本当にそれ、鑑定ですか?

ポリエステル100%

文字の大きさ
45 / 74

第45話 もしかして、お仕置き中ですか?

しおりを挟む
 ハードな顔合わせだったけど無事に終わる事が出来ました。そろそろお暇しようかなって思ったけど、そういう訳にも行かなかった。

「せっかくですからお夕飯を食べて行って下さい。日向さんも薫さんに会いたがっていましたよ?」

「わ、分りました」

 ラスボスからは逃げられないってどこかで聞いたことがあるけど、本当でした。しょうがないから美味しい料理をご馳走になろう。その前に愛する奥様へ連絡しておかないといけません。

 ちょっと席を外してスマホをポチポチして電話を掛けます。もう夕方だから葉月ちゃんお家に居るかな?

『もしもし?』

「あ、葉月ちゃんこんばんは。もうお家ついた?」

『はい、いまお母さんと夕飯作ってます。今日は手作りハンバーグですから楽しみにしてて下さいね!』

 うぅ、先制攻撃を食らってしまった。この場合、何て答えたら良いのだろうか? この状況、実家で見たことあるぞ。夕飯が出来上がってから、飲み会で夕飯要らないって親父が電話してきて母さんがキレてたやつだ……。親父の教訓を活かせるか!?

「ご、ごめん葉月ちゃん。紫苑さんから夕飯食べて行けって言われちゃって、その……今日はお家で夕飯食べれそうにないです……」

『そうですか……。早く帰って来て下さいね?』

「はい!」

 僕は親父と同じでヘタレでした。次からは紫苑さんの夕食のお誘いは断ろう! 出来るかな……?





 その後は紫苑さんと雑談しながら時間を過ごし、食堂に案内された。前回と同じ煌びやかな食堂です。いつもここで夕飯を食べているのだろうか?

 紫苑さんが僕の対面に座って雑談をしていると、入口から楓さんと兄貴が入って来た。楓さんは落ち着いた感じのセーターにスカートという普通の恰好だが、何故か兄貴はコスプレしていた。銀髪の長いポニーテールに黒いフリフリがいっぱい付いたドレスを着ている。ドレスのスカートが短く、白いニーソックスだ……。僕には何のコスプレなのか分からないけど、良いのだろうか?

「兄貴久しぶり、元気だった?」

「や、やぁカオル、元気だよ?」

 何故疑問形なのだろうか。しかも何故かもじもじとしている。トイレでも我慢しているのだろうか?

「楓さんもこんばんは。いつも兄貴がお世話になってます」

「こんばんは中野さん、ヒナタちゃんのお世話は任せて下さい」

 ……まさか本当にお世話していると返事が返って来るなんて思わなかった。やっぱり楓さんはどこかぶっ飛んでいる気がする。楓さんは美人秘書さんと話が出来たのだろうか?

「それじゃあ夕食を頂きましょうか」

 紫苑さんの一言でお手伝いさんがぞろぞろと入って来た。そしてテーブルの上には中華料理の乗った大皿がたくさん置かれていった。玉子がコーティングされ黄金色に輝くチャーハン、灼熱のマグマのような麻婆豆腐、天使の羽が生えた餃子など、見ただけで美味しいと分かる料理の数々が並んでいる。

 料理を運んでくれたお手伝いさんは撤収して、飲み物などを配膳してくれるお手伝いさんが2人残りました。このお屋敷にはいったい何人の従業員が居るのだろうか……。

「さあ好きなだけ食べて頂戴ね。薫さんはビールでいいかしら?」

「はい、いただきます」

 ビールなんて一人暮らしの時は絶対に飲めなかったな。主に金銭的な問題で。ここ最近は毎晩のように何かしらお酒を頂いています。ダメ人間になってしまいそうだ。

 美味しい料理とお酒を頂きながら、兄貴のここ最近のお話を聞きます。

「兄貴は最近はどんな事しているの?」

「うぇっ!? さ、最近は何もしてないというかさせてくれないというか……そんな感じ……だよ?」

 どういう事だろう? 言っている意味が分からない。兄貴はオロオロしながら隣に座る楓さんの方をチラチラと様子を伺い、楓さんはすまし顔で麻婆豆腐を食べている。あれすごく辛そうだけど顔色一つ変えてないぞ……。やたらとモジモジしている兄貴が気になる。

