異世界探訪記

3 ³

文字の大きさ
14 / 16

夢の狭間

しおりを挟む
 今から書き記すのは夢の話だ。けれど、ただの夢では無く、何処か不思議で現実と見紛う様な夢の話である。所謂、明晰夢と呼ばれるものに近いのかもしれない。何処か不確実で、けれど手を伸ばせば触れられそうになるそんな話だ。



 その夢は少女の姿をして現れた。少し前に朽ちた洋館で会った死体の少女、その姿で現れたのだ。あの時と同じ様に幾多の血に塗れ、けれどあの時とは違い首を刎ね落とされた姿は、私に幾分かの怖れすら抱かせた。
 無論、私にはそれに久しぶりと声を掛けれる程の神経は太さは持ち合わせていない。けれど、あの時感じた様に、少女が真に死んでいるとは未だ思えず、胴から切り離された少女の顔にそっと指を這わせた。その時、その私の掌に少女が頬擦りをした様に感じられたのだけれど、それはきっと私の気の所為なのだろう。けれど、私がその少女に愛着の様な感情を抱くのには充分であった。



 微睡みから覚めた時、近くに少女の姿が無い事に軽い落胆を覚えた。それは、夢に出ただけで実際に近くに居た訳では無いのだから当然の事なのだけれど、胸に穴が空いたかの様に感じてしまったのだ。
 それは私にしては珍しい事で、不思議に思いはしたけれど、おそらく少女に掛けられた言葉故の事なのだろう。死体の姿をした少女が話すはずは無いのだけれど、私にはその少女が別れ際にこう言った様に思えたのだ。

「また、会いましょう」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

聖女召喚

胸の轟
ファンタジー
召喚は不幸しか生まないので止めましょう。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

【完結】離縁など、とんでもない?じゃあこれ食べてみて。

BBやっこ
恋愛
サリー・シュチュワートは良縁にめぐまれ、結婚した。婚家でも温かく迎えられ、幸せな生活を送ると思えたが。 何のこれ?「旦那様からの指示です」「奥様からこのメニューをこなすように、と。」「大旦那様が苦言を」 何なの?文句が多すぎる!けど慣れ様としたのよ…。でも。

黒の聖女、白の聖女に復讐したい

夜桜
恋愛
婚約破棄だ。 その言葉を口にした瞬間、婚約者は死ぬ。 黒の聖女・エイトは伯爵と婚約していた。 だが、伯爵は白の聖女として有名なエイトの妹と関係をもっていた。 だから、言ってはならない“あの言葉”を口にした瞬間、伯爵は罰を受けるのだった。 ※イラストは登場人物の『アインス』です

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

いい子ちゃんなんて嫌いだわ

F.conoe
ファンタジー
異世界召喚され、聖女として厚遇されたが 聖女じゃなかったと手のひら返しをされた。 おまけだと思われていたあの子が聖女だという。いい子で優しい聖女さま。 どうしてあなたは、もっと早く名乗らなかったの。 それが優しさだと思ったの?

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...