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※ ニセ占い師逮捕!! ジョージ視点
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つい先だって。ジョージはパトシリアと結婚をした。
式は盛大に営まれた。
国中の王侯貴族が参加をし、二人の門出を祝ってくれた。
ただし、婚約破棄をしたレンスター家の人間だけは呼ばなかった。
やはり、レンスター家からは恨まれているからだ。
だから、パトシリアとの結婚を祝ってくれるはずもない。
ジョージはいつもの占い屋に来ている。
パトシリアはこの店の存在を知らない。
知らない方が良い。
なぜなら、後ろめたい商売をしているからだ。
知ったら恐らく離婚だろう。
(今日の客はシェリーだ。彼女もやはり嫁姑関係に悩んでいるんだよな。何でもすぐに姑が怒鳴りつけてくるとかで……。哀れだな。シェリーはリピーターだ。そろそろツボか石を売りつけよう)
ジョージは黒塗りのツボを取り出した。
(このツボを高額で売りつける。すると、かなりのリターンがあるんだな。うししし)
ジョージはほくそ笑んでいる。
(このツボ、所詮量産物。安いしそのうえ脆い。でも、不思議なくらいに売れるんだよな。みんなアホだな。「幸せになれる」というと、財布の紐が緩むんだからな)
約束の時間がやってきた。
「占い師様ー」
そこに現れたのは金髪でグリーンの瞳を持つ公爵令嬢だ。
公爵令嬢だからお金がある。
ツボの値段は倍に設定した。
「えへん。シェリーさん、待ってましたよ」
「ジョージ様。これからはどうですか? 占って欲しいです」
ジョージは目を瞑ってカードを切った。
「えへん。これは!!」
「何か出たんですか?」
「えっへん。未来はズバリ明るいです」
「本当ですか?」
適当にリーディングする。
「えへん。そうです。お姑さんが謝罪してくれるかもしれませんね」
ジョージはつとめて笑顔を作った。
「ただし……」
「ただし?」
「えへん。あるものを買ったら……です。えへん。ここにはツボがあるでしょう?」
カードにはツボが描かれている。
「本当だ」
「実はね、えへん」
ジョージは先程の黒塗りのツボを取り出した。
「このツボを買うと、えら~い運気がアップするんだ」
「え? そうなんですか?」
「えへん。このツボには私がパワーを入れた特別なツボです。えっへん。なんだったら騙されたと思って購入してみてはどうですか?」
騙されたと思って……実際に騙されているのだが。
「あ……はい。で、おいくらなんでしょうか?」
「えへん。100万ソトだけど、今日は特別に10万ソトで売るよ」
このように、最初にありもしない金額を挙げ、次に値引きをする。
これぞ商売魂だ。
「じ……10万ソトで良いんですね?」
「ああ」
「じゃあ、買いますわ」
そこへ一人の黒ずくめの男が店に入ってきた。
「誰だ」
「警察だ!!」
「え!?」
ジョージはゴクリと唾を飲み込んだ。
何人もの男が現れた。
「これが噂のツボか」
「さあ、逮捕だ。ジョージ・バス容疑者!」
「えへん。なぜ逮捕なんです?」
「こんな、何の効果もないツボやら石やらを『開運効果がある』などと謳い、高額な値段で売りつけていたんだからな」
「……」
「世間ではカウンセラーのように話を聞いてくれる占い師として人気のようだったが、陰でこんな疚しい事をしていたんだからな」
「ああ……」
☆★☆★
「という事だ。パティ。えへん」
「そんな……。世間様では評判の良い占い師だったのに。まさか裏でそんな商売をしていただなんて」
そこへ父のロベルトと母のサリがやってきた。