「ふーん、つまりニートか。正月はどうするの? 実家帰るの?」

「えぇ!? ど、どうしよう……」

 兄貴はさっきからずっと楓さんに視線を送っているが、無視されている。もしかして喧嘩しているのだろうか?

「お正月はヒナタちゃんと一緒にお義父様とお義母様に新年のご挨拶へ行きます。この家での行事もありますので、遅くなるかもしれませんが」

「そうねぇ。うちもお正月は親戚とかたくさん集まるからね」

 それを聞いた兄貴は顔が真っ青になっている。そりゃそうだ。この家に集まる親戚とかが兄貴を見ても、『誰だこいつ?』って思われるだろう。

「大丈夫ですよヒナタちゃん。お正月はお部屋でゆっくりしてて構いませんから」

「ホッ……」

 兄貴の顔色が少し戻った。僕がこの家に住んだら生きた心地がしないような気がする。でもずっとモジモジしている兄貴はちょっと面白かった。

 兄貴はこの家でどんな生活をしているのだろうか? まあ趣味のコスプレはさせて貰っているから問題ないのかな?

「そういえばカオル、本当に結婚するの?」

「うん。葉月ちゃんが卒業したら結婚するよ」

「良いですね中野さんは。私も早く結婚したいです。お母様、ヒナタちゃんと結婚させて下さい」

「まだダメよ、お姉ちゃんが結婚してからね」

 どうやら兄貴の結婚はまだ先のようだ。兄貴が結婚するとしたら修二と玲子さんが結婚してからになるのか……。あの二人はいつ結婚するのだろうか?




 時間も進み、良い感じに盛り上がってきたので楓さんに聞いちゃおうかな!

「そういえば楓さん、優香さんからお話聞いた?」

「ええ、優香お姉さまとは上手く行きそうです。あの人って私よりもすごいんですよ? まさに私の師匠です!」

 楓さんが目をキラキラとさせながら喜んでいる。つまり『ヒナタちゃん共有ハッピーエンド【妾だっていいじゃない! 幸せだもの】』ルートに突入したって事か……。美人秘書さん、お幸せに!

「僕は来週から優香さんとお仕事する事になったから、優香さんのメンタルが良い方向になるのなら僕も嬉しいよ」

「か、カオルは何の話をしているの? カエデちゃんがこんなに喜んでるとボク怖いんだけど……」

「ふふ、ヒナタちゃんは何も気にしないで良いんですよ……今夜は眠れないかもしれませんが……」

 ダメだ、楓さんの顔が蕩けてる。きっと今夜、兄貴は大変な事になってしまうのだろう……、頑張って下さい。

 そうして楽しい夕食を頂き、僕は一人東京へ帰るのだった……。



   ◇◇



 最寄り駅まで車で送って貰い、そこから電車で帰って来た。もうすぐ夜の8時だけど、街はサラリーマンで賑わっていた。サラリーマンを遠くに見ながら、速足で自宅へ向かう。一人で歩いていると寂しくて、早く葉月ちゃんに会いたくなってくるのだ。とりあえずもう少しで家に着くって連絡しておこうかな。

 少し息を切らせながら歩き、やっとマンションに着いた。僕の愛する彼女が待っている、早く帰ろう……。はやる気持ちを抑え、エレベーターに乗り込む。僕も家族の一員として認められ、カードキーを渡されたのである。

 エレベーターが止まり、玄関まで走った。一秒でも早く葉月ちゃんに会いたかった。鍵を開けて玄関ドアを開けると、メイド服の葉月ちゃんが待っていた!

