええぇっ!? 食べたばっかりなのに!? ここでですか……」

「違いますわ!! 昨日のデートの事ですわ!!」

「は、はい。すみません……」

 やばい、玲子さんに冗談が通じない。修二は隣でうどんを噴き出して笑ってます。フォローしてくれればいいのに……。

「えっと、デートの待ち合わせ場所に行って……手を繋ぎました!」

「……それで?」

 あれ。手を繋いだのか、やるじゃん! って褒めてくれるところじゃないのか?

「あと……イタリアンな料理のお店でお昼ご飯を食べました。……あ、あ~んとかやりました!」

「……あとは?」

 あれ、これでもダメですか。……あ~んですよ? 今思い出すと恥ずかしかったな……。

「映画館で映画を見ました!」

「……何を言っているんですの? 映画を見に行ったのですから、当たり前でしょう?」

「ぴぃ!」

 玲子さんが怖いです。……そっか、修二や玲子さんからしたら、ちゃんと告白したのかって事が知りたいんだよね。

「映画館で、告白して……お付き合いする事になりました!」

「やったな薫!!」

「最初からそう言えばいいのですわ!! おめでとうございます薫さん!」

 良かった、正解でした。最初から言えば良かったのか。でも、二人とも喜んでくれて嬉しいな。

「ふふ、手を繋いだだけで帰ってきたら、どうしてくれようかと話してましたのよ?」

「告白しただけ立派だな!」

「僕だってやる時はやるんだよ? キスまでしちゃったもん」

「……え?」

「……は?」

 何故だろう、二人とも固まってしまった。

 キスしたよ? 回数まで記憶にないけど、いっぱいしました……。

「薫さん、噓はいけませんわよ?」

「そうだぞ薫、告白が成功して良かった、今はそれだけでいいだろ?」

 全然信用されてない。確かに僕はヘタレてたと思うけど、キスしたんだよ? 葉月ちゃんの唇がすごく柔らかくて、いい匂いがして、幸せだったなぁ……。

 でも信じてくれないのは悔しい……。

「だめだ信じてくれない……。あ、そうだ、そこまで言うんだったら玲子さん、賭けをしよう」

「賭けですの?」

「うん。玲子さんが葉月ちゃんに連絡して、昨日キスしたか確認するの。どう?」

「良いですわよ! 負けた方が大将のお店でご馳走するってことにしますわよ。いいですわね?」

「ふふ、ごちそうさまです!」

 勝ったな!!

 玲子さんがスマホを取り出し、シュシュシュッと高速でフリック入力を行い、葉月ちゃんにメッセージを送っている。

 なんで女の子ってあんなに早くフリック入力が出来るのだろうか。不思議だ……。

「でも薫、本当だったとしてどっちからキスしたんだ?」

「もちろん僕だよ! 葉月ちゃんからもしてくれたよ?」

「マジかよ……」

 ふふ、きっと葉月ちゃんが、『キスしました』って玲子さんに言ってくれるよね。大将のお店で飲み会か~、楽しみだ。

「……返信が来ましたわ……えっと……薫さんの勝ちですわ……」

「ふふふ、やっぱり僕の勝ちでしょ!? ゴチになります!」

 葉月ちゃんありがとう! お陰で1食分の食費が浮きました。今度のデートでお返ししないとダメだね。

 ……あれ、玲子さんの様子がおかしいよ? 顔が真っ赤だし、修二も玲子さんのスマホを覗き込んで唸ってる。

「薫さん、こんなものを見せられてしまったら、もう私の完敗ですわ。日程は調整して葉月ちゃんも誘いましょう。お酒を飲ませなければオッケーですわ」

 そう言って、玲子さんがスマホを見せてくれた。そこには、僕と葉月ちゃんがプリクラでキスしたときの『キス記念日』が表示されていた。

「えっ? あ、あれ? なんで~……?」

 見た瞬間、顔が真っ赤になった。葉月ちゃんが誰にも見せちゃダメって言ってたよね? 玲子さんだったら良かったの? すごく恥ずかしい!!

「まさに試合に勝って勝負に負けたってやつだな。でも薫、見直したぜ!」

 アワアワとしていたら、スマホに着信が来た。どうやらメッセージのようだ。

『先輩、大好きですよ♡』

 葉月ちゃん可愛い! すぐに返信しよう。

『僕も葉月ちゃんが大好きだよ!』

 ニヤニヤとスマホをいじっていたら、予鈴が鳴ってしまった。

「羨ましいですわね~」

「懐かしいな~」

 熟練カップルの言葉が聞こえてきたが、聞かなかったことにしよう。

 午後の講義は何だっけかな。頑張ろう……。
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