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第一話
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ある日。リディアはセレドニオに執務室に来るように言われた。
ある晴れた秋の昼下り、リディアは執務室へ向かった。
ドアをノックする。
「はい、どうぞ」
中からセレドニオと思しいテノールの声がする。
リディアは中に入った。
肩まで伸びた青い髪にうぐいす色の瞳。
そして。右側を見れば見慣れた顔がいた。
桃色の髪を2つに分けて三編みをし、紫の瞳をした女。
彼女こそリディアの妹のマルティナだった。
「マルティナ。どうしてこんなところにいるの?」
リディアが問うと、マルティナは勝ち誇ったかのような顔で言った。
「ふふふ。お姉さま気づいてくれたの? セレドニオ様は聖女のあなたより背が高くて魔法ができる私を選んで下さったのよ」
「セレドニオ様。どういう事なのでしょう?」
リディアは二人の顔を交互に見た。
「そうなんだ。俺はリディアを選んだんだ。俺は花嫁候補には厳しいと以前言ったよな? 俺は長身の女性が好きなんだ」
「花嫁候補……ってお祖母様の面目だ、なんて言っていたのに、お祖母様の顔に泥を塗る事になるんですよ」
するとセレドニオは悪戯そうな顔をして言ってきた。
「ふふふ。甘ちゃんだね、きみは。祖母を癒やしてくれた事に関しては今でも感謝している。でもね、俺の人生は祖母の人生では無いんだ。わかるかな?」
「一緒にお祖母様に挨拶に行ったじゃないですか」
両手の拳を握りしめた。
「でもね、あいにく祖母は俺に言ったさ。後悔するな、とね」
「そう……だったのですね。お祖母様は悲しまれないのですか?」
リディアにはこの男の考えている事が今一つ読み取れない。
「祖母も俺が俺らしく生きる事を望んでいる! そうだ。残念だけど婚約は破棄しよう」
セレドニオはリディアを指差してきた。
「そうよお姉さま。セレドニオ様は花嫁候補の条件が厳しい人なんですよ。潔く諦めたらどうですか?」
何が条件の厳しい人、だ。最初に婚約破棄をした許嫁は隣国の王女。
2度目に婚約破棄をした人は侯爵令嬢。
そしてリディアは公爵令嬢の聖女であった。
「両親にはこの話をしたんでしょうね?」
リディアはマルティナに訊ねた。
「勿論ですよ。お姉さまがセレドニオ様から飽きられて私を選んでくれた。それは両親に伝えてあるわ」
「もしや、リディア。お前は実家に帰ろうとしているのかな? そうだよね。俺と婚約破棄したら、必然的に王都から出て行ってもらわないといけないからね」
リディアは狼狽した。
婚約破棄に加え、妹マルティナの裏切り。
そして両親が実家に帰る事を許してくれるのか。
「マルティナ。なぜ? 私とセレドニオ様が婚約している事を知っておきながら!」
マルティナは視線を避けている。
「そんな事を言ってもお姉さまは魔法がからきしダメでしょ?」
悔しかった。
リディアは聖女になる道を選び、魔法使いへの道は選択しなかったからだ。
セレドニオはイケメンで有名。
長身で聡明で頭脳明晰。
そんなセレドニオに婚約破棄されたのだから、辛さも倍だった。
ある晴れた秋の昼下り、リディアは執務室へ向かった。
ドアをノックする。
「はい、どうぞ」
中からセレドニオと思しいテノールの声がする。
リディアは中に入った。
肩まで伸びた青い髪にうぐいす色の瞳。
そして。右側を見れば見慣れた顔がいた。
桃色の髪を2つに分けて三編みをし、紫の瞳をした女。
彼女こそリディアの妹のマルティナだった。
「マルティナ。どうしてこんなところにいるの?」
リディアが問うと、マルティナは勝ち誇ったかのような顔で言った。
「ふふふ。お姉さま気づいてくれたの? セレドニオ様は聖女のあなたより背が高くて魔法ができる私を選んで下さったのよ」
「セレドニオ様。どういう事なのでしょう?」
リディアは二人の顔を交互に見た。
「そうなんだ。俺はリディアを選んだんだ。俺は花嫁候補には厳しいと以前言ったよな? 俺は長身の女性が好きなんだ」
「花嫁候補……ってお祖母様の面目だ、なんて言っていたのに、お祖母様の顔に泥を塗る事になるんですよ」
するとセレドニオは悪戯そうな顔をして言ってきた。
「ふふふ。甘ちゃんだね、きみは。祖母を癒やしてくれた事に関しては今でも感謝している。でもね、俺の人生は祖母の人生では無いんだ。わかるかな?」
「一緒にお祖母様に挨拶に行ったじゃないですか」
両手の拳を握りしめた。
「でもね、あいにく祖母は俺に言ったさ。後悔するな、とね」
「そう……だったのですね。お祖母様は悲しまれないのですか?」
リディアにはこの男の考えている事が今一つ読み取れない。
「祖母も俺が俺らしく生きる事を望んでいる! そうだ。残念だけど婚約は破棄しよう」
セレドニオはリディアを指差してきた。
「そうよお姉さま。セレドニオ様は花嫁候補の条件が厳しい人なんですよ。潔く諦めたらどうですか?」
何が条件の厳しい人、だ。最初に婚約破棄をした許嫁は隣国の王女。
2度目に婚約破棄をした人は侯爵令嬢。
そしてリディアは公爵令嬢の聖女であった。
「両親にはこの話をしたんでしょうね?」
リディアはマルティナに訊ねた。
「勿論ですよ。お姉さまがセレドニオ様から飽きられて私を選んでくれた。それは両親に伝えてあるわ」
「もしや、リディア。お前は実家に帰ろうとしているのかな? そうだよね。俺と婚約破棄したら、必然的に王都から出て行ってもらわないといけないからね」
リディアは狼狽した。
婚約破棄に加え、妹マルティナの裏切り。
そして両親が実家に帰る事を許してくれるのか。
「マルティナ。なぜ? 私とセレドニオ様が婚約している事を知っておきながら!」
マルティナは視線を避けている。
「そんな事を言ってもお姉さまは魔法がからきしダメでしょ?」
悔しかった。
リディアは聖女になる道を選び、魔法使いへの道は選択しなかったからだ。
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そんなセレドニオに婚約破棄されたのだから、辛さも倍だった。
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