水神様の注意事項についてよーく聞いておくように

育児(からの)休暇も時には必要よね

あのあと新しく出来た子供たちと湖の中で過ごすこと数日。湖にも身体が慣れてきて、以前では力を入れない状態では自分の意識から半径1m程度しか認識出来なかったのが、今ではおおよそ湖全体のことを把握できるようにはなった。
たとえば今向こうの方でリュータとサマラが喧嘩してるとかね。
もおー。あのふたりは直ぐに喧嘩する。
急いでツリ目のミニドラゴンのリュータと手乗り人魚のサマラの傍へと飛ぶ。
ここ数日でわかったことの1つで私が自分の身体だと思い込んでいた部分は私の意識の核という扱いで、実際の身体でいえば湖自体というふうになるらしい。そして身体のなかであればどこでも意識が飛ばせる。私が認識できる湖の範囲が広がれば広がるほど私が飛べる範囲も広がるということになる。
あっちこっちで起こる育児トラブルを対応する身としてはなかなかに便利な機能だと思うよ。
飛んだ先には睨み合うリュータとサマラ、そしてそれを囲むミニドラゴンと人魚たち。
よし、まだ取っ組み合いにはなってないね。

「オレがはじめて見つけたんだ！」
「違うね！僕がさいしょに見つけたんだ！」
「やめなよー、リュータ。ママが怒るよ」
「そうだってサマラ。皆で見つけたでいいじゃん」
「「だめ！」」
「なにを喧嘩してるの？」
「「「「「ママ！」」」」」

そう声をかけると、皆で私(の意識)の周りに集まる。ここ数日で特にこの2種

はすくすくと育ち小学生ほどの大きさまでになった。タツノオトシゴのようだったドラゴン達は小さな龍だと言われても遜色ない程になり、一方人魚達は3種族へと分化していった。ノーマル型のマーメイドとドルフィン型マーメイド、シャーク型マーメイドである。ドルフィン型は頭が良い子達が多く、逆にシャーク型は活発な子達が多い。ノーマル型は他種族のまとめ役を担う子が多い。ちなみに容姿となんとなくそれぞれの魚たちに似ている。皆、仲良く育ってくれた。のはいいんだけど、ノーマルマーメイドのリーダーであるサマラとドラゴンたちの長男的な立ち位置のリュータは何故かそりが合わないんだよねえ。
湖にいる子供たちの中で特別成長の早いドラゴンと人魚だが、子供サイズで急成長が止まった人魚に対してまだまだ大きくなり続けるドラゴンがサマラは面白くないのかもしれないね。サマラがリュータに絡みに行くことも多い。
ふたりはこちらをチラチラ見つつもお互いを意識していて今にも殴り合いに発展しそうだ。
まーったく、困った子達だよ。

「サマラ、リュータ。何があったの」
「ママ！オレが先に花を見つけてママにあげようと思ったのに「違う！僕が最初にみつけてママにお花をあげようと思ってた！」嘘つきだ！嘘はダメだってママが言ってたんだぞ」
「あーーーはいはいはいありがとおおお！！2人ともママのために綺麗なお花を持ってきてくれようとしたのね！とっても嬉しい！ありがとう！」

半ば強引にふたりを引き寄せると拗ねたように頬を膨らませていたが次第に嬉しそうに笑顔がでてきた。根はとても素直でいい子達なんです。
それにこのふたりは喧嘩することも多いけど一緒に遊ぶことも多くてなんだかんだ仲がいい。現に嬉しそうにニコニコ笑っていたあと喧嘩していたことも忘れてドラゴンと人魚たちで仲良く追いかけっこし始めたし。

さてみんなで楽しそうに遊んでいる中申し訳ないが、急遽子供達を私の元へと集める。みんなにはいい子でお留守番できるように言い聞かせなくてはならないからだ。では何故お留守番を頼まねばならないか。それはいよいよ私がこの湖の周囲の探索を始めたいからです！