「ジョージ。穏やかじゃないね。ニセ占い師をしていたみたいじゃないか。私は当初はよく話を聞いてくれる、親身に人生相談に乗ってくれる占い師だと聞いていたのに。それが何やら怪しい商売をしていたではないか」
「父上。えへん。実は」
「言い訳無用だ。お前はディアナと婚約破棄をしてからどうもおかしいと思っていた」
「えへん。実は父上……。えへえへえへん。私はディアナと婚約する前からこの商売をしていました」
「なぜそんな商売をした?」
「えへん。王侯貴族ならそれなりの収入を得なければなりません。えっへん。しかし、私には何の才能もありません。えへん、ゴホゴホ。だから……だから……嘘をついて儲けられる占い師を選びました」
「何だと? それで詐欺を働いていたのか」
「えへん。申し訳ございません」
「ううむ……。お前は我がバス家の恥だ。家から出ていってもらう」
「そんな……」
横にいたパトシリアが重い口を開いた。
「パティ。きみも同罪だ。悪いけど、二人で出ていってもらいたい」
「えへん。父上、パティは何の罪もありません。罪があるのは私だけです。えっへん。パティは許してやって欲しい」
ジョージは嘘泣きをして、土下座をした。
「しかしだな。パティと浮気したことによってディアナと婚約破棄をした。それは自覚あるよな?」
「はい」
「パティさえ弁えていれば、ディアナとの婚姻関係は成立していた。しかし、お前は白紙にしてしまった。この罪は重い」
「申し訳ありませんわ。その通りです。お義父様」
「パ……パティ!!」
「そうだとわかったら、二人で出ていってくれ。神様の前でお前らは永遠の愛を誓いあったんだろ? 出ていって、そして身分剥奪。財産もお前には渡さない。そのまま市井に行ってくれ。病めるときもどんなときも夫婦一緒なんだろう?」
「はい、父上!! えへん」
二人は応接間を出た。
★☆★☆
春の嵐の中、二人は街をさまよう。
今日も野宿なようだ。
ここしばらくまともなものを食べていない。
「あ~、腹減った。えへん。パイプが吸いたい」
パイプは取り上げられてしまった。
「そうよね。ジョージ様」
式は盛大に営まれた。
国中の王侯貴族が参加をし、二人の門出を祝ってくれた。
ただし、婚約破棄をしたレンスター家の人間だけは呼ばなかった。
やはり、レンスター家からは恨まれているからだ。
だから、パトシリアとの結婚を祝ってくれるはずもない。
ジョージはいつもの占い屋に来ている。
パトシリアはこの店の存在を知らない。
知らない方が良い。
なぜなら、後ろめたい商売をしているからだ。
知ったら恐らく離婚だろう。
(今日の客はシェリーだ。彼女もやはり嫁姑関係に悩んでいるんだよな。何でもすぐに姑が怒鳴りつけてくるとかで……。哀れだな。シェリーはリピーターだ。そろそろツボか石を売りつけよう)
ジョージは黒塗りのツボを取り出した。
(このツボを高額で売りつける。すると、かなりのリターンがあるんだな。うししし)
ジョージはほくそ笑んでいる。
(このツボ、所詮量産物。安いしそのうえ脆い。でも、不思議なくらいに売れるんだよな。みんなアホだな。「幸せになれる」というと、財布の紐が緩むんだからな)
約束の時間がやってきた。
「占い師様ー」
そこに現れたのは金髪でグリーンの瞳を持つ公爵令嬢だ。
公爵令嬢だからお金がある。
ツボの値段は倍に設定した。
「えへん。シェリーさん、待ってましたよ」
「ジョージ様。これからはどうですか? 占って欲しいです」
ジョージは目を瞑ってカードを切った。
「えへん。これは!!」
「何か出たんですか?」
「えっへん。未来はズバリ明るいです」
「本当ですか?」
適当にリーディングする。
「えへん。そうです。お姑さんが謝罪してくれるかもしれませんね」
ジョージはつとめて笑顔を作った。
「ただし……」
「ただし?」
「えへん。あるものを買ったら……です。えへん。ここにはツボがあるでしょう?」