「た、だたいま……」

「ふふ……お帰りなさいませ旦那様♪」

 天使が居た! 僕の天使が待っててくれた! いつものエッチなメイド服だけど、髪型がツインテールになってて可愛すぎる。僕は急いで靴を脱いで、葉月ちゃんを抱きしめてしまった。

「葉月ちゃんに会いたかったんだ。寂しかった」

「もう、しょうがないですね旦那様は」

 葉月ちゃんもギュッと抱きしめてくれた。葉月ちゃんの甘い香りが、一日の疲れを吹き飛ばしてくれる。もうずっとこのままで居たい……。

「まずは手洗いうがいしてきてください。話はそれからですよ」

「うん……」

 僕は葉月ちゃんに背中を押され、洗面所へ連れていかれた。そして手洗いうがいが終わったら、もう一度抱き合ってキスをした。今日の僕はいつもより積極的かもしれない。

「ん……今日の旦那様はお酒の匂いがします。いっぱい飲んだんですか?」

「紫苑さんに勧められてビールをちょっとね。ごめんね葉月ちゃん、夕飯一緒に食べれなくて……」

「ふふ……大丈夫ですよ。さぁリビングへ行きましょう」

 葉月ちゃんが先に行ってしまった。僕は葉月ちゃんの後ろ姿を見ながら追いかけた。揺れるツインテール、フワフワと揺れる短いスカートとニーソックスに目を奪われた。このまま背後から抱きしめてイチャイチャしたい……。

 リビングにはお義母さんだけが居て、葉月ちゃんはキッチンに行ってしまった。

「ただいまです。遅くなってすみませんでした」

「良いのよ~お仕事ですもの。さぁご飯食べましょうか。お母さんお腹がペコペコよ」

「えっ!? まだ食べて無かったんですか?」

「そうよ~。葉月ちゃんが手作りハンバーグを薫くんに食べて貰うんだって張り切っちゃって。お腹いっぱいかもしれないけど、食べてあげてくれる?」

 葉月ちゃんが作ってくれた手作りハンバーグ、これを食べないでどうするというのだ! 僕のお腹は膨れているけど、食べない訳にいかないな。

 どうやら今からハンバーグを焼くようだ。少し時間あるから自室で筋トレして少しでも消化しておこう! 僕は腕立て伏せ、腹筋、スクワットと、慣れない筋トレをやって少しでも消化するように頑張った!

 手や足、腹筋がピクピクしてきた頃、良い匂いがしてきた。そろそろ戻ってお手伝いしよう。リビングに向かうと良い匂いが広がった。食欲をそそる、肉の焼けた匂いだ。お箸やお皿など、少しだけどお手伝いしました。

「じゃあ旦那様、私が初めて作ったハンバーグです。食べて下さい!」

「葉月ちゃんが作ったハンバーグ……良い焼き具合で肉汁が溢れて美味しいそうだね! いただきます!」

 ハンバーグを口に入れた瞬間、肉汁が口全体に溢れて来た。僕のお腹はほぼ満腹なのに、いくらでも食べられそうだ。それくらいにおいしい!

「ど、どうですか旦那様……?」

 葉月ちゃんがちょっと不安そうに聞いてきた。初めての料理で不安なのかもしれない。早く安心させてあげないと!

「今まで食べたハンバーグの中で一番美味しいよ。最高です!」

「良かった……」

「あらあら、良かったわね葉月ちゃん。本当にこのハンバーグ美味しいわよ~」

 紫苑さんのお宅で食べた料理も美味しかったけど、やっぱり僕はこの人達と食べる料理の方が美味しいと思う。単純に味とかの差ではなく、この家族で食べる食事が最高に幸せなのだ。

 もし次に遅くなることがあっても、出来るだけ家で食べよう。この人達との時間を多く取りたいと強く思った。

 そして何よりも、この眩しい笑顔のお嫁さんと一緒に居たいと思ったんだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました

ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。 意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。 しかし返ってきたのは―― 「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。 完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。 その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

処理中です...