カードにはツボが描かれている。
「本当だ」
「実はね、えへん」
ジョージは先程の黒塗りのツボを取り出した。
「このツボを買うと、えら~い運気がアップするんだ」
「え? そうなんですか?」
「えへん。このツボには私がパワーを入れた特別なツボです。えっへん。なんだったら騙されたと思って購入してみてはどうですか?」
騙されたと思って……実際に騙されているのだが。
「あ……はい。で、おいくらなんでしょうか?」
「えへん。100万ソトだけど、今日は特別に10万ソトで売るよ」
このように、最初にありもしない金額を挙げ、次に値引きをする。
これぞ商売魂だ。
「じ……10万ソトで良いんですね?」
「ああ」
「じゃあ、買いますわ」
そこへ一人の黒ずくめの男が店に入ってきた。
「誰だ」
「警察だ!!」
「え!?」
ジョージはゴクリと唾を飲み込んだ。
何人もの男が現れた。
「これが噂のツボか」
「さあ、逮捕だ。ジョージ・バス容疑者!」
「えへん。なぜ逮捕なんです?」
「こんな、何の効果もないツボやら石やらを『開運効果がある』などと謳い、高額な値段で売りつけていたんだからな」
「……」
「世間ではカウンセラーのように話を聞いてくれる占い師として人気のようだったが、陰でこんな疚しい事をしていたんだからな」
「ああ……」
☆★☆★
「という事だ。パティ。えへん」
「そんな……。世間様では評判の良い占い師だったのに。まさか裏でそんな商売をしていただなんて」
そこへ父のロベルトと母のサリがやってきた。
「ジョージ。穏やかじゃないね。ニセ占い師をしていたみたいじゃないか。私は当初はよく話を聞いてくれる、親身に人生相談に乗ってくれる占い師だと聞いていたのに。それが何やら怪しい商売をしていたではないか」
「父上。えへん。実は」
「言い訳無用だ。お前はディアナと婚約破棄をしてからどうもおかしいと思っていた」
「えへん。実は父上……。えへえへえへん。私はディアナと婚約する前からこの商売をしていました」
「なぜそんな商売をした?」
「えへん。王侯貴族ならそれなりの収入を得なければなりません。えっへん。しかし、私には何の才能もありません。えへん、ゴホゴホ。だから……だから……嘘をついて儲けられる占い師を選びました」
「何だと? それで詐欺を働いていたのか」
「えへん。申し訳ございません」
「ううむ……。お前は我がバス家の恥だ。家から出ていってもらう」
「そんな……」
横にいたパトシリアが重い口を開いた。
「パティ。きみも同罪だ。悪いけど、二人で出ていってもらいたい」
「えへん。父上、パティは何の罪もありません。罪があるのは私だけです。えっへん。パティは許してやって欲しい」
ジョージは嘘泣きをして、土下座をした。
「しかしだな。パティと浮気したことによってディアナと婚約破棄をした。それは自覚あるよな?」
「はい」
「パティさえ弁えていれば、ディアナとの婚姻関係は成立していた。しかし、お前は白紙にしてしまった。この罪は重い」
「申し訳ありませんわ。その通りです。お義父様」
「パ……パティ!!」
「そうだとわかったら、二人で出ていってくれ。神様の前でお前らは永遠の愛を誓いあったんだろ? 出ていって、そして身分剥奪。財産もお前には渡さない。そのまま市井に行ってくれ。病めるときもどんなときも夫婦一緒なんだろう?」
「はい、父上!! えへん」
二人は応接間を出た。
★☆★☆
春の嵐の中、二人は街をさまよう。
今日も野宿なようだ。
ここしばらくまともなものを食べていない。
「あ~、腹減った。えへん。パイプが吸いたい」
パイプは取り上げられてしまった。
「そうよね。ジョージ様」
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